特別S級隊員比企谷八幡   作:ケンシシ

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三浦達が空気だが今回は仕方ないと思います。許してください。


玉狛支部②

「空閑にとっても良い話しだと思ったんだけど、何で断ったんだろ」

 

空き部屋で三雲が呟く

 

「……オサムには話しておこうと思う。ユーマがこちらの世界に来た理由を……」

 

 

空閑遊真のお目付役、レプリカが語るのは空閑の過去。心の傷の話し。

 

 

「悪いね、迅さん。せっかく誘ってもらったのに」

 

屋上では空閑と迅が話していた。

 

「別に構わないさ、決めるのは本人だ。後悔しないようにすれば良い……そうだ、それよりも聞かせてくれよ。おまえと親父さんの話し」

 

そして空閑は語りだした。自らの過去を……

 

 

空閑の過去はこうだ。空閑親子とレプリカは近界を度々してまわっていたが今から四年ほど前はある国で戦争に参加していた。

 

その国の防衛団長と空閑の父親は旧知の仲で、昔世話になった恩と縁から空閑親子は防衛に力を貸していた。

 

だがある日、敵国がブラックトリガー使いと思われる刺客を雇ったという情報があり、空閑は戦闘に参加するなと言われていたが言いつけを破り戦闘に参加してしまった。

 

圧されていた戦況を覆そうと空閑はしたが返り討ちに合い命はそこで消えるはずだった。

 

しかし空閑の父親はブラックトリガーを作ることにより空閑の命を繋ぎ止めた。死にゆく体はブラックトリガーに封印され、トリオンで新たな体が作られた。そして父親は……塵となり崩れ去った。

 

ブラックトリガーと父親の『嘘を見抜く』サイドエフェクトを引き継いだ空閑はそれからおよさ3年間戦い続け空閑を強くしていった。

 

粘り強く抵抗した甲斐あり、敵国は侵攻を断念。後に講話によって戦争は終結。後にいくつかの国を渡り空閑はこちらの世界にやってきた。

 

「じゃあ空閑は元の体に戻るために?」

 

三雲が聞くが

 

「私はそうであったが、ユーマは違う。ユーマの目的はブラックトリガーとなった父親を元に戻すことだった。」

 

「それじゃ……」

 

先ほどの迅のブラックトリガーの件でボーダーにもそれは不可能と悟った空閑は

 

「ユーマは今、生きる目的を失っている。」

 

レプリカは一拍置くと

 

「オサムに頼みがある。ユーマに生きる目的を与えてやってほしい」

 

「生きる……目的……」

 

 

 

 

「あぁ、この何日かは楽しかったなぁ」

 

迅に過去を話し空閑は三雲と出会ってからを思い出し言うと

 

「そうか……これから楽しい事がたくさんあるぞ。おまえの人生は」

 

そう迅は空閑に告げた。

 

 

 

 

「(目的?いったいどうやったら……)」

 

レプリカに言われた事を考えながら三雲が歩いていると

 

「修くん、修くん。ちょっと良いかな?」

 

部屋から顔を覗かせた宇佐美に呼ばれた。

 

「ボーダーに入りたい!?おまえが!?」

 

「ごめん、あーしらがつい色々喋ったら食いついちゃって」

 

「アタシ的には千佳ちゃん大歓迎なんだけど、一応修くんにも報告しとこうと思って」

 

三浦、宇佐美が言う。

 

そして千佳は自分も遠征に行き拐われた兄や友達を探したいと言う。

 

「A級ってテレビに出る嵐山さん達や昼間の人達と並ぶってことだぞ」

 

「それに遠征先は選べないからね。お兄さん達を攫った国には行けないかも」

 

三雲、宇佐美が言うが

 

「でも、じっとなんてしてられないんです。ちょっとでも可能性があるなら……」

 

強い目で言う雨取に

 

「そっかぁ、じゃあどうしようか。うちは精鋭だから新人が入れないし……」

 

「あーしらの隊も人数カツカツだしね」

 

宇佐美は少し考えたのち

 

「本気で目指すなら本部でチーム組んだ方が良いかな。アタシは千佳ちゃんにこっちに来てほしいけど」

 

その話しを聞いた三雲は

 

「千佳、ちょっと来てくれ。相談がある」

 

そして三雲と雨取は空閑のいる屋上に行き

 

「空閑……」

 

「おー、修どうした?」

 

そして雨取とともにチームを組み雨取の兄や友達を救うため遠征部隊を目指す事を話した。

 

「レプリカから話しは聞いた……」

 

「そうか、俺はこっちでやる事なくなっちまった」

 

そう言う空閑に

 

「ならおまえの力を貸してくれ!、俺たちには力強いリーダーが必要だ」

 

「……オサムは世話焼きなとこが親父に似てる気がする、損得考えないとことか。なぁ、何でオサムは人を死にかけても助けるんだ?見捨てれないタチなのか?」

 

空閑が聞くと

 

「そんなんじゃないよ、自分が『そうすべき』と思った事から1度でも逃げたら、本当に戦わなきゃいけないときに逃げてしまう。そういう人間だって自分が良く分かってるからさ。だから僕は自分のためにしてるんだ」

 

「なるほど、でも逃げないといけない時に逃げないと、いつか死ぬぞ?」

 

空閑の言葉に詰まる三雲だが

 

「さて、じゃあ俺も手伝うか。ほうっておくとオサムもチカがすぐ死にそうだし。部隊ってのも楽しそうだ」

 

そして結局、空閑と雨取の推薦により後に玉狛所属となる三雲修率いる部隊の結成が約束された。

 

「迅さん、この事予知してたの?」

 

「言っただろ?楽しい事がたくさんあるぞって」

 


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