問題児たちが異世界から来るそうですよ?  ~無形物を統べるもの~   作:biwanosin

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注意!実験的に書き方を変えた結果、いつも以上にクソです!
その上過去編のため情報不足でやっぱりクソです!

それでもよければこの先に進め―!!
無理なら本編にはまるで関係ない情報しかないからとっとと戻れー!時間的にはそろそろ初詣の準備行って来い、な時間だろ!


正月に気が狂った、許せ
年末短編 魔王ジャンヌ・ダルク 前編


 死屍累々という言葉は、その光景を表すのに最適な言葉であったのだろう。

 簡素な鎧をまとい、槍や剣といった装備を手に持った兵士たち。一人の少女が与えられ、捻じ曲げられたギフトによって召喚された、忠実なる兵士たち。百を超え、千を超え、万にさえ至ろうというその軍隊。少女()の命令へ忠実に従い、(少女)の言葉によって鼓舞され、不可能と言う理不尽を踏破する騎士団はしかし、もう一人として残っていない。

 剣を持った兵士も、槍を持った兵士も、弓を持った兵士も、馬に乗った兵士も、馬でさえも。差別はよくないとばかりにただ一人の例外すらなく、両断され転がっていた。虐殺の具現たるその地には、二人の人間が立っていた。

 

 一人は、凡庸にしか見えない男。十代半ばか二十代前半ほどの、和服を纏った男。戦場に立っているにもかかわらず防具の一つすら身に着けておらず、武器と呼べるものも手に握る日本刀一本のみ。たったそれだけでその人数を切り捨てようものなら骨に血脂で刃が鈍るはずなのに、鈍っている様子はない。幾千幾万を切り捨てて見せようとばかりに、怪しく輝いている。

 

 一人は、装備に身を包み、腰に剣を下げ、折れた旗を踏む少女。自らを慕い、自らに従って、その結果死体をさらすこととなった死体たちへ何の感情も籠っていない瞳を向け、その瞳をそのまま男へ向ける。二十歳になったかどうかという見た目の年齢に似合わない眼差しは、その存在の異常さを物語っている。

 

 そうして相対する二人。双方方向性は異なりながらも異常性を示している彼らは、血肉の川を踏みながら近づいていく。一方は刀に付着する血肉を拭い捨てながら、一方は折れて短くなった柄を投げ捨てながら。一歩一歩間合いを詰めていき、刀の間合いに入り、それすら生きないほどの距離にまで近づき、そして――――

 

 

 

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「さーて示道、私がアンタに頼んだ用事が何だったのか、覚えてるかしら?」

「あのなぁ金糸雀、俺をバカにしてるのか?頼まれてからまだ一週間もたってないのに忘れるわけないだろ」

「そっかそっか~。じゃあ言ってみてくれるかしら?ほらほら、一字一句合わせなくてもいいから」

「ちょっと謎の兵団っぽい動きがあるから調査してきてほしい、だろ?」

「ええそうね。隠密能力にも優れているし単身で動くことも可能、巻き込まれても一人で一万くらいなら相手にできる。そんなアンタの能力を見込んで、『偵察だけ』を依頼したのよねぇ」

 

 うんうん、と。目を閉じ、腕を組みながら自身の記憶に間違いがなかったことを確認する。良かった良かった、と言わんばかりの笑顔でもう一度頷いてから自身のマグカップを取り、ハーブティを飲む。リラックス効果のあるそれを一口、二口と含み、ホッと一息をついて。彼の後ろにぼけーっとしながら立っている少女を指さし。

 

「その女の子、どなた?」

「諸々の原因になっていた魔王・ジャンヌダルク。ゲーム内容がむっちゃ簡単だったからクリアしてゲットしてきた!」

「『偵察』って言葉の意味を百回調べて来い、この問題児ッ!」

 

 その恫喝は、本拠中へ響き渡った。

 

 

 

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 思い返してみれば、自分の生まれは農夫の娘であった。

 ジャック・ダルクとイザベル・ヴトンの間に生まれた五人の子供の一人。ドンレミの村で生まれた。両親からは大人しい子供、という評価を受けていて、それは実際周りから見た場合にもそうだったのだろう。ただただ、これと言ってしたいこともなかったから、周りに望まれたようにしていただけだったのだが。

 

 そんな私にも、好きなものくらいはあった。家族への愛情だって持っていたと思うし、日々の食事には感謝と喜びを向けていたように思うし、信仰の徒としても確かにあることが出来たはずだ。

 

 だからこそ、あの出来事が心を大きく動かしてくれた、そのはずなのだから。

 

 

 

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「ったく、金糸雀め……ちょーっと単騎で魔王討伐してきただけじゃねえか。だってのに、なんでこんな罰則まで……」

 

 などとぼやきながら手中の苗をつまみ取り、ぐっと泥の中に差し込む。少し下がって、同じことをもう一度。明らかに慣れた手つきと使用感の溢れるその格好から、彼がある程度定期的に田植えを行っているのだという事実が垣間見える。おそらくその全ては罰則なのだろう。

 

「きわめて不可解です」

 

 と、口だけはぼやきながら楽しそうな表情で続行していた示道に対して。この状況がきわめて不可解であると言わんばかりの表情で、少女が口を挟む。

 

「如何に指示した通りの結果ではないとはいえ、全ての指示がその通りに成し遂げられることなど、戦場ではありえないこと。その上私を倒したところでどこかから苦情が入るわけでもなく、貴方本人は無傷で私と言う奴隷を獲得してきた。これは十二分に功績として考えられていいだけのモノ」

 

 と、慣れない手つき、なれない足取りで田植えを行いながらの長台詞。今着ている作業着も明らかに下したてであり、やり辛そうなことこの上ない。彼女でなければ、口調の不満にはやり辛いことへのそれも多分に含まれていたのだろう。

 

「新たに獲得した奴隷である私がこの作業をやるのであれば、自然なこと。しかし、単騎であれだけの戦力を誇り、功績まで持ち帰った貴方がこのような雑務をこなすなんて、何一つ釣り合わない、不条理この上ない」

 

 と、そこでようやく示道を見る。何の感情も宿さない虚ろな瞳は、ただただ第三者という視点から観測された事実のみを形にする。

 

「貴方はこの状況に、何か不満はないの?」

 

 その言葉には果たして、どれだけの意味が含まれていたのだろうか。

 

 文句を言えるだけの立場だろう、という問いかけが。

 何故従っているのか、という疑問が。

 反逆の狼煙を立てないのか、という詰問が。

 あるいは本当に、何も含まれていないのか。

 

 さて、そんな感情を正面からぶつけられた彼はといえば。

 

「んー、でも今回の罰則は一区画だけ、時間制限なしだ。去年受けたのに比べたら、よっぽど軽い方だぞ?」

 

 何とも思っていない表情でそう告げて。

 

「んなことより、とっとと終わらせようぜ。腹減ってきたし、メシ食いたい」

 

 と、作業に戻る。現状の不満だとか能力に見合わない低待遇だとか、そんなモノより目の前のメシである、と。

 

 

 

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 それは、12歳になったある日のことだった。いつものように自分の役割をこなして、役得とばかりに干し草の上でお昼寝をして。そんないつもと変わらない一日を過ごしていたはずなのに、いつもとは異なる現象が起こった。

 姿が見えず、声が聞こえない。にもかかわらずその姿を認識できて、声が頭に届く。そんな存在から、「王太子シャルルを助け、イングランドに占領されたフランス領を奪還して欲しい」と望まれた。当然、何の事だか分からない。両親から心優しく、健やかで、普通の子供に育ってほしいと望まれていたのだから、一度は断った。断って、そこでその存在が何だったのかを理解した。

 大天使ミカエル。アレクサンドリアのカタリナ。アンティオキアのマルガリタ。一人の天使と、二人の聖女。あぁ、それだけの存在に望まれてしまっては仕方ない。親からの望みは大切だが、これだけの存在からの望みはその上を行く。

 

 望まれたのなら、そうしよう。愛を裏切るその行為に、私は涙を流した。

 

 

 

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「さてさて、それでは!罰を終えてメシも食った、ということで!お待ちかねの本拠諸々案内と行こう!」

「別に待っていない」

「残念ながらそうは問屋が卸さない!お前はこれから俺の従者として、ここで暮らしていくんだ。何も知らないままでいられると思うのか?」

 

 至極もっともな返答が返ってきたので、もう気にしないことにした。何も知らされず勝手に部屋も使えず野宿、なんてことは悲しいにもほどがあるだろう。

 

「つーわけで、だ。まずはここ、お前の部屋な」

 

 と言いながら鍵を刺し、捻る。ガチャッ、と言う小気味よい音を鳴らしながら開場され、ドアノブをひねれば扉も動く。ありえないほどに豪華な部屋、と言うわけではないがそれでも一人の人間が暮らすだけであれば十二分なスペースがある。最低限必要なものとしてか準備しておいたのかは不明だが、ベッドや箪笥と言った物はそろっていた。

 

「必須な家具だけはどこの部屋も常備じてあるんだが、まあ見ての通り必要最低限だ。あとでいるもん買い足しに行くぞ」

「従者に与えるにしては過分に過ぎるのでは?」

「形式上、お前の立場は従者兼プレイヤーだ。ネームバリューも加味すると、まあこの程度の部屋はやらないと色々と問題なんだよ」

 

 まあ金はあるから気にするな、と言いながら先ほどのカギを投げ渡す。リングに纏められた、部屋番号の刻まれている二つのカギ。記された番号が同じなので、共にこの部屋の鍵なのだろう。

 

「何故、二つ?」

「リーダーから、一応主が一本は持っておけって押し付けられました。いらねぇから両方やる、親友でもできたらそいつに渡せばいい」

「……なるほど」

 

 明らかに渡したのは監視用だと思われるのだが、本人にする気がない以上どうやったところで無駄だろう。非合理的ではあるが、都合はいい。もらえるものはもらってしまう。

 

「んじゃま、衣装棚の中に今日からのお前の制服が入ってるから。本拠内の案内をする前に着替えるように」

 

 と言って部屋を出ていく。着替えるのだからと気を使ったのだろう。自らの奴隷に対してお人好しなことである。そう考えつつ、衣装棚を開く。

 

 そこには、メイド服が10着吊るされていた。

 

 一度衣装棚を閉じ、目頭をもむ。冷静な観測、及びそこから得られる情報を判別、判断することに長けた彼女をしてもそれが理解できず、たっぷり十秒ほど考え込んで、また開く。当然の結果として、同じことが起こった。

 

「なんだこれは」

「ウチの伝統……みたいなもんだ。ま、対外的にちゃんと従者である、ってアピールするためのもんだな」

 

 なるほど、と納得する。力関係を見て分かるようにしておくことも、著名な魔王であった場合には従属関係にあるのだとアピールすることも重要なことだ。そして、女の従者が着る服としてメイド服を採用するというのも……まあ、普通と言えば普通か。普通なのだろう。私にはわからないが普通なはずだ。

 思考回路を投げ捨てつつ一着取り出し、来ている服を脱ぎ捨てる。かなり質のいい布で出来ていることやいくつかのギフトが付与されていることが、なんだかムカついた。

 

 

 

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 そうして私は、16の時。戦乱へと身を捧ぐ、第一歩を踏み出した。当然のこととしてにべもなく追い返されたが、関係ない。

 これは後に知ったことなのだが、悪意ある何者かの介入によって敵軍に強大なギフト保有者がおり、たどるべき流れが変わる、そんな状況だったらしい。何にせよそんな経緯で、私はいくつかのギフトを与えられていた。ただの人間として何者の祝福も受けることなく生まれた、ただの人間が。容量不足の魂は、感情と言うデータを一部破棄した。

 

 そうして私は、救国の聖女として完成した。

 

 

 

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 分かっていたことだが、はっきり言おう。無駄に広い。

 

「とまあ、まだ全部じゃないが必要になるのはこんなもんかな。後は生活する中でガキどもにでも聞いてくれ」

「……まあ、うん。本当に、基本雑用係、と」

「まあ戦力として魔王のギフトゲームに参加してもらうこともあるだろうし、他コミュニティとの交渉の方について来てもらったりもするだろうけど、基本はそっちだな」

 

 まあ、それだけの扱い方をできるだけの戦力があるコミュニティなのだろう。実際今私を従えているコイツも一人で軍を殺しつくせるだけの戦力ではあるし、私の件を報告されていた金髪の女も、本人もかなりのものであったし部屋に控えていた彼女の従者もかなりのものだった。燕尾服の男など、あれ確実に神霊の類だろう。神霊を従える人間って、なんだそれ。

 

「あ、そうだそうだ。今本拠にいないから挨拶できないけど、いずれウチのリーダー様にも挨拶してこないとだな」

「あの金糸雀とやらはリーダーではないのか」

「諸々の運営は任されてるけど、リーダーではないな。ちなみにだが、リーダーを相手にすると俺は10秒くらいで負ける」

 

 これが10秒とは……まあでも、ありえないかと言われるとそうでも無い。超常の技として若干の術は使えるようだが、それはそこまで強いものではなかった。戦況を操れるだけの能力は刀しかなかった以上、相性によっては容易に敗北するだろう。それこそ遠距離から無限に攻撃し続けるだけでも倒せる。

 ……砲弾だろうが刀一本で斬り捨てていたので、それなり以上の能力、威力を有する遠距離攻撃である必要がありそうだが。まあこの箱庭とか言う世界ではそんなもの珍しくもなんともないだろう。

 

「まあそんな都合でこのコミュニティに入ったんだけどな」

「……お前も魔王だったりしたのか?」

「そんな立派なもんじゃねぇよ。ご先祖様に有名人はいるけど、それだって歴史の敗者だ。その上家出したしな」

 

 つまり、家の者として獲得できる全てを投げ捨ててきた、ということだろう。大したものがなかったのかもしれないが、それでも受け継げるものがあったかもしれないのに。

 

「そんで家出して、ちまちまギフトゲームに参加しながら日銭稼いで過ごしてたら……」

「過ごしてたら?」

「偶然リーダー様と同じギフトゲームに参加して、惨敗して、フル装備でもう一回挑んで再び惨敗して、敗者としてコミュニティに入った」

「にしては堂々と過ごしてるな」

「あっちも丁度、俺の苗字とギフトが必要だったからな。対等に近い立場はゲットできたんだよ」

 

 ふむ……苗字が必要、ということは本人は散々な言い方だが、それなりの有名人かその血筋なのだろう。それによって獲得できる何か、といわれてすぐさま思いつくのは合間合間、補助的に使っていた魔術のことだろうか。

 

「それに、そうでなくともウチのコミュニティは実力と結果をガッツリ評価するからな。お前も仕事をこなせば、それなりの地位をもらえるだろ」

「つまり、主の上にも立てる、と」

「おー、それも面白いな。従者が主よりコミュニティ内での立場が上っての、面白いから是非目指してくれ」

 

 ……私のギフトゲームをクリアして隷属させたの、自分の功績として点数稼ぎ、とかではなかったのか。まあ確かに、命令を無視していたっぽいから違和感はないが……何が目的なのか、まるで読めない。

 

「んじゃ、案内も終わったところで買い物行くぞ。いろいろ買い出しタイムだ」

 

 そんな何も読めないやつは、その通り何が言いたいのか読めない表情でそう言った。

 

 

 

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 夢を媒介とした、簡易的な予知能力。あらゆる過程をも見通す予知の魔眼とは比べ物にもならないが、それでも結果とちょっとした部分部分くらいは知ることのできる、そんな恩恵。自らの意志で使うことすらできない恩恵は、ニシンの戦い、その結果を私に与えた。当然、利用する。協力者も獲得していた私は、この予言によってシャルル七世と面会する権利を獲得した。人心を獲得する類のギフトを可能な限り発動して、さらなる協力者を得る。そうして、必要となる軍装、軍備を獲得することが出来た。強力なギフトではなかったが、それはこの上なくたやすいことであった。

 

 度重なる屈辱的敗戦。その心は、つけ入る隙に満ちていた。

 

 

 

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「さて、と。後は何がいるかな……」

 

 何件か回った後にもかかわらず、なお言っている。食事を自分で作るわけでもない以上追加で必要なものがあるとも思えなかったのだが、そんな主張など知らんとばかりに次々と買い回る。まあ確かに寝間着や肌着、私服などは与えられるのであれば助かるなぁという品だったわけだけど、それ以降はどうなんだろうかと思わないでもない。ティーセットとか必要性ないだろう。

 

「明らかに過剰では?」

「そうでもねぇだろ。自室、ってのは寝るだけの部屋じゃないんだから、ちょっとモノがあり過ぎるくらいでいいんだよ」

 

 何やらそれっぽいことを返されてしまった。まあ確かにそうなのかもしれないが、従者というか奴隷と言うか、その立場にあるものへ与える部屋ではないだろう。

 

「後あれだ。俺紅茶とかハーブティ―とか好きだから、是非とも行けば飲めるようにしといてくれ」

「完全に自分のために利用してるじゃないか」

「はっはっは、まあそう言うな!結構いい茶葉があるんだ、美味いぞ?」

 

 菓子は俺が揃えるから、と続ける。ならまあと思ったが、それに合うものを考えていれるのは私の役割なのか?と思うと何とも言えない気分になる。勝手に買ってくるのだから気が向いたら練習する、くらいでいいだろう。手抜きで入れられるものを準備するのも手かもしれない。

 

「と言うわけで、だ。その辺の用具を揃えようと思うんだが、それ以外で何か欲しいものとかあるか?」

「欲しい物?」

「ああ。こう……趣味とか」

 

 趣味。趣味か。趣味ねぇ……

 

「無い。そもそも、趣味を得られるような人生は送っていない」

「あー、それもそうか。じゃあ色々触ってみて、なんか趣味にしたいものが出来たら言ってくれ」

 

 ……まあ、有る程度余裕はありそうだし。何か始めてみるのも、良いかもしれない。

 

 

 

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 参加した戦いは、請われていた通りの結果を叩きだした。私に求められたのはほぼ正しい歴史へ持っていくことであり、そのために必要となることの最低限はしっかりとこなしてきた。軍の鼓舞は、人心を掌握するギフトをもって。軍略は、簡易的な予知能力のをもって。軍事力は、誰かにバレないタイミングで私兵を召喚して。そうして啓示によって示されていた結果を、ただひたすらに実現して見せた。

 

 今にして思えば。こうしてくれと与えられたシナリオには、ここまでしか記されていなかった。

 

 

 

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「よし、こんなとこだろ」

 

 一通り買ってきたモノを設置すると、パンパンと手を叩きながらそう区切る。購入してギフトカードにしまえるものはしまい、そうでないものは使い魔に運ばせて。そうして本拠まで持ってくると、何故かここでは式神を使わずに手作業で設置していく。術を使う使わないの基準がまるで分らないが、まあ勝手に買ってきたモノを丸投げはされなかったので、気にしないことにする。

 

「んで、ひとまず俺の手持ちの茶葉系入れといたから、まあ練習してみてくれ」

「練習台扱いでいいのか、これは」

「いいよ、その辺は安物だし。侍女頭から『せっかくのいい葉を無駄にするな!』って全部没収されたからな」

 

 どうやら好きなだけで能は無いらしい。だから身近に高いものを淹れられる人間を置きたいのだろうか?だとしたら本当に、自由なやつだ。コレの上に立つ人間の苦労が目に浮かぶ。

 

「つーわけで、ひとまずはその辺りで練習を是非してくれ。侍女頭がオーケーを出すレベルまで行けば、俺は大手を振ってたっかい茶葉を買ってこれる!」

「……買い物の自由すら奪われているのか、私の主は」

「紅茶関連だけはガッツリ制限されてるなぁ……茶菓子や砂糖、ミルクすら買ってくると警戒されるくらいだ」

 

 本気で悲しそうに、ガッツリと肩を落とす。情けない主を持ってしまったようだと若干の絶望を抱きつつ……ふと。

 

「そもそも飲みたいのなら、その侍女頭とやらに頼めばいいんじゃないか?力関係がどうなっているのかを把握しているわけではないが、プレイヤーと侍女とであればプレイヤーが上じゃないのか?」

「あー、うん。頼めば淹れてくれるだろうし、表向きの立場で言えば俺の方が上だけどなぁ……」

「つまりは、内部的な実際の力関係で言えば完敗している、と」

「ガハッ……」

 

 まるで吐血したかのような効果音をわざわざ自分で発して、膝から順に崩れ落ちる。何をそこまでこだわるのかと聞きたくなるほどの再現度に、割と本気で殴り飛ばすことを考えた。

 ………………

 

「ゴフヮ……!?」

 

 結局我慢できず、丁度足元にいたその腹部を思いっきり蹴飛ばしてみる。ちょっとすっきりした。

 

「ちょ、オマエ、仮にも主を躊躇いなく蹴飛ばすか!?」

「確かに主従関係にはなったが、考えてみたら特に何の命令もされていないからありかな、と」

「暴力反対!」

 

 特に負荷にも感じていない様子で復活してきたので、まあ何ともないのだろう。というか主を名乗るのならここで多少はこちらに罰を与えてもいいと思うのだが……うん、わからん。

 

「よし、罰として今すぐ、一杯淹れてみろ」

「…………は?」

「安心しろ、菓子は買ってある」

 

 どこからか取り出されたのは、綺麗にラッピングされたクッキーであった。警戒されてるんじゃなかったのか、それでも買ってくるってよっぽどか。

 

「さあほら、淹れてみ淹れてみ」

 

 テーブルを出し、椅子に座って。諸々の配置を一緒に行ったから当然だが自然な動作で大皿を取り出してクッキーをそこに並べると。やはりあの笑みで、そう告げてきた。

 

 

 

 ========

 

 

 

 それからしばらくの間は、よく覚えていない。よく分からないからなんか来る人来る人の詰問を受けたり脱獄したりした記憶がなくはないけど、まあ特に意味は無い行動だったのだろう。だからしっかり覚えている瞬間はこの後、処刑が執行される時の事だ。

 自らの処刑が決行されるその日になって、私はようやく理解した。あの時、一人の天使と二人の聖女に望まれた役割は、もう終わったのだ、と。ついでにここまでやれば、親から望まれたことについても完遂したと考えていいだろう。であればもう、自らの役割は終わりだ。

 感覚がふと、昔に戻る。祈る先として十字架が欲しくなってきた。立会人に頼み、十字架を立ててもらう。足元から上がってくる炎。身を焦がし、感覚を奪っていく炎。朦朧とした意識の中、正常を失った頭は、声を聞いた。

 

 魔女、と。

 

 本当に、正常を失いきっていたのだろう。ただ私をののしるための言葉だったのに、それを望みであると判断してしまったのだ。だがそんなこと、言っても仕方ない。

 

 望まれたのなら、そうしよう。感情が薄氷の如くあった自分は、その選択肢を躊躇うことなく選択した。

 

 

 

 ========

 

 

 

「うん、マズいな!」

「ダメだこの主、オブラートのオの字もない」

 

 淹れろと言われたから準備されていた各種道具の使い方を考えつつ淹れたというのに、帰ってきたのは満面の笑みとこの言葉だ。もしかすると私は、愚鈍極まる主に使えることになってしまったのかもしれない。叶うのならば今すぐにでもギフトゲームを挑み、主従関係の解消を狙うべきではなかろうか。

 いやしかし、再び根無し草になるのはマズいかもしれない。このコミュニティでは立場に関わらず実力と功績は等しく評価されると聞いた。主従が解消されてもこのコミュニティに残れる可能性はあるが、叶うのならば別の形……誰かほかの主を獲得するとか、そう言う方向で行きたい。

 

「まあ、道具の使い方も合ってなかったんだ。マズくなるのも必然、むしろマズくならなかったら問題だろ」

「そう思うのなら使い方くらいは教えてくれてもよかったんじゃないか、と思うんだが?」

「いやだって、それで美味しいの淹れられたら悔しいじゃん」

 

 ダメだこの主、早く殺さないと。

 ……いけない、思考が危ない方向に走った。正直世にとって害でしかないのではとこの短時間で思ってはいるのだが、それでも短慮はいけない。

 

「ま、そういうわけで。是非ともこのクソマズいお茶会が笑い話になるくらい上手くなってくれ」

「そう思うのならとっととこの辺りの道具の使い方を教えてくれませんかね、マイマスター?」

「ヘタクソでマッズイのしか淹れられないヤツに師事するとか、自殺ものじゃない?」

 

 なるほど、確かにその通りだ。先ほどはなしに出ていた侍女頭とやらに後日、挨拶がてら聞くことにしよう。

 




な、クソだろ?自分でもホントびっくりしてる
上手く書けるっぽくならねーかなー、って試してみたらこの様だよ
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