今日だって茜色の空の下で生きている   作:オイリーギフト

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取り敢えず第二話までは連続投稿。
早速オリキャラが一人登場します。
ナナが年齢に対して発育が早いような気もしますが、GEチルドレン故ということで。


子どもたちと初陣と

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 幸せ者、と言う言葉がある。幼い頃に辞書で“幸せ”について調べたときに初めてその言葉に出会った。

 その辞書での定義は「幸運な者」だった。

 幸運とは何だろうと疑問が生まれたのは仕方のないことだろう。

 

 「こんな世界でも生きていられるのだから、私たちは幸運だ」と父さんは言った。

 「こんな世界になってしまったのだから、人類みんな運が無い」と「でも、その中で私たちは幸運かもね」と母さんは言った。

 

 子供の自分は二人の言っていたことの意味がよく分かっていなかった。食べ物は自分たちで作るか缶詰が当然だと思っていたし、今では朧気にしか思い出せない自分たちの“家”に住んでいた頃の記憶は、ずっと夢だと思い込んで胸の奥に仕舞っていた。

 

 成長するにつれ、少しずつ理解していった。

 

 この“当たり前”はほんの十数年前は“当たり前”じゃなかったのに、どうしてこんな時代に生まれて来てしまったのだろうと。

 家族を喪ったとき、そう思った。

 

 

 

 

「おいーす」

「ういーす」

 

 朝、部屋を出ると向かい部屋から出て来たリンドウと鉢合わせした。俺がカーキ色のフェンリル制服を着ているのに対して、リンドウはコバルトブルーの制服姿だ。

 整えたが僅かに残ってしまったはね毛を撫でつけながらエレベーターの到着を待つ。隣では目元を擦りながらリンドウが大口を開けて欠伸をしていた。

 

「なんだ、夜ふかし?」

「ちょいとな。久しぶりにサクヤと話してたら深夜になってた」

「サクヤって言うと、幼馴染の子だっけ?」

「あぁ。まだ十一歳だからかねぇ……ちょっと会わなかっただけなのに、なかなか離してくれなくてな」

 

 へぇ、微笑ましいねえ……と適当に返事をしているとエレベーターが到着。やたらレトロな到着音を鳴らして扉が開く。

 既に一人先客が居たようで、その顔を見た瞬間に反射的に敬礼姿勢をとっていた。

 

「お、おはようございます! 百田教官!」

「おはようございまーす」

「ああ、おはよう。敬礼すんのは訓練のときだけでいいぜ、ユキナリ」

「あっと、すいません。癖で……」

「はは、訓練中のゲンさんはキッツいからな〜」

「なんだリンドウ? そう言うんなら今日は一層厳しくいくか」

「えぇっ!?」

 

 勝手に自爆しているリンドウが大袈裟な手振りで反応する。エレベーター内に三人の笑いが木霊した。

 

 いぶし銀という言葉が似合う彼は百田ゲンさん、通称は百田教官。紅色の外套を肩に羽織り、布で吊られている左腕は過去の負傷によるものらしい。ピストル型神機を使っていた元・最初期の神機使いであり、この負傷が原因で引退したのではないかと俺は勝手に想像している。

 今は俺たちのような新人の教官として格闘、戦術、神機操作おいて日々苛烈な指導者の役割を果たしてくれている。引退したとは言え体内の偏食因子は健在で、こちらが身の程を弁えない言動をした際には容赦のない鉄拳制裁が飛んでくるのだ。まさに鬼教官だが、それでも教練時外ではただの気の良いおじさんなのだけれど。

 

「今日はリンドウだけだったか?」

「そうですね。俺はシンヤさんと実地訓練です」

「そうか。今期は新人がお前らしか居ないから、もっとみっちり鍛えてやりたいんだが……もう実地訓練に入るのか。訓練とは言え、アラガミとの実戦だ。命が賭かってるってことを忘れんじゃねえぞ」

「分かりました」

 

 言い知れぬ迫力を醸し出す百田教官の忠告を受け取ると同時にエレベーターが食堂階へ到着した。

 用があると言って百田教官はエレベーターに残り、俺とリンドウは朝食を求めて外に出た。廊下とエレベーター内の照明が薄暗かったのに対して、食堂は太陽の下にあるかの様に煌々と電光に照らされている。眩しさに目を細めて歩いていると不意に誰かとぶつかった。

 

「あっ、ごめんなさい」

「いえ、こっちがよく見てなかったからですから……?」

 

 声は腰の辺りから聞こえてきた。見ると銀髪の女の子が尻もちをついてこちらを見上げている。お尻をさすりながら立ち上がる女の子に手を貸し……何だか、会ったことがあるような?

 

「大丈夫? 怪我してない?」

「はい! 大丈夫です! じゃっ、私はこれで!」

「あっ」

 

 ダダダー! とエレベーターの方に走り去ってしまった女の子の後ろ姿、多種多様な髪色の人が入り乱れるアナグラ―――極東支部の通称だ―――でも滅多に見ない程の綺麗な銀髪は一度見ていたら忘れないと思うのだが……。

 

「あの子、確かシゲルさんの娘さんだっけか?」

「あぁ。そうか、シゲルさんだ」

「えっと、名前は確か……」

 

 リンドウの言葉にようやく合点がいった。そうだ、あの銀髪はシゲルさんの白髪によく似ているのだ。白じゃなくて銀だけど、その程度は些細な違いだ。

 そうかそうか、シゲルさんの娘さんか。そう言えば確かに一人お子さんが居た筈だ。思い出せなかったピースがぴたりとはまった気分、なんだかちょっぴり達成感を感じる。俺の記憶が正しければ名前は―――……

 

「リッカちゃん」

「それだ、楠木リッカ!」

 

 子供なのに既に神機整備室に入り浸っていると噂の楠木リッカちゃんだ!

 

「神器の波長データから神器の調子を深いところまで読み取れるんだぜ。凄いよなぁ」

「本人は“気持ち”って言ってたな。ま、俺は半信半疑だけど。それに関しちゃシゲルさんも疑ってたし」

「そうか? 俺はかなり信じてるけどね。だってあの子のアドバイスに従ったら、実際に神器が言うこと聞いてくれたし」

「それ本当か?」

「ホントホント」

 

 具体的には盾の展開速度とかオラクルの伝導率が上昇した。感覚的には前より軽く神機が振れている気がする。眉唾話を聞いているかの様に(実際眉唾かもしれないが)疑わしげな目を向けるリンドウに再度「本当だからな」と念を押す。

 

「なんて言われたんだ?」

「えっと……『もっと神機と仲良くならなきゃダメだよ!』って言われた」

「……それ、アドバイスなのか?」

「いやいやいや。あれから神機とコミュニケーションを図ってるおかげなのか成果は出てるぞ。これには榊博士も首ひねってたけど」

「最近やたらと神器に話し掛けてるのにはそんな意味があったのか……てっきりユキナリがおかしくなったのかと……」

「失礼な奴だな!? 神機は友達! これこそ真実なんだよ!!」

 

 食堂のおばちゃんからプレートを受け取って空いている席に座る。今日の献立はジャイアントコーンとマッシュポテト、それといくらかの葉物野菜だった。デカいとうもろこし以外は普通の食べ物に見えるが、原材料のポテトも野菜も遺伝子組換えの極地と言えるほど弄られており、加えて工場生産である。

 

 以前暮らしていた所では食料は自給自足だったので、元農家の仲間から農業のいろはを教えてもらっていた。その経験があるから食べ物は土と水と日光から育てる”ものと知っているが、このご時世、子供には食べ物は工場で作るものだと勘違いしている子も多いのだ。

 程よい水気を含んだ野菜を口の中で噛みしめる。その途端に広がる苦味、苦味、苦味。思わず眉を寄せるが、栄養満点で大量生産できるコイツを食べないと一日体が保たないのだから我慢して食べるしかない。

 

「相変わらず不味いなあ……」

「食えるだけありがたいと思おうぜ」

「ほんと、そう思わないとやってられないよな」

「だな」

 

 せめてもの抵抗に備え付けのケチャップ―――当然遺伝子組換え―――で苦味を誤魔化しながら口に運ぶ。最後の一片を水で流しこんでおしまいだ。コーンとマッシュポテトは可もなく不可もなく、コーンの食べにくさに目を瞑れば好みの味なので問題はない。

 締めにもう一杯水を飲み干して、

 

「「ごちそうさまでした」」

 

 偶然、声が重なった。最近気が付いたことだけど、アナグラでは「いただきます」と「ごちそうさま」を言わない人は結構多い。もともと出身地にそういった習慣が無かった人も居れば、極東出身でマナーとして知ってはいるが、それでもやらない人も一定数いる。まぁ、それぞれ思うところがあってのことだと思うのだが……個人的には、ちょっと行儀が悪いなと思わないこともない。

 

「やっほー、おはよー若者諸君。今日も良い天気だね」

「おはようございます。天気って……今日って晴れなんですか?」

「いや、知らないけど」

 

 朝食も食べ終えことだし部屋に戻ろうとすると、丁度エレベーターからヨシノさんが降りてきた。その右手は先ほどのリッカちゃんよりも小さい女の子と繋がれている。ピンクのワンピースが可愛らしいヨシノさんの一人娘さんのナナちゃんだ。

 

「おはよう、ナナちゃん」

「おはよーっす。ナナ、元気かぁ?」

「おはよう! うん、ナナ元気だよ!」

「そーか元気かー。うりうり〜」

「わぷっ」

 

 猫耳のような特徴的な黒髪を揺らしながら駆け寄って来たナナちゃんの頬をリンドウが無遠慮にこねくり回す。ヨシノさんは苦笑いしながらそれを見ている。ナナちゃんが腕を叩くのにも構わず、リンドウは興が乗ったのか更にぐりぐりとナナちゃんをこね回し続けていた。穏やかに見守っていたヨシノさんの笑顔が徐々に硬質化して、細められていた目が薄く開かれていく。流石に見かねてリンドウの頭を引っ叩いた。

 

「いって! 何すんだ!」

「いや、手頃な位置にあったからつい」

「んな理由で叩くなよ! ったく……」

 

 ちらりとヨシノさんを見ると既にナナちゃんを確保しており、グッとサムズアップ(立てた親指)を向けていたのでサムズアップを返す。リンドウ……お前は俺に感謝しても良いんだぜ?

 未だにぎゃあぎゃあ喚いているリンドウをエレベーターに引きずり込む。

 

「おいこら、襟を引っ張るな!」

「じゃあ俺たちはここで!」

「あ、うん」

「またねー!」

「またねー! ナナちゃん」

 

 扉が閉まり、ようやく外と隔離された。まったく、朝から騒がしい一日になりそうだ。

 

 

 

 

「よぅーっし、新人! 今回の討伐目標はオウガテイル。アラガミの中では弱い部類に入るが、殺されるには十分な相手だ。絶対に油断するなよ!」

「り、了解」

 

 場所は変わって“鉄塔の森”―――とよく似た任務地域。かつては大規模なコンビナートとして稼働していたが、二〇五一年のアラガミ大量発生に伴って廃棄されたそうだ。内部には当時の物品がそのまま残されている。大半はアラガミに荒らされているが、そこはかとなく旧時代の名残を感じさせる空間だ。

 劣化や油汚れで薄黒く染まっている鉄塔郡。そんな中、イヤでも目立つ真白な頭髪の男はぐるぐると肩を回していた。

 

 シンヤ・ストイルスキー先輩。黒鉄のロングブレードを担ぐ背中にはベテランの風格がある。やや細身なその背中に魔狼"フェンリル"のエンブレムを背負っていないことは、黒革のジャケットがシンヤ先輩の私物であることを示している。

 

「周囲への警戒を怠るなよ」

「了解。後方の警戒は任せてください」

「上空も忘れるなよ。飛び降りてきたオウガテイルに頭から……なんて話も無い訳じゃないからな」

「うっす」

「ちなみに下から唐突にコークンメイデンに、なんて話もある」

「う、うっす。下もですね……」

「物陰から不意打ち気味になんてことも」

「俺はどうすりゃいいんですかぁ!?」

「さあなぁ? とにかく頑張れ!」

 

 三十分ほど歩き回っていると、僅かにだが鈍い響きの鳴き声が聞こえた。シンヤ先輩とアイコンタクトを取り、オウガテイルが居る場所から死角になる位置に場所取る。

 物陰から様子を伺ったシンヤ先輩が指を五本立てた。……五対二かぁ。初陣としては……どうなんだろう。これ位が普通なのだろうか?

 

 オウガテイルどもは何かを捕喰するのに夢中な様だ。数体こちらを向いているので、後ろ向きになると同時に突っ込む手筈となった。

 まだかまだかと気持ちが(はや)る一方で、気が付けば神機を握る手が震えている。どうやら、本物のアラガミを前にして今更になって実戦への恐れが表出してきたらしい……タイミング考えろよちくしょー……。

 

 右腕を左手で抑えながら「治まれー!」と念じていると、突如として額に衝撃が奔った。

 

「痛ッ」

 

 小石を投げてきたシンヤ先輩を睨みつけるが、当の本人はカラカラと静かに笑っていた。そして小さな声で告げる。

 

「焦んなよー。いざとなりゃ、逃げて俺の背中に隠れてろ。神機使いは一に自分の(たま)、二に仲間の命、三にアラガミの命だ。危なくなったら逃げて隠れて、体制を建て直しゃいいのさ」

 

 やばかったらコイツを使え、とシンヤ先輩からスタングレネードを一つ渡された。俺も既に持っているのだが……予備に持っておけという事だろう。取り敢えずお礼を伝えると同時に「おっ」と呟いてシンヤ先輩が神機を構えた。同じ様に神機を構える。震えは殆ど治まっていた。

 

「チャンスだ。行くぞ。……カウント五」

 

 カウントに合わせて徐々に脚に力を溜めていく。

 

「四、三」

 

 ふくらはぎがブーツの中で膨れ上がり、筋肉に熱が篭もる。

 

「二、一 ……ゴー!」

 

 筋肉の軋みを解放して、一気にオウガテイルに肉薄した。地面を削り飛ばした音を察知したオウガテイルが振り向くが、もう遅い!

 

「ドオラァァァッ!」

 

 慣性の勢いを乗せて脳天からノコギリを振り下ろして叩っ切る。血飛沫を撒き散らしながら頭の頂点から尾の先まで真っ二つに裂かれたオウガテイルは鳴き声一つ上げずに沈黙した。

 しかしノルマは二体! もう一体いる!

 

 崩れ落ちるオウガテイルの隙間から別の奴が尾から針の弾丸を放とうとするのが目に入る。大盾―――対氷タワーを展開して数瞬後、重い衝撃が連続して伝わってきた。対氷タワーの除き窓から様子を伺う。オウガテイルは刺々しい尻尾を揺らしながらこちらに接近中だ。

 

 正面切って突っ込んで来ると言うのなら好都合。さっきの奴と同じ様に片付けるまで。大盾を収納して一息のステップでノコギリの間合いまで詰め、勢いをつけて脳天から叩きつけ―――!

 

「馬鹿野郎! 敵をよく見ろ!!」

 

 オウガテイルを捉えたと思った次の瞬間、轟音を上げてノコギリは地面に深々と突き刺さっていた。―――(かわ)されたのだ! しかも勢い余って刀身の一部が地面に刺さり、抜けない!

 オウガテイルは罠に嵌まった間抜けを嘲笑うかの様な唸り声を上げ、全身を後に反らす。バーチャル訓練で散々やられたから、すぐに分かった。次の瞬間こいつは飛び掛かって来る! あの巨体で押し潰し、頭から俺を噛み殺すに違いない!

 

「離脱しろ!」

 

 無茶言わんでくれ。回避しようにも腕輪と接続された神機のせいで移動できないし、神機が抜けなければ盾を展開しても無駄だ。一体どうしたら―――ってコレがあった!

 

「先輩! 目ぇつむって!!」

 

 腰に引っさげていたスタングレネードを掴んでピンから引き抜く。警告とほぼ同時にそれをオウガテイルとの中間地点に放り投げた。カチリ、と軽い音と共に閃光の嵐が閉じた瞼を突き抜けた。視界が一瞬白飛びしたが、モロに光を浴びたオウガテイルは未だ苦し気に呻き続けている。

 ステップ一つでオウガテイルの斜め前方に移動する。音に反応したオウガテイルだったが、やはり僅かにズレた場所に意識を向けていた。

 

 見えずとも数撃ちゃ当たる戦法に出たのか見当外れの場所に針を撃ち続けるオウガテイルは、手応えを感じなかったのか今度はその場で尻尾を縦横無尽に振り回し始めた。射程に入った瞬間、尾の刺で全身穴だらけになるだろう。迂闊には近づけない。

 ……が、そんなことは関係ない。その隙に腰を落し、ノコギリを肩に担いでオラクルを集中させる。神機の中でも一際巨大な刀身に集められたオラクルが紫紺の刀身を形を作った。不安定に波打つオラクルの刀身は今にも暴発してしまいそうだが、その爆発力こそこの巨剣の真骨頂だ。

 

「ドウラァァッ!!」

 

 気合い一閃、近接武器としては破格の間合いから放たれたオラクルの激流がオウガテイルを襲った。先程以上に荒々しく、喰い千切られるかの如く体を分断されたオウガテイルは最期に一際甲高い悲鳴を上げて沈黙した。

 

 次は……と辺りを見回して、オウガテイルの屍を神機に喰わせているシンヤ先輩と目が合った。

 

「よお、中々やるじゃねえか。初陣にしちゃ、悪くなかったんじゃないか?」

「……そうですか。……ふぅ……お、終わった……」

 

 何事もなかった様にカラカラと笑うシンヤ先輩の姿に一気に緊張が解けた。脚から力が抜け、思わずその場に尻餅をついてしまった。

 

「あははは……やった。やってやりましたよ、俺は。ですよね、先輩?」

「ああ。危ないところもあったが、咄嗟の判断は正確だったしな。まぁ、及第点ギリギリってところか」

「えぇ……ギリギリなんですか」

「冷静さを保てない奴ほど早死にするんだ。アラガミを倒すのは良いが、始まる前に言ったことを忘れんじゃねえぞ。……ちなみに、戦場の真っ只中で座り込んでる点も含めたら落第点だからな」

 

 ははは……なんてこった。予想以上に低評価である。冷静さか……確かに、今回も直前にスタングレネードを渡されてなかったら咄嗟に行動を取れなかったかもしれない。今回は運良く生き残れたけど、こんなことを繰り返していたらいずれ殺されるだろう。「冷静さを失わない」……よし、肝に銘じておこう。

 

 立ち上がれない俺を横目にシンヤ先輩は五体のオウガテイルから捕喰を終わらせた。俺の分までやってくれたようだ。

 そして未だに地べたに座り込んでいる俺を見ると呆れ顔を浮かべながらも手を差し出してきた。その手を取ると力強く引き上げられ、腕輪のない左腕を肩に担がれる。

 

「今回だけにしてくれよ。ったく、男と密着する趣味はねぇっつーのに」

「あはは……すいません。ありがとうございます」

「おうよ。あーあ、どっかに銀髪のロシア美女でも居ねぇかなぁ、居ねぇよなぁ……」

 

 そんなぼやきを聞きながら、移動用のジープまでどうにかこうにか辿り着いた。

 前途多難と言うか何と言うか……何はともあれ、初陣を生きて終えたことが今回最大の成果だ。

 

 




読んで頂き有難うございました。

この先は常に二話分ストックを保持して投稿していこうと思います。遅筆ですので、のーんびりお待ちください。
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