So Am I   作:伊織

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Day.3

 

 

次の日の朝、美桜がいつもと同じ時間に学校へ向かえばミチル達が何故かシンミリとしていた。

 

「なに?どーしたの?」

「あーおはよー美桜ー…」

「いやーなんか渋谷さんが転校生じゃないって話したら残念がって…」

 

あーなるほど…と美桜は苦笑した。確かに学校の先輩でなければ依頼が終わればいなくなってしまうわけで。

 

「うーん、まあそれはそれで敵が減っていーじゃない。」

 

そう言えば「ま、そーだよね!」とすぐ持ち直した。美桜もそーそーと肩を叩く。

 

 

「…ちょっと、谷山さん」

 

そんな団欒としてる時に、麻衣の後ろから黒田さんが声を掛けた。確か内進組だが同じクラスになったのは初めてで、まだ話した事がない。

 

「あの人霊能者なの?旧校舎を調べに来たって今言ってたけど。」

「霊能者じゃなくてゴーストハンターだそーです。」

「ゴーストハンター?」

「だからそれどう違うのよ。」

「知らんって」

 

「…ゴーストハンターってのは心霊現象をresearch…つまり調査して、それを科学で証明しようって人のこと。ちなみにイギリスにあるSPRが最も権威のある調査会だと言われているわ。」

 

そう説明すれば麻衣達はポカーンとして美桜を見た。美桜は「イギリスじゃそれなりに有名なんだよ?」と言う。

 

「…谷山さん、あの人に紹介してくれない?」

「はあ!?」

 

突然の黒田さんの申し出に麻衣が声を上げる。正直失礼な気もしなくはないが。

 

「ホラわたしにも霊能力があるじゃない?なにか手伝えるかもしれないわ。」

 

霊能力、ねぇ。そんなもの言いふらして何が欲しいのか。理解に苦しむな。

 

「黒田さん、旧校舎は基本生徒は立ち入り禁止。生徒会から念を押して言われてるはずだけど?」

 

そう言えば黒田さんはキッと私を睨む。

 

「なら何故谷山さんは許可されているの?」

「渋谷さんから校長に直接願い出があったの。だから麻衣は許可が降りてる。だけど生徒会としてもこれ以上生徒の立ち入りは許可できないわ。」

 

ごめんね、と最後に言えば黒田さんは納得いかなそうにしながらも席に戻った。

 

「さっすが生徒会副会長!かっこいーっ!」

「どーも」

「あいつあんなヤツなのよ。中等部のころから有名だったんだ。アブナイって」

 

へえ、知らなかった。まぁ私も途中から転校してきたしな。

しかし、やっぱり能力者だって公言すると、一般的にこういう扱いにはなっちゃうよね。【アブナイ奴】だって。

 

「あぁ。黒田さんも恵子達と同じ内進組だっけ。」

「そ。霊感があるとかいっちゃってさバッカじゃないの。」

「ふぅん…」

 

その言葉に、美桜は一瞬眩しそうに目を細めて、深呼吸を吐いた。

 

 

 

 

_____

_________

 

 

 

 

「ただいまー…」

 

生徒会の仕事が終わりマンションに着いた頃にはとっくに暗くなっていた。まぁいつもの事なので特に気にもせずカードキーを取り出し暗証番号を打った後かざせばドアが開いた。そのまま中へ入りエレベーターに乗り最上階のボタンを押す。特に人も入って来ず上へ上がって、ドアを開ける。

誰もいない広すぎる部屋は、白を基調としたシンプルな造りになっていた。廊下を真っ直ぐ突き進み着いたのはリビングで、美桜はソファーに倒れこむ。

 

 

 

【霊感があるとか言っちゃってさ、馬鹿じゃないの】

 

 

 

あの言葉は流石にキツかった。自分に向けられてる訳ではないとわかってる。それでもその言葉は人を傷つけるのには十分なのを私は知ってる。

 

言葉一つで人を殺してしまう事だってあるのだから

 

 

 

 

 

 

 

ーピリピリピリッー

 

 

突然鳴った家電に驚き急いで顔を上げる。そして番号も見ずに電話に出た。

 

「はい藤原です。」

「あ、もしもし美桜?」

「…まどか?」

 

久しぶりな声に驚きながらも電話を持ち直す。彼女は私の【向こう】での上司で、一ヶ月に一回は必ず連絡をくれる。

 

「元気にしてるー?」

「うん。そっちは?」

「変わらずよ~。書類整理ばっかり…」

 

溜息を吐く彼女に美桜は苦笑した。まどかは篭って研究というよりは外で心霊調査の方が合っているのだ。

 

「そっか。こっちも忙しくて論文ピンチかも。」

「美桜はいっつも真面目なのよ。まぁこっちは助かってるけど。高校はどう?慣れた?」

「うーん…イギリスより難しいかも。だけど楽しく過ごしてるわ。刺激がなくて寧ろ少しつまんない位よ。」

「まー美桜なら成績に問題はないわね!論文のコピー、出来た所まで明日中に送ってくれない?チェックするから。」

「了解。…ナルも忙しいそう?」

 

 

久しぶりに口に出した彼の名前。自分で言っただけで思い出して、どうしようもなく泣きたくなる。

 

「…多分ね。」

「なに?まどかも会えてないくらいに忙しいの?」

「あのね、美桜には言ってなかったんだけど、実は…」

 

 

 

次に出た言葉に、私は凍りつく感覚を覚えた。

 

 

 

 

 

「ナルはね、今日本にいるのよ」

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