ようこそ、ファンタジー世界へ。   作:zienN

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第2話:はじめてのたたかい

街を数分間さまよって、やっとのことで外に出れた僕は、再びステータスを確認した。

 

「レベルは1。まあ最初はこうだよな。スキルは何もなし。これもそのうち出るか。後は…ん、武器熟練度?」

 

そこにはさまざまな武器の種類の名前と、横に熟練度のランクのアルファベットが並んでいた。

「なるほど、使い続けていくうちにいろんな熟練度が上がってステータスが上乗せされる感じか。にしても…」

 

ざっと目を通して一言。

 

「素手以外ランクZって、なんだよ!」

 

Z。アルファベットの最後でありランクで言うと最低。普通はFのはずなのに、これはつまり、お前には武器は使いこなせない。才能がないから。と馬鹿にされているようなものだ。

 

「・・・でも、素手はCランクっていうのは、いい情報だな」

 

一番下にある素手の項目だけは、Cとなっていて、少しだけ期待できることが分かる。

そして、一番下によく見ると小さく、「武器に分類されないものは素手の熟練度の補正がかかります」と書いてある。

 

「なるほど、じゃあそこらへんの棒とか、ほうきでも素手と同じなのか。じゃあ問題ないな」

 

大体のことは理解できた。後はモンスターと戦いながら学んでいこう。

街の外の草原は、元いた世界のような銀世界ではなく、心地よい風が吹いていて、昼寝をするには最高の場所だと思った。

目の前のゼリー状のものの存在を除けば。

 

「やっぱり最初はスライムさんですか。武器もないし、喧嘩だと思って殴りに行こうか」

 

ダッ、と駆け出して、スライム向かって右ストレートを繰り出す。後ろからの不意打ちだったので、避けられることなく弾力のある体は直撃して数メートル先に飛んでいった。それから少し鳴いたかと思うと、ぐったりとして、黒い灰となって崩れ去った。

 

「へえ、なるほど。熟練度補正がそこそこあるから、ただのパンチもちょっとは強くなってるのか」

 

5匹ほどスライムをたところで、スマホがなる。通知画面には「レベルアップ!ステータスを更新しました!」という文字が書かれている。

わかりやすいな。これならゲーム感覚でやれそうだ。

 

「よし、こっからはガンガンいくぜ」

 

僕はそれからずっと、スライムをただひたすら殴り続け、たまに落ちるゼリーを袋に突っこんで、日が沈んでも、日が昇っても、街に帰ることはしなかった。

 

サンタクロースのくれた、寝なくても疲れない体のおかげで、まったくといっていいほど疲れないし、眠る必要もない。眠ることを忘れた僕は、日が変わろうとも、スライムを殴り続けることをやめなかった。

 

しかし、問題は2日後に起こる。

 

「腹減ったな、、」

 

全然気にしていなかったが、やっぱり腹は減る。腹が減ってたら、どれだけ疲れていなくとも力は出ないし、最悪死ぬ。

 

「何か食うものは…そうだ、袋の中」

 

途中から邪魔になってルドルフに加えさせたままの袋を手に取って、中身を確認する。

頭の中にイメージが浮かびあがってくる。

 

青いゼリー。赤いゼリー。緑のゼリー。

 

「ゼリーしかねえのか!」

 

普通に考えれば当たり前なんだが、少しくらいおまけして、パンの一つくらいはいれておいてくれたっていいじゃん。

サンタさんまじ気が利かない。

 

仕方がない、僕は袋に手を入れて青いゼリーと念じた。袋の中で何かをつかんだ感覚がしたので手を取り出すと、ぷるぷるとした青いゼリーが手の上で身を揺らしている。

 

「一応、食えるよな。そうだと信じて…いただきます!」

 

ガブリと大きな一口。味は悪くない。いや、むしろ。

 

「うまい!」

 

青いゼリーはソーダのような味がして、子どものころ駄菓子屋で食べたお菓子にそっくりだった。

 

「これだったら、腹も満たせるし、いよいよ本当に街に帰らなくてもいいじゃん!」

 

テンションが上がった僕は、そのまま落ち着くことなく、近くのスライムの群れに突撃する。

 

「はは、ははははは!」

 

だんだんスライムを殴るのが楽しくなってきて、時間も、昼夜の移り変わりも忘れて、僕はルドルフと一緒に、ひたすらにスライムを殴り続けた。

 

近くに冒険者がいたかはわからないが、僕を見たらこの赤い恰好から、人々は口をそろえてこう言うだろう。

 

人の形をした赤い鬼がスライムをいじめている、と。

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