ある探偵事務所でトップの成績を収める5人のチームのお話。彼らのリーダー香風シュウのライバル花開院ミソギが変死した理由とは?最年少探偵、愛島スズカの兄弟の絆は?是非本編を読んでいってくださいな(^^)
兄様、私たちはどこで道を間違えてしまったのでしょう。
行方不明になった兄を捜すため、私は愛島組組長兼探偵の仕事をしています。
名前は愛島スズカ、兄は愛島シンスケ
私と兄は6歳違いで、とても優しくて大好きな自慢の兄です。
そんな兄が行方不明になって・・・
今日も探偵事務所でだらだらしている暇人に混ざっている
そんな中、メンバーの一人香風シュウに電話がかかってきた。
シュウは大学の教授兼探偵でリーダー的なおっさん・・・まぁ、若いのは私ともう一人しかいないのだけど。
あとは麻婆豆腐専門店八極軒のオーナーで危険物大好きな言峰ハンス綺鳴、面倒くさいからハンス。それと碇谷マーボ、二階堂カズナ、それに私がいつものメンバー。
マーボは簡単に言えば浮浪者です、最近八極軒の雇われ店長になったらしいけど。
「なんだって!?アイツが死んだ!?」
シュウが電話に向かって叫んだ。
皆は手を止めてシュウの方を見る、どうやらシュウの知り合いが亡くなったらしい。
「死因は!?あんなゴキブリを人間化させたような奴が簡単にくたばるわけない!!」
・・・なんて扱いなのでしょうか。
待って、あれ、シュウにこんな言われようなのってまさか・・・
「ああ・・・すみません。はい、はい、それでは・・・とりあえず研究室に・・・はい。」
さっきまでの勢いが嘘のようにシュウはソファに倒れ込んだ。
「シュウ、何があった?」
「アイツが・・・花開院が死んだ。」
ハンスの質問に答えたシュウは抜け殻のようだった。
「嘘でしょ、あんなゴキブリが死ぬなんてあり得ない」
「死んだのか、ケーキ食べなきゃ」
「誰それ?そんなことより麻婆豆腐食べたい」
言い忘れていたけど、この探偵事務所は花開院ミソギ(けいかいん みそぎ)が好きではない。私にいたっては大嫌いです。
それでもシュウとはいいライバルだった。
皆で話している(バカにしている)とシュウは黙って出て行ってしまった。
相当ショックだったのだろう。仕方ない好きではないが、これでも大学の頃教わっていた先生だし、シュウの友達なら手伝ってやるか。
「シュウ!待て!!」
そういって私も探偵事務所を後にした。
「なんだよ、またバカにしにきたのか?」
「そんならわざわざ追いかけて引き止めにこないわよ。」
「だったら何?俺は一人でも調べるぞ」
「手伝ってやるっていってんの。悪かったよ、皆で調べよう?」
「・・・俺こそすまん、ちょっと気が立っていた。」
「友人を亡くしたんだから気にしなくていい。さっさと事務所戻って作戦会議よ」
気落ちしたシュウは気持ち悪い。さっさと片付けよう。
シュウを連れて探偵事務所へ戻ってくると心配そうなメンバーが話しかけてきた。
「悪かったなシュウ、お前の気持ちを考えずに・・・」
「俺まずそいつ知らn・・・」
「空気よめバカ」
ハンスがマーボに蹴りを入れる。
「まったく・・・で、どうするの?」
カズナがまとめる。うん、いつも通りだ。
「俺は花開院の研究室へ行く。お前らは、花開院の自宅を当たってくれ。」
「「「「ラジャー!」」」」
所変わって花開院の自宅、インターホンを押すと少し窶れた声の女の人が出た
『どちら様ですか』
「花開院先生の教え子の愛島スズカともうします。」
『お引き取り下さい』
「お願いします少しでいいのでお話を・・・」
『お引き取り下さい!あなた、失礼だとは思わないの!?』
「・・・失礼しました」
仕方ない、とりあえずシュウに電話しないと・・・
ったく、夫も夫なら妻も妻だな。
まぁ、私も悪いけどさ
prrrrrr,prrrrr
『おう。なんかわかったか?』
「全然だよ、分かるどころかアイツの嫁家にすらいれてくれない」
『ちっ・・・間違えたな。俺がそっちに行くべきだった。とりあえず、事務所に集合だ。俺の方はまだ終わってないから少ししたらそっち行く』
「おっけ、じゃあ先に戻ってる」
pi
さて、帰るか。
「マーボ、空き缶拾いはいいけどそんなに金にはならないよ」
「え、まじで?」
事務所にて
「結局何も分からなかったわね」
カズナは少し疲れたようだった
「そうね、ってかあんなゴキブリに奥さんがいたことに驚いてる」
「スズカ・・・本当に嫌いなのね」
「話し方から気に入らないわね。あのねっとりしてて人をなめ腐った話し方にゴキブリみたいな目で見られる・・・最悪だわ。あとシュウとアイツの言い合いもね・・・」
「言い合い?」
「私あの大学出身だから調査の時よくシュウとアイツのところ行くのよ。そこで繰り広げられるバカ二人の言い合いが幼稚なのに腹の探り合いでイライラしてくるのよね。」
「そ、そうなの・・・大変ね(この子本当に嫌いなのね・・・)」
そんな話をしているとドアが開き、シュウが帰ってきた
「おかえりーどうだった?」
ハンスは場の空気を盛り上げようと明るめに話しかけたが、シュウは深刻そうな顔をしながら言った
「花開院が死んだのは本当だった。死んでいたのは比那名山、死体は首から上がまだ見つかっていないそうだ」
「変死・・・」
「だな。無様なもんだ」
「比那名山・・・」
「スズカどうかした?」
「いえ、なんでもない」
そういったスズカは少し険しい顔をしていた
「ゴキb・・・じゃなかった花開院先生の遺体は今どこに?」
「大学病院だ」
「そう、首がないならまだ家族にはあわせられないものね」
「あと、研究室で奴が管理していた魔術書が無くなっていた。警察は気づかないだろうがな」
「他殺かな?」
「そうだろうな。どちらにせよ、まずは家に行ってみないとな。魔術書も持ち帰ったのかもしれないし」
そういうとシュウは指示を出した
「今日俺が分かったことを話す。まず、花開院の遺体には首がなかった。あと、研究室から魔術書が一冊消えていた。おそらく誰かが持ち去ったんだろう。お前らの方は家に入れなかったらしいから後で俺がまた行く。今日はもう遅いからお開きにしよう」
頼りになるリーダーだ、だけどもう少し頼ってくれてもいいのに。一番辛いはずのシュウが今一番無理している。
なにもできなくてごめんね
「うっし!じゃあまた明日!!」
「あ、俺麻婆豆腐食べたい!」
「作ってやるからもう少し我慢しろ」
「私が作った激辛クッキー食べるか?胃が荒れて食欲も吹き飛ぶぞ」
「勘弁してください」
そしてまた夜が明ける
「おはよーさん。お、早いなシュウ」
「ああ、おはよハンス。昨日はここに泊まったからな」
「そうかそうか・・・なぁ、シュウよお」
「あ?なんだ??」
「お前、ちょっと頑張り過ぎやしねぇか?気の合う友人亡くしたんだ。無理してでも調べたいのはわかるが、あんまりやりすぎるとお前もお陀仏だぜ」
「気の合う友人だぁ?笑わせんな。俺はアイツを俺の手で殺してやりたかっただけだ。逆に俺を殺していいのもアイツだけだ。それなのに勝手にくたばりやがった」
「いい友人じゃねぇか」
「だから友人じゃねぇって言ってるだろ!」
「はいはい」
ドアが開くとスズカ、カズナが入ってきた
「おはよー眠いからソファ空けてくださいますー?」
「スズカ、入ってきていきなりそれか」
「だって今日ゴキブリハウス行くんでしょ?少しでも寝ておかないとあそこの奥さん話すのにこっちが体力削られるんだもん」
「お前、ことごとくアイツのことゴキブリ扱いだよな」
「嫌いだもん」
「はっきり言ってやるな」
「それよりマーボは?」
そのとき、外からガラガラと何かを引きずるような音がした
「あの・・・この音って・・・」
カズナが口を開いたとき、事務所のドアが大きな音をたてて開いた
「おはよー!!空き缶たくさん拾ったよ!!!」
その後、マーボがフルボッコにされたのは言うまでもない
「で、今日は花開院の自宅捜査だが、一回お前らがヘマしてるからな・・・今回は俺とスズカで行く」
「私たちは?」
「マーボは好きにしろ、邪魔はするな。カズナとハンスは受付を頼む、他の依頼者が来た時にバカ一人は不安だからな」
「「了解」」
「じゃあ行くぞ」
「はいよ」
「いってらっしゃい。気をつけてね」
ピンポーン・・・
『はい・・・』
「こんにちは、花開院先生と同じ大学で教鞭をとっている香風という者ですが」
『香風先生?』
「はい、少しお話を聞かせていただきたく」
『・・・少々お待ち下さい』
しばらくするとドアが開き、中から隈のひどい若い女性が出てきた。彼女が花開院の奥さんのサキさんらしい。
「ねぇ、シュウ?」
「なんだ?」
「花開院先生犯罪者?ロリコン?」
「・・・ちょっと黙っとけ」
そうしていると声をかけてきた
「直接お目にかかるのは初めてですね。主人から話は聞いています。私は花開院サキ、ミソギの妻です。」
「初めまして、香風シュウです」
「申し訳ありませんが今は体調があまり良くなくて・・・」
「お辛いのは分かりますが、少しでも彼の部屋を調べさせてはいただけませんか?彼が亡くなった理由を知りたいのです」
「勝手に人を部屋に入れると彼に怒られてしまうので・・・」
「しかし、調べないと分かりません。彼の死因、ご存知ですか?」
「え?」
「変死だったんです」
「変・・・死?どうして?」
「それを知りたくてここを訪れたんです。他に誰かここに来た人はいますか」
「はい、昨日探偵をしているという生徒さんが」
「警察は?」
「来ましたが、お引き取り願いました」
「早くしないと警察が来てしまう。そうすると彼らに証拠や原因が分かるものを全て持っていかれてしまいます。お願いします。友人として、彼が亡くなった理由を調べさせてください」
こんなに必死なシュウは初めて見た。いつもは喧嘩ばかりしていたけど、花開院先生と仲よかったもんな・・・
「私からもお願いします」
「あなたは昨日の・・・」
「昨日は失礼いたしました。私は香風と同じ事務所の愛島スズカです。香風は花開院先生ととても親しくしていました、よく二人で研究室でつまらない喧嘩をしていたのを思い出します。最愛の人を亡くしたのはお辛いでしょうが、どうか、香風の大切な友人が亡くなって辛い気持ちもご理解いただけませんか」
「スズカ・・・」
「・・・わかりました、こちらへどうぞ。それと、先日はこちらも失礼いたしました」
やっと部屋に入れてもらえた。
机にはパソコン、ペン、本など至って普通のものがおいてある
「パソコンを開いても?」
「ええ、どうぞ。ロックがかかっているかもしれませんが・・・私はパスワードを知らされていませんので・・・」
「結婚記念日はいつですか?」
「6月15日です」
<パスワードを入力してください>
0615
<パスワードが違います>
<パスワードを入力してください>
kahuukutabare(香風くたばれ)
「おい」
<データを読み込んでいます>
「マジかよ」
「あったりー♪」
「なんだかなぁ・・・俺は本棚調べるから、なんかあれば呼んでくれ」
「あいあーい」
「サキさん、彼の日記とかってありますか」
「ええ、あの人は毎日つけていましたから。これです」
そこには中学生から大人になるまでのことが書かれていた
『あの山で、比那名山で両親が死んだ。死体は原型をとどめていなかったらしい。殺した奴が憎い。黒ずくめの女が目撃されたという、きっとそいつが犯人に違いない。』
「比那名山・・・だからあいつはあそこに?」
『今までずっと調査をしてきたが、進展がなかった。しかし、ある日女性が一人訪ねてきた。彼女は洋館に真実があると伝えてくる。洋館にはもう何十年も人がいない。比那名山では愛島夫婦が死亡している』
「・・・!?」
「なにー?なんかあったー??」
「い、いや、なにもねぇよ」
『そして愛島家の長男も4年前に行方不明』
そして最後のページ
『これを読んでいるエリート様に告げます。私はもう戻ってこないでしょう。ですからこれ以上この世界の闇に首をつっこむのはやめた方がいい。私もエリート様も、闇に入りすぎていい思いをしたことなど一つもなかったでしょう。ですから、終わりにしましょう。エリート様を残していくのは不本意ですが、私はけじめをつけに、一足早くいってきます。エリート様の顔を見なくてすむと思うと清々します。どうか長生きでもして私をゆっくり休ませてください。ではご無事を祈ります。いつかこっちに来た時はまた・・・』
その先は切り取られていて読めなかった
「くっそ・・・あの野郎・・・」
「シュウ、泣いてるの?」
「泣いてねぇよ・・・」
「そう・・・」
「パソコンにはなんかあったか?」
「特に何もないな。比那名山の中にある洋館の写真っぽいのがゴミ箱から出てきたけど」
「サキさん、これ借りてもいいですか」
「構いませんよ。夫を・・・お願いします」
そういうとサキは頭を深く下げた
帰り道、シュウは助手席でぼーっとしているスズカに聞いた
「なぁ、スズカ」
「なーに?」
「お前、なんで比那名山の中に洋館があることを知っていた?」
「・・・」
「答えたくないか?」
「・・・いいよ。教えてあげる。どうせ知ってるんでしょ?私の父様と母様はあの洋館の持ち主と知り合いだった。で、その人が亡くなってからそこに花を置きにいくようになったの。その途中で、崖から落ちて死んじゃった」
「そうだったのか・・・すまん」
「いいよ。あと、お兄ちゃんがいるんだ。優しくてかっこ良くて誰よりも強い自慢の兄様なんだよ。でも兄様もどこかに行ったまま帰ってこないの」
「・・・」
「シュウなんか知ってるでしょ、ゴキの日記読んでから様子がおかしい」
「愛島って名前があったんだ、あいつの日記の中に」
「うん」
「そこに長男が行方不明って書いてあった」
「・・・うん」
「兄様はどこにいるんだろうね」
そう言ったスズカの目には涙がたまっていた
「花開院の両親はあそこで亡くなったらしい」
「そうなの?」
「ああ、奴が中3の頃にな」
「じゃあ、嫌だけど、私はあの人と似ているんだね」
無言になった車内には悲しく冷たい空気が流れた
その後二人は何も言わずに事務所へ帰った
「「ただいま」」
「おかえりなさい」
返事をしたのはカズナだけだった
他の二人はというと・・・
「いだっ!!ごめんなさいごめんなさい!!」
「もう一回言ってみろ!店長取り上げんぞ!?」
「勘弁してください!無職になってしまいます!!」
マーボはハンスによってズタボロにされていて、ハンスはフライパンを持って仁王立ちをしていた
「何やってんだあいつら・・・」
「さっきからずっとああなのよ、私的にはマーボが悪いと思うわ」
「だろうな、危険物大好き人間だが、あそこまで怒るのは敵に仲間をぶっ殺されたときくらいだから」
そしてさっきからうつむいたままのスズカにカズナが話しかける
「どうしたの?元気ないわね」
「そんなことないよ、少し疲れちゃって・・・少しあっちの部屋で休んでくる。結果報告の時はあれに呼びにこさせて」
そういうとマーボとハンスを正座させてお説教中のシュウを指差した。
「分かったわ、なにかあったら呼んでね」
察してくれたんだろう、カズナは優しい子だ。
「うん、ありがとう」
それだけ言うと、スズカは奥の部屋へ入っていった
「兄様・・・」
スズカは何かが切れたように泣き出した。
その手には幼い頃に兄と撮った写真・・・
笑顔のスズカと眼帯をした少し悪そうな高校生
スズカにとっては自慢の兄だ
「兄様ぁ・・・!!」
不安で仕方ない
prrrrr.prrrrr
スズカは自分の携帯から電話をかける
『お嬢様!いかがなさいました?』
「もしもしマリーネ?突然で悪いんだけど、比那名山について調べてほしいの」
電話の向こうで彼女の世話役、マリーネ・クルスが固まるのを感じた
「マリーネ?」
『すみません、お嬢様。それは私には協力できません』
「なんで?私の言うことが聞けないの?」
『申し訳ありません。ですが、あの山には行ってはなりません』
「だからなんでよ!」
スズカは立ち上がり、声を上げた。取り乱した様子にマリーネは驚いた。
スズカは今までで一度もこのような態度を取ったことがなかったからだ。
ずっと一人で頑張ってきた、部下への気遣いも忘れない、涙を見せたのは両親が死んだときと兄の行方が分からなくなったときのみ、それも自分の部屋で隠れるように泣いていた。
「・・・ごめんなさい、取り乱した」
『いえ、良いのですよ。・・・理由をお話しいたします。協力できないのはシンスケ様に止められているからです』
「兄様に!?」
『はい。お嬢様が比那名山について調べようとしたり出かけようとした時は何としてでも止めてほしいと』
「それはいつ頃?」
『シンスケ様がいなくなられる3日前でございます』
「そう・・・なの・・・」
スズカは再びソファに座り込んだ。
兄はいなくなっても自分を守ろうとしてくれている
そんな事実にまた涙が出てくる
『お嬢様・・・?』
「なんでもないわ。無理言ってごめんね」
『いいえ、良いのですよ。お嬢様の初めてのご自身の我が儘、聞いてあげられなくて本当に申し訳ありません』
「謝らないで。そうだ、今回の事件がちょっと難しいの。だから帰るのは遅くなる」
『かしこまりました。お嬢様、どうかご武運を』
「ありがとう、じゃあね」
それを最後に電話は切れた
同時にシュウが部屋に入ってきた
「終わったか?」
「待たせてた?ごめん」
「泣いてるぞ」
「・・・泣き顔なんて家族以外見せたことないのにな、ごめん」
「謝るなよ、仕方ないさ」
そう言ってシュウはスズカの頭を撫でた
撫でられるのなんて何年ぶりだろう
スズカは照れながらも拒むことはせずに撫でられていた
「この話、皆にするか?」
「今回の事件、兄様も関係してる気がするの。だから話さないといけない」
「今これを知っているのは俺だけだ。言いたくないなら言わないぞ?」
「もう大丈夫だよ、迷惑かけてごめんね」
「迷惑なんかじゃねぇよ。それに、こういうときはごめんじゃないだろ?」
「ありがとう」
「おう」
両親も兄もいた頃、スズカの毎日は笑顔で満ちていた。
全て無くしてからは、全く笑わなくなってしまっていた彼女
それを変えてくれたのはこの探偵事務所だ
機械的に仕事をするだけだったスズカに優しくしてくれた
第二の家族
「本当、敵わないな」
「さーてめぇら、結果報告のお時間だ」
「なんでそんなに海賊風なんだ」
「いいんだよ、さっさと始めろー」
「麻婆豆腐たべt・・・」
ガシャン!!
「ほらよ」
「マーボー!!!」
「で、だ。まとめるぞ?花開院の自宅に行ってきた結果、奴の両親が比那名山で亡くなっていることが分かった。そして奴も比那名山で亡くなっていた・・・日記には黒ずくめの女が目撃されたとかかれていた。あと、比那名山にある洋館が関係しているっぽい、奴のゴミ箱から写真が出てきた。それから・・・」
スズカがうなずく
「スズカの両親が、比那名山で亡くなっている」
一同は驚いた様子だった
亡くなっているのは知っていたが、こんなところで出会すとはいなかったからだ
「スズカの兄も関係していると思われる」
スズカは床とにらめっこしていた
静かになった部屋でカズナが言った
「でも!まだ生きているかもしれないでしょ!!」
「そうだな、探しいこう。どっちにしろ比那名山には行かなきゃいけないんだし」
スズカが初めて顔を上げた
「お願いします・・・!」
それは初めて、最年少のスズカが涙を見せた瞬間だった
「持ち物は全て持ったか?いざとなったら戦闘もある、武器になるものも持っていけ。黒ずくめの得体の知れない女もいるって情報もあるから気を引き締めていけよ」
「「「「ラジャー!」」」」
「目的は花開院の死因とスズカの兄の救出だ!!行くぞ!!」
比那名山へはシュウの車で向かう。
「マーボ、頼むから麻婆豆腐は置いていってくれ。臭いがつく」
比那名山入り口には捜査の為のテープが張られていた。が、その隣には顔見知りの刑事が・・・
「あ、やべ」
「どこ行くんじゃコラ」
「グエッ」
お分かりいただけただろうか
スズカに首を掴まれ、脅される不憫な姿を・・・
彼女は犬井警部。毎回この探偵事務所が首を突っ込む事件に関わっていてお友達(パシリ)になった
「今回は本当に協力できませんからね!!」
「花開院ミソギってのが死んだんだろ?アイツ俺と関わりが深くてな」
「だから何ですか!?」
「入れろよ、中」
「勘弁してくださいよ!人なんて入れたら私クビですよクビ!!!」
「いいじゃない、雇ってあげるよ?」
「本当やめてください!第一なんで毎回私のとこにくるんですか!!!」
「「「「脅しやすそうだから」」」」
「いや鬼かよ」
「いいからどけ」
「ちょっ・・・やめてくださいってば!」
必死で止めるが頭を掴まれるかわいそうな刑事
「痛い痛い痛い!!!分かりました!分かりました!!」
やっと離してもらえたようです
「いいですか?これは私の独り言ですよ?」
「おう、言ってみろ」
「左の入り口は人が足りてないようです、それに情に流されやすい人だからな・・・話をしたら簡単に入れてくれるかもなー・・・あれ?」
振り返ると颯爽と山へ歩いていくキチガイども・・・
「折角教えてあげたのに!!あーどうしようクビクビクビ・・・」
頭を抱えてしゃがみ込む犬井警部は今日も元気である
「あの刑事さんももうちょっと気をつけるべきね」
「不法侵入しておいて何言ってんだ」
「公務執行妨害で逮捕しないあたり本当に優しいよね」
悪魔達は警官とすれ違うこと無くスズカの案内によって洋館へたどり着いた
「鍵・・・」
洋館には鍵がかかっている
そしてなぜかドヤ顔をしたマーボが言った
「俺に任せろ・・・」
マーボは巧みに針金を操り、鍵の形へと変形させたのだった
「お前、そんな技術があったのか!!」
「ただ空き缶拾って終わりじゃかっこ悪いだろ?」
「見直したよマーボ!!」
「早速開けてくれる??」
ガチャ、ガチャガチャ・・・
「どうした?」
ガチャガチャ・・・グニャ
「開かなかったー♪」
「「「「・・・」」」」
”この言いようの無い怒りをどこにぶつければいい”
全員の気持ちが重なった
「・・・はぁ、ハンス、お願い」
「おう・・・」
ハンスはスズカからヘアピンを受け取り、静かに鍵を開けた
「さすがハンス!」
扉を開けて中に入る。
開けた先には白骨死体が・・・
「あるとは思ってたけど早速だな」
「頭、無いわね」
「これ・・・兄様・・・」
「「「「はっ!?」」」」
スズカは白骨死体に近づいて腕を指差した
そこには古びた腕時計
「これ、兄様の腕時計・・・」
「スズカ・・・」
「兄様・・・」
ハンスがスズカの前にたって視界を塞ぐ
「ありがとう、大丈夫だよ」
スズカはハンスの横を通り過ぎ、死体から腕時計を取った
「これは私が持っていないとね、兄様の形見。で、兄様の頭はどこかな?」
「ここだよ」
その声は事務所メンバーの誰のものでもなく、スズカにとっては懐かしい声
振り返るとそこには、眼帯をして暗い紫色の髪をした男が立っていた
「兄・・・様?」
「スズカ、久しぶりだな。でかくなったじゃねぇか」
どうやらスズカの兄らしい。
では、さっきの白骨死体は・・・?
「おやおや、エリート様ではありませんか」
「!?」
そこには亡くなったはずの花開院の姿もあった
「なぜ貴方がここに?教授様にもなると化けて出ることも容易いということですかな?」
「いえいえ、私などエリート様の足下にも及ばない・・・」
”ああ、スズカがヘドが出るって言っていた理由が分かったわ・・・”
カズナは心の中で思っていた
「教授様は死んだはず」
「ええ、私は死にましたよ?それにこのお兄さんも」
「じゃあなぜここにいるのです」
「少し訳ありでしてねぇ、私たちは頭だけが本物なんです」
「頭だけ?」
「ああ、エリート様の頭では難しく考えすぎてしまうでしょう。でもいいんですよ、どうせ皆死ぬのですから」
そう言うと花開院は愛用の銃を構えた
「さあエリート様、私の手で地獄へ送って差し上げましょうか!!」
「それはこっちの台詞だぜ、地獄へ送り返してやるよぉぉぉ!!!」
銃声が鳴り響く
「おやおや、あっちも始まったみたいだぜ」
「兄様は死んでいるの?」
「ああ、そんでお前は今日死ぬ」
「兄様の目の色、昔と違うね」
「あ?」
「兄様の優しい翡翠色の目が真っ赤だよ」
「・・・」
シンスケは無言でスズカに向かって刀を構える
「戦わなくちゃダメなの・・・?」
「戦わなくちゃお前が死ぬだけだぜ」
「体は兄様のじゃないね」
「だったら何だ」
「何でも無いよ。さあ、始めましょうか」
さっきまでの泣きそうだったスズカの姿はそこにはなく、兄のゾンビを目の前にして凛々しく刀を構える愛島一家頭の愛島スズカがそこにはたっていた
「愛島スズカ、参る!!」
シンスケはスズカを、花開院はシュウを狙う。二人には他のメンバーは見えていないらしい
銃声と刀による金属音が鳴り止まぬ中で、カズナとハンスはスズカを援護し、マーボはシュウを援護した
「シュウ、よそ見すんな!!」
バンッ!!
マーボが撃った弾は花開院の脇腹に命中した
「サンキューマーボ!!」
花開院はよろめいたが、致命傷ではなかったのかすぐに体制を立て直した
「どうしたァ?本気出してねぇだろ?」
「うるさい・・・」
スズカは兄を相手に苦戦している
実の兄を殺すことなど自分にはできない。だけど、自分しか殺せる人はいない。
本物の兄を傷つけたくないが為にスズカは体を中心に狙っていた
「おい、もっと楽しませてくれよ」
「兄様・・・」
「スズカどけ!!!」
突然叫んだハンスはシンスケに向かってライフルを撃った
それをいとも簡単に刀の柄で止めるシンスケ
「化け物かよ・・・」
「クックック、兄弟の会話に水さすもんじゃあるめぇよ・・・」
その隙にスズカは兄の左胸を狙って拳銃を撃つ
「うっ・・・!」
「兄様、今のではっきりしました。兄様の首に縫い合わせた後のようなものがありますね。誰にやられたのですか?」
「不意打ちたぁ随分卑怯なことするようになったなぁ」
「答えてください」
「そういうこたぁ倒してからいいな!!」
カズナが横から銃を放つ
その弾はシンスケの足を貫通した
「ぐっあぁ・・・」
「兄様ぁ!!!」
スズカは涙を流しながら兄の息を止めるための最後の刃を振り下ろした
よける術を失ったシンスケの体を切り裂いたスズカの刀は真っ赤に染まっていた
「兄様」
「スズカ・・・」
刀は握る力はもう残ってはいないようだ
「兄様、倒しましたよ」
「倒されちまったなぁ」
「教えてください、誰が黒幕なのですか?」
「・・・それは」
ズガンッ!!
シンスケが口を開いた瞬間、シンスケに赤い花が咲いた
「兄様!!」
ぜぇぜぇと肩で息をするシンスケの目の色はスズカの大好きな翡翠色に戻っていた
「スズ・・・カ?なんでここに・・・」
「兄様!?」
「逃げ・・・ろ」
そう言うと、シンスケの体はどろどろと溶け始めた
後ろを見ても誰もいない
流れ弾が当たるような角度でもない
じゃあ一体誰が兄様を・・・?
スズカの頭は高速回転していた
そのうちに一つのことを思い出したのだ
”黒ずくめの女”
もし本当なら全てそいつのせいだ
そいつが兄様を殺した・・・憎い憎い憎い
ドンッ!!
銃声が現実へ引き戻す
花開院がまだ死んでない!
「いい加減くたばってくださいよ教授様ぁ・・・」
「それはこっとの台詞ですエリート様」
「あんた、パソコンのパスワード俺の悪口だろ」
「まさか!『香風くたばれ』のどこが悪口なんですか」
「やっぱぶっ殺す!!」
ダンッ!!
カズナが撃った弾が避けられる
「危ないですねぇ・・・」
「ちっ・・・あいつ本当にゴキブリ!?」
「ちょっ、カズナやめなさいよ」
一人片付けたらもう一人に行く、当然だ。でも何だろう、二人にしてあげたい気もする。
「ねぇ、本当に危ないとき以外は見守ってあげたい」
「うん、俺もそれ思ってた」
「あの二人にとっては最初で最後の取っ組み合いなんだよ」
「だな・・・」
花開院もシュウも、今までで見たことの無いくらい生き生きしている
スズカは気づいていた。
もう、花開院の命は長くない。目の色が・・・戻っていた。
「クソ教授ーーーーーーー!!!!!!!!!」
「腐れエリートオオオオオ!!!!!!!!!」
互いに撃った弾が決着をつけた。
シュウはひらりと弾を避けて花開院の胸に一発、弾丸を埋め込んだ
「がっ・・・さ・・・すが、エリート様・・・だ・・・お先・・・に・・・」
花開院は最後に笑ってそのまま動かなくなった
シュウは花開院に近寄って、ポケットを漁る
「やっぱりな」
シュウの手には紙の切れ端が握られていた
『また、一緒に喧嘩をしましょう。 花開院ミソギ』
「くっそ・・・くそぉ!!!!!」
「あーあ、自信作だったのになぁ」
どこからとも無く聞こえてきた声
振り返るとそこには黒い服を着た女がたっていた
「黒ずくめの女・・・」
スズカの目が怒りに満ちる
「待てスズカ。自信作ってのはどういうことだ?」
女は笑いながら答えた
「そのままの意味だよ。私が作った自信作」
「兄様と花開院が?」
「そうだよ、いいゾンビだった」
「てめぇ!!!」
女に切り掛かろうとしたスズカをいち早く止めたのはハンスだった
「スズカ、ゾンビを作れるんだ。人間な訳が無いだろう。このまま切ったらお前が無駄死にするだけだ」
「ヒュ~、よくわかってるじゃん」
「でも、こいつのせいで兄様が・・・!!」
「それは俺にも言えることだ、こいつのせいで花開院が死んだ」
「シュウ・・・」
「さ、そろそろ私は消えるよ。バイバイ」
「待て!!!」
スズカの叫びを聞きもせず、女はフッと消えていった
後味の悪い展開だが全員無事ということで帰ったらパーティでも開こうかという話になりそのまま帰ろうとした時
「ねぇ、ここ燃やしたい」
スズカが言った
またいつものキチガイ発揮かと思われたが、今回は理由があるらしい
「なんでだ?」
「ここでこれ以上死人が出ないように。あと、兄様が・・・他の人に調べられたりするの嫌だから・・・」
「木造だし、よく燃えるかもね」
カズナの手にはマッチが握られていた
マーボの手にはガスバーナー
ハンスの手には火炎放射器
「お前ら、そんなことして警察沙汰になっても知らねぇぞ?」
そういうシュウの手にもライターが握られていた
「みんな・・・ありがとう」
スズカの声を合図に火が洋館に投げ込まれる
暗い森を真っ赤に染めた炎の中で、一瞬シンスケと花開院が笑ったような気がした。
ねぇ兄様、私は強くなっていましたか
私はこれからもこの仲間達とともに生きていきます。
だからどうか見守っていてください
そして私がいつかそちらに行った時は、父様や母様と一緒に暖かく迎えてほしいです
どうか安らかに・・・
end
最後まで読んでいただきありがとうございました!
この作品は私にとって思い出深く、大切にしていきたい作品の一つです。気に入っていただけたら幸いです。