問題児たちが異世界から来るそうですよ?  ~無形物を統べるもの~   作:biwanosin

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今回で四巻は終わりです。


では、本編へどうぞ!


SUN SYNCHRONOUS ORBIT in VAMPIRE KING ⑤

一輝は空から降りてくる巨龍を見て、言葉を失う。

 

「おい・・・あれは笑えねえぞ。」

「いえ、今までのも十分笑えません。」

 

一輝が冗談を言うと、スレイブもそれにのる。

二人とも、目をそらしたかったのだ。

 

だが、そうも言っていられない。

そして、一輝の周りにはまだ魔獣が大量にいる。

 

「あっちに行きたいんだけど・・・これをどうにかしてからになるかな?」

「そんなことをしている間に巨龍が暴れて、レティシアは死ぬでしょうね。」

「だよなー。」

 

そんなことを言いながら死体を量産するが、キリがない。

 

「仕方ないですね。獅子王はありますか?」

「ん?ちゃんとギフトカードの中に移してあるけど。」

「では、そちらを使ってください。私には劣りますが、十分に強い剣です。この有象無象は私が引き受けます。」

「軽い死亡フラグだぞ、それ。」

 

一輝はそう言いながらスレイブを納刀し、獅子王を抜刀する。

 

「じゃあ、こいつらは任せた!」

「そちらも、よろしくお願いします!」

 

一輝が走り出し、追おうとする魔獣をスレイブが切り倒す。

 

「我が百鬼より出でよ、送り狼!」

「ワオォォォォォォン!」

 

一輝は言霊を唱え、送り狼を召喚すると、それに乗り、駆ける。

 

 

 

         =============

 

 

 

“アンダーウッド”大樹の麓。

一輝が到着した時点ではディーンはかなり押されており、飛鳥はサラから逃げるよう促されていた。

一輝は今日のゲームだけで、一体どれほどの距離を移動したのだろうか。

 

「飛鳥!サラ!」

「一輝か!頼むから、お前からも飛鳥を説得してくれ!」

 

一輝は送り狼を戻し、飛鳥の元に駆け寄る。

 

「飛鳥はどうしたいんだ?」

「決まってるわ。私は絶対にアンダーウッドを守る。」

「あっそ。なら俺も、手伝わせてもらうよ。」

 

一輝自身、そのつもりだったので、あっさりと飛鳥側に付く。

 

「一輝!今の状況が分かっているのか!?」

「ああ。それは飛鳥も同じだろ?」

「ええ。これが自殺まがいの行為だとも理解してる。それでも、ここで引けば生涯悔いが残るわ!!」

「ってなわけで、俺はあれを止めるよ。」

 

そんなことを言っている間にも、ディーンの状態は危険なので、一輝は伝説に頼る。

 

「地を揺らし、その神格を得し大蛇よ。汝はその力によりこの大地を揺らし、人々の平穏を奪う。だが、今ここに、その力を我がために振るわん!」

 

今、巨龍を少しでも止めるために、必要だと思う伝説を、召喚する。

 

「今ここに顕現せよ、パロロコン!」

 

一輝の体から輝く霧が出るが、それが固まる前に、次の伝説を召喚する。

 

「日ノ本の国に伝わりし、大いなる巨人よ。わが国を作りし、偉大なる巨人よ。今ここに、その所在無き身を、我が眼前に現さん。」

 

先ほどの大蛇とは違う、神としてすら見られる、伝説を召喚する。

 

「今ここに顕現せよ、ダイダラボッチ!」

 

一輝の体から再び、輝く霧が現れ、固まっていく。

 

伝説二体分の霧がすべて消えると、そこには巨大な蛇と巨人がいた。

 

「こんにちは。しっかりと挨拶したいところだけど、時間がないから省略で。」

「構いませんよ。私たちは、中からあなたのことを見ていましたから。」

「今更聞きたいことはない。」

 

一輝は友好的な態度に感謝し、命令を出す。

 

「そこのでっかい龍を、紅い鉄人形と協力して止めろ!」

「「了解!」」

 

パロロコンは巨龍に巻きつき、地震の神格によってその身を揺らす。

ダイダラボッチはディーンの横に立ち、ともに巨龍を止める。

 

巨龍は敵が二体増えたことで、いったん退く。

 

そして、一輝も獅子王にユランをまとわせ、剣を強化する。

 

二人の覚悟を真正面から瞠目して受け取ったサラは、静かに嘆息を漏らし、

 

「退けないか?」

「退けないわ。」

「友達が戦ってるからな。」

「・・・・死んでもか?」

「・・・・退くぐらいなら。」

「それに、元から死ぬつもりもない。」

 

二人の意思は、とても固かった。

今巨龍に対抗している三体も、それに答えるかのように巨龍に抵抗する。

ゆえに、サラも、今の自分を捨てる覚悟をする。

 

「―――分かった。ならば、私も同じだけの決意を示そう・・・!!」

 

サラは剣を抜き、何のためらいもなく龍種としての誇りである龍角を切り落とした。

 

飛鳥は何が起きたかを理解できず、唖然と固まるが一輝はそうではなかった。

 

「サラ・・・お前、今、自分が何したか分かってるのか!?」

 

龍種の霊格の大きさは、その龍角の大きさに現れる。

それを折ったらどうなるか、一輝はそれを知っていたから、黙ってはいられなかった。

 

「分かっているし・・・気にしなくて、いい。」

 

一輝にそれだけ答えると、飛鳥のほうに倒れこむ。

 

「龍角は、純度の高い霊格の固まりだ。神珍鉄にもうまく溶け合う・・・!

 君達なら・・・止めてくれると、そう思える。

 “アンダーウッド”を、私の第二の故郷を守ってくれ・・・!」

 

自分の思いを伝えたサラは、そこで意識を失った。

 

「あなたの故郷、必ず守るわ。」

 

飛鳥は自分の腕の中にいるサラにそう伝えながら抱きしめ、龍角をディーンに捧げた。

 

龍角は、ディーンの装甲と一体化し、その力を上げる。

サラが二百年の時を懸け、鍛えたギフト、その思いを、ディーンはしっかりと受け取った。

 

「サラの覚悟、絶対に無駄にはしない。」

「ああ。あの二体にも、今は飛鳥の命令を聞くよう伝えたから、そっちは任せた。」

「ええ。―――巨龍を迎え撃ちなさい!!」

「DEEEEEEeeeEEEEEEEN!!!」

 

鉄人形と巨人が巨龍を真正面から迎え撃ち、大蛇が再び巻きつく。

それでもなお、巨龍が押してるが、二体は持ちこたえた。

 

ディーンは肩の装甲が壊れ、踏ん張っている足は磨り減る。

ダイダラボッチも、その腕はボロボロになる。

パロロコンは・・・

 

「わが百鬼たる魔物よ!今、我が武具に混じり、新たなる武とならん!」

 

巨龍の勢いがとまったからか、その背を走っていた一輝の武具に交わる。

 

そして、目の前にあるがら空きの背に向かって一輝は、

 

「鬼道、竜退治。奥義第三の型、鱗殺ぎ!」

 

刀を走らせ、その鱗をはぐ。

二体の竜と蛇をまとうことによって強化された刃から打たれた一撃は、巨龍の鱗を殺いでいく。

 

「GYEEEEEEEEEEEEEEEEYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaEEEEEEEEEEEEEEEEYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAaaaaaaaaaaaaaaaa!!」

 

巨龍はそれによって苦悶の声を上げ、二体から離れると、一輝を振り落とそうと必死になる。

 

それを勝機と見たディーンとダイダラボッチは、満身創痍の体を振り絞り、ディーンが左腕で、ダイダラボッチは右腕で下から殴りつける。

 

「少しぐらい待てよ!!」

 

一輝があわてて離脱し、ついでに飛鳥を回収すると、巨龍を・・・いや、その先にある天を見る。

 

“アンダーウッド”を常に覆っていた暗雲が、大天幕の開放とともに射してくる太陽の光によって霧散していく。

巨龍の体もまた、太陽の光を受け、霧散し、その光の中に溶けていく。

 

巨躯の身体は透けていき、心臓に刻まれた神々しい極光が浮き彫りになる。

 

そして、十六夜が白銀の光を纏ってその一点に向かう。

 

「見つけたぞ・・・十三番目の太陽!!!」

 

十六夜は纏っていた光の柱を束ね、心臓の刻印を撃ちぬく。

巨龍の体は、断末魔も上げずに光の中へ、静かに消えていく。

その横から耀が飛んできて心臓からこぼれたもう一つの太陽、レティシアに日光が当たらないように抱き留め、高らかに右腕を振り上げた。

 

「ゲームクリアだ!」

「ええ!」

 

それを見て、一輝と飛鳥は、手を上げ、大きな音を立ててハイタッチをした。

 

 

 

         ===============

 

 

 

“アンダーウッド”主賓室・大樹の水門。

 

一輝は黒ウサギが大喜びでレティシアが目を覚ました、というのを聞いて、会いに来た。

 

「あ、一輝。どうしたの?」

「おはよう、耀。レティシアが目を覚ましたって黒ウサギが騒いでるので目が覚めたから、会いに来た。」

「そっか、私は“ヒッポカンプの騎手”のエントリーがあるから、行くね?」

「行ってらっしゃい。」

 

一輝は走っていく耀の背を見ると、再び歩き出す。

そして、レティシアがいる部屋に着くと、一切の音を立てずにはいる。

 

「・・・そうか。私の太陽は、空にあるものだけじゃなかったんだな。」

「いや、俺達は基本、太陽ってより月だろ。」

「!?」

 

レティシアはあわてて声のしたほう、一輝を見る。

 

「一体いつの間に入ってきたんだ?」

「音も、俺の支配下だよ。これぐらいどうってことはない。」

 

一輝の台詞にあきれるレティシア。

 

「ところで、なぜ月なのだ?」

「なんとなくのイメージだけど、俺達は自分が輝いてるんじゃなくて、すぐ近くにある小さな光を全員が反射して、他の人から来た光を反射して、を繰り返してると思うんだ。その結果、いずれは大きな光になる。たまに太陽になる人もいるけど、それもたまにだよ。」

「一輝はそう考えるのだな。私は、さっきも言ったように太陽だと思うよ。」

 

レティシアは一度言葉を切り、真剣な表情になる。

 

「こんかいは、私を助けてくれてありがとう。この恩は、これからも主たちと共に魔王と戦うことで返させて欲しい。」

「そっか。ならもう二度と、自分を犠牲にするな。」

「ああ、了解した。」

「あと、もう一つお願いがあるんだが、いいか?」

「もちろんだ。私に出来ることなら何でも言ってくれ。」

 

レティシアは即答する。

 

「じゃあ、もう一回収穫祭をやり直すのは知ってるか?」

「さっき耀から聞いたよ。」

「そこに、ノーネーム全員を招待してくれることになって、行きの子供達のお守りを俺が任されたんだが、手伝ってくれ。」

「は?そんなことなのか?」

「そんなことだよ。俺はスレイブとヤシロちゃんの件の報告にも行かないといけないから、一回抜けるかもしれないし、こうでもしないと、レティシアは来る気なかったでしょ?」

 

図星を突かれたため、レティシアは黙るが、一輝は続ける。

 

「今回のゲームが、レティシアは操られただけってことはサラが説明してくれたから、問題ないし、ついでに収穫祭に参加していくこと。これが俺からのお願いだ。」

「・・・はぁ。本当に主殿はお人よしだな。わかった。引き受けよう。」

「じゃあ、よろしく。俺はまた後で、メイドたちを連れてくるよ。」

 

一輝はそういって、自分の部屋に戻っていった。

 




こんな感じになりました。


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