問題児たちとウロボロスが異世界から来るそうですよ?   作:問題児愛

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「うわお、ウサギじゃん!うわー実物初めて見た!噂には聞いていたけど、本当に東側にウサギが居るなんて思わなかった!つーかミニスカにガーターソックスって随分エロいな!ねー君、うちのコミュニティに来いよ。三食首輪付きで毎晩可愛がるぜ?」

 

 そう言って亜麻色の髪の男―――ルイオスは地の性格を隠す素振りも無く、黒ウサギの全身を舐め回すように視姦してはしゃぐ。

 黒ウサギは嫌悪感でさっと脚を両手で隠すと、飛鳥も壁になるよう前に出た。

 

「これはまた………分かりやすい外道ね。先に断っておくけど、この美脚は私達の物よ」

 

「そうですそうです!黒ウサギの脚は、って違いますよ飛鳥さん!!」

 

 飛鳥の突然の所有宣言に慌ててツッコミを入れる黒ウサギ。

 そんな二人を見ながら、十六夜は呆れながらも溜め息を吐く。

 

「そうだぜお嬢様。この美脚は既に俺の物だ」

 

「そうですそうですこの脚はもう黙らっしゃいッ!!!」

 

「違うぞ十六夜、飛鳥。兎の娘は我らの〝愛玩動物黒ウサギ☆〟であろう?」

 

「「「そうだった!」」」

 

「またそれですか!?もう本当に黙らっしゃいッ!!!」

 

「良かろう、ならば〝愛玩動物黒ウサギ☆〟を言い値で」

 

「売り物じゃあ・り・ま・せ・ん!あーもう、真面目なお話をしに来たのですからいい加減にして下さい!黒ウサギも本気で怒りますよ!!」

 

「馬鹿だな。怒らせてんだよ」

 

「何を今更。汝を怒らせる為に不巫戯ているに決まっておる」

 

 スパパァーン!と黒ウサギのハリセンが十六夜とローズの頭に奔る。

 肝心のルイオスは完全に置いてけぼりを食らっていた。

 六人のやり取りが終わるまで唖然と見つめ、唐突に笑い出した。

 

「あっはははははははは!え、何?〝ノーネーム〟っていう芸人コミュニティなの君ら。もしそうなら纏めて〝ペルセウス〟に来いってマジで。道楽には好きなだけ金を掛けるのが性分だからね。生涯面倒見るよ?勿論、その美脚は僕のベッドで毎夜毎晩好きなだけ開かせてもらうけど」

 

「御断りで御座います。黒ウサギは礼節も知らぬ殿方に肌を見せるつもりは有りません」

 

 黒ウサギは嫌悪感を吐き捨てるように言うと、十六夜がニヤリと笑って彼女をからかった。

 

「へえ?俺はてっきり見せる為に着てるのかと思ったが?」

 

「ち、違いますよ!これは白夜叉様が開催するゲームの審判をさせてもらう時、この格好を常備すれば賃金を三割増しすると言われて嫌々………」

 

「ふぅん?嫌々そんな服を着せられてたのかよ。………おい白夜叉」

 

「何だ小僧」

 

 キッと白夜叉を睨む十六夜。両者は凄んで睨み合うと、同時に右手を掲げ、

 

「超グッジョブ」

 

「うむ」

 

 ビシッ!と親指を立てて意思疎通する二人。一向に話が進まず、ガクリと項垂れる黒ウサギ。

 するとローズがスッと瞳を細めて白夜叉を見つめ、

 

「白夜叉よ、脅迫して兎の娘を辱しめるとは最低な奴だな」

 

「何だ小娘。私に文句でも有るのか?」

 

 ローズの言葉に眉を寄せ睨み返す白夜叉。黒ウサギは自分の苦労を理解(わか)ってくれるローズに嬉しく思ったが、

 

「いや、寧ろもっとやって良いぞ。その方が弄り甲斐が有るからな」

 

「ふふ、そうか。ならば期待しておけ」

 

「うむ」と同時に頷いて笑みを交わす二人。見事に裏切られこいつらはもう駄目だ、と黒ウサギはガクリと再度項垂れた。

 

 

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 念の為ジンとレティシアを別室に待機させていた五人は座敷に招かれて、〝サウザンドアイズ〟の幹部二人と向かい合う形で座る。長机の対岸に座るルイオスは舐め回すような視線で黒ウサギを見続けていた。

 黒ウサギは悪寒を感じるも、ルイオスを無視して白夜叉に事情を説明する。

 

「―――〝ペルセウス〟が私達に対する無礼を振るったのは以上の内容です。御理解頂けたでしょうか?」

 

「う、うむ。〝ペルセウス〟の所有物・ヴァンパイアが身勝手に〝ノーネーム〟の敷地に踏み込んで荒らした事。それらを捕獲する際に於ける数々の暴挙と暴言。確かに受け取った。謝罪を望むのであれば後日」

 

「結構です。あれだけの暴挙と無礼の数々、我々の怒りはそれだけでは済みません。〝ペルセウス〟に受けた屈辱は両コミュニティの決闘を以て決着を付けるべきかと」

 

 レティシアが敷地内で暴れ回ったというのは勿論捏造だし、彼女にも了承は得ている。本当はレティシアを悪く言うのは黒ウサギとして心苦しかったが、彼女を取り戻す為には形振り構っていられ無かったのだ。

 

「〝サウザンドアイズ〟にはその仲介をお願いしたくて参りました。もし〝ペルセウス〟が拒むようであれば〝主催者権限(ホストマスター)〟の名の下に」

 

「嫌だ」

 

 唐突にルイオスはそう言った。

 

「………はい?」

 

「嫌だ。決闘なんて冗談じゃない。それにあの吸血鬼が暴れ回ったって証拠が有るの?」

 

「それなら彼女の()()()()()()()()()()

 

「駄目だね。アイツは一度逃げ出したんだ。出荷するまで石化は解けない。それに口裏を合わせないとも限らないじゃないか。そうだろ?元御仲間さん?」

 

 嫌味ったらしく笑うルイオス。筋は通っているが、これで彼はレティシアが自分の本拠に居ると勘違いしていることが分かった。現在レティシアが此方側に居ることを彼は知らないのだ。

 

「そもそも、あの吸血鬼が逃げ出した原因はお前達だろ?実は盗んだんじゃないの?」

 

「な、何を言い出すのですかッ!そんな証拠が一体何処に」

 

「事実、あの吸血鬼はあんたのところに居たじゃないか」

 

「確かにそうで御座いますね。では―――直接御本人に確認を取りましょうか」

 

 黒ウサギの意味深な言葉にルイオスは「何?」と眉を寄せる。そして黒ウサギが合図を送ると、戸が開きジンとレティシアが中に入ってきた。

 それを見たルイオスは「は?」と一瞬固まり、

 

「なんでその吸血鬼が今此処に居るんだよ!?」

 

「それは貴方の差し向けた部下達は、十六夜さんとローズさんが追い払ったからに決まってるのです」

 

「なっ………!?」

 

 ルイオスは絶句した。〝名無し〟のコミュニティに自分のコミュニティの部下達百人超を追い払えるだけの力を持った者は居ないと踏んでいたからだ。

「チッ」とルイオスは盛大に舌打ちして、

 

「無能共が、〝名無し〟に追い返されるとか使えない奴らめ」

 

「お分かり頂けましたか?此方には証人者が御座います。どちらが不利かは一目―――」

 

「ハッ、()()()()?」

 

「え?」と固まる黒ウサギ。ルイオスは逆に勝ち誇ったように笑って、

 

「そんなに決闘がしたければその吸血鬼から話を聞くんじゃなくてちゃんと調査すればいいよ。………尤も、ちゃんと調査されて一番困るのは全く別の人だろうけど」

 

「そ、それは………!」

 

 黒ウサギは視線を白夜叉に移す。彼女の名前を出されては黒ウサギとしては手が出せない。

 

「じゃ、その吸血鬼を僕に返しなよ。さっさと帰って外に売り払いたいからさ」

 

「―――え?外って、箱庭の外にですか!?」

 

「は?お前何言ってんの?外って言ったら箱庭の外以外ないじゃん?」

 

 軽口で言うルイオスに黒ウサギは激怒した。

 

「そんなのは黒ウサギも知っています!問題は〝箱庭の騎士〟を箱庭の外に売るという行為です!〝箱庭の騎士〟であるレティシア様は箱庭の中でしか太陽の光を受けられないのですよ!?」

 

「そうだね。でも仕方無いじゃん。取引相手は箱庭の外にいる奴だし?それに愛想無い女って嫌いなんだよね、僕。特にソイツは体も殆んどガキだしねえ―――だけどほら、それも見た目は可愛いから。その手の愛好家には堪らないだろ?気の強い女を裸体のまま鎖で繋いで組み伏せ啼かす、ってのが好きな奴も居るし?太陽の光っていう天然の牢獄の下、永遠に玩具にされる美女ってのもエロくない?」

 

 ルイオスは全く悪びれた様子も無く、更に挑発半分で商談相手の人物像を口にする。

 案の定、黒ウサギはウサ耳を逆立てて叫んだ。

 

「あ、貴方という人は………!」

 

「しっかし可哀想な奴だよねーソイツも。箱庭から売り払われるだけじゃなく、恥知らずな仲間の所為(せい)でギフトまでも魔王に譲り渡す事になっちゃったんだもの」

 

「………何ですって?」

 

「え?それは………本当ですか、レティシア様?」

 

 黒ウサギは恐る恐るレティシアに訊くと、彼女は無言で目を逸らした。それを黒ウサギは是と取り動揺した。

 そしてルイオスは黒ウサギのその動揺を見逃さなかった。

 

「報われ無い奴だよ。〝恩恵(ギフト)〟はこの世界で生きて行くのに必要不可欠な生命線。魂の一部だ。それを馬鹿で無能な仲間の無茶を止める為に捨てて、漸く手に入れた自由も仮初めのもの。他人の所有物っていう極め付けの屈辱に堪えてまで駆け付けたってのに、その仲間はあっさり自分を見捨てやがる!その女は一体どんな気分になるだろうね?」

 

「………え、な」

 

 黒ウサギは絶句しレティシアを見る。やはり彼女は目を逸らして悔しそうな表情のまま何も言わない。

 蒼白になった黒ウサギにスッと右手を差し出し、ルイオスはにこやかに笑って、

 

「ねえ、黒ウサギさん。このまま其処の彼女を見捨てて帰ったら、コミュニティの同士として義が立たないんじゃないか?」

 

「………?どういうことです?」

 

「取引をしよう。その吸血鬼を〝ノーネーム〟に戻してやる。代わりに、僕は君が欲しい。君は生涯、僕に隷属するんだ」

 

「なっ、」

 

「一種の一目惚れって奴?それに〝箱庭の貴族〟という箔も惜しいし」

 

 再度絶句する黒ウサギ。飛鳥とレティシアもこれには堪らず怒鳴り声を上げた。

 

「外道とは思っていたけど、此処までとは思わなかったわ!もう行きましょう黒ウサギ!こんな奴の話を聞く義理は無いわ!」

 

「ああ。黒ウサギが私なんかの為に犠牲になるのは間違っている!私のことはいいから早急に帰ってくれ!」

 

「ま、待って下さい飛鳥さん!レティシア様!」

 

 黒ウサギの手を握って出ようとする飛鳥と、それを催促するように言うレティシア。だが黒ウサギは困惑していて動かない。

 それに気付いたルイオスは厭らしい笑みで捲し立てた。

 

「ほらほら、君は〝月の兎〟だろ?仲間の為、煉獄の炎に焼かれるのが本望だろ?君達にとって自己犠牲って奴は本能だもんなあ?」

 

「………っ」

 

「ねえ、どうしたの?ウサギは義理とか人情とかそういうのが好きなんだろ?安っぽい命を安っぽい自己犠牲ヨロシクで帝釈天に売り込んだんだろ!?箱庭に招かれた理由が献身なら、種の本能に従って安い喧嘩を安く買っちまうのが筋だよな!?ホラどうなんだよ黒ウサギ―――」

 

()()

 

 なさい、とは飛鳥の言葉は続かなかった。それはローズが長机を真っ二つに叩き割ったからだ。

 一同は沈黙しローズへと視線を向けると、彼女はゆらりと立ち上がってルイオスを見下ろし、

 

「言いたいことはそれだけか、()()?」

 

「―――――ッ!!?」

 

 ルイオスの表情は蒼白に変わった。ローズの本気の殺気をその身に受けたからである。

 風が吹いているわけでもないのに、ローズの虹髪は戦慄いて舞い上がり―――虚空から混沌色(ダークネスブラック)のギフトカードを出現させて、それを彼女は手に取り、

 

「我からの死刑宣告(おさそい)だ。受け取れ〝ペルセウス〟の小僧」

 

 憤怒の瞳でルイオスを射貫き、黒く輝く〝契約書類(ギアスロール)〟を彼へと放る。

 ルイオスが無意識にそれを受け取ろうとして、白夜叉がハッとなって叫んだ。

 

「よせ、ルイオス!それは魔王の〝契約書類〟だ!受け取ったら最期―――断ることは出来なくなるぞ!?」

 

「なっ―――!?」

 

 ルイオスは慌てて手を引っ込める。しかしローズは「ふん」と鼻で笑い、

 

「無駄だ小僧。受け取らずとも我には()()を我がギフトゲームに強制参加させることも出来るぞ?」

 

「くそっ………!」

 

 ルイオスは魔王の特権を思い出して更に蒼白させる。白夜叉が間に入ってローズに忠告した。

 

「良いのかローズ!?おんしがこのままこやつに魔王としてギフトゲームを開催すれば―――箱庭の上層が黙っておらんぞ!?」

 

「そんなの()()()。我は箱庭の神々より友らを取る。故に我は退かぬよ白夜叉」

 

「………本当に退かんのだなローズ。この箱庭には無限(おんし)をも屠れる奴らもおるのだぞ!?そんな輩に狙われたら最期―――箱庭に居られなくなるかもしれん!!それでも良いのか!?」

 

「そうかもしれぬな。だが我は退かぬ。友らの為ならばこの身が朽ち果てようが関係無い。来るならば億千万でも神とやらを連れてくるが良い。我はその()()()()()()()()()()()()()()()()!!」

 

 右手を前に出してグッと力強く握り締め宣言するローズ。それを聞いて白夜叉は瞼を閉じて暫し考え込み、瞼を開けてルイオスに決断を迫った。

 

「ルイオスよ。おんしにはまだチャンスが有る。大人しく〝ノーネーム〟との決闘を許可するか、若しくは―――()()()()強大な魔王と死闘を繰り広げるか。どっちにする?」

 

「……………ッ!?」

 

 ローズの実力が白夜叉以上と知って絶句するルイオス。四桁以上の魔王を相手に、切り札を使用しても勝てるかどうか自信が無いのだ。

 ルイオスはローズと〝ノーネーム〟を天秤に掛け、すぐさま決断した。

 

「分かった。その二択なら〝ノーネーム〟との決闘を選ぶよ。但し条件がある」

 

 ルイオスは決闘に当たって条件を二つ提示した。

 

「一つは、決闘ルールを僕ら〝ペルセウス〟で勝手に決めさせてもらう。

 もう一つは―――その魔王の小娘の()()()()()()()。それでも構わないなら明日にでもお前らを全力で叩き潰してやるけど?」

 

「………っ!」

 

 黒ウサギはやられた、という風に顔を歪める。ローズの参加不可は〝ノーネーム〟の大戦力が一人欠けてしまうことを意味していたからだ。

 しかし十六夜は不敵に笑って、

 

「ああ、それで構わないぜ色男。ローズが居なくともお前の相手は俺一人で十分だからな」

 

「あ?」

 

「へ?」

 

 十六夜の言葉に不快そうに眉を寄せるルイオス。思わず瞳を瞬かせる黒ウサギ。

 ルイオスは馬鹿な奴だな、と十六夜を笑って、

 

「オッケーオッケー、これで取引成立だね。その吸血鬼は一先ずお前ら〝名無し〟に預けとくよ。持って帰ったらソイツに八つ当たりしちゃうかもしれないしね」

 

 そう言ってルイオスは立ち上がり踵を返す。最後にルイオスは十六夜達に振り返ると、怒りの表情で睨み付け、

 

「二度とその軽口が叩け無くなるぐらいに、お前ら〝名無し〟を徹底的に叩き潰してやる。精々首を洗って待ってることだね」

 

 それだけを言い残すと、ルイオスはさっさとこの座敷から去っていった。

 ローズは殺気を消すと白夜叉を睨み付け、

 

「白夜叉、何の真似だ?我はとうに箱庭の魔王として君臨する覚悟は出来ていたのだぞ?」

 

「そうだの。だがそれでは私がおんしを倒して隷属出来んではないか!」

 

「………は?」

 

「ふふ、安心しろローズ。この私が居る限り、おんしを箱庭の魔王にはせん。もし振るいたいのであれば、私に隷属してからにするんだな!」

 

「そ、そうか」

 

 それは頼もしい限りだな、とローズは苦笑を零す。白夜叉は「呵々!」と哄笑を上げた。

 一方の十六夜は現在、黒ウサギ達に責め立てられていた。

 

「十六夜さん!どうしてあの条件を飲んでしまったのですか!?あれでは我々の勝率は限り無く低いのですよ!?」

 

「そうだぞ十六夜!〝ペルセウス〟は箱庭五桁の外門に構えるコミュニティだ。簡単に勝てる相手ではないんだぞ!?」

 

「十六夜君、勝機が有ってあれに応じたの!?」

 

「私は正直勝てるか不安かな………十六夜、どう責任取るつもり?」

 

「どうなんですか答えてください十六夜さん!」

 

 黒ウサギ・レティシア・飛鳥・耀・ジンに責め立てられて十六夜は、

 

「少しは落ち着けお前ら」

 

「「「「「これで落ち着いてられるかッ!!」」」」」

 

 黒ウサギ達に睨まれて肩を竦める十六夜。確かにローズ抜きでの決闘は辛いかもしれない。だがこれを越えられずして何が打倒魔王だ、と彼は思ってルイオスの条件を飲んで決闘を望んだのだ。

 まあ、正直俺一人で片が付くんだけどな、というのが十六夜の本音であるが。

 とはいえ、この沸騰したお嬢様達をどうやって丸く収めるか、と考えるだけで骨が折れそうだ、と苦笑いを浮かべる十六夜だった。

 

 

ο

 

 

「―――くそ!〝名無し〟の分際で僕の邪魔をしやがって………!」

 

 帰り道、ルイオスは苛立たしげにそう呟いていた。

〝ノーネーム〟に僕の部下達が負けるのは予想外だった。数も百は送ったはずなのにだ。

 それに〝名無し〟に魔王が所属していたのはもっと予想外の出来事だった。しかも白夜叉より強いと来た。最悪なことこの上無い。

 だが、

 

「あの魔王の小娘を除外出来たし、脅威は取り除けた。後は取るに足らない〝名無し〟の無能だけ―――ハハ、これはもう勝ったも同然だな!」

 

 そう、ローズを参加不可に出来たのだ。後は十六夜達で彼らならルイオスの敵ではない、そう認識している。

 これで僕の敗北は有り得ない、そう思い自分の勝利を疑っていなかった。

 

「僕ら〝ペルセウス〟が勝利した暁には、あのウサギは僕の物だ!………白夜叉以上の実力を持つっていうあの子も欲しかったけど、アイツの体も殆んどガキだし、まあいっか」

 

 白夜叉以上の実力を持つ魔王の小娘を手に入れれば、〝サウザンドアイズ〟から脱退しても問題は無かったが、参加不可にしてしまった為、手に入れることは出来なくなってしまった。

 けど好みじゃないし、と切り捨てていると―――

 

「それは勿体無いよ」

 

「あ?」

 

 不意に黒いフードを深く被った小柄な何者かがルイオスの眼前に姿を現す。

 ルイオスは眉を顰めてその者を一瞥し、

 

「誰だよお前?」

 

「あ、別に怪しいものじゃないよ。どちかというとあたしは貴方に―――素敵な贈り物を渡しに来ただけだから」

 

 両手を振って怪しいものじゃないアピールする黒いフードの女。声からして少女だろう。

 ルイオスは「ふぅん」とフードの少女を見下ろして、

 

「僕に素敵な贈り物?それは何だい?」

 

「うん。じゃあまず貴方の持ってる鎌をギフトカードから取り出してあたしに渡してくれないかな?その鎌のギフトに新たな恩恵を付与させるから」

 

「新たな恩恵を付与?へえ、因みにそのギフトは何て効果を齎してくれるの?」

 

 ルイオスが訊くと、フードの少女はニコリと口元を歪ませて、

 

「―――()()()()恩恵、つまり〝()()()〟のギフトだよ」

 

「―――うわお!〝龍殺し〟のギフトかあ………因みにそれは〝名無し〟の誰に有効な手札なんだい?」

 

「うん、それはね、貴方が先程口にしていた魔王の子に有効だよ。その子は〝ウロボロス〟っていう無限を司る龍神なんだけど、龍である以上あたしの〝龍殺し〟のギフトが通用しないわけないから。あ、でも殺すことは出来ないかもしれないなあ………その子は〝無限〟なわけだし。でも致命傷は確実に負わせることが出来るから弱っている隙に首を落とすか心臓を抉れば殺せるかも」

 

 早口で次々と言葉を紡ぐフードの少女に、ルイオスはやや困惑する。

 

「つまり、君のギフトを貰えばあの魔王に勝てるかもしれないってこと?」

 

「そういうこと。あたしはとある神様が先祖の末裔でね、強力な〝龍殺し〟の恩恵を武具に与えられるギフトを持ってるの。それこそ()()()()()()()()()()()()程の強力な………ね」

 

「へえ?それは凄いね。是非あの魔王を打倒出来るかもしれない、君のギフトを僕にくれないかな?」

 

「勿論だよ」

 

 ルイオスはギフトカードから〝星霊殺し〟の恩恵を新たに付与された鎌・ハルパーを取り出して、フードの少女に手渡す。

 フードの少女はハルパーを受け取ると―――一瞬だけ鎌が光り輝いた。それはたった今、ルイオスの鎌に〝龍殺し〟の恩恵が付与されたところだった。

 恩恵の付与を終えるとフードの少女は鎌をルイオスに返した。それを受け取った瞬間、何か禍々しい力を感じた気がした。

 

「ありがとう。これであの魔王に一泡吹かせてみせるよ」

 

「そっか。それは良かった。………じゃああたしはもう行くね。勇気君待たせちゃうと悪いから」

 

「そうなんだ。………あ、最後に良ければ君の名前を教えてくれないかな?」

 

 ルイオスが訊くと、フードの少女はニコリと口元を歪ませて、

 

「あたしは未来。訳有って苗字は名乗れないの、ごめんね。それじゃあ―――(ドラゴン)退治頑張って!」

 

 元気よく手を振って駆けていくフードの少女。そんな彼女の背を見送ったルイオスはニヒャと笑って呟くのだった。

 

「ハハ、やったぜ!僕にも遂に運が回ってきたのかな?何はともあれ〝龍殺し〟の恩恵か………あっはははは!僕を脅した罪は―――死んで償ってもらうよ、魔王の小娘!」




ルイルイの鎌がチート化した………これで神霊・星霊・龍の三大最強種を屠れる(震え)十六夜に持たせたら無双出来るんじゃ………(冷や汗)

オリキャラ登場。未来の容姿と口調はストブラのあの子です。さすれば勇気の容姿が浮き彫りになるかも。
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