「頑張れ、皆!」
「ノーウ!」
「狙うはサンタだ!きっとあいつがリーダーだ!友達だからって容赦するんじゃねえぞ!!」
「ノーウ!」
ラストが城壁の上から顔を出して指示を出す。
流石雪合戦の冬将軍を自称するだけあって、相手の士気は高い。
しかしそれだけではない気がする。
あの雪の子たちの必死な目から、何か別の力が働いているような…
戦況はラスト側から6体がこちらに攻めてきていて、壁の右側、左側、そして上へよじ登ってくるものが2体ずつの編成だ。
残りの一匹はラストの護衛なのだろうか、姿は見えない。
対してこちらは右側に2体、左側に2体、壁の内側にマイの護衛1体と僕の作戦を遂行している1体と、リーダーのマイを配置している防御型の編成のため、必然的に押されている。
僕は人数の都合上、壁の上で、よじ登ってくる2体を一人で相手にしなければならない。
「くそ、スライムすら倒せない戦闘力のくせに、指示の出し方は完璧だ!ちょっとずつ押されてるな…!」
「攻撃は最大の防御ってなあ!これこそが、冬将軍と呼ばれた由来の戦法だ!」
緑の雪だるまたちの猛攻に、早くも壁の左右は守りが崩れそうだ。
「どうしましょう!こっちに攻め込まれるのも時間の問題です!」
下からマイが雪だるまを作りながらこちらに向かって声を上げる。
言ってることとやってることが矛盾している気がするが、一応作戦なので気にしない。
「まずいな、どうしようか…」
「ノーウ!」
左の方から悲鳴が聞こえる。
見ると自陣のスノウマンの一体に雪玉が直撃して頭を飛ばされてしまったようだ。
助けようと駆け寄る一体に、緑の2体が集中砲火をかけようと雪玉を作り始める。
「まずい!」
よじ登ってくる二体を落として、追い打ちに雪を落として牽制する。その後壁から飛び降り、左側の方へ応援に向かう。
「今助けるぞ!らああ!」
袋から雪玉を投げて緑の雪だるまに攻撃を命中させると、一体の頭が飛び、それに気づいたもう一体はこちらに振り向く。
「いまだ!行け!」
「ノーウ!」
僕が気を引いているうちに迅速に頭をくっつけたこちらのスノウマンは、仕返しとばかりに僕の方を向いて背を向けているそいつに一発お見舞いした。
攻撃を食らって再び赤いスノウマンに振り向くが、それはすなわち再び僕に背を向けた状態になるわけで。
「くらええ!」
「ノオオオオウ!」
もう一体も後ろから僕の不意打ちを食らって、頭が飛んだ。
「大丈夫か!これで二体は片付いたな…」
「ノーウ♪」
「おっと、今は甘えてる場合じゃないぞ。早く反対側の援護に回るんだ。いっけえ!」
こちらに飛びつくスノウマンの体を掴んで反対側へ投げ飛ばす。
もう一体も投げて飛ばすと、ラストの攻めの陣も停滞する。
これで壁の右側は2対4だ。
数的に言ったらこちらにも勝ち目がある。
「後はこいつらの頭がくっつかないようにしないとな」
頭と胴体が離れ離れになった緑の雪だるまの頭をつかんで明後日の方向に投げる。
これでしばらくは戻れないはずだ。
6対8、数ならこっちが有利だ。
さて、マイの方へ戻らないと。
壁の内側に戻ろうと誰もいないガラガラの左を振り返るが、見知らぬ一体が立ちはだかり、壁への道をふさいでいることに気づく。
「王様自ら出向くたあ、お前は民想いの勇気ある王様だなあ!でもそれは戦場じゃあ、勇気じゃなくて蛮勇っていうんだぜ?」
ラストの声に振り返ると、先ほど壁から落とした敵側の2体が復活したのか雪玉をもってこちらをにらんでいた。
そして壁への道をふさいでいるのはラストの護衛と思っていた雪だるまであり、いつの間に来ていたらしく、僕は3体に囲まれてしまった。
「へ、待っていたのさ。片方がやられて、お前が援護に出てくるのをなあ!おい、そっちのお前らも、4体と戦っていないでサンタを狙え!この戦いは、リーダーがやられた時点で終わりなんだ!そいつらはほっとけ!」
「ノーウ!」
ものすごいスピードで壁の右側で戦っていた2体も、こちらに向かってくる。
そして5体に囲まれて、僕に最大のピンチがせまる。
「まじか…」
「さあ、覚悟しな!これが冬将軍の実力だ!やれ!」
「ノーウ!」
叫び声とともに、無数の雪玉が僕を襲った。
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