So Am I 作:伊織
「…除霊、ですか?」
「そう。今日からなんだってさ『でる』って噂の旧校舎の除霊。」
ここ生徒会室では、新入生用の資料を作りながらもそんな会話がされていた。何でも学校の隅にある旧校舎に何かが憑いていると噂になっているのを気にしているらしく、校長が依頼したそうだ。
「藤原って、幽霊とか信じるタイプ?」
そう先輩に声を掛けられ、さくさくと作業をしていた手を止め顔を上げれば、皆が私を見ていた。私は暫くうーん、と考え、口を開く。
「…信じる・信じないってよりいると個人的には思っているっていう方が合ってると思います。」
そう自分の考えを言えば、少し驚きを見せる先輩達。そんなに私は否定派にみられていたのだろうか。
「意外ですか?」
「うんちょっと。こういう話はあんまり好きじゃなさそうだしね。」
「別にそんな事はないんですけれど…」
曖昧に微笑み返すと、また資料作成の作業に戻る。この学校は中高一貫で、殆どの人が内進生だ。よって生徒会は中3と高1から構成され、例によって先生の身勝手で抜擢された私、藤原美桜も生徒会役員をしている。
そして今現在話題になっている旧校舎というのは、学校の端にある古い木造校舎のことだ。そこにはいわゆる【ありきたり】な怪談が数多くある。
「なんか結構な数の霊能者を呼んだみたいだよ。」
「あ、私見ました。今日一組着いてましたよね。」
なんて友達や先輩がぽつぽつと話しているのを軽く聞き流していたが、ふと聞こえた単語に顔を上げ聞き直した。
「先輩!今なんて言いました?」
「え?だからゴーストハント。なんでも渋谷にオフィスを構えてるらしいんだけど、なんかうさんくさい霊能者とは違うっぽいんだよね。しかも、そこの所長さんが私達と同じ位の年齢なんだって。」
「…ゴーストハント」と美桜が小さく呟き、更に質問を重ねる。
「あの、そこの関係者の名前はわかりますか?」
「えーと…それならそこの資料を見ればわかると思うよ。呼んだ霊能者の名前とかいろいろリストアップしてあると思うから。」
そう言われて机の上にある紙を見る。そこには何人かの霊能者の名前が載せられていたが、美桜はさっと見てその紙を置いた。
「なんか見つけた?」
「あ、いえ…ありがとうございました。」
また作業を再開する。そうだ。彼が日本にいるはずがない。居場所だってまどか達に口止めしてるし。
期待するなんて馬鹿みたい。もう一年以上経つのに。
溜息を一つ吐き、忘れようと頭を振った。