問題児たちが異世界から来るそうですよ?  ~無形物を統べるもの~   作:biwanosin

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そろそろバトルに入りたい・・・



では本編へどうぞ!



短編 一輝と湖札の物語 ③

一輝と湖札の二人が勝ったため、鬼道父は修行メニュー五倍を死に物狂いで行い、二人は近くにある森の中を散歩していた。

何をするか考えた結果、特にやることがなかったためこうして散歩することにしたのだ。

 

余談だが、湖札はまた一輝の腕に抱きついている。

 

「なあ湖札、冬とはいえこれだけくっついて暑くはないか?」

「そんなことないよ!私はお兄ちゃんへの愛で年中暑いから、このくらいなんともない!」

 

一輝はもはやあきれを通り越して感心している。

むしろ、こうでないと違和感を感じてしまうほどだ。

 

「それに、こうしていられる時間も少ないしね・・・」

「どういうことだ?中学に入ったら自重するとか?」

「あ・・・」

 

湖札はしまった、というような顔になる。

心の中で思っていたことが口に出てしまい、しかもそれが一輝に聞かれてしまったからだろう。

 

「ええと、その~・・・」

「俺の予想ははずれか。じゃあ、どうしてだ?」

 

湖札は何とか言い訳を考えようとするが、結局思いつかず、事実を話すことにした。

 

「まだ父さんと母さんにしか言ってないんだけど・・・ちょっと魔物とかの勉強のためにいろんな国を回ろうかと思って。」

「どうしてまた?」

「特に理由はないよ。ただ、もっと妖怪とか、魔物とかについて知りたいって思っただけ。」

「勉強熱心だな。それって陰陽師留学扱いで?」

「うん。頑張って中学の内容は全部終わらせて、この間やった試験で許可が出たよ。」

 

用語解説だが、陰陽師留学とは陰陽師の卵がその力を伸ばすために行う留学のことで、一定量以上の実力があることと義務教育を終えるか、その間に習う内容の試験に合格することで許可が下りるものだ。

つまり、湖札は小学六年生にして中学三年までの内容を全て覚えた、ということである。

 

「まーた頑張ったな・・・そこまでしていきたかったのか?」

「うん。それに、この留学で私の能力についても知れるかもしれないし。」

「ああ、確かにな。確か、何かしらの神から与えられたもの、だっけ?」

「うん。だから目的としては、その神様が何なのかを知ることと、お兄ちゃんの能力について何か分からないかな、って感じかな。」

「俺のか・・・まあ、期待せずに待ってるよ。」

「うん、あんまり期待しないで。私のと違って、お兄ちゃんのは何にも分かってないんだから。」

 

そう、二人に陰陽術とは別の能力が宿っていることを知った両親は、その正体をつかむために霊視できる人間に霊視を頼んだが、湖札のものは何かしらの神から与えられた力だとわかったのに、一輝のものについては完全に謎。何にも分からなかったのだ。

だが、一輝はあんまり気にしておらず、むしろ変に決め付けられなくてよかったと思っている。

 

「そうか・・・となると、もうあと二ヶ月で湖札は外国に行っちゃうのか・・・」

「寂しい?」

「当たり前だろ。今まで一緒に暮らしてた妹が、急にいなくなるんだから。」

「大丈夫だよ、私は兄さん一筋だから!」

 

そう言いながら、湖札はさらに強く一輝の腕に抱きつく。

 

「いや、そういう意味じゃないんだが・・・まあいいか。」

「そうそう!もう後二ヶ月しかないんだから、毎日一緒に寝ても・・・」

「いや、それは違うだろ。」

「なんで!?いいじゃん別に!長い間私と一緒に寝れないんだよ?寂しくないの?」

「それが普通だろ。むしろ、今までが異常だったんだ。」

「むう・・・いいもん、勝手に入り込むから。」

「これからは寝袋で寝ることにしようか・・・」

「お願い、やめて!私の楽しみを奪わないで!!」

 

一輝が冗談半分に言うと、湖札が本気で止めにかかってくる。

ブラコンここに極まれり、だろうか?いや、上には上がいることだろう。

 

「冗談冗談。まあ、毎日は無理だけど、そんなに一緒に寝たいなら、四日に一回くらいなら文句言わないでやるぞ?」

「ホント?お兄ちゃん大好き!!」

 

湖札は、腕ではなく一輝本体に抱きつく。

一輝はいつになったら兄離れできるのやらと思いながら、その頭を撫でるのだった。

 

「やっとお兄ちゃんが私の愛を分かってくれた!」

「いや、そうじゃないから。」

 

が、すぐに引き剥がし、歩き出す。

 

「・・・え?頭撫で撫では!?」

「終わったよ。早く行くぞ。まだ面白いものが見つかってないんだから。」

「ちょ、ちょっと待ってー!腕を!せめて腕を組ませて!」

 

 

 

        ====================

 

 

 

あの後、二人は山を進んでいき、途中で見つけた岩を粉々に破壊すると、洞窟を発見する。

途中、立ち入り禁止の立て札があったが、無視して突き進んでいるところだ。

 

「こんな洞窟があったんだな・・・何度も遊びに来てるのに知らなかった。」

「まあ、今まではこの辺りにつく前に妖怪が出て、それに対処してて時間切れ、って流ればっかりだったからね。今回は珍しく何にも出なかったし。」

 

そう言いながらも、どんどん突き進んでいく。

当たり前のことだが、洞窟内を照らすために一輝が懐中電灯を右手に持っているため、両手がふさがっている状態だ。

もう片方の手は、もちろん湖札。

 

「さて、わざわざ岩で隠してたんだから、少しは面白いものがあると思うんだけど・・・」

「今のところ、壁にかかれた絵ぐらいだね。この絵もよく分からないし。」

 

湖札はそう言いながら、すぐ横の壁に描かれた絵を手で触る。

そこに描かれていたのは、上から降ってくる茶袋とそれに驚く村人だ。

 

「まあ、それが何を書いたかはわかるんだけどな。こんなのを残した理由が思いつかん。」

「だよね・・・茶袋なんて伝説があるわけでもないし。地味だし。」

「まあ、中には鬼とかの有名どころもあるし、何かしらの意味はあるだろ。」

 

そう言いながら二人は進んでいくが、二人は気付いていない。

二人が得の前を通りすぎて少しすると、その絵の前にろうそくが現れ、火をともしていくことに。

 

「あ、そろそろ洞窟も終わりじゃない?なんだか広がった空間があるし。」

「ホントだ。じゃあ、ここまできといて面白いことはなし?」

「そうかもしれない・・・残念だったね、お兄ちゃん。」

 

二人はそう言いながらも、何かないかと希望を持ち、進んでいく。

そうしてたどり着いた空間は二人が予想していたものよりも広く、人間が百人は座れそうだった。

 

「結構広いな・・・何かの集合場所か?」

「そうかも・・・お兄ちゃん、あれを見て。」

 

湖札はそう言いながら、中央に置かれた甕を指差す。

そこからは、普通ではない禍々しさがあふれていた。

 

「あれは・・・ほっといちゃ駄目なやつだよな?」

「多分、駄目だろうね。危ないものだろうし。」

 

そう言いながら二人は甕に近づき、好奇心のままにその蓋を取る。

すると、その空間にムワッっとアルコールのにおいが充満した。

 

「げ、これお酒だ・・・」

「それがこんな禍々しさを放ってるってことは、何かの儀式によって・・・お兄ちゃん、多分ここ危ないよ。その甕を持って帰るだけじゃなくて、洞窟も破壊しちゃったほうが良い。」

 

湖札は話している途中で何かに気付き、一輝にそう提案する。

 

「ここが何なのか、分かったのか?」

「うん。まず、ここに来るまでにあった妖怪の絵の数は、合計でちょうど百。」

「数えてたのか?」

「当たり前でしょ。私の能力は、相手をどれだけ把握してるかで決まるんだから。」

 

湖札は真剣な口調でそう言い、一輝からも離れて何かあったらすぐに対処できるようにする。

 

「次に、そのお酒はここで行われた儀式そのものを取り込み、完成したもの。」

「コイツを作ることが目的だったのか?」

「多分、そのつもりでここに人が集まり、儀式を行ったんだ。成功すれば、催眠作用のあるお酒ができるから。」

 

一輝は自分も自体を把握しようと、周りを見て自分達が来た方向で異常が発生していることに気付く。

 

「湖札、何か絵の前にろうそくが立ってるんだけど。」

「ホントだ・・・となると、もう手遅れかも。その甕から離れて。」

 

一輝と湖札の二人は、甕を挟むように立ち、距離をとる。

 

「そろそろ儀式の正体を教えてくれないか?」

「そうだね・・・これだけ言えば分かるんじゃないかな?百の怪異談と、百の人間。そして、百のろうそく。」

 

湖札がそう言うと、急に風が吹き、ろうそくの火を次々に消していく。

 

「まさか・・・でも、それを行うには、人によって語られることが必要なはずだ。ここには一人も・・・」

「そのために、この甕と絵があるんだよ。甕にはその人たちの怨嗟がこめられてて、絵は怪異談そのものを表してるから。」

 

そして、全ての火が消え、甕が震えだす。

 

「つまりここは・・・簡易的にある儀式を行うための空間。人が入るとそれに反応して自動的に行われるようにしたもの。」

 

そして、その中身が噴出し、ある鬼の姿をとる。

 

「日本では一番有名な、彼岸への通路を開く儀式、百物語を、ね。」

 

そして、二人の目の前に百物語の集合体、青行燈が現れた。

 




こんな感じになりました。


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