本当ごめんなさい。
僕らはミサトさんの助けによりからくも野宿を免れていた。ただ車で送ってもらったはずなのに妙に疲れた。ネルフに向かうときも思ったんだがミカサさん運転粗すぎだよね。ガサツ過ぎだよね。
夕飯になぜか、な・ぜ・か。お惣菜を買いまくるミサトさん。やっぱり料理できないんだ。まあゼルエルも料理はできないんだけどね。
そしてその後僕たちはミサトさんに高台へと連れてかれた。
「これがあなたの守った街よ」
ミサトさんの視線の先には地面から生えてくる巨大都市。
「タケノコみてぇだな」
あ、僕も今同じこと思った。
第二話~偉大なるカイザー物語~
タケノコ都市を見た後は真っすぐミサトさんの家に向かった。中は…汚部屋だった。
「汚いですね」
「汚ぇな」
「あ、あははー。まあちょっち汚れてるけど気にしないで」
いや、気にしますよ。これから暮らす家なんだから。
「ゼルエル」
「ん」
僕は掃除道具を用意し、ゼルエルと共にこの汚部屋の掃除を始めた。ゼルエルは料理はできないけど掃除洗濯は普通にこなせるのだ。
「なんだよこのビールの山。飲み過ぎて死ぬんじゃねえのか?お前」
「うわっ、Gが!Gが!ゼルエル!」
「ああ、ちょっとまて」
汚部屋なのでもしかしたらいるかもと思っていたがやっぱりいた。人類の天敵、カサカサ動くあの姿、実は結構綺麗好き。Gだ。
「ボン」
Gはゼルエルが退治してくれた。でも今ATフィールドで上下に潰さなかった?そんなこともできるの?
~40分後~
「ふう。結構片付いたかな」
「いや~、綺麗な家は気持ちが良いわね。助かったわ」
「ずぼら三十路はこれだから困る」
「あ?」
「さてと、風呂にでも入ってきますかね」
さすがのゼルエルもミサトさんの眼付けにビビったようだ。そそくさとリビングから出て行った。
「(ってちょっと待って!こんな猛獣がいる部屋に一人にする気なの!?)」
「(許せシンジ。
出て行くゼルエルとアイコンタクト。しかし現実はいつも非常なものだ。
「シンちゃん、少し聞きたいことがあるんだけれども」
「は、はい!」
逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ。
ただ、ミサトさんが言いたいことはさっきのゼルエルのセリフではなかった。
「彼、本当に信用できるの?」
「え?」
………今さら!?
「司令や福司令、リツコなんかはあいつを利用するつもりみたいだけど、ちょっち不安なのよね」
「それ僕に聞いても無駄じゃないですか?僕が悪いゼルエルなら僕相手にそういう面は見せませんよ」
「…それもそうね」
それに、ゼルエルには弱点がある。僕と一蓮托生と言う弱点が。…ミサトさんに言う気はないが。
「小さい時に母親がいなくなって、父親に捨てられた僕はゼルエルと一緒に生きてきました。ゼルエルだけが僕のことを見てくれていた、理解してくれていた。少なくとも今日初めて行ったネルフよりははるかに信用できる」
「でも、彼はしt「カイザー!?」へ?」
「カイザー?」
いきなり風呂場から聞こえてきたゼルエルのカイザーという響き。何があったのだろうか。
「ゼルエルどうしたの?ってなにそいつ!?」
風呂場で見たのは大きな、羽の小さい妙な鳥。しかも二足歩行で歩いている。
「ああ、その子は同居人のペンペンよ。温泉ペンギンのね」
「ま、まさかこいつは!?」
「知ってるのか!?雷……ゼルエル!!」
「ああ、おそらくかつて鳥でありながら南極を支配していた
「いや、温泉ペンギンだって」
「皇帝だと!?」
「だから温泉ペンギン!!」
「彼の力は絶大で、その翼で神の住む天界近くまで飛ぶことができた。しかし、そんな
「…ごくり」
「絶望に打ちひしがれる国民達。誰もがもう生きていけないと思った。翼なしで生きるには、南極という大地はあまりにも過酷だったからだ」
「でも、そんな絶望に打ちひしがれる国民達の中、
「国民は尋ねた。“なぜ我らの誇りである翼を失ってもあなたは気高くいられるのですか”と」
「カイザーは答えた。“我には神にすら奪えぬ翼がある!!どこまでも高く、高く飛翔するための巨大な翼が。それは我だけにあるのではない。ここにいる全員が持っている希望という名の翼だ”」
「“これが折れぬ限り我らの誇りは折れぬ!!我らは何も奪われておらぬ!!”」
「“我らはペンギン。心に翼を宿すもの。この翼があれば我らはどこまでも、いつまでも羽ばたいて行ける!!”」
「…カイザーの叫びが終わるっころには、もうそこに翼を折られた哀れな鳥はもういなかった」
「高く高く
「そう、それこそが皇帝ペンギン!!」
「カイザー!!すごいよ!!渋いよカイザー!!」
「ペンペンペーン!!」
「………グス」
僕は感動のあまり叫んでいた。ペンペンも実にうれしそうだ。そして後ろで話を聞いていたミサトさんも目頭を熱くさせていた。
「カ・イ・ザー!!カ・イ・ザー!!」
「ペンペーン!!」
「少し感動してしまったのが無性に悔しい」
♢
「ほう、それで?」
「ペンペンペーン」
「うわ、そりゃひどい。冷蔵庫から出れねーじゃんか」
「ペンペン」
「最悪だな。まったくお前も苦労するな。同居人がアレだもんな」
コンビニで買ったお惣菜を食べる僕とミサトさんの横でゼルエルがペンペンと語り合っている。というか言葉分かるの?
「あなた動物の言葉が分かるの?」
「まあそれっぽいことはな。ちゃんと掃除しろよガサツ」
「ミ・サ・ト・よ!!」
「落ち着いてくださいガ…サトさん」
「ねえシンちゃん?今間違わなかった?ねえ」
僕はミサトさんから目をそらし、テレビに目を移す。ニュースでは今日のことをやっていた。でも、使徒やエヴァのことは報道されていない。まるであれが夢だったかのような。
「使徒のこと、本当に報道しないんですね」
「ええ、余計な混乱を招くだけだもの。でも使徒についてはほとんどの人が知ってると思うわよ」
「…そうですね。あれだけでかいんですから遠くから写真を取ったって言う人も少なからずいるでしょうし」
「エヴァも普通にばれてるだろうな。あのでかさに、製造に関わってる奴も大勢いる」
ゼルエルがペンペンの手(…翼か?)を振りながらこちらの会話に混ざってきた。
「ま、そんな話はいいじゃない。それよりもはい、これ。シンちゃんが転入する学校の生徒手帳。学生服も明日には届くわ」
「本当ですか?それなら明後日あたりから行けそうですね」
「ちゃんと勉強しとけよ?シンジ。これから使徒がわんさか来て勉強できなくなるからな」
「う、やっぱそうなのかな。そんな気はしてたけど」
ゼルエルはからかうように手をわきわきさせて僕に厭味ったらしい顔を向けてくる。いらっとするからやめてほしい。
「そういえばゼルエルは学校行かないの?」
「いかん。めどい。遊びたい」
「おいこら」
「いや、そうは言うがよ、俺が学校行っても学ぶこととかないぜ?俺超頭いいしな。それにビアンカ助けなきゃだし」
「ぐ、確かにゼルエルは頭いいけど…。いや、ちょっとまって。ビアンカは関係なくない?」
「うるへー。ジャミにさらわれたビアンカを助けるんじゃー」
「ジャミはよく分からないバリア張ってるから正攻法じゃ絶対勝てないよ。まあビアンカが天空の勇者の子孫だからバリア破れるし、そんな心配しなくていいけど」
「すっごいネタバレ!?」
ふざけんなー、とソファにダイブするゼルエル。ゼルエルは純愛派なのでビアンカを選んでいる。僕は利益重視なのでフローラを選んだ。
僕たちにも違うところもちゃんとあるのだ。
「何かやる気出ねー。この前手に入れたダイヤモンドネイルは誰にも装備できないし」
「あれデボラ専用武器だからね」
「デボラ?ああ、あのお前が将来付き合いそうなツンデレか。えー、あいつにしか装備できないのかよ」
数日後
「お前は明日から学校か?」
「うん。お土産買ってくるね」
「学校のお土産って何?」
「さあ?」
続くのかなぁ?