「そうかそうか、千佳ちゃんと言うのか。凄いトリオンの才能だね。ご両親に感謝しなきゃだよ」
「は、はい」
三雲達がスナイパーの訓練場に飛び込むと意外な光景が見えた。雨取は椅子に座り、鬼怒田がべた褒めしていた。
「鬼怒田さんはロリコンだった!?」
「離れて暮らしている娘さんを思い出しているのだろう。ちょうど同じくらいじゃないか?」
ロリコンの疑惑をもつ佐鳥に東が説明する。
「千佳!!」
「あっ、修くんに遊真くん」
「……む?」
三雲達が千佳に駆け寄る。
「三雲?……そうか玉狛に転属しおったのか。こらメガネ!ちゃんと面倒みらんか!八幡が防いだから大事にはならなかったものを!!」
「は、はい!すみません」
三雲に気合いを入れた鬼怒田は
「そうだ、八幡。これから会議じゃ、行くぞ」
「お……分かりました。じゃあな、雨取に三雲達も」
そして鬼怒田と八幡は訓練場を後にした。
それから玉狛の新人の噂は一気に広まった。
『戦闘訓練で1秒を切った奴がいる』
『玉狛にはトリオンモンスターがいる』
『B級下位でA級の風間隊長と引き分けた』
「3人が注目されるのはこれからだ」
迅は電話相手に楽しそうに告げるのだった。
玉狛新人の3人が鮮烈なデビューをしてから数日たった。
「ふーむ、満点だと訓練1つで20点か、前回の戦闘訓練と今回の合わせてプラス100点……となると4000点超えるには……」
戦闘訓練の地形踏破、隠密行動、探知追跡の訓練を空閑は軽々と満点を取っていたが、
「合同訓練は週2回、満点を取り続けて19週間くらいで4000点になるね」
横についていた時枝が教える。
「19週間って何日?」
「133日」
「そんなに待てんなぁ……となるとランク戦で稼ぐことになるわけか」
そしてランク戦について教えてもらった空閑は
『ドンッ!!』
『バンッ!!』
『ズバンッ!!』
空閑いわく、新三馬鹿をテンポよく倒した空閑は
「訓練よりこっちのが断然早いな」
「取りすぎて心を折るなよ」
レプリカにたしなめられながらもランク戦を始める空閑であった。
「あれが空閑の息子か」
「そう、空閑遊真。なかなかの腕だろう?」
司令室で訓練の様子を見ていた林藤や城戸
「風間、お前の目から見て奴はどうだ?」
「確実なことは言えませんが明らかに戦い慣れた動きです。戦闘用トリガーを使えばマスタークラス以上8000点以上の実力はあるでしょう」
風間が率直に答える。
「なら一般のC級隊員と一緒にしたのは不味かったかもしれないな。木虎や小町ちゃんみたいに最初から3000点超えさせて早めにB級にあげるべきだったな」
忍田が呟く
「そうしたかったのは山々だけど、城戸さんに文句言われそうだったからな〜」
「なぜ奴はブラックトリガーを使わない?昇格するならS級になるのが一番早いだろう」
林藤の言葉を無視して城戸が言う。
「またまたぁ、色々難癖つけてブラックトリガー取り上げるくせに〜。ブラックトリガーの使用は許可しないとか言っちゃってさぁ」
城戸はそれには答えず
「あの比企谷並みのトリオンモンスターにブラックトリガー持ちのネイバーを組ませてどうするつもりだ?」
「べつに何も考えてないよ、俺や迅がいつも何か企んでいるとか思ってない?……チーム組むのもA級目指すのも全部本人達が決めたことだ」
林藤は一息つくと
「千佳の兄さんと友達が近界民に拐われてあの子は2人を取り戻したい。遊真ともう1人のチームメイトの修はそれに力を貸してやってるだけだ」
「色々バカげてるな、近界の特徴から探すのは困難を極め、生きてるかも怪しい。現実的ではないな」
城戸が冷たく言う。
「だから助けに行くのをやめろと?可能性で論じれることではないだろう」
「世界は子どもが想像するより残酷だと言うことだ」
「でもまぁ、救出だろうが復讐だろうが目的があった方がやる気だすでしょ」
忍田、城戸、林藤が話していると
「どもども、遅くなりました。実力派エリートです」
迅がやってきた。
「よし、揃ったな。本題に入ろう。今回の議題は近く起こるネイバーの大規模侵攻についてだ」