問題児たちが異世界から来るそうですよ?  ~無形物を統べるもの~   作:biwanosin

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さて、この話を入れてあと二話で六巻は終わりです。

あれ・・・メイドが出てないぞ・・・



では、本編へどうぞ!


魔王連盟

あのゲームをした後は、特に変わったことはしなかった。

歩いて目についた店に入り、興味があるものを一通り見て、次の店に向かう。

 

そして、食べたいものがあれば買って食べる。

もちろん、支払いは一輝がすることになった。

 

「さて・・・次はどこに行く?」

「そうだね・・・もう大体は回っちゃったからなー。」

 

湖札は少し悩むと、何かを思いついたように提案する。

 

「たしか、もうそろそろ“造物主達の決闘”じゃなかったっけ?それを見に行かない?」

「あー、そういえばそうだな。うちのコミュニティからも参加するし、行くか!」

「うん!」

 

二人は、そのまま闘技場を目指していった。

 

 

 

           ===============

 

 

 

「賑わってるなー。」

「うん、まあさっきの対戦カードを聞いたら当然かもだけど。」

 

湖札が言っているのは、一輝達が闘技場に入ってすぐに流れた、アーシャによる第一試合の選手発表のことだ。

その中に、北側最強、ウィラの名が連なっているのだから、こうなるのが自然だ。

 

「さて、たぶんこの辺に・・・お、いた!」

「誰がいたの?」

「コミュニティの仲間。どうせならあっちのほうが場所もありそうだ。」

 

一輝はそういうと、湖札の手を取って黒ウサギのいるほうへと走っていく。

 

「俺達もこの辺に座っていいか、黒ウサギ?」

「あ、一輝さん。構いませんが、そちらの方は?」

 

黒ウサギの髪の色が、緋色から青に戻っていくところで一輝は声をかけた。

何で怒りを表していたのかは分からないが、収まったのならたいしたことはないだろう。

 

「始めまして、寺西一輝の妹で、天野湖札といいます。兄がいつもお世話になってます。」

「あ、黒ウサギです。ええと・・・苗字が違うのは・・・」

「この間、鬼道の苗字については話しただろ・・・それより、飛鳥がすごいことになってるぞ。」

 

一輝の言葉で、黒ウサギは慌てて闘技場を見る。

そのタイミングで、蒼炎の嵐は巨大な氷柱となり、砕け散った。

 

「凍る炎、か。これはまた凄いな。」

「しかも、炎も地獄の業火。あの人は何者なの?」

「お嬢様、ってことぐらいしか知らないな。あそこまで強くはなかったと思うんだが・・・」

 

一輝としては、それよりも重要な問題があった。

 

「どうして、ルイオスがここにいるんだ?」

 

軽く怒気を含んだ声で、そうたずねる。

 

「それは、ペルセウスが最後の同盟相手だからです。」

「そうか。なら、もう帰っていいぞ?」

 

一輝は、なんのためらいもなく言い放つ。

 

「ま、待てよ!ノーネームとの同盟に参加するコミュニティなんて、そうそうあるわけが・・・」

「心配しなくても、俺が頼めば間違いなく参加するコミュニティぐらいはあるよ。頭はちょっとあれだけど・・・実力はそこそこだ。」

 

一輝が言っているのは、“剣閃烈火”のことである。

 

「それなのですが・・・私たちはある魔王に狙われていまして、そいつに対抗するには最強種の力があると、とても助かるのです。」

 

一輝に対し、ジャックが説明に入る。

 

「・・・そういえば、あのザコも一応、星霊だったな。それで、コイツはゴミクズ野郎だけど、星霊を従える力くらいはあるから。」

「おい待て!今、聞き捨てならない言葉が、」

「はい、その通りです。」

「否定しろよ!さすがに、これは否定しろよ!同盟関係だよね!?」

 

一輝とジャックは共に頷き合う。ルイオスが「またこの展開!?」と叫んでいたが、あえて無視したようだ。

 

「あ、黒ウサギ!それに一輝さん、ジャックも!」

 

一輝が満足したあたりで、ジンに呼ばれる。

どこにいるのか、ざっと周りを見回し、上の観客席にいることに気づく。

 

「ちょうどいいや。あれが、俺達のコミュニティのリーダー、ジン=ラッセルだ。」

「へえ、結構有名だから話には聞いてたけど・・・本当に幼いんだね。」

 

湖札は、ジンの年齢に驚いているようだ。

 

「まあ、あれでも魔王を従えるだけの能力は持ってるし、戦闘以外では頼りになるリーダーだよ。」

「本当に、あそこまで幼い子に、魔王が?」

「ああ。たしか・・・“精霊使役者”って魔王でさえも問答無用で従わせるギフトを持ってるらしい。」

「・・・それ、うまく使えばかなり強くなるんじゃ・・・」

「使役対象が少ないんだよなー・・・」

 

二人の会話は、ルイオスの放つ言葉によって、そこで終わることになる。

その言葉は、ルイオスが白髪金眼の少年、殿下を指差して、

 

「お前・・・僕と、どこか出会ってないか?」

 

というものだった。

 

それに対し、殿下は少しだけ驚いたような反応をすると、すぐに答え始める。

 

「まあ、うちは商業コミュニティだからな。“ペルセウス”とも、商談の中であったことがあるかもしれないな。」

「ああ、うん。そんな感じがする。なんか・・・結構大きめの商談のときにチラッと・・・」

 

ルイオスが思い出せず、不快そうにしているのを見て、一輝は、コイツこんな顔のほうが見る機会多い気がするなー、などと考えていた。

そして、そんなルイオスのようすに、ジンは苦笑いを浮かべながら、

 

「あの、ルイオスさん。その事なんですけど・・・」

「あん?なんだよ?」

 

ルイオスがそう返してくると、ジンは一瞬で笑みをけし、さりげなくサンドラを後ろに庇うと、

 

「それ―――レティシアさんを買い取ったとき、じゃないですか?」

 

ジンの言葉に、殿下の表情が驚愕に染まり、一輝は確信をえて、ギフトカードから獅子王を取り出す。

そして、そばにいる味方を背に庇い抜刀する。

 

「全員、俺の背を出るな。死ぬぞ。」

 

一輝は真剣な声で忠告する。

ちなみに、一輝の背にいるのは、ジャック、ルイオス、湖札の三人だ。

 

「おい、急にどうしたんだよ?」

「気がつかないのか?この世にレティシアを売ったコミュニティは魔王連盟に所属するコミュニティ以外にないんだよ。」

 

その言葉で、一輝の背に二人分の緊張が伝わってくる。

 

「それと・・・殿下って呼び方からあいつはかなりの実力者の可能性が出てくる。この中で対抗できる可能性があるのは、俺か黒ウサギだけだろ。」

 

スレイブがいないのはつらいな・・・、と一輝はもらす。

そして、警戒をとかないままに、殿下たちの会話に耳を傾ける。

 

「なるほど。出会いがしらで既に見抜かれていたとは・・・ジンのファインプレーだな。素直に見直したよ。」

「じゃ、じゃあ・・・リンも・・・?」

「そうだ。騙して悪かったな。俺達は、お前たちが魔王連盟と呼ぶものだよ。そして・・・」

 

殿下は、一輝の背後に目を向けると、

 

「そいつは、俺でも対処するのに少し、骨が折れる。だから・・・頼んだぞ、湖札?」

「うん、殿下。」

 

湖札にそう言い、湖札もそれに返す。

一輝が一瞬固まり、慌てて振り向くと、そこには刀を持ち、巫女服になった湖札がいた。

 

「まさか、湖札も・・・?」

「うん。ごめんね、兄さん。」

 

湖札はそういうと、一輝に向かって刀を振るう。

 

「あーくそ!ジャック!ボンボンは任せた!」

 

一輝はジャックにそういうと、獅子王で湖札の攻撃をガードする。

 

「ここで戦うと殿下の邪魔になるから、移動しよう、兄さん!」

「待て、湖札!」

 

湖札は先に闘技場の中央に飛び降り、一輝もそれを追う。

だが、二人が着地するより先に、湖札が何かをつぶやき、その場が白い霧に包まれる。

 

「これは・・・“妖使い”。」

「正解だよ、兄さん。」

 

霧がだんだんと妖怪の姿をとっていき、視界がよくなると一輝は湖札の姿を視認した。

先ほどまでと変わっているのは、手に持つ刀が、形を変えていることだろう。

 

「そして、“妖武装”か。それが、湖札がぬらりひょんからもらった奥義?」

「うん。あと、もう一つごめん。ぬらりひょんからは、私も全部の奥義をもらってる。」

「そうか。にしても、困ったな。」

 

一輝は、奥義を一つも発動しない。

妖使いは、一輝がこの場で使ってしまうと妖怪であふれかえり、身動きが取れなくなる。

かといって、伝説の召喚を湖札は許さないだろうし、武装する暇もない。

妖怪の群れとその将に対し、一輝は一人で戦わないといけないのだ。

 

「私の役目は、兄さんをこっちに引き込むか、足止めすることだから。これぐらいはしないと。」

「そうか。なら、こっちのほうがいいな。」

 

一輝は獅子王を納刀し、ギフトカードから水樹の枝を取り出す。

 

「じゃあ、行くぞ!」




こんな感じになりました。


では、感想、意見、誤字脱字待ってます。
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