Japanese in THE ゾルザル   作:連邦士官

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黒い学者

資金繰りが悪化してしばらくたった時だった。

会計の部門になっていた亜人を集めて何か良いアイディアがないかゾルザルは聞くこととした。

 

要塞の本来ならば作戦を考えるべき場所で会議は行われていた。

「金が無いから金になりそうな案は無いか?」

ゾルザルが聞いてもなかなか答えてくれなかったので

 

「ここに報酬がある。一番良い答えを出したものにやる。」

ゾルザルは自身が身に付けていた剣を差し出すことにした。

 

皇太子から直々に剣を下賜されるのは、名誉な事でありキールすら受けた事がない為に次期の要職候補になれると皆が考えて案を出した。

 

しかし、皆似たような案で金が稼げそうに無かった。

ゾルザルやキールが唸っていると一人の学者が入ってきた。

 

「殿下、この数式について教えていただきたく来ました。」

この若い学者は数式について聞きに来たのだがあることに気が付いた。

 

「この板は何ですか?」

学者は算盤を片手に聞いた。

 

「確かに何時でも聞きに来いとは言ったが今は駄目だ。」

ゾルザルは学者を追い出そうとした。

「学問とは探求に今があるのです。今は何をしてましたか?」

学者は平然としていた。

ゾルザルとの暮らしの中でゾルザルは何をしても大して怒らないことが分かっていたからだ。

 

「今は資金集めに忙しい。その手に持っているのは計算に使う道具だ。その道具があれば、投石機の計算は楽に出来る。その数式は円周率と言って円についてのものだ。」

早く帰ってくれとばかりにゾルザルは答えたのだが、この学者はある事に気が付いた。

 

「殿下、この計算器と計算法を売り出しては?」

学者の言葉にその場は静かになった。

 

「……売れるのか?」

ゾルザルは聞いてみた。

 

「売れます。これを商人に作らせて専売しましょう。幸い、教えられるのはここにいる者だけです。つまり、売れれば売れるほど教えるのは我々だけで算盤を買うのは免許制にして一人原則ひとつまでにしましょう。」

学者の発言にキールが反論した。

 

「しかし、直ぐに真似されてしまい我々は売れなくなる。」

そうだよな等のキールに対しての賛同の声に学者は答えた。

 

「カーディナル卿、それは至って簡単な事で解決します。殿下が紋章を作りそれを算盤に印として刻み、更に作った分だけ数字を入れておけば管理できます。真似をすれば皇族侮辱罪として裁けばよろしいのではないでしょうか?」

学者に対して冷ややかな目をキールはぶつけた。

 

「それをしたとしても、紋章を刻まなければ真似をするのは簡単では?」

キールはそう言ったが学者は

 

「我々、学問の徒は外聞を気にしませんが商人は見栄、はったり、計算でなりたっているので殿下の算盤を持つのが一流だと考えさせてしまえば、皆こぞって買うことでしょう。」

学者は堂々とそう答えた。

 

「商人とは貴族と似たようなものなのだね。」

キールは感心したようで、ここには学者に反対する人は居なかった。

一つ、学者の意見で問題があるとすれば算盤にどう付加価値をつけるのかと言う事かであった。

 

「君の名前を教えてくれ。」

ゾルザルはこの活躍した学者に名前を聞いた。

 

「殿下、私の名前はホナーイ・エル・ドラードといいます。」

学者の名前が分かったところでゾルザルは

 

「そうか、ドラード。この剣を受け取ってくれ報酬だ。」

その申し出にドラードは

 

「殿下、有り難く受けとります。」

片膝をついて剣を受け取ると

 

「この案が成功した時には是非、私の研究費を増やしてください。」

と告げて頭を下げて去っていった。

 

「羨ましい。」

ボソリと呟きキールがゾルザルを見つめるのを見て、巻き込まれない為に亜人達はいつもの様に仕事に戻っていった。

 

キールと二人きりになるのに恐怖を感じ、ゾルザルは直ぐに用事があると城へ向かった。

キールは部屋に一人になるとゾルザルの座っていた席に座った。

 

(キールは怖すぎる。)

次第に道中の馬車で硬いクッションに揺れすぎる馬車、どうすれば馬車が良くなるか考えていた。




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