問題児たちとウロボロスが異世界から来るそうですよ? 作:問題児愛
翌日、自室で目を覚ましたローズは上体を起こすと目に飛び込んできたのは、
「………我の私室で何をしている汝ら?」
「あ、起きた」
「起きたわね」
「ああ、起きたな」
ローズが起きるのを今か今かと待ち詫びていた耀・飛鳥・十六夜の問題児三人が居た。
ローズはまあ良い、という具合にベッドから降りて立ち上がる。そしてそのままクローゼットへ向かい開けて漆黒のメイド服を取り出しベッドに放る。
次に箪笥を開けてこれまた漆黒のニーハイソックスと上下の下着を取り出してまたベッドに放る。後棚の上に置いて在った漆黒のベッドドレスも手に取り同じ場所へと放る。
そしてローズがベッドの近くまで戻り放った服達のチェックを済ませると、徐にネグリジェを脱ぎ―――
「はい、ストップ!」
―――捨てられなかった。慌てて飛鳥が止めたのである。
「ぬ?何故我の着替えの邪魔をするんだ飛鳥?」
「何故、じゃないわ!周りを良く見なさい!ローズさんの部屋に十六夜君が居るのよ!?追い払わないで着替えを行っては駄目よ!」
飛鳥が顔を赤くしながら十六夜を指差して叫ぶ。ローズは「ふむ?」と十六夜は一瞥し、
「別に十六夜が居ようが居まいが我は気にせぬよ。昨日の時点で我が肢体は彼に全て晒け済みだからな」
「そ、そういう問題ではないわ!ローズさんはもっと恥ずかしがるべきよ!」
「ふむ………そういうものか?」
「そういうものよ!ほら、春日部さんも何か言ってあげて!」
飛鳥が耀に振ると、耀はコクリと頷き、
「………取り敢えず、十六夜は早く此処から出て行って。ローズが着替えられないから」
「あいよ。お邪魔虫は退散しますよ、っと」
十六夜はケラケラと笑いながら部屋を出て行く前に振り返り、
「しかし中身も黒とかナイスチョイスだな、白夜叉。流石は―――」
「十六夜君、いいから出て行きなさい―――ッ!!」
十六夜の顔面にローズの枕を投げて叩き付け黙らせる飛鳥。十六夜は「ヤハハ」と笑って部屋を退出した。
飛鳥は「はあ」と溜め息を吐いて、耀に視線を向けると手を合わせて、
「十六夜君が覗かないか見張っててくれないかしら、春日部さん?」
「分かった。ドアノブをしっかり掴んで開かないようにする」
「ありがとう、春日部さん。それはそうと―――」
キッとローズを睨み付けて飛鳥が吼えた。
「ローズさんは無防備過ぎるわ!いい?普通は男の人が居るところで着替えは始めないものなの!だから今度からは気を付けて!」
「む、だが」
「い・い・か・し・ら?」
「…………………………ああ、分かった。今度から気を付ける」
飛鳥の反論を許さない物言いに、ローズは渋々頷くのだった。
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着替えを終えたローズは飛鳥・耀・十六夜と共に食堂へ足を運び、其処で朝食を摂る。
その後は大広間に子供達を除いた一同―――即ち、十六夜・飛鳥・耀・ローズ・レティシア・黒ウサギ・ジンの七人と一匹が集まった。
〝ノーネーム〟のギフトプレイヤー一同が集まったのを確認した十六夜は頷き、
「これより第一回魔王戦に向けてローズにバリバリ強化してもらおうぜ!―――の会を始めます」
「「始めます」」
「「「は?」」」
「ふむ?」
十六夜に賛同するように首肯し拍手を贈る飛鳥と耀。いきなり過ぎて固まる黒ウサギ・ジン・レティシア。一人顎に手を当てて考えるローズ。
十六夜は気にせず続けた。
「俺達〝ノーネーム〟は圧倒的人員不足な上に、このままだと白夜叉の言う通り魔王に勝てない。其処で我らの最強メイドこと、龍神様にギフトゲームを開催してもらってそれに俺達が挑んでドンドン強くなっていこうぜ!ってのが今回から始まった企画だ。異論の有る奴は挙手」
しかし誰も手を挙げない。いや、もしかしたら挙げられないという方が正しいのかもしれない。もし此処で手を挙げてしまったら、十六夜率いる問題児集団の餌食になるのだと野性の勘が警告しているのだ。
誰も手を挙げていないことを確認すると、十六夜はニヤリと笑ってローズを指差し、
「―――というわけで今日から宜しく頼むぜ、ローズ」
「いや待て十六夜。宜しくはいいが………何処でギフトゲームを行うんだ?」
ローズの指摘に十六夜はそうだな、と少し考え込み、ふと妙案を思い付いたのかポンと手を叩き、
「そうだ、白夜叉のゲーム盤を借りよう」
「………成る程な。それは良い案だ。早速行こうじゃないか汝ら」
十六夜の案に賛成したローズは、早速行動に移そうとしたが―――言い出しっぺの十六夜どころか飛鳥と耀も動こうとしない。
それを不思議に思ったローズは小首を傾げて訊いた。
「どうした汝ら?早く白夜叉の下へ行かぬのか?」
「ああ、行くさ。勿論―――」
「「「空間転移で」」」
「………はあ。我をメイドにした理由はやはり―――とことん我を使い潰す気なんだな汝ら」
「「「それほどでも」」」
「いや、だから褒めてないからなっ!」
照れる十六夜達を突っ込んだローズは「はあ」と再度溜め息を吐くと、他の黒ウサギ・ジン・レティシアを見回す。
その後にローズは指を鳴らして、景色はガラリと変わり―――一瞬で白夜叉の私室に転移した。〝サウザンドアイズ〟支店に直接転移したのだ。
十六夜達はローズの相変わらずデタラメ過ぎる空間制御の魔術に驚嘆の声を洩らす。
そして同じ様に驚いた白夜叉がローズ達を見回して、
「おんしら、不法侵入は犯罪じゃぞ?この落とし前をどう付けるつもりだ!」
「「「黒ウサギなら彼処に」」」
「へ?ちょ、御三人様!?黒ウサギを生け贄に捧げるのは酷」
「いぃぃやっほぉぉぉぉぉ黒ウサギイィィィィ!!」
「きゃぁぁぁぁぁぁ!!」
五回転半捻りして襖を突き破りながら吹き飛ぶ白夜叉と黒ウサギ。勿論白夜叉が黒ウサギにフライングボディーアタックをかましてだが。
そして見事な位置に池が在り―――バシャン!と着水したのだった。
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ずぶ濡れになった黒ウサギと白夜叉を火の魔術で乾かしたローズ。
その後、十六夜が趣旨を白夜叉に伝えると、
「くく、それは面白い方法だの!ローズちゃんという鍛えてもらうにはピッタリのメイド―――ではなく魔王がおったとは、すっかり盲点だったわい」
「うんうん」と頷く白夜叉。ローズは眉を寄せて白夜叉を睨み、
「それはそうと、何故我をちゃん付けしたんだ白夜叉?我と汝の仲は其処まで親しかったか?」
「ん?ふふ、それはのう―――おんしが私の作ったメイド服を着ているからじゃ!」
「………ほう?つまり、我の着ている―――〝このメイド服は私が作った物!即ちおんしは私のペット同然なのだよッ!!〟―――と言いたいわけだな?」
「うむ、その通りだッ!!」
ビシッ!と親指を立てて決める白夜叉。ローズは深い溜め息を吐いて、この星霊は頭の構造がどうかしてるな、と思った。
一方のレティシアは白夜叉を睨み付け、
「余り私の主を苛めないでくれ白夜叉。只でさえ主殿達にも早速こき使われているのだからな」
「ほう。それは済まんかったのレティシア。ところでおんし―――ローズちゃんの眷属になったようだの?」
「―――ッ!?」
白夜叉に看破されてドキリとするレティシア。レティシアは不意に視線を感じて振り返る。其処には、
「………へえ?吸血鬼ロリがローズの眷属に、ねえ?」
「そう………ローズさんがレティシアをメイドとしては要らないと言った理由はそうだったのね」
「私達にコソコソ隠れて一人だけローズに力をもらってたんだ、ふうん?」
「あ、いや、その………だな、主殿達。これには深いわけが―――」
レティシアは弁明するも十六夜達の耳に届いた様子は見受けられない。ローズはスッとレティシアを庇うように前に出た。
「責めるなら我にしろ汝ら。レティシアを眷属に誘ったのは我なのだからな」
「!!………我が主?」
「ん?何だレティシア?汝は我の眷属。庇うのは当たり前だろう?」
「そ、そうか」
少し照れ臭そうに頬を掻くレティシア。その様子をにこやかに眺めるローズ。
そんな二人をニヤニヤと問題児三人は眺めていると、一向に話が先に進まないのでジンが話を戻す。
「それでその、白夜叉様。ローズさんとギフトゲームを行う為にゲーム盤を御借りしても宜しいでしょうか?」
「うむ、構わんよ。ちゃんと前払いは黒ウサギが体で払ってくれておるし、私的には全然OKだの!」
「そ、そんないかがわしいことをしたみたいな言い方をしないで下さいませ!変な誤解を招―――」
「「「つまり黒ウサギはエ」」」
「言わせるかこの御馬鹿様方ッ!!!」
ズドパパァーンッ!と今までより一番強力な黒ウサギのハリセンが問題児三人の頭を叩きのめしたのだった。