ようこそ、ファンタジー世界へ。   作:zienN

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どうも。
週1、2回と言いつつ結構飛ばしてますがそのうち週1のペースに戻るはずです。


第3話:ギルド

あれからどれくらいの時間がたっただろうか。

ふとスマホを見て気づく。

カレンダーの今日の日付から数えるに、実に3週間も街の外でスライムを殴り続けていたようだ。

これだけ倒してもいなくならないとは、魔王の力も健在ということなんだろうな。

 

「腹減ったな、、でも、もうこれだけで空腹を満たすのもちょっと、、」

 

スライムのゼリーはおいしくはあるが甘いのでどれも食事には向かないし。最初はおいしかったので食べていたが、そろそろ米や肉が恋しくなってくる。

というか飽きるよね。

ルドルフは割と気に入ってるようだが。

 

「仕方がない、そろそろ街に行こう。どっかで飯でも食いに行くか」

 

その後は立ちはだかるスライムだけ倒しながら、街に帰った。

 

 

 

「さて、どっかに飯屋はないのかな?」

 

とりあえず街の広場をぶらついて、地図が無いか探してみた。

しかし、それらしいものはない。

なんと不親切な街だろうか。

 

広場といっても、あまり人がいない。

広場にそった建物には店が無いので、それも影響しているんだろう。

鎧の人とかいるけど、怖いから話しかけたくない。

広場は僕が入ってきたところを南とすると東西南北に分かれている。

まったく案内がないので神様の言う通りで指をランダムに動かして止めると、東の方をさした。

 

「よし、こっちだ」

 

 

 

 

東への道はどうやら冒険者ギルドなるものがあったらしく、鎧の男や動きやすい戦闘服の女が多く、ギルドではおのおの依頼を受けたりショップで冒険道具を買ったりと様々だった。

 

とりあえず冒険者ギルドの中に入れば食堂くらいあるだろう。

もう空腹が限界なので、そろそろ飯を食いたい。主に肉、米、パンでもいい。

 

結果から言うと、冒険者ギルドに食べ物はあった。

しかしそれ以前に、大事なことに気づく。

 

「僕、金ねえじゃん…!」

 

普通さ、敵倒したら金もらえるもんじゃねえの?

くそ、ゼリーくらいなら腐るほどあるのに、、、

 

いい金策を探さないとなあ…。

外へ出ようと、入り口を目指すと、そのそばで女の子が出入りする冒険者に声をかけている。

 

「私たちの店で、働いてくれる方はいませんかー!」

 

呼び込みをしているようだが、さすがに冒険者ギルドにいるやつらのほとんどは冒険者ギルド所属だろう。店番をしろなんて無茶なんじゃないだろうか。

 

しかし。

 

女の子の持っている、バスケットが気になる。

不思議とあそこからは食い物がありそうな気配がする。

 

「なあルドルフ、あれさ、中身食い物かな?」

 

僕の質問を聞いたルドルフは鈴を鳴らすと、女の子に向かって走っていく。

 

「え…きゃっ!」

 

そのまま、女の子にとびかかったかと思うと、バスケットをひったくった。

 

「あ、おい!バカ!」

 

意気揚々と、自慢気に、ルドルフは僕にバスケットを差し出す。

これじゃあ窃盗だ。

冒険者どころか、盗賊だ。

夢も希望もねえぞ。

 

「ルドルフ、サンキューな。そういう意味で言ったんじゃねえんだよ」

 

頭をなでて、バスケットを受け取る。それをもって女の子の前までいく。

 

「失礼。うちのトナカイが、ご迷惑お掛けしました」

 

「あ、いえ」

 

少し気まずい空気が流れる。

何か話さなければ、、ダメだ、話題がない。くそ、気の利いた冒険者ジョークみたいのがあれば、、、!

考えあぐねていると、腹からぐうっとだらしない音がする。

 

「え、ええっと。あ、あはは…」

「ふふっ。よかったら食べますか?」

 

彼女は小さくはにかむと、バスケットからサンドウィッチをちらりと見せた。

久しぶりの、ちゃんとした飯…!

施しは、受けるべきだろう。

 

「いいんですか!?ありがとうございます!」

「とりあえず、場所を変えましょうか」

 

―――――

 

「ごちそうさまでした」

「お粗末様です」

 

ギルド内のテーブルに広げられた昼食を完食し、再び沈黙が漂い始める。

このままじゃだめだ、何か話題を…そうだ!

 

「そういえば、さっき求人募集してましたね。冒険者に頼むとは、何か事情でも?」

「あ…はい。実は・・・」

 

そして彼女は語りだす。その話を要約するとこうだ。

最近店を始めたのだが、品を用意しようにも、材料が無いからなにも作れない。

外に出てモンスターと戦おうとも思ったが、店には戦力になるやつがいないため、スライム一匹すら倒すのにも時間がかかる。

冒険者が一人でもいれば、材料が手元にもきて商売ができるのに、ということらしい。コックがいるのに食材が無い感じか。

 

「ごめんなさい、長話になっちゃって…うちの店は広場から西の方にあるので、気が向いたら来てくださいね。何かあったら力になりますよ」

 

そういって、ルドルフにも小さく手を振って、立ち去ろうとする。その顔は笑っているのに、何故かさみしそうで。

 

「あ、ちょっとまって!」

 

女の子が立ち止まって振り返る。

引き止めてしまった。

 

「あの、戦えるやつならだれでもいいんですよね?僕をそちらで働かせてくれませんか?」

「え?」

「僕、冒険者ではないんですけど、エセ冒険者みたいなもんでしてね。ちょっとくらいだったら、戦えますよ。なんなら給料なくてもいいんで、ダメ元で、とりあえず試しに雇っていただけませんか?」

 

給料なしはさすがに厳しいが、これも縁だ。

飯の礼に、何でもいいから役に立ちたい。

 

「ええ!こちらからお願いしたいくらいですけど、どうしてうちで働きたいんですか…?店は汚いし、給料だってまともに払えるかどうか…」

 

自分から募集しておいて、謙虚な人だ。

 

「志望動機ですか?そうですね…強いて言うなら」

 

椅子に座ったまま女の子を見上げて、一言。

 

「昼食が、おいしかったので」

「え?」

 

おっと、意味不明だったか…?

だって仕方がないじゃん!他にいうこともないんだもん!

頭の中では今の発言への後悔が渦を巻いているが、それもすぐに杞憂に終わる。

 

「・・・ぷ。あははははは!」

 

腹を抱えて女の子が笑う。

そこまで笑わなくてもいいじゃん。

 

「あはは!ふぅ、ごめんなさい。あなた、面白いですね。それじゃあ今日から、よろしくお願いします」

 

にこっと、女の子が微笑んでくる。

窓からさす光と合わさって、ちょっとまぶしい。

 

「あ、自己紹介がまだでしたね。私、マイって言います!あなたのお名前は?」

「ああ、僕ですか。僕の名前は――」

 

少し間をおいて、笑いながら一言。

 

「サンタクロースです。こっちのトナカイは、ルドルフって言います」

 

一応代行だしな。こう名乗っておこう。

こうして僕の、この世界での就職が決まったのだった。

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