問題児たちが異世界から来るそうですよ?  ~無形物を統べるもの~   作:biwanosin

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注意
自分の考えた夜子ちゃんなので、差異があるかもしれません

オシロイバナさんから消してほしいといわれたら、即消します


カーニヴァル ①

「では、今回のギフトゲームの対策を始めよか。何か提案は?」

「はい」

「・・・一輝の提案とか、嫌な予感しかしねぇ」

 

夜子の世界から来た全員に彼らと個人的な交流を行った一輝の世界の五人、合計九人が件の門の前に集まってから。別の世界でとはいえ階層支配者として働いている蛟劉の元この魔王への対策会議を始めようとしたのだが。真っ先に一輝が手を上げたことで一気に夜子が警戒態勢に入った。

 

「ひでえな、夜子。俺が何したってんだ」

「そうだな。少なくとも、これから魔王のギフトゲームに挑むってのに黒ウサギを呼ばなかった時点で色々とアウトだよなぁ!?」

「・・・・・・あ、そうか。そう言えば、魔王のギフトゲームに挑むなら審判権限って便利アイテムがあったっけ。ここしばらくなしで挑んでたから忘れてた」

 

一気に心配になる異世界組である。と言うか、そんなことすら忘れてるやつの進行で大丈夫なんだろうか、と。

 

「まあまあ、そう心配すんなって。作戦内容についてもシンプルで分かりやすく、かつ今すぐにでも行動できるものだ。いけるいける」

「・・・君んとこの人たちが慣れた様子で、と言うかもうわかりきってたこの展開みたいな目をしてるんやけど、その作戦内容は?」

「ああ、まず・・・こうして」

「へ?」

 

フラっと立ち上がった一輝は、そのまま自然に歩いてフェンリルの後ろにつき、その襟首をつかんで持ち上げた。

 

「で、こうする」

「え、ちょ、ま」

 

そしてそのまま、鳥居へ向けて放り込む。実に鮮やか、待ってのまの字しか言わせずに放りこんでしまった。

 

「ってオイ!?なにやってんの!?」

「いやだから、作戦実行だって」

「ウチのが一人放り込まれただけじゃん!?」

「つかそもそも、作戦内容って・・・」

「『ガンガン行こうぜ!』だけど?」

 

考える気が元々ないとか言う流れであった。もうこれどうしようもない、手の付けようがない。災難極まりなかった。南無南無。

 

「さ、というわけで。行くぞー」

「ま、お兄さんだからこうだよね~」

「兄さんだしね~。まどろっこしく考えてる方が似合わないし」

「一輝様の命であれば、私に否はありません」

「はぁ・・・相変わらず一輝の関係者はノリが軽い・・・」

「あぁ・・・一輝のこれ日常的なのな・・・」

 

あまりに暇で暇で暇すぎる今日(こんにち)の一輝。マイブームな暇つぶしはどれだけやっても文句を言われない『魔王狩り』だそうです。

 

「んで、お前たちはどうする?」

「どうする、ってかな・・・テメエのおかげで行くしかねえ状況なんだけど」

「おお、それはそれは。俺に感謝ですね」

「どの口が言いやがる!」

 

夜子は 反射的に 殴りかかった!

一輝は 反射的に 受け流した!

夜子は 鳥居の中に 吸い込まれた!

 

「ちょ、夜子ちゃん!?」

「ちょい待て、俺を巻き込むなって」

「はぁ・・・諦めるかなぁ・・・」

 

そしてそれを見た結果、ついつい動揺してしまった蛟劉が残りの二人をひっつかんで鳥居の中に飛び込んでゆく。これで夜子’sノーネーム+αのメンツは全員ギフトゲームに参加したことになる。

 

「・・・この状態で三日位放置したらどうなるかな?」

「間違いなくキレるだろ、こんなもん」

「だよなぁ・・・それはそれで面白そうだけど」

 

と、そう言いながら一輝は鳥居へ向けて足を進めた。

 

「それ以上に、これは久しぶりに頭を使う楽しめるギフトゲームになりそうだ」

 

半ば事故的にギフトゲームに参加してしまった面々と違い、一輝’sノーネームはそれぞれの意志でしっかりとギフトゲームに参加していく。

一人はその顔に笑みを浮かべ、一人はその後ろをスキップ気味についていき、一人はうーんと伸びをしながら気軽に歩き、一人は自分の意志など関係ないとばかりにただ歩き、一人はまたこれかと頭に手を当て呆れながら歩き。

そうして、合計十人のプレイヤーがギフトゲームへと参加した。・・・参加のしかたは、大分と異なるけども。

そして、その場に残された鳥居は、誰もいない森の中。その契約書類に文章を並べ、それを読みあげる。

 

『十名の参加者を確認。試練実行者は各ゲーム盤へと移動してください』

『五名の主催者側プレイヤーのゲーム盤への移動、並びに伝承の開放を確認』

『イレギュラーの発生・・・なし。ゲーム開始条件を満たしました』

『これより、ギフトゲーム“カーニヴァル”を開催します』

 

そうして、契約書類によってギフトゲームの開始が宣言され、次の瞬間には鳥居はその姿を消す。これ以上の参加者はそもそも定義されていない。であれば、ギフトゲームが終了するその時までそこにある意味は無く、誰もそのギフトゲームへは介入できない。

 

 

 

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主人公’s Side

 

「ふむ、さすがにこの展開は予想外」

「俺は、こんな考えなしがアジ=ダカーハに勝てたってのが想定外だよ・・・」

 

と、再び森の中に現れた一輝と夜子、すなわち主人公二人組。一瞬ギフトゲームに参加できなかったのではという可能性が頭をよぎったが。

 

「樹の種類は・・・別のものになってるな」

「だな、明らかに葉の形が違う。ってことは、ここは確かにゲーム盤の中ってわけだ」

 

すぐに、二人そろってそれを否定する。なんだかんだ、さすがの注意力である。

 

「さて、と。ひとまずは、ここが何の伝承なのかを知るところから始めたいんだけど・・・」

「つってもなぁ。今ある情報と言えば・・・」

 

と、手ごろな枝を拾った夜子が地面をメモ代わりにしてガリガリと書いていく。

 

「まず、ここが森か山の中である、ってところか」

「若干斜面になってるし、上にも下にも続いてるから、たぶん山だな」

「だな。そこまで高くはないだろうが・・・んで、二つ目。たぶん、ここは日本だ」

 

と、そう夜子が言うのに合わせて視線を動かす。二人がいるのは周囲が樹に囲まれており、地面もほとんど踏み固められていない場所。ここが山であれ森であれ、樹や天然の食料があるこういった場所に人が踏み入らないはずもなく、少し周囲を見渡せば人が通る道が存在する。

そして、そこを通っているのはぼろい着物を着た人物・・・それだけで、日本人だろうと考えることは容易だ。

 

「ってことは、これから始まるのは日本における何かしらの“人食い伝承”ってわけだ。大分絞られたな」

「つっても、まだ結構あるんだけどな」

「そこは気にしない方向で」

 

と、そこで情報が途切れる。ただ森の中にいてこれ以上の情報を出すということ自体、そもそも無謀である。

 

「さて、と。どうクリアに向けて動く?俺としては、ひとまず今回を捨てにして様子見、情報収集ってとこなんだけど」

「一回は失敗できるし、そんなところか・・・もちろん、超単純な鬼が食いに来るパターンとかだったり、もしくはなんの伝承なのかが分かった場合にはやるんだろ?」

「そこで動かないのはさすがに無駄だしな。その時はやる」

「ならまあ、その方針で行くか」

 

そう言いながら枝を捨て、立ち上がって一つ伸びをする夜子。と、一輝が立ち上がる姿も見せずにどこかに手を突っ込んでゴソゴソやっているのに気づく。どう見ても空間にないはずの穴が開いているのだが、夜子クラスになるともはやこれくらいは驚くようなことでもない。

 

「何やってんだ?」

「こっちとしては、そんな格好で警戒されない可能性ってどれくらいだ?」

「あー・・・ゲームだって考えると、どっちもありえるな・・・」

 

先ほども言ったように、ボロボロの、ツギハギつきの和服を着ているような場所なのだ。どう見ても時代的には一輝、夜子の双方から見て過去。服装が合うとも思えない。

 

「というわけで、だ。下着までそろえるのはまあ無理だが、外面くらいはこの時代に合わせるべきだろ、と」

「なるほどな。ってことは、その中は物置みたいなもんか?」

「ギフトネーム的には倉庫らしいけど・・・っと。あったあった」

 

と、そう言いながら一輝が取り出したのは、紗妃ほど通った人が着ていたものに似ているツギハギのめだつ薄汚れた和服・・・に見えるよう加工された和服だ。ついでに黒のロングのウィッグもある。

 

「や、何でそんなピンポイントなもん持ってんだよ」

「昔、文化祭で演劇やった時のもんだ。・・・こういう便利な物置があると、捨てるのが面倒になってきてなぁ・・・」

「洗濯してあるんだろうな、それ・・・」

「あ、それは大丈夫。ちゃんと洗濯済みだ。・・・洗濯してない状態で何年も放置とか、さすがにな」

 

テキトーな一輝ではあるが、そう言う方面まではテキトーにはなっていない。物を減らす意味合いで捨てる習慣がないだけで、ちゃんとした生活能力くらいは持っている。そもそも元いた世界では一人暮らしをできてはいたのだから。

 

「ふぅん・・・これ、二つあるのか?」

「あるけど・・・どして?」

「や、オマエも着ないと意味ないだろ」

「・・・こう、時代背景的に神主衣装を着て、「妖怪に襲われている娘がいたので少し休ませてはいただけませんか?」って、とっても優しい陰陽師としてどっかの村に入る予定だったんだけど」

「オレ、襲われた町娘かよ」

「そう言う演技、ガンバ!しおらしくしろよ!」

「ふざけんな♪」

 

すっごくいい笑顔でサムズアップする一輝に対して、夜子はすっごくいい笑顔で指の向きを180度変えてつきだす。この後、しばらくの間お互いに手こそ出さないが口論になった。ギフトゲームはどうした。

 

 

 

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家族’s Side

 

「注意!この「家族’s Side」とは、戸籍上の家族だけではなくもうほぼ家族だよねこいつら、って関係も含みます!」

「誰に言っとんねん・・・」

 

何とも遺憾ではあるものの湖札が説明したとおり、義妹である湖札と恋人である蛟劉。まあほとんど家族って言ってもいいよねうん、という駄作者biwanoshinの独自判断の下このSide名になった二人組である。決してこれはオシロイバナ様の考えと一致している、許可を得ているというわけではありませんので、ご注意ください。

 

「とまあ、十分にふざけたところで・・・さて、どうします?」

「どうする、ゆうたってなぁ・・・ひとまずは、ここが何の伝承の中なのかを探るところからやろ」

「ま、それが分からないと何もできないですよねー」

 

と、そう言いながら立ち上がった蛟劉に続けて湖札も立ち上がり、妖刀の短刀を抜いて服装を巫女服へと変える。この二人も手法こそ異なるがここが日本であると見抜いたため、服装を警戒されにくいものにしたのだ。とはいっても、蛟劉はそのまま、湖札もギフトを発動しただけとずいぶん手抜きではあるのだが。

 

「さて、ひとまずは人里でも探します?」

「せやな。そこで何かが起こるにせよ、そうでないにせよ、情報を集めるには一番やろ」

 

方針決定。なぜ主人公たちと違いここまですんなりと行動が始まったのかと思ったが、どう考えても一輝のせいだった。あれがふざけるのが悪い。

 

「ほな、ひとまずはこのまま道を進んでいって・・・」

「誰か人を発見したら、ひとまず話を聞いてみる。襲い掛かってくるようなら取り押さえて拷問して情報を、ですね」

「うん、特に反対はないし正しいとは思うんやけど、ずいぶんとためらわず言わんかった?」

「んー・・・ほら、一週間くらい旅をしたら1、2回くらいはしません?拷問」

「なんやろ、僕の知ってる旅と何かが違う気がするんよなぁ・・・」

 

湖札もまた、立派に一輝の妹であった。

 

 

 

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苦労弟子コンビ Side

 

「なんだろうな・・・あれか、面倒な師匠を持ったってことでなんか判断されたのか、これは」

「そんな判断のされ方、本気で嫌だ・・・」

 

と、ところ変わって面倒な師匠のせいで苦労をしている弟子たちの元へ。相方は誰なのかと顔を上げて見回し、十六夜が言った言葉があれである。もしかすると、師匠のせいで苦労したエピソードとかを話し合って意気投合したのかもしれない。うんうん、そのきっかけが一体なんであれ、仲良きことは美しきかな。

 

「さて、しっかし・・・山だな」

「ああ、山だな。もうほとんど手が付けられてない、それはもう見事な山だな」

「自然って、大切だよね・・・」

「俺のいた時代だと、こういうのは中々見れねえしなぁ。ヤハハ、面白いじゃねえか」

 

と、相方が分かったら次は状況確認。そもそも謎解き系ギフトゲームであるのだから、今自分がいる場所がどんな時代背景なのか、国はどこなのか。それらの情報がこの上なく貴重になってくる。しかし・・・

 

「ここまで山だと、どうしていいもんなのか・・・因みに、十六夜・・・は、どう見る?」

「オイなんだその間は」

「いや、同じ名前同じ存在なのに、一輝のせいで頭に思い浮かべて違和感なく言い分けてることに、強烈な違和感を感じた」

「あー・・・確かに、紛らわしくはなくなったけど、妙なことをしたよな、アイツ」

 

作者としてはとっても楽です。二人の十六夜に対してどっちがどっちなのか分からなくなりそうだし、キャラに対してどう呼ぶのかとか、それこそこっちの十六夜を向こうの人たちになんて呼ばせようかとか。

 

「まあ、たぶん帰ったら戻るだろうし、気にしないことにするよ。で、どう見る?」

「あー、正直なんとも。さすがにこんだけどこにでもありそうな樹だと国はぼんやりとも把握できねえし、これといって人がいるわけでもねえし。真哉は?」

「うーん・・・正直同意見。この木の葉っぱとか、葉っぱだってことに一切違和感ないのに、全く見覚えない形してるし」

 

と、ここまでの中で最も現時点での情報がない。手掛かりなしといっても過言ではないその状況の中で、しかし二人は。

 

「つっても、誰もいないってことは可能性は二つだ。この山がよほど危険で誰も近づかねえのか」

「そもそも登場人物が極端に少ないか。どっちにせよ、山中を探れば何かしらは出てくる」

「面倒極まりねえし、できるなら楽に済ませたいが・・・このまま情報なしで一回目の脱落、ってのは避けたいしな」

 

と、そう言いながらも二人はいつでも戦えるよう準備をして、それから歩き出す。謎解き系ギフトゲームとは言え“人食い”などといわれている存在が無抵抗で倒されてくれるとはとても思えないし、自分たちが襲われる可能性だって十二分に存在する。警戒をするに越したことはないだろう。

 

「で、どこから回るの?」

「ちょっと待て。・・・よし、まずは下に下っていこう」

「え、今木の枝で決めた?まさかとは思うけど、木の枝で決めたりした?」

 

そして、おそらくこの十六夜のテキトーさのベクトルは一輝の影響だろう。こんなところにも被害者が・・・

 

 

 

 ========

 

 

 

???’s Side

 

「えー、特に意味は無く、ただ単に作者が思いつかなかっただけです・・・って、なんで俺が!?」

「仕方ないだろう、私には地の分へと干渉する能力がないんだから」

「俺にもないけど!?というか、え、なんで聞こえたのさっき!?」

 

A:コラボ補正です。

 

「はぁ、まあいいけど・・・で、どうするの?正直なところ、全くわかってないんだけど」

「私も知らん」

「・・・えっと、現状の情報量とかじゃなくて、この後の方針だよ?分かってる?」

「バカにしているのか?ギフトゲームが、それも謎解き系のものが始まったんだ。何をするのかくらいは分かっている」

「ああ、うん。だよね。よかったよかった。で、どうする?」

「知らん」

「ちょっと!?」

 

まさかの天夜君が全力ツッコミモードに強制突入である。正直楽しいです。

 

「うるさいから黙って!?」

「唐突に何を言っている?」

「や、地の分だから。気にしないで。・・・で、えーっと、どうして?」

「ふむ・・・私は剣だ。それはいいな?」

「うん、大丈夫。昨日嫌というほど思い知らされた」

「さてここで質問だが、剣に最も必要なものは何だ?」

「・・・・・・スイマセン、さすがにそんな立場になったことがないので分かりません」

「私も自分で言っておいてそう思ったから問題はない。答えは・・・武器であることだ。武器が考えるのは戦闘のことだけでいい」

「・・・あれ、嫌な予感がしてきたんだけど。つまり、どういうこと?」

「主に求められれば持っている情報も出すし、思考の手伝いもしよう。その他諸々、主が望むすべてを行おう。・・・が、この場に主がいない」

「まあ、別チームになったみたいだしね」

「その時点でそれらの機能は使う気にならん・・・というか、武器であるから使えん。一般常識レベルとして童話なんかは知っているが、それくらいだな」

「お願いします主いなくても仕事して!?・・・そして地の分も仕事して!?」

 

黙れって言われたから黙ってたのに―。ぶーぶー。

 

「余計な茶々入れるなってことだよ!なんでここまで両極端なのしかこの場にいないんだ!」

「それだけ突っ込んでいて疲れないか?」

「原因の片割れがそれを言う!?言っちゃう!?」

 

割と本気の絶叫を前にしてスレイブは顎に手を当てて考え、そして。

 

「ふむ、1つ案が浮かんだ」

「ほうほう」

「まず、一回はループできるのだから、この一回を捨てよう」

「なるほど、情報収集に徹すると。で、その方法は?」

「ひとまず、手当たり次第に殺してみる。で、クリアできればもうけもの。出来なかったとしてもループした瞬間に殺した相手が重要人物である可能性が高い」

「もういいよ!俺が考えるから!その方針で行こう!?」

「すべては従わないぞ。私は一輝様の剣だ」

「あーもう、この子めんどくさい!!!」

 

スレイブの取り扱いにはコツが必要なのである。頑張れ天夜!負けるな天夜!

 

「うるさい!」

 

しっかし、なんかぱっと見文字数少ない・・・あ、地の分がないから改行少ないのかこれ。

 

「自分のせいだなそれは!」

「いつまでもわめいていないで行くぞ」

「俺だってやりたくてやってるわけじゃねえよ!」

 

 

 

 ========

 

 

 

もののけ姫コンビ Side

 

「さて、ワンワンさん」

「もうそれで行くのね・・・いいよもう・・・馬鹿にされ馴れたよ・・・」

「馬鹿になんてしてないよ?アホワンコ扱いしてるんだよ?」

「うわぁああんっ!幼女がいじめる―!」

 

安定の流れを行った後、ヤシロはメソメソしているフェンリルの頭をよしよしと撫でながら立ち上がり、辺りを見回す。再びの森である。どこもかしこも森だらけかよ!

 

「さて、ワンワンさん。いつまでもメソメソしてないでゲームにいども?ね?」

「うー・・・やるけど、やるけどさ・・・何か釈然としない・・・」

 

そう言いながらも、そこはフェンリル。なんとか気を持ち直して立ち上がると、周囲を見回す。少なくとも現時点で、周囲には誰もいない。

 

「で、どうするの?情報が『何かしら人食いが絡んでくる』ってのしかないとなると、動きづらいんだけど」

「まあ正直このままクリアするのは無理だよねー。そういう意味合いで公平性を持たせるために、『伝承の再現』と『一回やり直し可』ってルールになってるんだろうけど」

 

そう言いながらヤシロは一つ伸びをして、メイド服のスカートをパンパンと軽く払う。

 

「というわけで、一周目は素直に捨てて情報収集とか、したいなぁって思います」

「ってことは・・・ひたすら動き回って情報集め?」

「うん、そう言うわけだからワンワンさん」

「・・・・・・?」

「狼に、なって?」

「・・・・・・あ、ハイ」

 

半ばあきらめの境地。そこへと到達したフェンリルはすぐに狼の姿になり、何かを言われる前に伏せの姿勢を取る。言うまでもなく、ヤシロが乗りやすいようにだ。

 

「でもさ、こうして狼になってはみたけどこれ誰かに見られたら一発でアウトなやつじゃない?狼とか物語の中では撃ち殺されるようなイメージしかないんだけど。それこそ人食いの解釈として『赤ずきん』とかそのまんまだし」

「こーんな可愛い女の子が乗ってる狼を即座に射殺、ってことはないと思うけど」

「自分で言うのね・・・」

「可愛いでしょ?」

「可愛いけども」

 

この時、フェンリルの頭の中をよぎった言葉は『綺麗なバラには棘がある』である。

 

「まあでも、そんなに心配だって言うんなら・・・えい」

「え、ちょ、何を・・・」

 

ヤシロの掛け声と同時に感じる、首筋の違和感。位置的に自分で見ることができず、右前脚でその辺りを撫でて、器用に首の後ろ側も撫でる。手で感じたのは輪っか状の皮が自分の首に巻きついており、後ろ側からは何か金属の鎖みたいなものが伸びていて・・・

 

「首輪とリード!?」

「これなら大丈夫じゃないかな?」

「まさかのペット!?ペット扱いで行くの!?」

「他に狼が安全ですよー、って言える手段があるならそれでもいいけど」

「・・・そもそも、狼を安全に見せる手段がなかった・・・」

 

この姿も、ヤシロが魔女で狼を従えている、と見ることだってできる。狼然り、ライオン然り。肉食獣が安全であると示す方法は時代がさかのぼるほどになくなっていくのだ。

 

「さ、気を取り直してレッツゴー!」

「ああ、ハイハイ・・・時間大切、我走行ス、気を付けられよ・・・」

 

・・・仕方ないじゃない!フェンリルはいくらでも弄っていいって神様に言われたんだもん!言われたんだもん!

 

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