問題児たちが異世界から来るそうですよ?  ~無形物を統べるもの~   作:biwanosin

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一輝君、圧倒的不利です。


では、本編へどうぞ!


王と女王 ②

ゲームが始まった瞬間、契約書類に女王と記されていることから音央がいると判断した一輝は、鳴央とヤシロにアイコンタクトを取ってから、単独でオベイロンに向けて走り出した。

そして、オベイロンがどこからか取り出した黄金色の剣を構えたのを見て、スレイブを構え・・・二つの剣がぶつかる寸前で上に跳ぶ。

 

「逃がすかぁ!」

 

そう叫びながらオベイロンは一輝に向けて剣を突き出すも、人型に戻ったスレイブの手刀によって防がれる。

 

「そいつの足止めは任せたぞ、スレイブ、ヤシロちゃん!」

「「了解!」」

 

二人から返事が返ってきたのを確認すると、一輝はDフォンを操作して鳴央を自分の隣に召喚し、二人で神殿の奥に向けて走り出す。

当然、オベイロンは二人を追おうとするのだが・・・その道をスレイブがふさぎ、後ろにはヤシロが立っている。

 

「悪いが、一輝様の邪魔はさせない。」

「お兄さんと鳴央お姉さんが音央お姉さんを取り戻すまでは、ここにいてもらうよ?」

 

使い手のいない剣と、閉鎖空間であるためにギフトを使えない元魔王。

そんな圧倒的不利な状況であったが、二人は一輝がすぐに帰ってくることを信じて魔王に立ち向かった。

 

 

 

  ========

 

 

 

「鳴央、無理はするなよ。キツイようならすぐに速度を落とす。」

「大丈夫です。これでもハーフロアですから、体力はあるんですよ。」

 

そう言ってはいるものの、一輝の横を走る鳴央はどう見ても少し無理をしていた。

そして、それを見た一輝は・・・速度を緩めずに、そのままのスピードで奥へと向かう。

 

もし自分が鳴央と同じ立場だったらこの状況でどうしているか。それを考えてのことだ。

 

「・・・悪いな。俺が外道・陰陽術を使えれば、式神に乗ってもらう事が出来るんだけど・・・」

「仕方ないですよ。ゲームのルールで縛られているんですから。」

 

一輝は鳴央も理解していたことに少し感心しながら、ギフトカードを取り出してそこに記されている文字列を視る。

そこに記されている、道具以外のギフトは・・・

“無形物を統べるもの”“×外道・陰陽術”“空間倉庫・1番~10番”

となっている。

 

「・・・明らかに、この特殊ルールが原因だな。音央を取り戻さない限り、戻らないと見た。」

「『王よ、女王のために剣を収めよ』。この王を主催者、参加者双方のゲームマスターの事だと解釈したなら。」

「捕まってる・・・向こう側に音央が捕まっている限り、ルールの対象は俺ってわけだ。」

 

そう、このゲームにおいて王とは双方のゲームマスターの事を。女王とは音央を。剣とはギフトを・・・正確に言えば、妖精に関わるギフトのことを指す。

だからこそ、一部の外国からしてみれば妖精と同じものになる妖怪にまつわる力、ぬらりひょんとの契約によってえた『外道・陰陽術』が使えなくなったのだ。

 

「はぁ・・・二つとも使えないのは辛いな。妖刀も札も起動しないし。」

「何もギフトの関わっていないもの・・・体術などしか使えませんしね。」

「それだけだと、魔王を倒すのも少し難しくなってくるんだよなぁ・・・」

 

むしろできるのだろうか、と鳴央は思ったのだが口には出さない。

なぜ出さなかったのかと言えば・・・やれてしまえそうだと、一瞬思ったからである。

 

「おやおや、オベイロン様が獲物を逃がすとは・・・何とも珍しいことです。」

 

と、二人が走っている先から声が聞こえてきて、同時に止まった。

そして、警戒態勢にある二人の前方から・・・シルクハットをかぶり、モノクルをつけて、杖を持っている猫が現れた。

サイズは普通の猫に比べてかなり大きいく2足歩行しているが、二人ほどの大きさではない。

手に持っている杖はくるくると振りまわしているので、ファッション的な何かでしかないだろう。モノクルとどこからか取り出して時間を見ている懐中時計からも、それをうかがう事ができる。

 

だからだろうか。二人の思ったことは、

 

《《胡散臭い・・・!》》

 

と、完全に一致していた。

 

「さて、そうなるとわたくしめが貴女方を打倒し、贄とせねばならないわけですか。そう考えてみると、仕事があることを喜ぶべきでしょう。」

 

そう言いながら懐中時計をしまい、またこれもどこからか取り出したパイプをふかす猫。

一輝は一瞬、この隙に殺して前に進もうと考えたのだが、日本刀に手をかけた瞬間に鳴央に止められ、日本刀から手を放した。

 

「さて、そういう事情がありますので、お二人の相手はこのパックめが務めさせていただきます。何、大人しくしてくだされば贄とするだけで済みますので。」

「一輝さん、ここは私が相手をします。」

 

そして、何か言っている猫・・・パックを無視して、鳴央が一輝に告げた。

 

「・・・俺は、こいつを俺が引き受けて鳴央が音央を助けに行くのがベストだと思うんだけど。」

「いえ、おそらく私では今の音央ちゃんを助けてあげることはできません。」

 

一輝の提案は、すぐに却下された。

 

「距離が近づいたおかげで、音央ちゃんとのリンクが少し復活しました。・・・今、音央ちゃんはあのころに似た精神状態にあります。」

 

そう言いながらも鳴央は戦闘準備を進め、服装も和服へと変化した。

 

「あの頃・・・?」

「『A CAPTIVE TITANIA』のゲームに捕らわれていたころです。」

 

それは、音央がゲームに捕らわれて大量の生贄を与えられていたころ。

その頃の音央は・・・自らの死でそれを終わらせることを望んでいた。

 

「あの頃の音央ちゃんに私が会ってしまったら、私は自分が死ぬことで・・・と考えてしまいます。」

「・・・俺みたいな外道には、説得とか一番向いてないと思うんだけど。」

 

一輝はそう言いながら頭をガシガシと掻き日本刀を倉庫にしまって身軽になる。

 

「そんなことはないですよ。今の音央ちゃんに必要なのは、無茶苦茶な理屈と、それをなせてしまいそうな・・・そんな人ですから。」

「つまり、感情的になって勝手に理屈を押し付ける、俺みたいなやつが最適ってことですね。」

「はい、そう言う事です。私は、一輝さんのそういうところ、好きですよ?」

「そいつはどうも。・・・やる気出てきた。」

 

二人の表情が覚悟を決めたものになると、パックもまたシルクハットを抑えながら杖を構えた。

 

「・・・一瞬、あいつの注意を俺から外してくれ。その隙に奥まで走る。」

「分かりました。3秒後に。・・・三・・・二・・・一・・・行きます!」

 

鳴央が小さく行っていたカウントが終わると同時に一輝は走り出し、鳴央はパックに向けて奈落落とし(アビスフォール)の球体を放つ。

そして、パックがその球体を危険なものとして判断し、杖の先からあふれ出た闇をもって対処していると・・・一輝はその隙に、天井を(・・・)走って進む。

 

「おや、ギフトの使えない人間にしては面白いことをしますね。ですが、」

「鬼道流体術、圧砲!」

 

パックは床に降りた一輝に杖を向けるが、純粋に放たれた拳圧を正面からくらって倒れ、一輝はそれを見届けもしないで・・・後の体力分配も考えて、軽く時速六十キロで走り出す。

 

「おやおや・・・あれで本当に、ギフトを封じられているのですかね?」

「ええ、封じられていますよ。そうでなければ・・・貴方は出会った瞬間に殺されています。」

 

そう言いながら、鳴央は自分の周りに黒い球体を漂わせる。

 

「おやおや、それはこわい。わたくしめとしましても、そう何もできずに死んでしまうのでは主に顔向けできませんから。」

「そうですか。では、顔向けできませんね。・・・私、珍しく心から怒っているんです。」

 

そう言った瞬間に、鳴央の周りの球体の数は倍にまで増える。

 

「なので、ちょっと八つ当たりをさせてもらいますね。」

 

そう言った鳴央の表情は・・・とても、怖いものだった。

 




こんな感じになりました。

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