問題児たちが異世界から来るそうですよ?  ~無形物を統べるもの~   作:biwanosin

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この話でギフトゲームは終了です。
むっちゃ横紙破りですけど!さすがは一輝君、手段を選ばない!


では、本編へどうぞ!


王と女王 ⑤

「む・・・我が花嫁を連れて何をしているのかね、君は?」

「どこにテメエの花嫁がいるって?戯言もいい加減にしろよ。」

 

一輝はお互いに支え合っている音央と鳴央を背後に隠しながら、オベイロンにそう言い放つ。

そしてそのまま歩き、もう肩で呼吸をしているスレイブとヤシロに近づき、

 

「お疲れ様、二人とも。後は任せとけ。」

「あはは・・・よかった、お兄さんたちが来るまで耐えられて。」

「すいません、剣が主とともに戦えず・・・」

「いいよ、気にしなくて。スレイブなしで戦うのは少し辛いけど、アイツ程度ならどうとでもなる。」

 

そう言いながら二人を抱え上げ、オベイロンを完全に無視して音央と鳴央の元まで戻り、二人を預ける。

 

「じゃあ始めようか、オベイロン。テメエはここでぶっ殺す。二度と再生しないほどに、輪廻の輪に戻れないくらいに、な。」

「ギフトの使えない君に何ができるというのかね!?今の君は、ゲームのルールに縛られて、」

「それはテメエだろ。」

 

一輝はそう言いながら獅子王を抜き、陰陽装束を展開する。

音央を助け出し、完全に一輝側についた今、特殊ルールによって縛られているのはオベイロンの方である。

 

「な・・・何故。何故タイターニハはそっちについたんだ!」

「元々、捕まってただけで一度として音央はそっちについてねえんだよ!」

 

驚愕に染まっているオベイロンの事など気にもしないで一輝は踏み込み、獅子王を振るが、

 

「そんな・・・そんなこと認めないっ!タイターニアは、私の花嫁だ!」

 

オベイロンは黄金の剣を振り上げ、それを防ぐ。

技術の差によって押されてはいるものの、剣の質がいいのか全く攻撃が当たる気配はない。

 

「君を殺して、タイターニアを取り戻す!そうすれば、そうすれば!」

「死ぬのはテメエだ、オベイロン!」

 

一輝はそう言いながら獅子王を横薙ぎに当て、剣ごとオベイロンをぶっ飛ばす。

 

「湖札、戻ってすぐに悪いんだが、頼むぞ。」

『OK、兄さん。あの武器は任せて!』

 

二人の会話が終わると同時に一輝の体が黒い霧に包まれ、それがはれるとそこには巫女服を着た湖札がいた。

なんてことはない。ただ体の主導権を入れ替えただけである。

そして、湖札の手には妖刀村正が握られている。

 

「行くよ、村正。」

『うむ。あれほどの剣であれば、妾が斬るのにふさわしい。』

「何で、何でだ!何で神霊である私が、人間如きに攻撃を!」

 

一輝が一切攻撃を喰らわず、逆に攻撃を受けてしまったオベイロンはそう叫びながら湖札に向けて走り、黄金の剣を振り上げて・・・そこで湖札は村正の柄に手をかけ、鞘を逆の手でつかむ。

そのまま半身の姿勢をとり、オベイロンが間合いに入った瞬間・・・

 

「『剣殺交叉!!!』」

 

目にもとまらぬ速さで抜刀し、剣の最も弱い部分を正確に切り裂いて、武器を破壊する。

 

「エ、エクスキャリバーがぁ!?」

「兄さん!」

『オウ!』

 

オベイロンが手に残った柄・・・エクスキャリバーとやらの柄を見ながら叫んでいるのを無視して、体の主導権を入れ替える。

 

「さあ、まだ抵抗するか?自分のゲームでギフトが封じられ、武器も壊された。・・・もう出来る抵抗はないだろ。」

「ヒッ・・・いやだ、死にたくない!死にたくないィィ!!」

 

そう叫びながら、オベイロンは走り出す。逃げるつもりなのだろう。

 

「ギフトさえ!ギフトさえ使えれば、あんな奴は!」

「へえ、自信満々だな。ならその願い、叶えてやるよ。・・・俺は今ここに宣言する。俺は・・・俺だ!」

 

一輝はそう、自らを確立した。

善であるとも、悪であるとも名乗らず、自らは自らであり、他の何物でもないと、確立した。・・・ラプ子から出された条件を、ラプ子が求めた以外の方法で成して・・・主催者権限を、発動する。

 そして同時に、オベイロンの主催者権限が解除された。

 

「私の主催者権限も解除されただと!?一度開催したゲームを強制的に終了させるだなんて・・・っ!」

 

オベイロンは自らのゲームを強制的に終了されたことに驚愕し、降ってきた契約書類を手にとって、さらなる驚きを見せる。

 

「何だ、これは・・・なんなんだ、この契約書類は!?お前は一体・・・!」

「俺は外道だ。正義でも悪でもない。ありとあらゆる道を外した、ただの外道だよ。」

 

そう言いながら笑みを見せる一輝に、オベイロンは心から恐怖した。

神霊として生まれたオベイロンが、心から、である。

 

開催されたギフトゲーム。その名前は『一族の物語 ―貫きたい意思』。契約書類の内容もまた謎に包まれた文章であったが、オベイロンが驚愕し、未知ゆえの恐怖を抱いたのは、そこではない。彼が驚いたのは、契約書類の色だ。

普通、契約書類の色は三種類である。

 

主催者権限を持たないものが開催する際の、ただの羊皮紙による契約書類。

主催者権限を持つ善神の類が開催する際の、輝く契約書類。

主催者権限を持つ悪神の類、魔王が開催する際の、黒い契約書類。

 

だが、一輝が今発動した主催者権限によって現れた契約書類は、そのどれにも属していない。その色は・・・白黒(モノクロ)

おそらくこれが、一輝という人間を最も表している主催者権限と言えるだろう。

 

「こんなの、こんなのありえない!こんな主催者権限、箱庭のルールに・・・!」

「そんなことを考えていられるほど、余裕があるのか?」

 

オベイロンが何か叫んでいるが、一輝はそんなこと気にもしないで殴り、重力を強化してその場に縛りつけて殴り続ける。

最後に重力による縛りをなくして蹴り、オベイロンが樹にぶつかって止まったところで拳を下ろす。

 

「・・・さて、音央が本心話してくれたんだ。俺も少しは、本気を出さねえとな。・・・我、第六十三代鬼道の名のもとに、汝の封印を解く。・・・出てこいよ、歪み。話がある。」

「ワシをそのような十把ひとがけらの呼び方で呼ぶでない。』

「なら、名前があるってのか?」

「無いのう。どれ、何か付けてはくれんか?』

 

そう言いながら現れたのは、一輝に無形物を統べるものを与えた歪みだ。

自ら契約によって一輝に封印されただけあって、とても友好的だ。

 

「なら、俺はお前をスィミと呼ぶことにする。」

「うむ、何でもよい。で、何ようじゃ?』

「力をよこせ。・・・中途半端に封印されてたせいで崩れた契約を、今ここでやり直す。」

 

無形物を統べるものは、星夜によって封印されていた。その封印は二人の間に交わされていた契約を崩し、その力を部分的に封じるもの。だからこそ、その封印が解けた瞬間にギフトは一輝の制御から少し外れたのだ。

 

「よかろう。ワシは一輝に何も望まん。先ほどの覚悟、それに敬意をしょうする。おんしは何を望む?』

「俺は力を望む。『無形物を統べるもの』。これを完全な状態で、俺によこせ。」

「傲慢なやつだ!よかろう!ワシの力、望みのために使うがよい!』

 

歪み・・・スィミはそう言いながら再び一輝に封印され、新たな契約をもって一輝にギフトを与える。

そうしてより強力なギフトを手に入れ、上がった霊格を隠すこともしないでオベイロンに一歩近づくと、オベイロンは同じだけ後ろに下がろうとし・・・背に樹があることからそれができず、さらに焦り出す。

 

「い、いやだ!私はまだ、死にたくないんだ!」

「知るかよ、そんなこと。」

「私はオベイロンだぞ!?北欧の神話体系に名を連ねる、生粋の!」

「どうでもいいね、そんなこと。魔王を殺して誰かに目をつけられるなら、そいつらも全員殺すだけだ。」

 

実を言えばこのオベイロン、北欧の神話体系に多少関わりがあるだけで、これが殺されたからと言って大本が動くほどの立場ではない。

タイターニアを求めたことからも分かるように、北欧神話側のオベイロンではなくシェイクスピアの作品、夏の夜の夢のオベイロンなのだ。

 

「俺はお前が死にたく無かろうが、何であろうが、そんなことは関係ないんだよ。俺はお前がむかつくから殺す。お前に反吐が出るから殺す。お前が生きているということが不快だから殺す。お前がお前だから殺す。そこに変更の余地は、存在しない。」

 

そして、一輝はそう言いながら手を横に伸ばし、

 

「疑似創星図、起動。」

 

そこに翠色の鎌・・・スィミを完全に自らの力として所有権の移行したそれを、過去とは比べ物にならないレベルで発動する。

 

「何だそれは!そんなの、そんなの一体何を!」

「お前が知る必要のないことだ。どうせすぐに死ぬんだからな。」

 

一輝はそう言いながら近づき、腰が抜けた状態でどうにか逃げようとしているオベイロンに近づき、

 

「嫌だ、嫌だァァァァァァ!」

「魂を狩りとれ、■■■■■■!」

 

おおよそ人体に発音できない、全ての生物に発音できないはずのその名を唱え、オベイロンの魂を・・・欠片も、粉すらも残さずに切り刻んだ。

 




はい、もう前提条件をぶち壊しにする一輝君でした。
邪魔なゲームがあるなら、それを強制的に停止してしまえばいいじゃない!

契約書類の内容については、また別の時に載せます。
個人的に、ここで載せるよりは・・・というタイミングがあるんです。


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