問題児たちが異世界から来るそうですよ?  ~無形物を統べるもの~   作:biwanosin

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やっぱり、この手のやつが一番書くのが楽しい。



では、本編へどうぞ。


馬肉

「―――天が呼ぶ!

    地が呼ぶ!!

    人が呼ぶ!!!

    少し落ち着けと人は言うッ!!!」

 

一輝たちは収穫祭の開会式で白夜叉の登場を見ていた。

二人の反応は対照的だった。

一輝は、その光景に大爆笑、大絶賛。

スレイブはこんなのが階層支配者をやっていていいのか・・・と悩んでいた。

 

もちろん、あの後も色々な露店を周り勝負をしたが、勝った回数はお互いに一緒になるので、そこで区切りとした。

途中から決着をつけようとしたが、そこからはいくらやっても引分けとなったのだ。

 

「神格を返上して、完全体になっても白夜叉は白夜叉だな。これで確信した。」

「あれは、普段からあのように・・・?」

「ああ。本気でシリアス、って時じゃなければあんな感じ。音央と鳴央に聞けば愚痴をこぼしてくれるぞ。」

 

本格的にスレイブが疑い始めた。

 

「まあ、今は隠してるけどかなりの実力者だから。俺らがレティシアのゲームをやってたとき、向こうにも神霊級の竜が出たり魔王が来たらしいんだけど、一瞬で消し飛ばしたから。」

「それだけの実力者がなぜ・・・」

「それは、うちのコミュニティの問題児全員に言える。」

「マスターは別です。」

 

スレイブの中で、一輝の株が異常なほどに高い。

 

「ははは・・・音央と鳴央に聞けば問題児っぷりは聞けると思うぞ?」

「確かに聞けました。」

「既に聞いたのかよ・・・」

「ですが、それ以上にマスターがやってきたことが聞けました。コミュニティの食事のためのギフトゲームをしているとき、一体何人の人を助けたのかも、誰にも言わずにいくつの悪質なコミュニティを潰してきたのかも。」

 

一輝は驚いて言葉を失う。

そんな一輝を見てスレイブは小首を傾げてたずねる。

 

「どうかしましたか、マスター?」

「いや・・・どうやってそれを?」

「先ほど言いました。音央と鳴央に聞いたと。」

「何であいつらは知ってるんだよ・・・」

「Dフォンにデータが載っていたそうです。」

 

一輝は慌ててDフォンを取り出し、いじる。

すると検索システムがあったので、“寺西一輝”と入力してみる。

そこには、いくつのコミュニティを潰したか、潰したコミュニティの一覧とそのコミュニティのやっていたこと、魔王との戦いでどんな成果を上げたか、そういったプラスの内容に、ギフトについての説明が網羅されている。

 

「何だこれ!?」

「何だって、検索システムですが?」

「どうやってこの情報を!?」

「載せたのは、白夜叉とラプラスの小悪魔だそうです。」

「そういや、全部ちゃんと報酬を払ってくれたな・・・こういうのを知られるのが、一番恥ずかしいんだな・・・初めて知った。」

「そうでしょうか?私としては、マスターのことを知れて特をした気分です。」

 

一輝はついでに、Dフォンを持っている全員の名前を入力してみると、一輝のところに書いてあったのと変わらない内容が書かれていた。

 

 

 

             ============

 

 

 

“アンダーウッド”収穫祭本陣営。

一輝は十六夜に呼び出され、本陣営に来ていた。

そして、その場でこの件に関する説明が行われたが・・・

 

《伝説から何まで、全部あの馬肉のコミュニティにけしかけてやろうか・・・》

 

一輝は内心穏やかでなかった。

今すぐに、グリフィスを呪い殺しかねないくらいには。

 

「話はよく分かった。この件は両者に非があるため、両者不問とする。しかし次に問題を起こしたら強制退去だ。」

「ふざけるな!!!」

 

《アイツ、マジで呪い殺そうかな・・・》

 

一輝が自分の中にいる妖怪や、使える呪術の類を片っ端から頭の中でリストアップし、最も苦しい呪い殺し方を完成させると(道を外しているためか、一輝の家にはその類の本も大量にあった。)、話はかなり飛んでいた。

 

「どうなってアイツはおとなしく黙ってるんだ?」

 

一輝は隣にいる十六夜に聞いた。

 

「ああ。白夜叉の同胞であるグリーを馬鹿にした以上、バレたら潰されるぞ、ってな。」

「なら、俺らは気にしなくていいな。」

「ああ。」

 

二人は退室していこうとするグリフィスを睨むと、奇跡でも起きたのか、まったく同じ事を言う。

 

「「・・・おい、待てよ馬肉。何を勝手にまとめてやがる。」」

 

馬肉呼ばわりに、グリフィスは絶句しながら振り返った。

 

「逃げてんじゃねえよ。白夜叉の件はそっちの都合だろうが。何で俺達が譲歩しないといけない。」

「十六夜の言うとおりだ。ここで消えるってんなら、俺が伝説を使ってコミュニティを潰すぞ。」

「い、十六夜さん・・・一輝さんも・・・」

 

黒ウサギが焦って止めに入る。

 

彼女自身憤りはあっても無用な血が流れることは望んでいない。

白夜叉が何かしらの報復行為をとるのは間違いなく、そこに一輝の伝説による攻撃が加われば、オーバーキル気味に潰れるのは間違いない。

 

白夜叉が皆殺しにするのは言いすぎだろうが、一輝は本当に潰す。

黒ウサギが知っているメンバーだけでも可能なのだから、全て使えば言うまでもない。

 

二人の発言を聞いた蛟劉も肩をすくめながら説得しようとする。

 

「あのなあ、ちょっと落ち着けよ二人とも。言いたい事は分かるが、先に暴力を振るったんは君らの同胞、春日部耀やで?本来なら君らがさばかれても何の不思議もないんやから。」

 

だが、二人はそんなことを論点においていない。

 

「ハッ、ふざけんな。じゃああれか?公衆の面前で口舌を切りつけるのは無実なのか?確かに、切りつけられた相手には外見的な傷は残らない。」

「だが、代わりに魂を傷つける。こっちは外見的な傷と違って治りにくい。こっちのほうがよっぽど悪辣で卑劣だ。それも、切られたのは十歳の子供だってんだから、さらに治りにくい。」

 

二人の剣幕に、その場にいるすべてのものは驚きか恐怖の感情を抱いた。

十六夜は普段の軽薄な笑みとはまったく違う怒りを浮かべており、一輝は背後にうっすらと百鬼夜行が見えている。

一輝の怒りの感情につられ、無理矢理に顕現しかけているのだ。

 

「白夜叉が牙をむくとしたら、それは同じ口上のはずだ。」

「だから、俺達は牙をむく。ここに間違いはない。」

「「違うか?」」

 

二人に睨まれ、蛟劉も一考し、

 

「・・・なるほど、一理あるな。」

 

そう結論付けた。

 

「な、おい!」

 

二人の様子から、本当に潰されかねないと感じたグリフィスは慌て始めるが、蛟劉の言葉を聞いて、落ち着きを取り戻す。

 

「まあ、潰すのを許可するわけやないよ。今は収穫祭の真っ最中で、他の参加者も楽しんどるんやから。・・・どうやろ?ここは一つ、箱庭らしくギフトゲームで決着を付けるというのは?」

 

蛟劉が胡散臭い笑みを浮かべながら提案する。

落とし所としては悪くないと考えた十六夜は素早く頷き、一輝もしぶしぶ納得する。百鬼夜行は収めていないが。

 

「そうだな・・・確か、二日後の“ヒッポカンプの騎手”が、収穫祭で一番大きなゲームだったな。それで決着を付け、敗者は勝者に土下座。異論はあるか?」

 

しっかりと決着の場を作り、相手の誇りをズタボロにする。

 

そのルールにグリフィスも納得し、本陣営を後にした。

十六夜と一輝におびえてさえいなければ、完璧だったのに・・・

 

「さて、そろそろそれ、しまったほうがよくないか?」

「それって?」

「気付いてなかったのか?背中を見てみろよ。」

 

一輝は背中を見て、初めて認識する。

 

「こんな顕現の仕方が出来るのか・・・いつから出てた?」

「蛟劉さんを説得していた辺りからです。」

「そうか・・・檻に戻れ。」

 

一輝がそういうと、それは消えた。

 

「二人とも、よう我慢してくれたな。ところで、君が陰陽師君か?」

 

蛟劉に指差され、一輝は肯定する。

 

「まあ、俺は陰陽師だけど。あんたが言ってるやつかは分からんぞ?」

「弟子から聞いた話いやと・・・妖怪を操り、魔王に立ち向かったっていっとったな。」

「それは間違いなく俺のことだな。」

「やっぱりか・・・悪いんやけど、一つええか?」

「・・・予想は付いてるし、言われたら仕方ないって思ってるから、どうぞ。」

「じゃあホンマに悪いんやけど、今回のゲームに参加せんどいてもらえるか?」

 

反対しようとする飛鳥に、百鬼夜行を召喚されたり、水を操られたりすると滅茶苦茶になると説明し、一輝のほうを向く。

 

「いいよ。十六夜たちならあんなザコ、どうにでもなるだろうし。」

「わるいなぁ。ま、関係者はほかにも三人おるし。」

「・・・?ま、いいや。じゃあ俺はこれで。」

 

蛟劉が一輝だけに聞こえるよう言った言葉の意味がわからなかったが、何を話したかを一輝が話すのを待っている、メイドたちのほうに向かった。

 

「っと忘れてた。」

 

向かってなかった。

一輝は戻ってくると、黒ウサギのところに歩いて行き、

 

「蛟劉に話を聞くなら、これ飲んでいいぞ。」

「あ、はい・・・って!これ結構お高いお酒では!?」

「家に大量に送られてきた酒だ。どうせ俺は飲めねえし、まだ大量にあるから。」

 

一輝はそう言うと、日本酒に焼酎、ワインなど色々な種類の酒を置いて、今度こそメイド達のもとに向かった。




こんな感じになりました。


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