ようこそ、ファンタジー世界へ。   作:zienN

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第10話:武器を求めて

「おー、いろんな木があるな」

 

マイに案内された武器屋(工具店)は品ぞろえがよく、様々な木材が立ち並んでいた。

 

「値段気にしなくてもいいか?そこそこ良いやつ買うぞ?」

「いや、剣とかに比べたら超安いから全然いいけどさ、お前まじでそれで戦う気なの?」

 

ラストは納得がいかないのか、ここにくるまでの間にこうして何度も聞いてきた。

 

「そうだけど?」

「いや、まあなんというか…うん、いいや。好きなの選べよ」

「私もちょっといろいろ見てきますね…」

 

角材を武器にすると言った途端にこの反応だ。いいじゃんか、角材とか殴られたら超痛いだろ。

MPないから物理でオッケー!

 

「ラスト、この中でこの木はすごいよって言うやつ知らないか?」

「俺は木に関しては何も知らないからな。当の専門家は自分の買い物を始めてるし」

「そうだよなあ」

 

マイは自分の商売道具を買おうと本気になって探している。

年頃の女の子ならその目は服とかアクセサリーに向けるものなのに。

こいつは本当に18歳なのだろうか。

 

「仕方がない、店の人に聞いてみよう。ラスト、あそこの女の店員さんに聞いてみてくれよ」

「あいよ、行ってくる」

 

ラストは店員さんに後ろから声をかける。

 

「すいませーん、ちょっといいか?」

「はい、なんでしょう…はっ!」

 

バキュ―――ン!

 

ハートを射貫かれたような音が聞こえた気がする。

さすがはイケメン。これは落ちたな。

ラスト、お前はこの街でハーレムでも作ってろ!

 

「ちょっと聞きたいことがあるんだけど、大丈夫?」

「え、は、はい!なんでしょうか!?」

 

そのままラストがこっちに店員さんを連れてやってくる。

グッジョブラスト!なんか技名みたいだな。

 

「この中で一番いい木ってどれ?できれば剣とか斧でも折れないような、とにかく頑丈なやつがほしいんだけど」

「あー、ちょっと待ってくださいね。今、店長を呼んできます!」

 

そういって店の奥に駆け込んでいく。

1分もしないうちに店の奥から体格のいい男が出てくる。

万引きとかしたら殺されそうなほどにいかつい。

 

「どうもいらっしゃい。俺がここの店長だ。それでお客さん。良い木が欲しいみたいだな。どんな木が欲しい」

「とにかく硬くて頑丈で、剣とかとも打ち合いができて、簡単に折れない木が欲しいんですよ。僕は素人なので、教えてもらえると助かります」

「なんだお客さん、あんた、決闘でもするつもりかい?」

 

僕の説明が面白かったのか、店長を名乗る男はその口元を緩めて強面を崩した。

 

「ああ、14時から申し込まれててね。僕は武器は全く扱えないから、角材で戦おうと思ってるんです」

 

そういうと店長は一瞬だけ目を見開き、その後すぐに笑いだした。

 

「ガッハッハ!本気かい?剣を相手に木で挑むたあ、あんた相当クレイジーだねえ!ハッハッハ!」

「やっぱりそうだよな!よし、サンタ。他の店で武器を買おう。大丈夫、お前なら使いこなせるって!ほら、あんたも、こいつになんか言ってやってくれよ!」

 

ラストが店長に僕を説得する言葉を求める。

相変わらず楽しそうに、嫌味なく笑うので、全然怒る気にもなれない。

 

「ガッハッハア!ヒィ、すまねえ!可笑しくてつい笑っちまった。剣と打ち合える木材か。いいだろう!俺が最強の武器を選んでやる!」

「ほら店長もこういって…って、ああ!?」

「ありがとう!助かるよ!」

「その代わり、うちの店の宣伝もよろしく頼むぞ!」

「ああ、任せてくれ!ダンディな店主とかわいい看板娘が、素人相手でもやさしく教えてくれる店って、宣伝してくるよ!」

「なんか言い方はアレだが、頼むぜ!」

 

ガシッと、握手をする。

交渉成立だ。

 

「ああ、もう。どうなるんだか…」

 

きれいな白と金が混ざったような髪色の頭をかきながら、ラストはこれからの決闘に、初めて不安を覚えたのだった。




最後まで読んでいただきありがとうございます。
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