問題児たちとウロボロスが異世界から来るそうですよ?   作:問題児愛

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 翌日、ローズ達は決闘を行う為に〝ペルセウス〟のコミュニティに来ていた。

 

 

『ギフトゲーム名〝FAIRYTALE in PERSEUS〟

 

 ・プレイヤー一覧

 逆廻 十六夜

 久遠 飛鳥

 春日部 耀

 空星 ローズ

 ・〝ノーネーム〟ゲームマスター

 ジン=ラッセル

 ・〝ペルセウス〟ゲームマスター

 ルイオス=ペルセウス

 

 ・クリア条件

 ホスト側のゲームマスターを打倒。

 ・敗北条件

 プレイヤー側のゲームマスターによる降伏。

 プレイヤー側のゲームマスターの失格。

 プレイヤー側が上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

 

 ・舞台詳細・ルール

  *ホスト側のゲームマスターは本拠・白亜の宮殿の最奥から出てはならない。

  *ホスト側の参加者は最奥に入ってはいけない。

  *プレイヤー達はホスト側の(ゲームマスターを除く)人間に姿を見られてはいけない。

  *姿を見られたプレイヤー達は失格となり、ゲームマスターへの挑戦資格を失う。

  *失格となったプレイヤーは挑戦資格を失うだけでゲームを続行する事は出来る。

 

 宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、〝ノーネーム〟はギフトゲームに参加します。

 〝ペルセウス〟印』

 

 

契約書類(ギアスロール)〟に承諾した直後、六人の視界は間を置かずに光へと呑まれた。

 次元の歪みは六人を門前へと追いやり、ギフトゲームの入り口へと誘う。

 門前に立ったローズ達が不意に振り返る。白亜の宮殿の周辺は箱庭から切り離され、未知の空域を浮かぶ宮殿に変貌していた。

 

「姿を見られれば失格、か。つまりペルセウスを暗殺しろってことか?」

 

 白亜の宮殿を見上げ、胸を躍らせるような声音で十六夜が呟く。それにジンが応える。

 

「それならルイオスも伝説に倣って睡眠中だという事になりますよ。流石にそこまで甘くは無いと思いますが」

 

「YES。そのルイオスは最奥で待ち構えているはずデス。それにまずは宮殿の攻略が先で御座います。伝説のペルセウスと違い、黒ウサギ達はハデスのギフトを持っておりません。不可視のギフトを持たない黒ウサギ達には綿密な作戦が必要です」

 

 黒ウサギが人差し指を立てて説明すると、ローズは首を振り、

 

「その必要はないぞ兎の娘。我の空間制御の魔術で、開始早々に〝ペルセウス〟の小僧の下へ()()するからな」

 

「へ?」

 

 きょとんとする黒ウサギの代わりに、十六夜が「ヤハハ」と笑って頷く。

 

「そういやローズの参加も可能になってたな。一瞬で最奥に行けるならその方がありがたいぜ」

 

「うむ。昨日あんなことがあったというのに、我に参加資格があるのは不明だが、これで全員あの小僧を叩きのめせるというわけだ」

 

「くく」と喉を鳴らして満足げに笑うローズ。それを聞いて黒ウサギは安堵する。

 一方の飛鳥と耀は瞳をキラキラと輝かせてローズを見つめ、

 

「あら、ローズさんったらそんな素敵なギフトを隠し持っていたのね!とても心強いわ」

 

「うん。それに私も飛鳥もあのルイオスって人、許せなかったから助かった」

 

「ふふ、それは良かった。………だが我が空間転移を行うのはこういう時の為であって、日常生活の交通手段には」

 

「「勿論、使わせてもらいます」」

 

「そう返してくると読んでおったぞ戯け共ッ!!」

 

「「それほどでも」」

 

「いや、褒めてないからなっ!」

 

 照れたように頬を掻く飛鳥と耀に盛大に突っ込むローズ。それにケラケラ笑う十六夜。

 そんな四人を見ていた黒ウサギとジンはまるで緊張感がないな、と呆れていた。

 ふとローズは思い出したように十六夜に視線を向け、

 

「時に十六夜。汝は―――〝アルゴル〟を知っているか?」

 

「「「あるごる?」」」

 

 ローズの質問の意味が分からず飛鳥・耀・ジンの三人は顔を見合わせ小首を傾げる。

 十六夜は当然、という風に笑って、

 

「〝アルゴル〟とはアラビア語でラス・アル・グルを語源とする〝悪魔の頭〟という意味を持つ星のことで、同時にペルセウス座で〝ゴーゴンの首〟に位置する恒星だろ?後者はローズがあの時に言ってた奴だしな」

 

「ああ、流石だな。そしてその〝アルゴルの悪魔〟は白夜叉と同じ星霊の悪魔であり、あの小僧の切り札であることも把握済みだな?」

 

「当然。奴が首にぶら下げてたギフトのことだろ?しかし星霊を隷属させているとか驚いたぜ。これで退()()()()()()()()()()

 

「ふふ、そうか。それは良かったな」

 

 まあ尤も、かなり弱体化しているようだがな、と内心で付け加えるローズ。この事実を教えてしまったらきっと彼をガッカリさせてしまうだろうと思って敢えて伏せたのだ。

 二人の話を聞いていた黒ウサギは瞳を瞬かせて全知であるローズは兎も角、と十六夜を見つめ、

 

「もしかして十六夜さんってば、意外に知能派で御座います?」

 

「まあな。次いでにその知能派な十六夜様が目の前の門の素敵な開け方を伝授してやるぞ?」

 

「…………………………………参考までに、方法を御聞きしても?」

 

 やや冷ややかな目で黒ウサギが十六夜を見つめる。

 十六夜はそれに応えるかのように「ヤハハ」と笑って門の前に立ち、

 

「そんなもん――――こうやって開けるに決まってんだろッ!」

 

 ズドガァアンッ!と轟音と共に、十六夜は白亜の宮殿の門を蹴り破るのだった。

 

 

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 門の中に突入したのと同時に、ローズは空間制御の魔術で一同を白亜の宮殿の最上階に転移させる。序でに審判役の黒ウサギも。

 開始早々に眼前に現れたローズ達を見たルイオスは一瞬唖然とし、

 

「は、はあ!?お前らどうやって此処まで誰にも見付からずに来たんだよ!―――つか早すぎるだろ!?」

 

「当たり前だ。我が十六夜らを空間転移させたからな。門に突入した瞬間に此処へ転移して来たわけよ」

 

「なっ………!?」

 

 ローズの言葉にルイオスは絶句した。部下達から話は伺っていたが、空間制御の魔術は―――デタラメだった。

 ルイオスは「チッ」と盛大に舌打ちした後、「まあ、いいか」と呟いて両手を広げた。

 

「何はともあれ、ようこそ白亜の宮殿・最上階へ。ゲームマスターとして相手をしましょう。………あれ、この台詞を言うのって初めてかも」

 

 ルイオスはそう言って膝までを覆うロングブーツから生えている光り輝く対の翼を羽ばたかせて上空へ舞う。

 そして彼は〝ゴーゴンの首〟の紋が入ったギフトカードを取り出し、光と共に燃え盛る炎の弓を取り出した。

 そのギフトを見て黒ウサギの顔色が変わった。

 

「………炎の弓?ペルセウスの武器で戦うつもりは無い、という事でしょうか?」

 

()()()()()()()?けど、空が飛べるのに何で同じ土俵で戦わなきゃいけないのさ」

 

 ルイオスは小馬鹿にするように言うと、首に掛かったチョーカーを外し、付属している装飾を掲げた。

 

「まずはコイツで、魔王の小娘以外を押さえさせてもらうよ」

 

「っ………!!」

 

 黒ウサギはルイオスが解放しようとしているギフトを見て焦り始める。

 ルイオスは獰猛な表情で叫ぶ。

 

 

「目覚めろ―――〝アルゴールの魔王〟!!」

 

 

 ルイオスの掲げたギフトから褐色の光を放ち、六人の視界を染めた。

 白亜の宮殿に共鳴するかのような甲高い女の声が響き渡った。

 

「ra………Ra、GEEEEEEYAAAAAAaaaaaaaa!!!」

 

 それは最早、人の言語野で理解出来る叫びではなかった。

 冒頭こそ謳うような声で有ったが、それさえも中枢を狂わせる程の不協和音だ。

 現れた女は体中に拘束具と捕縛用のベルトを巻いており、女性とは思えない乱れた灰色の髪を逆立たせて叫び続ける。女は両腕を拘束するベルトを引き千切り、半身を反らせて更なる絶叫を上げ―――

 

()()

 

「Gya………!?」

 

 ―――る前にローズが彼女の頭部を殴り付けて最上階の床に叩き付け黙らせた。

 唖然とし沈黙する一同。床に顔面からめり込んだアルゴールだけが呻き声を洩らす。

 黒ウサギはハッと我に返り、ローズを見つめ、

 

「い、いきなり何やっちゃってんですかローズさん!?」

 

「ん?耳障りだったからな。叩き潰しただけだぞ兎の娘」

 

「いえ、それは見れば分かります!黒ウサギが言いたいのは―――」

 

 黒ウサギが文句を言おうとしたその瞬間、アルゴールが起き上がり仲間とお話し中の、無防備に背を向けていたローズにベルトを放り捕縛した。

 

「………ぬ?」

 

「Ra、GYAAAAAAaaaaaaaa!!!」

 

 ローズの全身にベルトを巻き付けて捕縛したアルゴールは、そのまま引っ張り上げて床に叩き付けようと試みる。が、肝心のローズは微動だにしなかった。

 

「RaAAAAAA、GYAAAAAAAAAAaaaaaaaaaaaaaaaa!!!」

 

 顔を真っ赤にしながら全身全霊の力を以て引っ張るアルゴール。しかしそれでもローズを一ミリたりとも動かす事は敵わなかった。

 ローズは「はあ」と溜め息を吐いて十六夜に視線を向け、

 

「この星霊は鬱陶しいから、後は任せたぞ十六夜」

 

「ヤハハ、了解」

 

 十六夜は漸く俺の出番か、という風に嬉々として笑って頷き、床を踏み抜き一瞬でアルゴールに肉薄すると、

 

「悪いがアンタの相手は俺だぜ、星霊様ッ!!」

 

「Gya………!?」

 

 ローズに夢中だったアルゴールの顔面を、第三宇宙速度で打ち出された拳が強襲した。

 アルゴールはその一撃をまともに食らって吹き飛び、格技場のような最上階に在った観客席に叩き付けられた。

 それを目撃したルイオスは堪らず叫んだ。

 

「な、アルゴール!?」

 

 ベルトの拘束から解放されたローズは、飛鳥と耀に視線を向けて訊いた。

 

「汝らはどうする?星霊の相手は十六夜に任せているが、汝らもあの小僧に挑んでみるか?」

 

「………そうね。挑んでみたいけど、負けたらレティシアって子は取り戻せないんでしょ?なら、私はやめておくわ。春日部さんは?」

 

「飛鳥がやめるなら私もやめておく。それに私の飛行速度だと厳しいかな………」

 

 飛鳥と耀はルイオスへの挑戦を降りた。本当は挑んでみたかったが、レティシア奪還が掛かっている為、確実に彼を倒せるローズに一任した方が良いと判断したのだ。

 ローズは「ふむ」と頷いて、

 

「そうか。飛鳥と耀がそう決断したのならば我も無理強いはせぬよ。さて、汝らの安全を保証しておかねばな」

 

 そう言ってローズは指を鳴らす。すると飛鳥・耀・ジン・黒ウサギの四人の足下に円環状の漆黒の魔法陣が展開され、それぞれを透明な球体が囲んだ。

 この透明な結界は物質界に存在するものでは決して破壊出来ない代物だ。これで飛鳥達の安全は保証された。

 それを確認したローズは、上空に待機しているルイオスを見上げ、

 

「待たせたな〝ペルセウス〟の小僧。我らも戦いを始めようか」

 

「ハッ、僕はある子から強力なギフトを貰ってるからね。舐めたら痛い目見るぜ?」

 

「ほう、それは楽しみだ。是非我に汝の最高のギフトを見せてみよ」

 

「そうだね。それよりもまずは、炎の弓(コイツ)が通用するか試させてもらうよ!」

 

 そう言ってルイオスは炎の弓をローズに狙いを定めて引く。蛇のように蛇行する軌跡の炎の矢をローズはつまらなそうに眺めて、

 

「下らんな」

 

 軽く腕を振るうだけで跡形も無く消し飛ばした。

 それを見たルイオスは「チッ」と舌打ちして炎の弓をギフトカードに仕舞い―――代わりに鎌のギフト・ハルパーを取り出した。

 

「なら、早速バージョンアップしたこの鎌で試し斬りさせてもおうかな!」

 

 ルイオスはヘルメスの靴で空を駆け、鎌を構えてローズに突撃する。

 ローズはギリギリまでルイオスを引き付けて、彼が振り翳した鎌を見上げると、

 

「………ッ!?」

 

 何か禍々しい力を感じ取り慌てて回避した。鎌で頬を薄く斬られたローズは額に汗を滲ませてルイオスを睨み、

 

「………可笑しいな、ハルパーに〝龍殺し〟の恩恵(ギフト)は無かったはずだが。そういえばある子に貰ったと言っていたな小僧。よもや〝龍殺し〟が汝の真の切り札か?」

 

「そうだよ。〝龍殺し〟のギフトを手に入れたからお前にも参加資格を与えたんだよね。そうじゃなきゃお前を参加させるわけ無いじゃん」

 

 ヘラッと笑ってルイオスが答える。ローズはスッと瞳を細めてルイオスを見据え、

 

「そうだな。確かに無限を司っていようが我も龍だ。〝龍殺し〟のギフトは通用する。その鎌で我の心の臓を抉れば致命傷になるのは確定だろう」

 

「へえ。それが聞けて安心したよ。これで心置き無く―――」

 

「だが汝では無理だな。我に致命傷を負わせるどころか、当てることすらもう出来ぬよ」

 

「何!?」

 

 ローズの言葉に怒りを露にするルイオス。ローズは「くく」と笑って、

 

「先は油断したが、宣言しよう。これから汝が振るう鎌は―――()()()()()我に当てること敵わぬと」

 

 ローズの宣言を聞いてルイオスは遂にぶちギレた。

 

「上等だ小娘ッ!!宣言通りにいかないことを僕が証明してやるッ!!!」

 

「ふふ、ならば来るが良い〝ペルセウス〟の小僧。汝の全力を我に見せよ!」

 

 激昂して〝龍殺し〟のギフトが付与された鎌を構え空を駆けるルイオス。それを迎え撃つローズ。

 気付けば鎌で斬ったはずの彼女の頬の傷は消えていた。ルイオスは浅いとダメージにすらならないのか、と悔しそうに顔を歪める。

 ルイオスはローズの左肩から右腰までを袈裟斬りにしようと鎌を振るった。

 しかしローズは苦もなくその斬撃を躱して、ルイオスに()()()()()()

 

「ガッ………!?」

 

 ただの凸ピンだというのに、その一撃はルイオスの意識を一瞬遠のかせる程のものだった。

 後方に吹き飛ぶルイオスに、追撃の凸ピンをしようと肉薄するローズ。

 ルイオスはキッとローズを睨み付け、彼女の首を斬り落とさんと鎌を振るうが、これも容易く躱され、

 

「痛ッ!?」

 

 ローズの二発目の凸ピンを食らってルイオスは涙目になる。赤くなった額を鎌を持っていない手で押さえながら。

 

「おまっ、凸ピンとか不巫戯るなッ!!真面目に戦う気あんのか!?」

 

「ん?そうは言ってもな。凸ピンだろうとちょっと力を加えれば、汝の頭は消し飛ぶぞ?」

 

「―――――ッ!!?」

 

 ルイオスは絶句した。凸ピン一つで簡単に頭を消し飛ばせる?そんな馬鹿な話があってたまるか、と思ったのだ。

 放心しているルイオス。その隙にローズが彼の眼前に飛び込み、

 

「ぐあっ………!?」

 

 またしてもルイオスに凸ピンをかました。これで三回目である。

 ルイオスはローズを追っ払おうと鎌を滅茶苦茶に振り回す。破れかぶれの攻撃もローズには掠りもしない。

「くそっ」と毒づいたルイオスはふと眼下を見てぎょっと目を剥いた。

 それは―――

 

「GYAAAAAAaaaaaaaa!!?」

 

「ハハ、どうした星霊様?今のは本物の悲鳴に聞こえた―――ぜ!」

 

 アルゴールの顔面に十六夜の拳が突き刺さり、吹き飛ばされていた。

 ルイオスはその光景を目にして瞳を見開かせたのだ。

 

「アルゴール!?くそっ、アイツは本当に人間か!?」

 

「うむ。残念ながら彼は人間だぞ。そして彼は我を一度殺せる程の切り札も持っている規格外な少年よ」

 

「なっ、」

 

 再度絶句するルイオス。自分が〝龍殺し〟のギフトを得て全力で殺しに掛かっても倒せない彼女を、あの人間は一度殺したことがあるだと、と有り得ない、といった表情を見せる。

 その様子を見てこれは勝負有ったな、とローズは確信する。

 だがそれを覆すかのようにルイオスは凶悪な笑顔でアルゴールに告げた。

 

「もういい。終わらせろ、アルゴール」

 

「RaAAaaa!!LaAAAA!!」

 

 ルイオスの命令に応えたアルゴールは不協和音と共に本命のギフト―――石化のギフトを十六夜に向けて放った。

 十六夜はそれを真正面から捉え、

 

 

「―――――………カッ。ゲームマスターが、今更狡い事してんじゃねえ!!!」

 

 

 褐色の光を踏み潰した。そう、踏み潰したのだ。アルゴール(星霊)の放った石化のギフトを人間の十六夜が。そして踏み潰された褐色の光は跡形も無く吹き飛んだ。

 

「ば、馬鹿な!?」

 

「ほう。これは凄いな」

 

 叫ぶルイオス。感心するローズ。

 ローズの結界に守られていた黒ウサギ達も叫び声を上げていた。

 

「せ、〝星霊〟のギフトを無効化―――いえ、破壊した!?」

 

「有り得ません!あれだけの身体能力を持ちながら、ギフトを破壊するなんて!?」

 

「………十六夜君はローズさん並みにデタラメね」

 

「うん。十六夜のギフトは異常過ぎ」

 

「うん」と黒ウサギ達四人は同時に頷く。

 十六夜は放心したアルゴールの懐に潜り込むと、彼女の鳩尾をアッパーの要領で拳で殴って打ち上げる。

 

「Gi………ッ!?」

 

 空中高く吹き飛んだアルゴールに、十六夜は跳躍して一瞬で追い付くと、そのまま彼女の頭部を蹴り抜き床に叩き付けた。

 

「Ga………Gya……………ッ!」

 

 苦悶の声を洩らしたアルゴールはこの人間には勝てない事を悟り、やがて沈黙するように床にうつ伏せに倒れたまま動かなくなった。

 それを見たルイオスも放心し、そんな彼をローズがニヤリと見つめ、

 

「どうする小僧?自慢の星霊は沈黙してしまったようだが………まだやるか?」

 

「………いや、やめだ。アルゴールを倒されては僕に勝ち目は無い。鎌も当たらないし悔しいけど―――降参だ」

 

 ルイオスは悔しそうな表情で首を振った。これで勝敗は決した。

〝ペルセウス〟のゲームマスター・ルイオス=ペルセウスの降参により、このギフトゲームは〝ノーネーム〟の勝利となったのだった。

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