問題児たちが異世界から来るそうですよ?  ~無形物を統べるもの~   作:biwanosin

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カーニヴァル ⑤

主人公’s Side

 

「なんで、あんな・・・」

 

ループ。その肉の塊を喰らう子供たちの姿を見ると同時に起こったそれは、その行為こそが人喰いであったことを証明している。だが、それをそうやすやすとは受け入れられないのが人間というものだ。

 

「はぁ・・・うっかりしてた。あまりにもそろいすぎてた情報のせいで、一番単純な可能性を無視してた」

 

だがしかし、もう一人はそれをすぐに受け入れる。彼の中に、人間らしさはろくに存在しない。

 

「一番単純な可能性って、なんだよ・・・」

「間引き、だよ。考えてみれば、当然のことだ」

 

そして、一輝はそれを語る。一輝が今回見たものから、持っている知識からつながった情報でもって、その回答を語る。

 

「当然のこと?あんな子供たちが、人間を喰うことがか?」

「ああ。だって言ってただろ?『この村には上げられる食物がない』。『農作業をしなければならないから人手が惜しい』。そんな状況で、その場には百人もの子供だ。口減らしは必須だろうさ」

「だとしても!何でそれを喰うことに」

「食料が足りない、って言ってんだろ。そして、そこにあるのは口減らしした子供の肉・・・腹を満たせるものには変わりない」

 

だから、殺し、喰わせた。それが一輝の解答だ。

 

「・・・じゃあ、お前はこういうのか。被害者は偶然口減らしにあったかわいそうな子供で、加害者はそれから免れた運のいい子供、ってか!?」

「違う。その理由で殺すんなら、もう少し待って体が弱ってきたところでやる。村に必要なのは働き手になりうる子供だからな。他があれだけ元気な以上、その状態じゃない。・・・足が不自由な子供とか、そんなところじゃないか?」

 

若干の怒りを孕み始めた夜子に対して、一輝は異常なほどに冷静だ。

そして、冷静に爆弾を落とす。まずは、1つ目。

 

「だから、今回のゲームにおいては保護すべき被害者はその足が不自由な子供。殺すべき被害者はそれ以外の幼い子供全員。ころさなければならない共犯者は、残る村人全員」

「ふざけんな!それに、まだ確証はない!村長だって言ってたんだろ、『100人がこの歳まで生きられた』って!ならあれ以上の子供はいないはずだ!」

「足が不自由な時点で健康ではないだろ。それに、ガキの一人がこういってたんだろ?『友達が百人もできたの』、ってさ」

「だから、それのどこがおかしいって」

「冷静になれよ。この場にいるお前の仲間は一人(俺だけ)、この場にいるのは二人(俺とオマエ)だ」

 

そう、百人と友達になったのなら、あの場にいるのは百一人でなければならなかったのだ。しかし、実際にいたのは百人だけ。一人、足りない。そしてその一人こそが、今回の被害者であろう。

 

「・・・だったら、この伝承の正体は何だってんだよ」

「『一年生になったら』、だ。一回くらい歌ったか聞いたことあんだろ?100人の友達と、100人で上る富士山。おにぎりってのも俺達で言うおにぎりじゃなく、美味しい小さなサイズのもの、って辺りになるんだろうな」

 

その一連の説明によって、夜子はもうそれを受け入れた。そもそも、子供たちが肉の塊を喰ったところは自分の目で見ているし、それによってループが起こったのも体感している。最低限、彼らが人喰いであるということだけは、自分自身が証人となりえる。

 

「・・・なら、それでこのゲームは終わるんだな」

「ああ。そのことと、後はまあこれが『一年生になったら』だって考えると・・・あの百人の子供が『一年生になったら』の霊格持ち、精霊群ってところか」

「ちょっと待て、精霊群って・・・」

「ん?・・・ああ、そう言えばまだ今回のゲームについて説明してなかったか」

 

そして、一輝は説明を開始する。これは推理によるものでもなんでもなく、自らのギフトによるものだといってから、その真実を。

 

「このゲームは、主催者の霊格をもとに大規模なゲーム盤を作成、そしてコミュニティのメンバーをもとに小規模のゲーム盤を作り出して主催者側プレイヤーと参加者側プレイヤーによって行われる殺し合いだ」

「・・・ってことは、なんだ?俺達はゲームのNPCじゃなく、生きてる相手を殺すってのか!?あの罪のない、ガキたちを!」

「罪がないってことはないだろ。自発他発と問わず、人を喰らうことってのは一般的に罪だろうに」

「じゃあ、テメエにはそんな理由で、ガキを殺す覚悟ができるってのか!?」

「何言ってんだ、んなわけあるかよ」

 

一輝のその発言から、夜子は目の前の男がそれなりに理由を付け、この決断をしたものなのかと考えた。だが、

 

「ガキを百人殺す、千人殺す、万人殺す・・・そこのどこに覚悟が必要になる?」

 

瞬間。夜子は、ほぼ反射的に動いていた。響くのは、乾いた音・・・一輝の頬を、はたいていた。

 

「で、満足か?」

「んなわけがあるか。だが・・・それしかないのは、分かった」

「そうか。んじゃ、とっととやるぞ。面白味はあったが、飽きも早いゲームだったな」

 

そう言いながら立ち上がると、一輝は一度師子王を抜く。服装は黒い神主衣装へと変わり、檻の中身の力を限定的に引っ張り出す。

その力の元は、中華の鍛冶神蚩尤。その力で作りだしたのは、地面と弾帯がつながる二丁のマシンガン。

相手は三百を超える。その相手をチマチマ殺すのは割に合わず・・・いっそ暴力的なまでに、この武器はそれを成しえる。

 

「そら、行くぞ。まずは俺の小妖怪を先行させて足の不自由なガキを探す。それを保護したら、後は一気に撃ち殺すぞ」

「・・・ああ」

 

納得はしていない。理解もしていない。だがそれしかないことだけは分かっている。だから夜子は、その後に続く。そしてその後も、行動を起こした。その後のことは、嫌になるほど明確に覚えている。

 

自分自身は、嫌になるほど冷静に、マシンガンの引き金を引いていた。子供を守ろうと立ちふさがる大人ごと後ろの子供を撃ち抜き、家に向けて撃って中の人間を殺し、目につく端から殺していった。

そして、自分以外のもう一人。一輝は、自分とは比べ物にならないほど精力的に動いていた。マシンガンで大人を殺していき、逃げ出した子供に向けて引き金を引いたまま銃を動かす。二方向に逃げたなら、片方にマシンガンを向け、もう片方の逃げた先に足元の死体の頭部を引っこ抜き、背骨の付いたそれを投げ込んでいた。恐怖で足がすくみ、座り込み、その時間でさらに殺していく。思えば、大部分を一輝が殺していた。

とても慣れた手つきで、より効率的に、より確実に

 

そして、ギフトゲームは終了した。

 

 

 

 ========

 

 

 

『ヤシロ、フェンリルペア。ミニゲーム『ヘンゼルとグレーテル』クリア』

『スレイブ、天夜ペア。ミニゲーム『うりこひめとあまのじゃく』クリア』

『十六夜、真哉ペア。ミニゲーム『カチカチ山』クリア』

『湖札、蛟劉ペア。ミニゲーム『あぶくたった』クリア』

『一輝、夜子ペア。ミニゲーム『一年生になったら』クリア』

『全参加者のゲームクリアを確認。参加者側勝利条件が満たされました』

『これより、全プレイヤーの排出をおこないます。主催者側マスターはこの場へお越しください』

 

全てのギフトゲームが、ここに終了した。

 

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