問題児たちが異世界から来るそうですよ? ~無形物を統べるもの~ 作:biwanosin
我慢が出来なくなったので書きました。・・・一部、本編にも関わってくる設定が出てきます。
一輝のギフトゲームのクリア条件とかの攻略に使える情報もあったりして・・・
・・・まあ、次に出る原作の内容によっては、この話は本編とは別、と言う事になるかもしれませんが。
それでも、設定はそのまま使います。
異世界の家族へ
アジ=ダカーハを倒してから、俺は強制的に治療室へと収容された。
まあ、仕方ないだろう。今の俺は・・・それこそ、歩いているだけで死にかねない状態なんだから。・・・そのために呪力を消費するだけでも、命の危機。
あーあ、これは完治したら説教だなぁ・・・憂鬱だ。
「・・・それにしても、暇だな・・・」
何もやれることがない。
唯一、俺の呪力や生命力を消費しないギフトである空間倉庫だけは使えるのだが、中にある本も箱庭に来てから百回近く読んだものばかり。こんな時、ネット回線があると便利でいいんだけど・・・
「さすがにそれは、無理な相談だしなぁ・・・」
そう言いながら、もう本気でやることがなくなったことを察した。
そして、ついに倉庫の中を整理してやろうかと意気込んだところで・・・ある一つの空間倉庫。大切な思い出などが関わってくる物を入れてあるところをあけてみた。
最後の手段、思い出に浸るとかいうやつで・・・
最初に出てきたのは、これまでに参加したギフトゲームの契約書類。
黒い魔王の契約書類から、階層支配者等が主催した娯楽のようなゲーム、店の屋台くらいのレベルのゲームまで様々に。
どれも何かしらの思い出を含んでいる、大切なものだ。
他にも、俺がこれまでに三度主催したゲーム・・・“神明裁判”、“一族の物語―貫きたい意思―”、“一族の物語―我/汝、悪である―”の物も出てきた。
最も、正確に俺の主催者権限と言う事が出来るのは後半二つだけで、“神明裁判”は蚩尤からかりたものなのだが・・・まあ、細かいことは気にしなくてもいいだろう。
むしろ、俺が俺の主催者権限で発動した物の方がよっぽど悪質だし。
・・・世界より善性を保障され、魔王のそれに落ちない主催者権限なんて、どれだけ悪質だろうか。
もちろん、やり過ぎればいつか魔王に堕ちるだろう。しかし、多少のやり過ぎは問題なくなる。俺達“鬼道”のもつ“外道”の本質ゆえに得たこの性質は、それこそジャックがやったような一方的に俺が有利になるルールすらも許容してしまう・・・ま、
それはこのゲームに挑戦するプレイヤーと秩序を守る階層支配者の仕事。そう、それでいい。
次に出てきたのは、気に入らないから暴れていたらお礼だと言って渡された品の数々。
いらないと何度も言ったのだが・・・まあ、押し付けられてしまった。
どうせ白夜叉が報酬って言って渡すのになぁ・・・ありがたいけどさ。
・・・本当に、ありがたい。
俺と言う存在は、とても
俺と言う存在は、百パーセント人間であり、百パーセント神霊。今は神霊の部分を封じているから種族的には人間なのだが、それを解いた時、そんな矛盾した存在となる。
そして、受けてきた信仰もまた歪である。
民からは悪として見られ、妖怪からは悪として見られ、魔物からは悪として見られ、霊獣からは悪として見られ、神からは悪として見られ・・・元いた世界では、“鬼道”はほんの一部を除いて全ての生命に悪として見られてきた。
だがしかし、その全ての悪としての信仰に釣り合うだけの善としての信仰を、世界から受けてきている。
だからこそ、善悪双方の信仰を・・・同量、と表現できる形で受けたからこそ、あんな主催者権限となった。
そうでなくとも、鬼道の一族は感情に欠落を抱えているし・・・種族的な意味ではなく、人間ではないのかもしれない。
はてさて、どう判断するべきなのか・・・
「おっ、これは・・・」
と、そこで倉庫の中から引っ張り出したものに、意識をとられた。
それは、一つの手紙。箱庭に招待された時の物ではなく・・・異世界の家族からの、手紙。
博愛主義者から届いた一通だけではなく、他のメンバーから届いたものもいくつかあった。
「そういえば・・・色々と忙しくて、読めてなかったっけ。」
たくさんの異世界の家族とであった数日間。
出来ることなら届いた時点で開けて返事を書くべきだったのだが・・・いかんせん、アジ=ダカーハ関連で忙しくてそれどころではなかった。
だから、一つ一つ丁寧に開いて読んでいく。
そして、最後に開いた五月雨からの手紙。
そこに同封されていた家族の集合写真を見てもうすでに懐かしく思えてしまっている自分に苦笑してから、手紙を読んでいく。
そして、最後まで読んでから・・・
「『まぎれもない『人間』だよ 種族的なことじゃなくてな?』、か・・・」
もし、そう言ってくれるのなら。
もし、俺の事をそう認めてくれるのなら・・・そう言う事でも、いいのかもしれない。
いくら道を外していようとも。
いくら人を手にかけていようとも。
いくら欠落を抱えていようとも。
いくら悪行を重ねていようとも。
そう言う事でも・・・そんな解釈があっても、いいだろう。
今回、ジャックの持つ殺人者としての悪。そしてアジ=ダカーハの“絶対悪”。
この二つを“外道”に取り込み、さらに悪の霊格を抱え込んだのだが・・・まあ、周りが認めてくれるのならそれは些細なことなのだろう。
「ってか、今の俺はアジ=ダカーハを封印したからこそ生きていられるんだし。」
再び苦笑をしてから、俺は手紙を置き、倉庫から取り出した写真立てに集合写真を入れてベッドの横にある小さな机に置く。
最後に、添付されていた赤茶色のスカーフを首に巻いてから頬を少し叩く。
そのまま体を起して、食事用の小さな机を自分の前まで移動させてからそこに便箋とペンを置き・・・さて、まずは五月雨宛ての返信を書くか。
そうして、手紙の内容に合わせて書いていき・・・書けたところで、ベッドわきに立てかけてある杖を持って、窓際まで歩く。
窓を開けると、少し風が吹いていたので・・・それに合わせて手紙を手放し、しばらく飛んで行ったところで銀色のオーロラに包まれたので、そのまま窓枠に肘を置いて風に吹かれる。
と、そこで部屋の入り口が開く音がした。
マズイ・・・
「・・・って、一輝!あんた絶対安静って言われてたの忘れたの!?」
まあ、うん。予想通りと言うかなんというか・・・怒られた。
普段なら逃げるのだが、今の俺にはそれも危険だという事が分かっているので・・・大人しく、そのままにしている。
で、すぐに音央が肩を貸してくれてベッドまで戻してくれたので、大人しくそこに収まる。
と、そのタイミングで鳴央にスレイブ、ヤシロちゃんの三人も部屋に入ってきた。
「あ・・・音央ちゃん、何かあったんですか?」
うん、何で部屋に入ってすぐに分かったのだろうか。
「一輝がベッドから抜け出してたのよ。・・・さすがに、部屋から出る気はなかったみたいだけど。」
「一輝様、お願いですから安静にしていてください。」
そして、スレイブはそれを聞いてすぐに近づいてきて、そう忠告してくれた。
まあ、ね。安静にしてないと死ぬって言われたもんね、俺。一番泣きそうになってた事を思い出して、かなり申し訳なくなってきた。
で、助けてくれないだろうかとヤシロちゃんの方を見ると・・・
「ねえ、お兄さん。これって・・・」
「ん?・・・ああ、うん。前に異世界に行った時に撮った集合写真。」
「届いたんだ!」
「ってか、届いてた、なんだけどな。」
忙しさを理由に出すのは・・・まあ、やめておこう。
言っても仕方のないことだし、現状をごまかすためにもそっちの話題は出さない方がいい。
「へぇ・・・よく撮れてるじゃない。」
「五月雨さん、写真を撮るのもうまいんですね。」
「確かに、これは・・・」
三人の意識もそっちに向いてるみたいだし、このまま逸らす方向で行こう。うん。
「さて、と・・・まあ、長い手紙を書くのも俺のキャラじゃないし。」
四人の意識が写真に向いているうちに、他のメンバーへの手紙を書いていく。
一つの世界につき一枚ずつ。俺らしい文章で。
「これでよし、と・・・」
さて、また勝手に立ったら怒られるよなぁ・・・
「だれか、肩を貸してくれないか?ちょっと窓際まで。」
「あんた、また・・・」
「頼む。」
しっかりと頭を下げ、頼む。
さすがに、俺のそんな様子に何か感じたのか・・・鳴央が近づいてきて、肩を貸してくれた。
三人も何かを言う様子がないので、文句はないのだろう。
そのまま肩を貸してもらい、窓際から先ほどと同じように風に乗せて飛ばすと、しばらく飛んでから銀色のオーロラに包まれた。
もういいというと、鳴央は俺をベッドに戻してくれた。
「さっきのは?」
「ああ・・・異世界の家族への手紙だよ。」
家族。それが、俺達とあいつらの繋がりでいいだろう。
「そう・・・また会えるといいわね。」
「ええ。また会って、今度は楽しく遊びたいですね。」
「うんうんっ!次はあんな物騒なことはなしでめいいっぱい楽しもー!」
「・・・私も、そうできたらいいと思います。」
「・・・だな。今度会った時はフルで、遊ぶとしよう。」
そう言ってから、再び体を横にする。
ボロボロの体を動かし過ぎたな。たったこれだけの事で体力の限界だ。
なので・・・そのまま俺は、意識を手放した。
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『拝啓 異世界の家族へ
ま、何か色々と有ったけど楽しかったな。出会えてうれしかった。
またなんか面倒事があったり、面白いことがあったら呼んでくれ。
全力で手伝いに行くし、全力で遊びに行くから。
寺西改め、鬼道一輝より』
さて、受験勉強頑張ろう。