「ぐっ……」
ランバネインは高揚していた。
「よもや玄界のトリガーがここまで進歩しているとは」
「……」
烏丸はひたすらに機動戦特化で攻撃を繰り返す。アイビスしかりマステマしかり……大きな砲身をまともに使われたら押し切られる可能性があるからだ。
「このままでも少し我慢すれば終わるだろうが……それではつまらんな」
ランバネインはすでに烏丸のガイストの弱点を見抜いていた。それは強化部位からのトリオン漏れによる時間制限……ランバネインはそれが発動者にあってないかもしくは完成しきっていないトリガーだと考えていた。
「こちらからもしかけさせてもらう」
そうランバネインは告げると飛行形態を使い飛び上がり
「ふっ……」
ついにその主砲が放たれた。
「くっ……」
烏丸は機動戦特化のまま何とかかわすが己の絶望的なまでの不利に冷や汗を流していた。
「まだまだ楽しませてくれ、玄界の戦士!!」
「中々厄介だな……」
レイジはヒュースの鉄壁の如き盾に攻めあぐねていた。
「『ランビリス』……」
ヒュースはシールドに回してない破片を刃にまとめ放った。
「攻防一体ぶりはフルアームズ以上か……」
展開していたシールドで防ぐがレイジもまた不利な現状に立たされていた。
「ほぅ……敵に囲まれなおかつ、片足を失ってなおこの気迫……幾人といない猛者ですな」
ヴィザは八幡が戦意を失わないどころか、さらに気合いが入った様子を見て賞賛する。
「……ミラ、他の状況は?」
「ランバネインとヒュースが交戦中、放っていたトリオン兵はまだ多くいますが防衛線を張られ突破できない模様……っ!」
説明していたミラに向けて弾丸が飛んできたがそれをヴィザが弾いた。
「新手のようですな、こちらは私が片付けておきましょう」
そしてヴィザが見つめる先には
「八幡!!まだ生きてるわね!!」
「お兄ちゃん!!」
「八幡!?無事であろうな!!」
小南と三浦隊のメンバーが到達した。
「お嬢さん方、ここから先に行かせるわけにはまいりませんな」
「そこをどくし!」
「『星の杖(オルガノン)……」
「危ないっ!!」
突っ込んでくる三浦に向けてヴィザのトリガーが発動するが小南がすんでのところで三浦を止めた。
「うわっ……」
「何という……」
小町や材木座の目に飛び込んできたのは一瞬で周囲が破壊された光景だった。
「これは不味いわね……」
小南は内心冷や汗をかいていた。広範囲を一瞬で破壊するトリガー……まともにぶつかっては双月も耐えられないだろう。そして三浦隊ではもちろん実力不足であるし、ノーマルトリガーではもちろん耐えられないだろう
「行くぞ……ハウンド」
そして八幡は動き出した。ハイレインの特徴は分かってきていた。
「ふっ……ミラ」
「はい」
ミラは自身のブラックトリガーたる影の窓口(スピラスキア)を展開、ハウンドの大部分を大窓で吸い込んだ。
「ちっ!ワープトリガーか」
八幡は奴らが現れた時も思っていたがワープするトリガーを持っていることを確信した。
「くっ……」
マステマに搭載されているシールドを使い防ぎながら回避したがハウンドに紛れハイレインに操る動物弾も混じっており、シールドは喰われマステマ自身もボロボロとなっていた。
「仕方ないか……メテオラ」
八幡はマステマのメテオラを撃ち出さずに展開、それをハイレインたちに投げ放った、
「無駄よ……」
それをミラは再び窓で奪おうとしたが……
「弾けろ」
それは窓の手前で大爆発を起こしハイレイン達の視界を奪った。