問題児たちが異世界から来るそうですよ? ~無形物を統べるもの~ 作:biwanosin
では、本編へどうぞ。
『ふん。この空も飛べない猿が。』
一輝たちが二翼のリーダー、グリフィスに話しかけると、こんな返事が返ってきた。
「おい、テメエ今なんていった?」
通訳の言葉を聴いた十六夜は、グリフィスをにらみつける。
『ふん、爪も牙もないみすぼらしい小僧どもが。私に話しかけるな。』
「御チビ、こいつ殺したらダメか?」
「ダメです!何を言われたのかは知りませんが、抑えてください!」
「なら、これぐらいにするか。」
一輝はこんなことで奥義を使い、是害坊を憑依させることで爪と翼を得る。
「これで話を聞くのか?」
『ほう・・・猿が翼を得るか。よいだろう、話くらいは聞いてやる。』
《獅子王で斬ってやろうか、コイツ・・・》
一輝は何とか耐え、話をする。
「いや、ちょっと挨拶しようと思ったのと、リーダーの名前でも売ろうかとな。」
『そうか。だが、私は猿のコミュニティに興味がない。』
「・・・そうか。ならもういい。二度と会わないことを祈らせてもらう。」
一輝は憑依を解き、二人の元に戻る。
「よくわかった。あれは俺が苦手なタイプだ。」
「だな。あの先天的な増長をするやつがリーダーのコミュニティ、こう・・・」
「ああ。」
二人は一瞬間を置き、
「「全力で叩き潰したい。」」
声をそろえてそういった。
「やめてください!コミュニティをつぶす時点でアウトですし、“龍角を持つ鷲獅子”連盟の一角ですよ!」
「大丈夫だ、御チビ。なあ?」
「ああ。二割冗談だ。」
「ほとんど本気じゃないですか!」
苛立っているため、二人そろってジンで遊んでいる。
「さて、グリーももういるみたいだし、俺は作戦の確認でもしとく。」
「おう、俺はグリーに挨拶してくるが・・・アイツもさっきみたいなやつだったら俺はどうしたらいい?」
「考える必要もない。グリーはあれとは真逆だ。」
一輝はそこで話しを切り、メイドたちのほうへと向かう。
「ただいま。グリフィスは思わず殺したくなるようなやつだった。」
「何があったのかは解りませんが、我慢してくださいね?」
「ちなみに、何を言われたの?」
「空も飛べない猿とか、爪も翼もないみずぼらしい小僧とか。」
「マスターに対し、そのような罵倒・・・!マスター!今すぐ切り殺しに」
「行ったらだめだから、お兄さんはここにいるんだよ、スレイブちゃん?」
スレイブは最近、一輝に関することで怒りやすくなってきている。
「さて、あれを切り殺すかはまた今度にして、」
「切り殺さないでください!」
「えー・・・まあ、我慢できる限りは我慢しよう。
今回の作戦だけど、俺とスレイブは城に乗り込んで大暴れ。ヤシロちゃんは百詩編で巨人の殲滅のために残る。音央と鳴央はその手伝い。OK?」
「ええ。」
「大丈夫です。」
「問題ないよ!」
「了解です。」
一輝は四人の返事を聞くと、手持ちの武器の確認を始め、水を補充しに向かった。
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“アンダーウッド”上空1000メートル地点。
一輝は人の姿のスレイブとともに水に乗り、グリーのすぐ横を飛んでいた。
「いや~、ホント、いい眺めだな。」
「ですね。閉ざされた空間でありながら、地平線が見える、なんとも不思議な光景です。」
一輝はそうやって箱庭を眺めながら、倉庫から取り出したサンドウィッチを食べる。
いつでも呑気なやつだ。
「スレイブも食べるか?」
「今食事を取るというのはどうかと思いますが、いただきます。」
スレイブも小腹が減っていたようで、素直に受け取る。
「十六夜もどうだ!?うまいぞ!」
「なら俺とサラとグリーの分、三つくれ!」
一輝は十六夜に三つのサンドウィッチを渡す。
「サンキュー!ついでに、グリーが編隊を崩せばこの五倍は出せるって言ってるんだが、どう思う!?」
「俺も出すから、行こうぜ!」
「だから、先ほどから行くなといっているだろうが!」
サラは二人の問題児に振り回される。
そうやって楽しんでいた集団だが、だから気づけなかった。
編隊の真正面に黒い円盤のようなものが現れていることに。
それは、突如として形を変え、蠢くように戦慄き始める。
そして・・・
「ぜ・・・全員、逃げろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
それは、魔王レティシア=ドラグレアの姿になり、サラの胸元にめがけて、長槍を放った。
「サラ!」
その槍は尋常外の速度でサラに向かうが、十六夜がそれを左肩に受け、庇う。
一輝はその姿を見て、少し安心すると後陣に向けて、声を荒げる。
「十六夜の言葉が聞こえなかったのか!死にたくなければさっさと逃げろ!!」
その声で固まっていた後陣は蜘蛛の巣を散らす勢いで逃げ出すが、それがレティシアの気を引いてしまい、龍の影を変幻させた無数の槍で狙いを定める。
「スレイブ!」
「はい、マスター!」
一輝はすぐさま剣の常態のスレイブを持ち、鞘を腰につるすと、同時に水の剣、弾を作り、影の槍を撃墜していく。
「これはッ・・・!」
「はい、一撃一撃が途轍もなく重いです!」
一輝は押し負けそうになりながらも、スレイブの助力によって持ちこたえる。
そうして全てを打ち落とし、レティシアの観察に入る。
「あれは・・・レティシア本人ではないな。」
「なぜそう言い切れるのですか?」
「一つ目に、今は休戦期間中だから本人が襲ってくることは出来ない。
二つ目に、何か、見ててぜんぜん違うように感じる。」
「では、あれはゲームとは無関係にあるものだと?」
「それで間違いないだろう。ん?」
《なんか、変な感じがするな・・・》
根拠があるわけではなく、ただ感じがしただけ。
だが、それを感じ取れたのは、一輝だけだろう。
一輝はその感覚を信じて眼下の“アンダーウッド”を見ると・・・
「「「―――ウオオオオオオオッォォォォォォォォォォォォ―――!!!」」」
急に巨人が現れ、アンダーウッドを強襲し始めた。
「十六夜!あいつらはどうやって・・・」
「さあな。だが、何かしらの策があったってことだろ。ただし、これで下は大混乱が確実だ。誰かが指揮を執らないとまずいんじゃないか?」
「・・・解った。私が行く.お前たちも無茶はするな。」
サラはそう言うとアンダーウッドに向かう。
そして、十六夜は学ランの袖を引きちぎり、止血のために左肩に巻き始めるので、
「有っても効果があるかわからんが、モルヒネ使うか?」
一輝はそれを手伝いながら、十六夜にたずねる。
「いや、今はこの痛みで意識がはっきりとしてるほうがいい。」
「そうか。でも、念のためにオマエ用とグリー用を渡しとく。」
一輝は学ランのポケットに注射を二本入れる。
「大きさで解るから、それを使ってくれ。」
「オマエはどうするんだ?」
「一つ、気になることがあるし、これが当たりなら俺以外が対処するのは難しいだろうから、俺も下に行く。」
「お前の実力なら、突撃を手伝って欲しかったんだが、それなら仕方ないか。」
「悪いな。それと、こっちは任せた!」
「ああ、任された!」
一輝はその声を背に、アンダーウッドへと向かった。
こんな感じになりました。
では、感想、意見、誤字脱字待ってます。