問題児たちとウロボロスが異世界から来るそうですよ?   作:問題児愛

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ατ

 上空にて、サンドラはローズに守られながら〝黒死斑の魔王(ブラック・パーチャー)〟と交戦していた。

 だが、サンドラの火龍の炎は、黒い風に阻まれ、斑少女に傷一つすらつけることが出来ていない。

 一方の斑少女も、〝龍殺し〟が付与された銃弾を放ってもサンドラに一発も当たっていなかった。

 サンドラの傍に控えているローズの力だろうか、サンドラの身体を穿つはずの弾丸は、突如虚空で消失している。

 どういう仕組みかは知らないが、〝龍殺し〟が付与された攻撃はローズに全て妨害されるようだ。

 

「………はぁ、はぁ」

 

「ふむ、大分息が上がっているようだが………交代するか?」

 

「だ、大丈夫。私は、まだやれる」

 

 ローズの提案を断って、双掌に火龍の炎を生み出し、斑少女に向けて放つサンドラ。

 斑少女はその炎を黒い風で受け止め、お返しとばかりに黒い風を竜巻のようにしてサンドラに放つ。

 サンドラは炎を放って迎撃しつつも、その場から離脱する。

 軌道上から標的(サンドラ)が消え、その傍にいたローズを黒い竜巻が襲ったが、

 

「邪魔だ」

 

 ローズは羽虫を払うように手を振って掻き消した。

 それからすぐにサンドラの横に空間転移して、斑少女がサンドラに撃ってきた弾丸を、掴み握り潰す。

 相変わらずのデタラメ加減に、サンドラは驚きを通り越して呆れていた。

 だって自分では防ぐのでいっぱいいっぱいだというのに、彼女は軽く手を振っただけで掻き消してしまう。

 自分は掠ってもヤバイ弾丸を、彼女は平然と素手で掴んでは簡単に握り潰してしまう。

 空間を自在に操る力も持っていて、彼女は龍神なのにまるで星霊のようだ。

 斑少女もまた、〝無限の魔王〟のデタラメ加減に参っていた。

 黒い風どころか死の風も通じないし、たかが凸ピンなはずなのに、物凄く痛い。

 更に未来から貰った〝龍殺し〟さえ、彼女の前では鉄屑同然とくる。

 一体、どうすれば彼女に一矢報いる事が出来るというのだろうか。

 それに比べて―――

 

「………サンドラ、貴女はつまらないわね。私はいつまで貴女の面白味の欠片もない攻撃を受け続けなければならないのかしら?」

 

「………っ!」

 

 落胆したように斑少女が言ってくる。サンドラはギュッと唇を噛む。

 悔しいが彼女の言う通りだ。〝階層支配者(フロアマスター)〟として貴女を倒す宣言しておいてこの様なのだから、言い返すことも出来ない。

 すると、ローズがニヤリと笑って斑少女を見つめ、

 

「何だ?我の凸ピンが恋しくなったか?」

 

「は、はあ!?何でそうなるのよっ!そんなわけないでしょう!?」

 

「くくく、そう照れずともよい。凸ピンの一発や千発、すぐにでもしてやるぞ?」

 

「照れてなんかないわよ!―――って、何で一発の次は千発になるの!?可笑しいでしょうがあああああああ―――――ッ!!!」

 

 ズガガガガガガ、ズガガガガガガと二挺拳銃から計十二発の弾丸をローズめがけてぶっ放す斑少女。

 ローズは、狙いが自分だけと判断するや否や、空間転移で斑少女の眼前に一瞬で移動した。

 

「何だ、やはり照れているではないか。ほれ、汝の大好きな凸ピンをくれてやるぞ」

 

「え、ちょ、やめ―――ッ!」

 

 スローモーションで近づいてくるローズの指に、怯えたような声を発する斑少女。

 そして、斑少女の額にローズが指を持っていき―――

 

「ぬ?」

 

 ―――突如、第三宇宙速度で飛来してきた槍が、ローズの視界を掠めた。

 それをローズは人差し指のみで受け止め、投擲者を睨み、目を丸くする。

 投擲者が―――レティシアだったことに。

 

「………ほう?レティシアよ、主たる我に槍を放つとは、一体どういう了見だ?」

 

「……………」

 

 ローズの問いに、レティシアは答えない。黙ったまま、雷の槍を出現させてローズに向けてくる。

 そんなレティシアを不思議そうに見返すローズ。

 すると不意に、ローズにとって不快極まる『音』が耳に響き、眉を顰めた。

 

「ふん。耳障りな音色だな」

 

 ローズはそう呟き、音のする方を見る。そこには、白装束を纏った女・ラッテンが魔笛に唇を当て、奏でていた。

 犯人はあの笛娘か、とローズは内心で呟いて、ラッテンの演奏を止めるために、彼女に向けて腕を振る―――

 

「ん?」

 

 ―――おうとしてやめた。視界の端に、燃え盛る炎が迫っているのを捉えたからだ。

 それを軽く手を振って掻き消し、炎を放った者へ視線を向ける。

 火龍―――サンドラに。

 

 

ατ

 

 

「ローズさん!?」

 

 唐突な乱入者の攻撃を受けたローズに向けて、声を上げるサンドラ。

 サンドラは、すぐさまローズを攻撃した者に炎を向けようとし―――固まった。

 

「………え?あの方は確か………〝箱庭の騎士〟!?ローズさんと同じコミュニティの………!?」

 

 ギョッと目を剥くサンドラ。だって何故彼女がローズを攻撃したのか、理解出来ないからだ。

 仲間のはずなのに。同士のはずなのに。どうして、刃を向けているというのか。

 サンドラがそんなことを考えていると、不意に、不快な音色が耳に響いてきた。

 

「………え?―――ッ!?」

 

 サンドラはその音色を聴いた途端、目の前が霞んで、手足に力が入らなくなっていくような感覚に襲われた。

 

「―――っ!」

 

 この音は不味い。そう感じたサンドラは、慌てて両耳を塞ごうとするが、腕に力が入らず、動かすことさえ出来なくなっていた。

 耳を塞げず、どうすることも出来なくなってしまったサンドラは、その不快な音色を聴いていると、意識が朦朧としてきた。

 

「―――ッ、だ、駄目………っ!」

 

 口で拒否をするも、身体は動かなくなり、意識は途切れる寸前にまで追い込まれていく。

 そして遂に、サンドラの意識は完全に途絶え、滞空出来ず真っ逆さまに地上へ急降下していった。

 

 

ατ

 

 

 サンドラは、無感情な瞳でローズを見上げて、双掌に炎を生み出す。

 レティシアは、無感情な瞳でローズを見上げて、雷の槍を構える。

 ローズが、自分の左下と右下にいる二人を、「ふむ」と顎に手を当てながら交互に見ていた。

 一方、斑少女が驚いていると、ラッテンが傍まで来て、

 

「マイマスター!助けに来ましたよ!」

 

「ラッテン!?貴女、どうして来たのよ!白夜叉の様子を見に行きなさい!こんなところにいたら〝無限の魔王〟に殺されるわよ!?」

 

「嫌ですよ!マスターだって、苦戦してるじゃないですか!一対一より、頭数多い方がやり易くなりますよ!」

 

「うぐっ………!」

 

 図星を突かれて言葉を詰まらせる斑少女。苦戦どころか一方的にやられているけど。

 だがまあ、ラッテンの魔笛で敵を操り、操った敵に〝無限の魔王〟を襲わせれば、向こうは戦い辛くなって隙も出来るかもしれないが。

 斑少女は「はあ」と溜め息を吐いて、頷いた。

 

「分かったわ。私一人じゃどうにもならない相手だし、手伝ってくれる?」

 

「―――!イエス、マイマスター!」

 

 頼ってもらえて嬉しそうに返事をするラッテン。

 やれやれと肩を竦ませた斑少女は、ローズの方に目を向けた。

 ローズは、レティシアの投擲した雷の槍を右手で掴んで握り潰して霧散させ、サンドラの放った炎を左手で受け止め、そのままラッテン達の方へ撥ね飛ばした。

 

「ちょっ!?」

 

「ラッテン、下がりなさい」

 

 斑少女は双掌を前に突き出し、そこから黒い風を生み出して炎を受け止め、霧散させた。

 

「マイマスター………!助かりました!」

 

「ふん。この程度ならどうとでもないわ。それより―――」

 

 斑少女は、レティシアとサンドラを見て訊いた。

 

「ラッテン、貴女の笛では純血のヴァンパイアと火龍は操れないはずだけれど………どういうこと?」

 

「あ、はい。未来ちゃんがくれた〝龍殺し〟のお陰ですねえ。どうやら今の私の笛は龍種に効果覿面らしいんですよー!」

 

「そう………それなら〝無限の魔王〟は無理でも―――〝サラマンドラ〟なら全員操るのも容易そうね」

 

「………!もしかしてマスター?〝サラマンドラ〟全員を使って〝無限の魔王〟を押さえる感じですか!?」

 

 驚愕の声を上げるラッテン。

 斑少女は「ええ」と首肯して続けた。

 

「どうせなら派手にいきましょう?貴女の操っている純血のヴァンパイアとサンドラだけじゃ、〝無限の魔王〟を押さえるのは無理そうみたいだしね」

 

 そう言って、斑少女はローズの方に視線を向ける。ラッテンも釣られてそちらに視線を向けた。

 ローズは、余裕な笑みを浮かべたまま、レティシアの雷撃とサンドラの炎撃を受け止め、粉砕していた。

 ………というか、味方に攻撃されているのに、嬉々としてこの状況を楽しんでいた。彼女の頭は可笑しいのだろうか。

 その光景に、斑少女とラッテンは頬を引き攣らせつつも、作戦に打って出た。

 

「それじゃあラッテン。貴女の笛で〝サラマンドラ〟を操りなさい。〝無限の魔王〟なら私が引き付けておくから」

 

「了解しましたー!」

 

 斑少女は、ローズに向かって飛んでゆき、ラッテンは、その場で魔笛に唇を当て、旋律を奏で始めた。

 

 

ατ

 

 

「………ふむ。笛娘にはしてやられたな。よもや我が眷属と火龍の娘サンドラを傀儡するほどの力を持っていたとは」

 

 ラッテンを睨みながら、現状を整理するローズ。

 レティシアとサンドラが敵の手に堕ちた。だが本来の笛娘(ラッテンフェンガー)にそんな力はないはず。

 ならば、考えられる理由は一つ―――

 

「………〝龍殺し〟か」

 

 そう。〝ペルセウス〟のルイオスや斑少女が手にしていた力。

 ある子から貰ったという、〝龍殺し〟の恩恵だ。その力がラッテンも手にしているのなら、傀儡されるのも頷ける。

 ………まあ、〝龍殺し〟を付与された音色程度に、我は屈しぬがな。

 

「―――ん?」

 

 ローズは、右下からレティシアが雷の槍を投擲してきたことに気づく。

 第三宇宙速度で飛来してきたそれを掴み、握り潰して霧散させる。

 次いで、ローズの左下からサンドラが双掌に炎を生み出し撃ち放ってきた。

 宇宙速度にも満たないゆっくりとした一撃を、左手で受け止め、何やら話をしている斑少女達の方へ向けて撥ね飛ばしてみた。

 すると、ラッテンが驚き、斑少女が黒い風で炎を受け止めた。

 

「………ふむ、やはりサンドラの炎では駄目か」

 

 ならば、とローズは右手に【(スコタディ)】を生み出し、それを『(バラ)』に形作―――

 

 

「【ヴロンティ】―――形状(スシマ)雷の砲(オプロ・ティス・ヴロンティス)

 

 

「ぬ?」

 

 ―――ろうとしてやめた。

 何故なら、レティシアが槍から砲に形状を変え、ローズめがけて第三宇宙速度でぶっ放してきたからだ。

 サンドラも、炎の柱を作り、撃ち放ってきた。

 

「効かんな」

 

 ローズは【(スコタディ)】を消して、先に迫ってきたレティシアの雷の砲を右手で受け止め、後から迫ってきたサンドラの炎の柱を左手で受け止める。

 そして同時に雷と炎を握り潰して粉砕した。

 ローズは、予想外の事態に表情は嬉々としていたが、内心では落胆していた。

 レティシアやサンドラと戯れるのは悪くない。が、もっと楽しめる相手はいないのか。

 十六夜みたく、我を屠れる力を持つような、そんな面白い敵は―――

 

「………む?」

 

 ふっとローズは、黒い竜巻が迫ってきているのに気づく。

 それを手刀一閃で縦に真っ二つに切り裂き、かなり近づいてきた斑少女の姿を認める。

 更に接近してくる斑少女に、ローズは笑みを浮かべた。

 

「漸く、笛娘との話し合いが終わったようだな」

 

「ええ、終わったわ。〝無限の魔王〟、貴女を―――倒すための作戦会議をね!」

 

 斑少女がそう告げた瞬間、ローズの耳に、あの不快極まる音色が響いた。

 ローズは眉を顰めて、ラッテンを見ると、やはり彼女が不快な旋律を奏でていた。

 ローズは、またあの笛娘か、と内心で呟き、ラッテンめがけて衝撃波を撃ち放とうとしたが、異変に気づいてやめる。

 

「………ほう?」

 

 そして、これは面白い、と笑みを浮かべる。

〝サラマンドラ〟の同士と思しき、翼を背に広げた男達がローズを取り囲み始めたのだ。その中にはサンドラの兄・マンドラもいた。

 更には、ゾロゾロと屋根上に登っては火蜥蜴達が上空を見上げて、口の中を灼熱で満たし、今にも火球を吐き出そうと待ち構えていた。

 彼らは、他の参加者などガン無視して、ただローズのみを狙っている。

 ローズは、成る程と頷き、

 

「〝サラマンドラ〟全員を操り、我を押さえるのか。中々に面白い作戦だ」

 

「ふふ、そうでしょう?でも、笑っていられるのは今のうちよ!―――ラッテン!」

 

 斑少女が振り返って叫ぶと、ラッテンが「はぁい」と返事をして、魔笛を高々と振り上げた。

 

 

「さあ、お前達!やってしまいなさい!」

 

 

『おおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ―――――ッ!!』

 

 

『GYAAAAAAAAAA―――――ッ!!』

 

 

〝サラマンドラ〟総員が雄叫びを上げる。

 サンドラとレティシア、斑少女も炎を、雷を、黒い風を生み出す。

 そして、ローズに総攻撃を仕掛けようとしたその時―――激しい雷鳴が鳴り響いた。

 

「そこまでです!」

 

「ぬ?」

 

「え?」

 

「―――!今の雷鳴………まさか!」

 

 ハッと雷鳴が聞こえる方に目を向けるローズ達。

 そこには、軍神・帝釈天より授かったギフト―――〝疑似神格・金剛杵(ヴァジュラ・レプリカ)〟を掲げた黒ウサギがいた。

 黒ウサギは輝く三叉の金剛杵を掲げ、高らかに宣言する。

 

 

「〝審判権限(ジャッジマスター)〟の発動が受理されました!これよりギフトゲーム〝The PIED PIPER of HAMELIN〟は一時中断し、審議決議を執り行います!プレイヤー側、ホスト側は共に交戦を中止し、速やかに交渉テーブルの準備に移行してください!繰り返します―――」

 

 

 繰り返し宣言する黒ウサギの声を聞き、ローズは「はあ」と溜め息を吐き、

 

「余計な真似をしおって。そんなものを行えば敵の思う壺だぞ、駄兎」

 

 そんなことを呟いて、頭を振った。

 一方、斑少女は、チッと舌打ちして、

 

「後少しだったのに!………ラッテン、撤収するわよ。ヴェーザーを迎えに行くわ」

 

「はぁい、マイマスター」

 

 ラッテンはパチンと指を鳴らすと、それが合図だったようで、〝サラマンドラ〟達が正気を取り戻していった。

 

「―――ハッ!?私は一体何を………?」

 

「どうしてこんなところにいるんだ?」

 

「何がどうなって………!?」

 

 ザワザワと騒ぎ立てる〝サラマンドラ〟達に、ローズが言った。

 

「汝らは敵に操られていたぞ。此処に集められているのは、我に一斉攻撃させる為だ」

 

『!?』

 

 ローズの言葉に、〝サラマンドラ〟達が驚愕し、一斉にローズを見る。

 マンドラが「ありえん」と吐き捨て、激怒した。

 

「我々が敵に操られていただと!?出任せを言うなッ!」

 

「嘘ではありません兄様!私もまた、敵に操られていた一人です!」

 

 サンドラがローズの側に来て言う。

 

「サ、サンドラ………!?」

 

「皆さんも聴いたはずです!とても不快な音を!」

 

『………!』

 

「それが我々の意識を乗っ取り、操っていたものの正体です!」

 

 サンドラがそう言うと、〝サラマンドラ〟達が、「確かに聴いたな」「あの後、急に目の前が真っ暗になったような………」「全身が動かなくなった」とか口々に呟く。

 マンドラは、「ぐぬぬ」と何かまだ納得いってない様子だったが、彼もその音色を聴いた後の記憶が吹っ飛んでいたから反論せずに口を噤んだ。

 ローズは、「ふうん?」と小首を捻り、サンドラを見た。

 

「あの時の記憶、汝にはあったのか?サンドラよ」

 

「は、はい………薄っすらとだけど覚えてる。ごめんなさい、ローズさん!」

 

「謝らずともよい。自らの意思でやったわけではないんだからな」

 

「だ、だけど」

 

「よい。寧ろ容赦なく我に炎を撃ってくる汝は、中々よかったぞ。今では我に挑む気はないのだろう?」

 

「そ、そんな畏れ多いこと!私には出来ないよ………っ」

 

 あわわ、と言いそうな風に返し、手を振るサンドラ。

「くくく」と喉を鳴らしながら笑い、サンドラを見つめるローズ。

 すると突如、ローズの背中に何かがぶつかってきた。

 

「ん?」

 

 ローズが振り返って確認すると、レティシアが漆黒のメイド服を握り締めていた。

 

「………済まない、我が主。操られていたとはいえ、主に刃を向けるなんて………私は主の眷属失格だな」

 

 レティシアはそう言って、ローズの服をギュウッと強く握り締める。

 サンドラは、え?〝箱庭の騎士〟が、龍神様の眷属!?と内心で驚いたが、今はその事を訊くのはやめて、その場から離れた。

 ローズは、ポンとレティシアの頭に手を置いた。

 

「それを言うなら、我の方こそレティシアの主失格だ。眷属たる汝を護れず、敵の手に堕としてしまったんだからな」

 

「そ、そんなことは!」

 

「ない、と言えるか?〝龍殺し〟の恩恵を甘く見ていた我の失態だ。レティシアよ、汝は悪くない。故に己を責めるな」

 

「………っ」

 

 ローズの言葉に、レティシアは返す言葉が見つからず口を閉じる。

 暫くして、レティシアは小さな声で言った。

 

「………じゃあ、我が主は、私を許してくれるのか?」

 

「無論だ」

 

「こんな私が、我が主の眷属でいていいのか?」

 

「ああ。レティシアの方こそ、こんな我が、主でよいなら、今後ともよろしく頼むぞ」

 

「………!そんなこと言わないでくれ!今でも私なんかが我が主の眷属でいいのかと思っているというのに………っ!―――ああ、こんな私でいいなら、喜んで、我が主」

 

 笑顔で答えるレティシア。

 ローズは、そんなレティシアの頭を撫でた後、

 

「では往くか、レティシア」

 

「ああ、我が主」

 

 黒ウサギ達と合流しに行くのだった。




バトル終了。
次回は審議決議ですね。

後三話ほど書いたら吸血鬼の方も進めようかと思います。

後、どうでもいい訂正になりますが、闇のギリシャ語は〝スコタビ〟ではなく〝スコタディ〟でした。bとdの読み間違えですね、はい(^_^;)
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