特別S級隊員比企谷八幡   作:ケンシシ

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三浦優美子③

三浦は注文した飲み物を一口飲むと話し始めた。

 

回想

 

『あんさぁ、話しがあるんだけど』

 

来馬隊所属の村上とオペレーターの今の説教が終わった後に三浦と海老名は葉山、雪ノ下、由比ヶ浜を隊室に呼んでいた。

 

『何かしら?三浦さん』

 

『分からない?今日のヒキタニ君と戦うのを私と三浦さんも知らなかったんだけど』

 

『あーしらが知らなかった理由はなんだし?」

 

きつい表情で問い詰める2人。

 

『それは職場見学の時に話さなかったかしら?同じ総武生徒同士のが生徒にわかりやすいと思っただけよ』

 

『それは戦う理由で隠してた理由じゃないでしょ?』

 

海老名が冷静に言う。

 

『そ、それは私が原因かも……』

 

おずおずと由比ヶ浜が言う。

 

『どういうことだし……』

 

『実は前にさ、ヒッキーにある事でお礼が言いたくて放課後に呼んだんだけど無視されたんだ。』

 

『ヒキオが?信じられないんだけど。確かにヒキオは捻くれてるし目も腐ってる。だけど話しかけられたら無視するなんてしょうもないことはしないでしょ』

 

三浦が睨みながら言う。

 

『それで彼女は私のところに来たのよ。それで私が提案したのよ、仕返ししないか?って』

 

『どうしてそうなるし』

 

雪ノ下はやれやれといった感じに

 

『分からないかしら?目には目を、歯には歯を。やられたらやり返すのが私の座右の銘なの』

 

『何で結衣は私たちに相談してくれなかったの?確かに私達が話したのは2年からだけど、そんなに信用できなかった?』

 

海老名が聞く。

 

『そ、そうじゃなくて…….』

 

結衣がもじもじと煮え切らない態度をした瞬間

 

『あぁもう!!はっきりするし!!あーしらはそんなに信用なかったん!?友達と思ってたのはあーしらだけだったん!?』

 

ついに三浦が吠えた

 

『優美子落ち着け!!』

 

葉山が声をかけるが

 

『隼人も隼人だし!!結衣ができなくても隼人があーしらに相談なりなんなりしてくれれば良かったんじゃないん!?』

 

『そ、それは……』

 

葉山が口ごもると

 

『それは私が止めたのよ。由比ヶ浜さんもね』

 

『どういう事?』

 

海老名が俯きながら聞く。

 

『単純よ、貴女達に話すと周りの目も気にせず、あの腐った男に問い詰めそうだったからよ。それを由比ヶ浜さんは嫌がったの』

 

『ごめん、優美子……』

 

『優美子、すまなかった』

 

由比ヶ浜と葉山が謝るが

 

『もう……』

 

『優美子?』

 

俯いた三浦に葉山が話しかけるが

 

『もういいし!!2人ともいつまでもその雪ノ下さんに縋り付いてればいいし!!』

 

三浦は怒りと悲しみが、ないまぜになって泣いていた。

 

『優美子、おちつ『触んな!!』

 

由比ヶ浜が三浦を落ち着かせようと肩を軽く押さえた瞬間強く振り払われた。

 

『あーしはもうこの隊を抜ける。今まで世話んなったし』

 

三浦は歯を食いしばりながらそれだけ言うと隊室を出て行った。

 

『私も隊を抜けるね。2人には……ううん、3人には心底ガッカリしたよ』

 

海老名も酷く冷めた目で3人を一瞥すると優美子の後を追いかけた。

 

回想終了

 

「これがあーしらが抜けた時の出来事」

 

「そうだったのか…」

 

「この後に来馬隊の人に謝って、姫菜と一緒にブラブラしてるとこをヒキオに助けられたわけ」

 

三浦は一呼吸置くと

 

「そういや、結衣が言ってたヒキオが無視したってどういうこと?覚えあるん?」

 

ふと思い出したかのように三浦が聞くと

 

「いや、覚えがない。そもそも由比ヶ浜を認識したのも割と最近だし」

 

「あーしはヒキオを信じるよ」

 

「なんでだ?」

 

三浦の言葉に少し驚きつつ聞くと

 

「あーしのサイドエフェクトがそう言ってるし」

 

「あぁ、なら仕方ないな」

 

「そうだし」

 

おそらく迅のセリフをパクった三浦に笑いながら2人は店を後にした。

 

「わんわん!!」

 

そとにでると東京ワンニャンショーの帰りだろうか、1匹の犬が八幡目掛けて走ってきた。

 

「な、何だこいつ!?」

 

「ヒキオ、凄い懐かれてるし」

 

擦寄るだけじゃなくしまいには腹をみせ、服従のポーズまでする犬に三浦が驚いていると

 

「サブレー!!」

 

犬の飼い主が走ってきた。

 

「すいません!!うちのサブ……レが……ヒッキーに優美子?」

 

「由比ヶ浜か」

 

「結衣……」

 

由比ヶ浜は信じられないようなものを見る目で2人を見る。

 

「そっかぁ……」

 

由比ヶ浜は俯きながら呟く

 

「結衣?」

 

「そりゃ恋人の事を悪く言われたら怒るよね」

 

暗い目をした由比ヶ浜が三浦を見ながら言う。

 

「はぁ?」

 

三浦と八幡、2人が同時に言う。

 

「気づかなかった私が悪いんだよね、ごめんね。三浦さん」

 

「ゆ……い……」

 

「名前で呼ばないで」

 

由比ヶ浜の冷たい声が響く。

 

「お、おい。由比ヶ浜?」

 

「比企谷くんも、さようなら」

 

そうして2人の前から由比ヶ浜は去っていった。


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