ダンジョンでLv.6を目指すのは間違っているだろォか   作:syun zan

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小人〈パルゥム〉

怪物祭でのモンスター脱走事故から数日。

いくつもの小路が入り組んだ路地裏を、オレは歩いていた。

ゆっくりと日は傾いて、空は茜色に染まっている。

好きなように歩いていても、その辺のアホどもが関わってこねェってだけで、この世界の良さが分かる。

静かな散歩も十分に気晴らしになるってもンだ。

しかし、その気分をぶち壊す雑音が耳に入ってくる。

「ン?……足音か。全く、気分を害してくれるじゃねェか」

前だったらスクラップだぜ。と小さく呟きながら、オレは音に対する能力の設定を()()に変更する。

ここ最近の怪物退治と、普段からの解析の結果として、オレはベクトルの向きを、90°か180°かの二択ではあるが変換できるようになった。

反射が戻ってきたのはこういう時に役に立つ。

今までの能力(チカラ)だと、音がめちゃくちゃに跳ね回った挙句、元より数段不快な音が耳に入ってたからな。

まァ、そうやって不快な音を排除すると、オレは再び歩み始める。

すると、角まで来たあたりで、腰のあたりに小さな影がぶつかってきた。

「~~!?」

当然、ぶつかった衝撃は反射され、小さな影の方が地面に倒れる。

試しにそっちに視線をやってみると、1つ1つのパーツを縮小したような小さな人間がいた。

(……このサイズ、小人族(パルゥム)か。音楽が大好きで、あまり戦いには向いていない亜人(デミ・ヒューマン)だっけか?)

視界の端でピクリとも動かないその小さな体から目を離す。死んだか、気絶しているか、騙し討ちのために狸寝入りをしているか。

まァ、何れにせよぶつかってきたのは向こうだ。助けてやることもないだろう。

「~~~~~~、~~~~~~~~~!!」

そう思って立ち去ろうとすると、道の奥から一人の人間が現れる。

目をギラギラと光らせた、齢20ほどの冒険者風のその男は、割とデカ目の剣を背中に差し、言うまでもないがオレよりガタイはいい。

「~~~~~~~~~~……!」

顔を真っ赤にしたその男は、怒りに燃えた表情で、こちらへ近づいて来る。

「~~~!~~~~~~~~!!」

何かを言ったらしく、口をパクパクさせると、その男はオレの肩を掴もうとしてきた。

そして、その指はオレの反射膜に触れると同時に外側に折れる。

「~~!!~~~、~~~~~~!!」

男は指を押さえ、その怒りに満ちた眼差しをこちらに向けてくる。

オイオイ、こっちにも攻撃するつもりかよ。

まァ、肩を掴もうとした時点で決まってンですけどねェ。

スクラップ確定か。

じゃあ、辞世の句か、断末魔ぐらいは聞いてやるか。

「オイ、テメェ。今からテメェの言葉を一言だけ聞いてやる。存分に醜く無様に言い訳してみたらどうだ?」

「く、くそが!この化物がぁ!!そいつを庇うとどうなるか思い知ることになるからな!」

男は顔色を青くし、そう叫ぶと、後ろに向き、一目散に退散しようとする。

「……チッ。あァ、興が冷めた。つまんねェなァ」

が、しかし、

「だからただ殺すだけの屠殺は嫌いなンだっての」

その走りは、あまりにも遅い。

オレは一歩で相手の前方に回り込み、石畳の地面に男の顔を叩きつける。

見事に耳までめり込んだ男をその場に放置し、ちらりと奥の、もう一人の気絶者の居た場所に目を向ける。

そこには、既にパルゥムの姿はなかった。

おそらく、もうどこかに行ったンだろォな。

多少、こっち側(あくとう)の臭いがしたのが気にはなるが……まァ、オレにはもう関係ねェだろ。

そう考え、オレはそのまま踵を返し、日が完全に暮れる前に廃教会(ホーム)に戻ることにした。

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