問題児たちが異世界から来るそうですよ?  ~無形物を統べるもの~   作:biwanosin

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彼らには、ぬらりひょんという共通点があった。
一人は、彼から力をもらったもの。
一人は、彼の血を継ぐもの。
それぞれが正しいものとは呼べず、そして正しくぬらりひょんというわけでもない。
そんな彼らに相対するのは、偽物こそがふさわしいだろう。


biwanoshin、天崎コラボ 二つのぬらりひょん出会いし時、相対せしは偽物。
邂逅


「・・・ここ、どこだ?」

 

上層に赴くなど、いくつかの仕事で忙しくなる少し前の日。朝早くに目が覚めてしまった一輝はどうしてか寝直すことが出来ず、仕方なしに散歩していたのだが・・・どうしてか、迷ったのだ。

 

「いや、まさかよく分からない門をくぐったら全く知らない場所に出るとは・・・」

 

原因は予想外にはっきりしていた。どう考えてもその門が原因である。

 

『全く・・・だから私は言ったのだ。怪しい物に当たるなら真正面から壊しにかかるべきだ、と。』

「いやでもさ、アジ君も賛成だったじゃん。『しかし、こういったものに正面から当たるのも王の役目だろう。』って。」

『うむ、それこそが真の魔王。しかし私はもう元魔王だ、王ではない。故に関係ない。』

「コノヤロウ・・・」

 

自分の肩でさらっとそう言った元絶対悪の魔王、アジ=ダカーハに対して軽く恨み言を漏らす一輝(それを倒した張本人)。そしてパッと見は普通の人間が自分の肩に乗っている三つ首のトカゲと会話しているという構図なだけに笑えてくる。

箱庭では三つ首トカゲくらいは珍しくもないだろうから、二人の正体を知らない人はなんて事のない日常として流すだろう。その人すら、この辺りにはいないのだが。

 

「はぁ・・・にしても腹減ったな。あの辺に生ってる果物とか食えるかな?」

『異界にとばされた可能性がある以上避けるべきなのだろうが・・・私や一輝を殺せる毒などないだろうから、食べてもいいのではないか?』

「だな。でも一応毒見よろしく。」

 

繰り返すようだが、最近持ち前の器用さと知識の助けもあって力仕事にとどまらずアジ君verでの各種掃除をマスターし、アジさんverでは農作業をマスター。現在、アジ君verで洗濯、アジさんverで料理にチャレンジし、マスターも近いという・・・どんどんノーネームの雑用係としてのスキルをあげているような存在であっても、元魔王。『絶対悪』の人類最終試練であり、箱庭中を恐怖で満たした存在。彼が討伐された際の戦いなんて上層すらこの箱庭を棄てる決断をしたほどの存在なのだ。それを、毒見扱いである。

さらっとそれをやる一輝にも、そしてそれをさらっと受け入れるアジ=ダカーハも、何やってるんだこいつらである。

 

『ふむ、大丈夫そうだぞ?糖度も高く、水分も多く含んでいる。この食料のあてがない場で食すことができるなら十分すぎるものだ。』

「そいつはよかった。どれだけ歩くことになるかも分からないし、いくつかもらってくか。」

 

そう言いながら一輝は果実をもぎ、ギフトカードに入れて行く。

一輝はこれまで、ギフトカードの中に食料を入れてこなかった。唯一分類できなくもない水樹の枝も、水分としてというより武器として入れているのだ。その理由は一輝の持っていた空間倉庫のうちの二つ、求道丸が畑をやっていたものとそこで収穫できまくった果実、野菜類を保管していたものに有る。だがしかしそれを求道丸を避難誘導に向かわせた際に求道丸に譲ってそのままにしているため、食料は今もいだ果実のみ。ここがどこなのか分からない以上意外とピンチだ。

 

「さて、せめてどこかに出られないかな、と・・・」

『歩いていればいずれ、どこかに出るだろう。・・・そう言えば、一輝は連絡手段を持っているのではなかったか?』

「何でだか、誰にも通じない。怖いから召喚の方はまだ試してないけど。」

『そうか。・・・』

 

と、そんなことを話ながら二人の化け物が進んでいくと、二人の視線の先に日本家屋が現れる。

数百人が宴会できそうな広さの土地に建つその建物。二人のいる位置からは見えないが、そこそこの広さの庭と池まであったりもする。要するにアホみたいに広い。

そんな土地に建物を建てられるとすれば?それはもう、凄いやつかそこそこのコミュニティかだろう。既に契約書類の生成を行うことでここが箱庭であることは確認済なので、この世界の住民相手なら多少のやんちゃはギフトゲームで許してもらうことも可能。

一瞬の間にそんな判断をした一輝は、悪い笑みを浮かべながら量産型妖刀(小刀ver)を抜いた。

 

 

 

========

 

 

 

「はぁ。ったく、何で俺が直さないといけねぇんだ。」

 

その日の朝、緋御悟は自分の父親がリーダー(総大将)をしているコミュニティ、『百鬼夜行』の本拠を奥に向かって歩いていた。理由としては、なにかと宴会をするこのコミュニティ、当然のように乱闘にまで発展する血の気の多いやつらが集まっている。この前日もまあそこまで発展し、それによって出た被害を直すために材木などのある場所を聞きに行くのだ。

 

これが普通のコミュニティであれば誰かに聞けばいい話なのだが、残念なことにここは普通のコミュニティではない。と言うわけで知っているかどうか微妙なやつには聞かずに確実に知っている自分の日に聞きに行くのだ。まあ自分が覚えとけよと言う話なのだが、そこは気にしない方向で。

 

「と、ついたついた。毎度ながら、ここまで来るのは面倒だな・・・」

 

そうぼやきはするが、その必要があることは重々承知しているので、特に文句はなかったりする。

と、悟は自分の母親の部屋に入ることに遠慮などするはずもなく、普段通り普通に入る。

 

「なあお袋、材木と大工道具ってどこに・・・」

 

が、普段通りに続けることはできなかった。なぜなら、そこには先客がいたから。

話はズレるが、ここで少し悟と言う存在がどのような存在なのかを話しておこうと思う。といっても、細かい性格等を話すまでするつもりはない。流れる血の、ギフト関連の話だ。

端的に言ってしまうと、彼はぬらりひょんとサトリを親にもつ、言わば混血の妖怪だ。よって、使う能力もその二つとなる。

 

ぬらりひょんの血が強いときはぬらりひょんの力を。

サトリの血が強いときはサトリの力を。

 

そんな形で変わってくる。だから、どんな時でも気配を察知する能力にはある程度長けているのだ。にもかかわらず、彼は・・・

 

「か、会長!?」

「オイコラメタい発言やめろ。」

 

この発言がどういう意味なのかを知りたい人は、かっこうむしさんの連載しているコラボ作品をご覧ください。

 

まあなんにしても、彼は今目の前で、自分の母であり、部屋の主であり、ついでに今悟の尋ね人であるサトリのたてたお茶を旨そうに飲んでいる一輝と、その横で和菓子をとても旨そうに食べている三つ首トカゲの存在に気づけていなかったのだから。

 

「え、ちょ、なんで!?俺気づかなかったんだけど。」

「ああ、それはこれの・・・この帽子のおかげ。」

 

そう言いながら、一輝は自分の被っている帽子を取ってみせる。

それをとった瞬間には、悟は二人の気配を感じ取れるようになり、そこで察する。

 

「まあこれでわかったとは思うけど、これで気配隠してた。ぬらりひょんをベースにして作ってあって、俺と、あとは霊的に繋がってるやつの気配を隠せる代物だ。」

 

まあ、サトリに対してかえって逆効果だったみたいだけど、と一輝は視線をサトリに向ける。

 

「まあ、当然だの。私にしてみれば、その力は懐かしすぎるほどに懐かしいものだ。気づかぬわけがなかろうて。ところで一輝、よいのか?」

「ん?何が?あ、すごく美味しかったからもう一杯いいか?」

「構わん構わん。私にしてみれば心を読めぬ相手など、それはもう貴重な話し相手なのだ。こうして話し相手になってくれる礼に、何杯でも馳走しよう。」

 

そういうと、サトリは一輝と、ついでにアジ君のうつわを受け取って新しく茶をたて始める。

その前にそれはもう旨そうに和菓子を食べているアジ君に追加を出す辺り、かなり気を使える。

 

「で?何が良いのかなんだ?」

「いやのう、それを外したら、うちの連中にバレてしまうのではないか?」

「あ、ヤベっ、」

 

一輝はそう言いながら、慌てて指に引っ掻けてくるくると回していたその帽子を被る。が、ドタドタと大きな音をたてながらこの部屋に向かってくる足音を聞く限り、まあ無駄だろう。

 

「サトリッ!今この部屋に誰か・・・」

 

と、まあ珍しく慌てて入ってきた傭兵コミュニティ、百鬼夜行のリーダーことぬらりひょんは、そこにいる見覚えのない男と同様に見覚えのないトカゲを見て、絶句する。

ついでに、そいつらがサトリの信頼を一応の形とは言え得ている様子に更なる驚きを見せて、

 

「ああなんじゃ、サトリの知り合いか。それならそうと、前もって言っておいてくれんかのう?」

「さて、何のことかのう、ぬらりひょん?私が一輝と会うのはつい先程が最初だがの?」

「・・・は?」

「その際にそいつの頭を覗いてもいいかと聞いてみれば、まあさらっと許可してのう。妨害できていたのに簡単にそれを解いてしまうもんだから、面白くて興味が湧いた。」

 

さらっとそう言うサトリの前で、一輝は呑気に茶をのみ、アジ君は和菓子をむさぼる。

 

「そうそう、それでわかったのだが。彼ら、こことは別な箱庭の・・・平行世界の箱庭なぞあるはずもないから、全くもって異次元。完全に別の世界にある箱庭の住人だのう。」

「「・・・ハァ!?」」

「そこなトカゲはそこの世界のアジ=ダカーハ。で、一輝はそれを打ち倒した大英勇。」

「「ハァァァァァァァァァァァァァ!!!?!?!!!?」」

 

もうこれ以上は驚けないだろう、と言うくらいのレベルで驚きながら、その二人を見る。

 

『あー、うむ。確かに私は、元は人類最終試練の一角、絶対悪を担っていた。が、今ではこやつの使い魔のようなものだ。それはともかく、この和菓子とやらは本当に美味だな。おかわりをいただきたい。』

 

が、アジ君は三つの口の周りが餡で汚れているのを舐めとりながらそう言い、

 

「ったく、少しは遠慮ってものをだな・・・あ、確かにこいつを殺して封印したのは俺だけど、英雄なんてもんじゃなくて、むしろ悪側の人間だから、そんな気にしないでくれ。一応自己紹介しとくと、こことは違う箱庭のノーネームに所属してる鬼道一輝だ。取り敢えず、もとの世界に変えるまでの間ここに住ませてもらうって話しになったから、しばらくの間よろしく。あと、俺もお茶のおかわりもう一杯。」

 

と、二人ともとてもそうは見えないような状態であった。




はい、まあわかった人もいるのではないでしょうか。天崎さんです。
時系列の都合上、同じところにいるのが彼くらいなんですよね・・・そういうわけで、やらせていただいています。


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