問題児たちが異世界から来るそうですよ?  ~無形物を統べるもの~   作:biwanosin

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さて・・・一輝がどうしてもこんなキャラになってしまう。


では、本編へどうぞ!


短編 一輝とお姫様 ④

「マヤ~。メシ出来たけど。」

「あ、今行くから、ちょっと待って。」

 

マヤは悶絶状態から立ち直り、寝巻きを着なおすと、部屋を出る。

 

「サイズはどうだった?」

「怖いくらいにピッタリだったんだけど。」

「・・・お互いのためにノーコメントで。」

「うん・・・そうだね。」

 

二人は顔を赤くしながら食卓に着く。

 

「まあ、お姫様の口には合わないかもだけど。」

「さすがに、この状況で文句を言うつもりはないけど。」

 

二人はいただきますと言い、食事を始める。

 

「・・・普通に美味しいんだけど?」

「それはよかった。まあ、今回は時間をかけれたからこんな感じになった。」

「今回、は?」

「俺は、手を抜けるところは抜くことにしてるからな。さすがに仕事では抜かないけど、普段の生活は別。料理も、一分クッキングだし。」

「どうやって作るの!?」

 

マヤが驚くので、一輝は水や火、空気を操ってざっと一品仕上げる。

 

「こんな感じに作る。まあ、味はここに並んでるのとは比べ物にならないけど。」

「・・・・・・」

「マヤ?」

 

マヤが固まっているので一輝は心配になって声をかける。

 

「あ、ごめん。何か、現実離れしたものを見た気がして・・・」

「ここに来るのにも水に乗るというファンタジーがあったと思うけど?」

「・・・やっぱり、あれも現実だったんだ・・・」

「まあ、妖怪や魔物がいるんだからって受け入れた方が楽だよ。変に考えても答えは出ないし。」

「うん、そうする。」

 

実際、考えても答えが出なかったのだろう。

マヤは考えることを止め、食事を再開する。

 

「にしても・・・マヤは日本語うまいよな?何でしゃべれるの?どう見ても日本人のハーフとかじゃないだろうし。」

「それは、日本には元々興味があって、日本語を習っていたから。読み書き聞き取りが出来ないと困ることもあったし。」

「困ること?」

「うん。私が日本に興味を持ったのは、日本のサブカルチャーが理由なんだ。」

 

一輝は日本のサブカルチャーと聞き、思い当たるものが一つしかなかった。

 

「アニメ?」

「うん!でも、住んでた所で見てるとちょっと・・・ね?」

「そりゃそうだろうな。」

 

一国のお姫様が部屋でアニメを見ている。

黒服がそんなことを知れば、間違いなく止めさせるだろう。

 

「で、そういったものを見るのも今回の目的の一つだったんだ。」

「あの黒服たちと一緒に?」

「そんなわけないでしょ?周りに迷惑過ぎるし、一切楽しませてもらえない。」

「だよな。でも、ならどうやって?」

 

一輝の疑問はもっともだが、マヤはそれに対して対策をとっている。

 

「どうにか説得して、陰陽師の人と一緒なら、と許可を得ました。」

「それで同年代の人に限定したのか。」

「はい。気兼ねなく話せる人がいいな、と。でも、あの様子だと・・・」

「間違いなく、そんな人は来なかっただろうな。」

 

黒服が連れてくる人は頭が固い人になる。

マヤは再び、一輝は始めてそう結論付けた。

 

「だから、そういったものを見て回るのは諦めてたんだけど・・・」

「まあ、明日一緒に見て回ればいいな。ついでに、この辺も見るか?」

 

一輝はご馳走さまと言い、食器を食洗機に入れるとある部屋の入り口を開く。

そこには、一輝が集めたアニメのDVD、Blu-ray(の一部)が部屋を占領していた。

 

「・・・これ、全部・・・?」

「アニメのだな。陰陽師関連でたまった金で買ってみた。」

 

マヤは目を輝かせると、物色を始めた。

そして、数分後、一輝が風呂から上がるとテレビでアニメを見て、机の上には山のようにケースが積み重なっている図が完成していた。

きっちりと並べてあるあたり、本人の性格が出ている。

 

「視るのはいいけど、夜更かしに慣れてなかったりしたら早めに寝とけよ。明日は行きたいところを回るんだから。」

「うん。でも、たまに国でも隠れて視てた関係で慣れてるから、もう少し位なら大丈夫。」

「そ、ならいいけど。」

 

一輝はそう言いながら、自分も椅子に座り、一緒になってアニメを視る。

 

――――二時間後――――

 

「ふう・・・もうこれくらいにしますか。」

「だな。そろそろ寝ないと明日起きれないだろうし。」

 

二人はケースを片付け、寝る準備をする。

 

「じゃあ、その部屋に布団があるから、そこで寝て。」

「うん、了解。ところで・・・えっと・・・」

「どうした?」

 

一輝は何かに困った様子になったマヤにそう尋ねる。

 

「ええっと・・・私は君の事をなんて呼べば?」

「そういや・・・まだ決めてなかったな。それどころか、しっかりと名乗った記憶すらない。」

 

一輝はそう言うと、改めて自分の名前を名乗る。

 

「では遅くなったけど、俺は寺西一輝。個人的な事情で苗字で呼ばれても反応できないことがあるから、一輝でよろしく。」

 

この事情とは、苗字が変わったことで慣れていない、ということである。

 

「ん、わかった。じゃあ、一輝はどこで寝るの?何かあったときのために知っておきたいんだけど。」

「ここで寝るけど?」

 

一輝は今立っている床を指す。

 

「え・・・一輝の部屋は?」

「そこだよ?」

 

一輝は先ほど指した部屋を指差す。

 

「そ、そんな!お世話になってるのに、その人の布団で寝るのは・・・!」

「他に布団がないから仕方ない。それに、マヤより俺のほうが体が強いのは間違いないし。」

「だとしても!ここは私がこちらで寝るのが道理で、」

「あったとしても、女子をこんなところで寝かせるわけにはいかないよ。部屋の掃除もさっき終わったし、物も片付けたからその辺は大丈夫だし、布団も洗濯してから使ってない。」

 

一輝のギフトはこんなところでも役に立つ。

 

「そういう問題ではなく!」

「なら他の問題は何だ?ないなよしさっさと寝ろ。」

「待ってください!」

 

一輝はマヤを無理矢理部屋に入れようとするが、マヤはそれに抵抗する。

 

「だったら、一輝も同じお布団で寝れば、」

「お互いの年齢を考えましょう。」

「でも、このままでは何も解決しない・・・」

「マヤがおとなしく寝れば万事解決。」

「では寝ません。」

 

マヤは結構頑固なようだ。

 

「・・・それなら、私は寝ないけど、どうする?」

「はぁ・・・まさかここまで頑固だとは。」

「じゃないと、ダム――――私の護衛の人たちのリーダーね?――――を説得なんて出来ないよ。」

「OK。分かりました。もうそれでいいですよ。」

 

結局、一輝が折れてマヤの案をのむことにした。

 

「じゃあ、もう寝るぞ。今の言いあいで時間、意外とたったし。」

「うん、そうだね。もうかなり眠い・・・」

 

マヤが欠伸をするのを見て、そんなに眠いなら早く折れてくれよ・・・と一輝は思ったが、口には出さない。

もう諦めている。

 

二人はそのまま布団に入り、お互いに背中を向けて寝ようとする。

ちなみに、枕は一輝が無理矢理にマヤに使わせている。せめてもの抵抗なのだろうか?

 

「・・・ねえ一輝、私は今の状況が夢みたいなんだ。」

 

さすがにすぐには眠りにつけず、マヤが話し始める。

 

「私は一生、自分の立場に縛られて、感情を隠して、そんな生活を送るんだと思ってた。」

「それで、あんなしゃべり方を?」

「うん。本当に小さいころはそうでもなかったんだけど、十歳くらいからずっと、家族・・・父さまや母さま、お兄様に対してもそうだった。」

「ずっと、自分を偽ってたのか?」

「さすがに、ずっとって訳じゃないよ。部屋で一人のときとか、隠れてアニメを見てるときとかですら違ったけど、たまにこの口調で独り言を。」

「・・・・・・」

「だから、会って二回目で感情を含んだしゃべり方にして、そのまま今の口調になってる状況も信じられないし、そのまま男の人の家に泊まって、今は同じお布団に入ってる。夢だと思っても仕方ないと思わない?」

「まあ・・・頭が付いて来れてないのは、分かる。そうでもないと、こんな状況を受け入れたりはしないだろ。」

「あはは、そうだね。でも・・・この生活をずっと続けたいって考えてる自分がいる。これは間違いないと思う。」

「元の生活に比べれば、かなり不自由の多い生活になるぞ?」

「それでも、自分を出せるのは、大きいよ。」

 

一輝はそれを聞き、ちょうどいい機会だと、一つの話をする。

 

「じゃあ、マヤが自分の話をしてくれたところで、次は俺の話をしよう。つっても、知ってるかもしれないけど。」

「ううん、聞かせて。一輝のことは先に日本に来てたダムが調べただけだし。」

「じゃあ、かなりダイジェストに。俺、元々はこの苗字じゃなかったんだ。」

「だから、寺西って名前を調べても何も出なかったんだ。」

「そっか、少しは調べたんだっけ。じゃあ、もとの苗字が何か知ってる?」

「ううん、それはなんだか隠してるような感じがしたから、調べてないよ。」

「うん、正解。俺は奥義を習得するまで、苗字は信頼できる人以外には言わないことにしてるから。」

「いいの?そんな話を聞かせてもらって。」

「ああ。マヤは信頼に足る人だって、そう思うから。」

 

一輝は少し間を置き、

 

「俺のもとの苗字は、鬼道。日本では良い意味でも悪い意味でも有名な、道を外した陰陽師の名前だ。」

 

そう、話を始めた。

そこからは、一輝自身は陰陽師の修行に対して乗り気ではなかったこと、父親の言うことを気にせず、自由にしていたこと、家が妖怪の群れに襲われたこと、一輝がそれを退治し、親玉である白澤を殺したことを、五分程度で話した。

 

「・・・と、これが俺についての話。」

「・・・なんだか、私とはまったく逆の話のようで、でもどこか似てる話、だね。」

「ああ。だから話そうと思ったのもあるよ。だから、俺にはマヤの気持ち、少し分かる。」

 

一輝はそこで、一番話したかったことを話す。

 

「だから、俺はマヤに二つ、選択肢を出せる。」

「選択肢?」

「そう。明日は行きたいところを回る。これは決定としても、その後のことはまだ決まってないからな。」

「・・・それは、どんな選択肢?」

「一つ目は、今マヤと入れ替わってる妖怪に全部押し付けて、この生活を続ける。」

「それは可能なの?」

「ああ。いまマヤと入れ替わってる妖怪の目的は、やりたい放題することだったけど、マヤを殺せなかったことでそれは出来なくなった。

 アイツはマヤを殺せるまではこのまま演じるしかないし、演じ続けた結果、妖怪としての部分が消えて人間に、本物のマヤになってしまう。」

「それでも、私の戸籍とか、住む場所は?」

「まあ、戸籍は俺のコネで作って、兄妹・・・いや、姉弟なのか?まあ、そのどっちかには出来る。住む場所もここでよければここに、嫌ならもう一室とればいい。」

「もし私がそれを選択したら、一輝はやってくれるの?」

「ああ。ただし、アルバイトはすることになるだろうし、俺の仕事も少し手伝ってもらうことになると思う。さすがに、命の危険があることはやらせないけど。」

 

一輝がそう言うと、マヤは次に促す。

 

「で、二つ目は入れ替わってる妖怪を退治して、マヤがそこに戻る。」

「そこで、今までどおりの生活をするの?」

「それはマヤしだいだ。そっちを選ぶなら、俺に手伝えることはかなり少ないから、マヤがやりたいようにするしかない。」

「私の、やりたいように・・・」

「まあ、明日中に聞かせてくれればいいから、」

「・・・分かった。明日中には返事をするよ。」

 

二人はそこで話を終え、今度こそ、どうにか眠りに付いた。

 

 




こんな感じになりました。

一輝は倉庫の中にある家族のものは使わないことにしています。


では、感想、意見、誤字脱字待ってます。
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