遥かなる蒼   作:土居内司令官(陸自ヲタ)

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 〈鳳翔〉へと次々に航空機が着艦する。巡洋艦〈榛名〉のSH-60Kが1機墜落し、乗員4人全員死亡。セレーネ隊4機とグラウコス隊1機墜落、しかしパイロットとレーダーオペレーターは全員無事だった。

 グラウコス01、ファイナルアプローチ。機首には第二次世界大戦時の戦闘機・紫電改のシルエット、垂直尾翼には第02海上飛行隊(グラウコス隊)の人魚姫のマークが描かれた、112号機が甲板のワイヤーを捉える。

 そして、コクピットから源田大尉と川口中尉が降りてくる。甲板には、多用途ヘリ・MCH-101で救出された神田中尉と岸辺少尉、そして手の空いた〈鳳翔〉乗員が並んで出迎えた。

 

 日が暮れる。しかし第1護衛艦隊、特に空母〈鳳翔〉は眠らない。警戒任務のため、早期警戒機(簡単に言えば空飛ぶレーダー基地)や戦闘機が発着艦し、甲板要員達は光り輝くベストを着て作業にあたっていた。

 しかし、甲板の下は全く違う雰囲気になっていた。今回の戦闘で活躍した戦闘機パイロット達を、酒無しのパーティでねぎらっていた。甲板下の格納庫では、ありったけの御馳走がふるまわれ、整備員達がノンアルコールビールをパイロット達に浴びせる。さらには乗員達が握手を求め殺到する。そんな中、パイロット達は自分の機体に、撃墜数を示す赤い星を描く。

 ふと、神田中尉は川口中尉に訊いた。

「なあ、うちのリーダーは何処行った?」

「リーダーなら、キャプテンと抜け駆けしたよ。風に当たってくるって」

「よくこの大乱狂から抜け出せたな」

 

 その頃、〈鳳翔〉甲板・左舷端では――

「私はね、まだ彼に未練があったの」

「だろうな。でなきゃあそこで止めたりはしない」

 2人の男女が話していた。片方は真っ白な制服を着た女性で、もう片方は濃紺の作業服を着た男だった。

「でも、何かふっきれたというか、彼の事を忘れようと思う」

「そりゃかなりの決断だな」

 それは、〈鳳翔〉艦長の南雲大佐と、第02海上飛行隊長の源田大尉だった。

「これでも、元グラウコス隊長で元F-14乗りよ。決断力が無ければ、今頃イラクの空で散っていた」

「やっぱキャプテンには敵わねぇ」

「そういえば、これからどうすんの?」

「どうするって?」

「もう30も半ば。そろそろパイロット引退が見えてくるんじゃない?」

「まぁな。でも、俺の爺さんは40までパイロットだったんだ。俺はそれまで飛んでいたい」

「貴方のお爺さんって、空軍の源田元航空参謀長?」

「ああ。太平洋戦争時に海軍の迎撃戦闘機・紫電改でアメリカのB-29を迎撃し、その後空軍の初代大将となったんだ」

「パイロットの家系、か・・・・・・」

「思えば、キャプテンの所だって海軍の大将がいただろ?」

「サイパンで自決したけどね。兄は呉基地提督なのに、私は戦闘機パイロットになって、家に帰れば蚊帳の外、嫌われちゃって」

「でも、今や空母の艦長だ。出世だって――」

「無理無理。空母の艦長なんて、出世はある意味ここまで。後は陸地勤務、それも出世は期待できないような、ね」

 すると、源田大尉は頬を掻きながら口を開く。

「だったら、家庭に入ったら?」

「え?」

 南雲大佐は源田大尉を見つめる。

「こんな30半ばと結婚してくれる男でもいると?」

「探せばいるんじゃないか?」

「横にいる奴とか?」

「いやいや、他にも探せば――」

 すると、南雲大佐は源田大尉の背中を思い切りビンタする。源田大尉は痛みに叫ぶ。

「痛ってぇ!」

「全く、素直に言いなさいよ。そんな風に育てた覚えは無いわよ」

 源田大尉は、せき込んでから南雲大佐を見つめる。

「その、俺と結婚してくれないか」

「ええいいわ。でも、その前に交際しないとね」

 そう言って、南雲大佐は源田大尉に顔を近付け、唇を重ねる。

 

 そして、離れる。

「よろしくね、晃」

「こちらこそ、京香」

 その途端、甲板に歓声が上がる。見れば、先程まで甲板下格納庫でパーティをしていたはずのパイロットや整備員達が集まり、2人を祝福していた。

「キャプテンおめでとー!」

「泣かすなよ源田ぁ!」

 色んな野次が飛ぶ中、第03海上飛行隊のF-14DJが、息のあった編隊飛行で〈鳳翔〉上空を飛び去り、駆逐艦や巡洋艦が祝砲の代わりにチャフロケットや照明弾を打ち上げる。

 

 

 

 その後、海賊は絶滅できなかったが被害を減らすことに、第1護衛艦隊は成功した。これを受け、アメリカ、新ロシア、イギリス、フランスは空母艦隊の派遣を決定した。また、日本の諜報機関・統合情報調査部とアメリカ・CIAの調査によって、ある国と海賊が繋がっている事が判明、直ちに国際連合はその国に制裁を下す決断をした。

 

 川口中尉はその後もF-14DJのレーダーオペレーターを務めた。が、新型機の導入でレーダーオペレーターは不要となり、民間航空会社に転職して旅客機のパイロットになった。

 神田中尉はその後、第02海上飛行隊の隊長となり、空母〈天城〉の艦長となった。最終的には海軍・戦略作戦会議室長までになった。

 岸辺少尉は、新設の海上飛行隊で、新型機のパイロットとなった。その後、海軍士官学校・操縦士特別教育課程(通称トップガン)を卒業し、トップガンの教官になった。

 そして、南雲大佐はしばらく空母〈鳳翔〉の艦長だったが、その後結婚を機に退官した。最後の階級は「准将」だった。

 源田大尉は、その後空母〈長門〉の艦長となった。そして今は、2児の父として奮闘しながら海軍・特別航空顧問として働いている。

 




 はい、作者の土居内司令官(陸自ヲタ)です。
 最初は「艦〇れオタクめ! 現代の海戦はそんなに甘くないんだよチクショー!」と書いてましたが、次第に「トッ〇・ガン」風に・・・・・・。いや、戦闘機好きなので仕方ない! あと、対潜空母〈日向〉を登場させての対潜戦闘や、巡洋艦〈大和〉による対地攻撃、電子戦攻撃機EA-18GJによる対艦攻撃、早期警戒機との連携によるアウトレンジ空対空戦闘、陸軍の攻撃ヘリAH-64DJと海賊の攻撃ヘリMi-28との空中戦とか書きたかった!
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