東方project × ONE PIECE ~狂気の吸血鬼と鮮血の記憶~   作:すずひら

50 / 50
前回のまとめ
・料理地獄に堕ちたシュトロイゼン
・百合地獄に堕ちたリンリン


単行本派の人にはネタバレ要素があるので注意。
感想欄も見ないでください。
あとすっごく今さらですが、キャラ崩壊とかあります。


大食いの少女と傷だらけの巨漢

 

 

 

 

「一目惚れだ! 俺の女になってくれ!」

 

シャーロット・リンリンは久々の町歩きを早々に邪魔され苛立った。

最近はこういう手合いが多い。

自分の力を知っている海軍や同業者(かいぞく)ならば、こんなアホらしいことは言わないのだが、町を歩いていると一般人に声をかけられることがある。

 

リンリンは美人である。

可愛いというよりは綺麗系。

まだ12歳という幼さであるが、そのようには感じさせない美しさがある。

 

それは、リンリンが美鈴に教えてもらった生命帰還という技術によるものだ。

この生命帰還、詳細は省くが、使いこなせるようになれば、骨格すら作り替えるレベルで体の形は変幻自在になる。

 

この技術を習得したことにより、かつて3メートルはあったリンリンの身長は年相応のものとなり、今ではフランよりもやや高い程度に収まっている。

同時に、かつての醜いソバカス顔からもおさらばしており、玉のような肌を実現している。

 

身長を小さくしたのは、規格外なほど周囲より高い身長が嫌いだったから。

それに、敬愛するお姉さまを見下ろすのが嫌だったから。

 

顔を整えたのは、過去の未熟だった自分との決別であり、お姉さまに誇れる自分になりたかったから。

 

だから、シャーロット・リンリンは自分に声をかけてくる男には欠片も興味を持っていない。

見た目なんてどうにでもなるのだ。

そんなものに惹かれる男など反吐が出る。

 

そんなのに体を任せるくらいなら、エドやロジャー、レイリーなんかの遊び友達の方がまだマシだ。

少なくとも彼らが悪い人間ではないことは、ここ数年の共同生活でよく知っているし、同じ海賊団の仲間に対する親愛の情もある。

もちろん、一番の理想は美鈴お姉さまなのだけれど。

 

だからリンリンはいつものようにすげなくあしらおうとして、声がかかった方を振り向き、目線を上げ、驚いた。

 

そこにいたのはかつての自分に並ぶほどの、筋骨隆々の大男。

しかも町中であるというのに上半身裸の出で立ち。

その上半身には無数の傷跡があり――その姿は端的に言って。

 

「へ、変態ー!」

 

とある町に、シャーロット・リンリン12歳の叫び声が響き渡った。

同時に、厳しい老師に叩き込まれた武が、その拳を一筋の光と化し――大男が吹き飛ぶ。

 

現場に残ったのは、男に耐性がなく不意討ちで変態的半裸を見せられ若干涙目になったリンリンと、近くにあった屋台を吹き飛ばしそれでもなお止まらずに民家の壁に突き刺さった大男だけだった。

 

 

変態を吹き飛ばしたリンリンは、ややあって冷静さを取り戻すと、即座に顔を青ざめさせた。

咄嗟であり身の危険を感じたことで、今の一撃は割りと本気に近い威力だった。

当然、男は死んでいるだろう。

むしろ頭から壁に突き刺さっているだけ頑丈だ。

普通ならその場で爆散してミンチよりひでぇや状態になるか、壁で潰れたトマトになっている。

 

声をかけてきただけの相手を殺してしまった……。

 

良識ある海賊のリンリンは、特に理由もなく無辜の民を殺すことはない。

かつてならば罪の意識もなく殺していただろうし、食い患いによって知らず殺すこともあっただろう。

しかし、美鈴たちから教育を受け、殺すこと、の罪深さは今ではよく理解している。

加えて、ソルソルの実という魂を操る悪魔の実の能力者であるリンリンにとって、死とは他人よりも身近にあるもので、それ故に「殺すこと」に関してはかなり厳しく躾けられていた。

リンリンの大好きな食事だって、「殺すこと」なのだ。

 

リンリンの敬愛するお姉さまこと美鈴は、殺すことをそこまで過剰に忌避してはいない。

時には気楽にすぎるほどあっさりと命を奪う。

しかしそれは、自らの信念に従って殺すと決めたときだけであり、無差別な殺傷を許容してはいない。

特に今回は自分の力を制御できず、不意討ちを受けたとはいえ半ば暴走のような形で大男を殺してしまっている。

自分の力を抑えられないなんて、なんたる未熟。

お姉さまが聞いたらどう思うか。

 

リンリンはお姉さまの恐ろしい()()()()を思いだしてブルリと体を震わせ――不思議なことに気がついた。

自分の持つソルソルの実に反応がない。

それはつまりまだ、大男が死んでいないということで――。

 

リンリンは起死回生の一手に縋るべく、慌てて大男の元に駆け寄った。

 

 

 

 

「すまねえな。脅かすつもりはなかったんだが、確かに俺の見た目は醜いからなあ」

 

「いや、醜さに驚いた訳じゃないけど……まあ、なんにせよ無事で良かったわ」

 

リンリンは血だらけで気絶していたものの奇跡的に生きていた大男を近くの宿屋に運び込んだ。

小さな町に病院の類いなどなく、寝かせられる場所はこんなところしかない。

そして、一通りの治療が終わった頃、大男は目を覚ましたのである。

 

「それにしてもあなた、随分頑丈ね。あのパンチを受けて骨が数本折れてる程度なんて」

 

「まあ頑丈さには自信がある。が、俺もあれほどの一撃を受けたのは久しぶりだ。嬢ちゃん、つええな。ますます気に入った……いつつ」

 

「骨が折れてるって言ったでしょ。大人しく寝てなさい。傷口の止血もしたけど、それだって応急処置だし」

 

「恩に着る」

 

「私が怪我させたんだし当然よ。というかあなた人間? 止血するときにも思ったけど、もう傷口が治り始めてたし、正直いくら頑丈だって言ったって生きてるのが信じられないわ」

 

「うーむ、それが分からんのだ。俺は妖怪ってやつかもしれん」

 

「え、妖怪? ほんとに?」

 

「わからんが母ちゃんはそう言ってた。あんたは多分はぐれ妖怪、野生の龍だ、ってな」

 

「は、龍!?」

 

「あん? どうしたんだ、急に色めき立って」

 

「そりゃあんた、妖怪で龍って……」

 

それは、彼女が敬愛する者の姿を強く想起させた。

 

「うん? よくわからんが、俺は昔蛇みたいな姿をした生き物だったらしいのだ。それを母ちゃんが拾って育ててくれた。んである日俺が変な模様のくそ不味い果物を食ったら、こうして人間みたいな体になったんだそうだ。俺にはその頃の記憶はねえが」

 

「あー、んー、ちょっと私には判断つかないわ。あなた、ちょっと私のお姉さまに会ってくれないかしら」

 

「別に構わんが……」

 

「良かった。じゃあちょっと呼ぶわね」

 

そう言ってリンリンは手提げ鞄から電伝虫を取り出した。

そして手早く通信を済ませると、大男の横たわるベッドの縁に腰かけた。

 

「ちょっとしたら来るって。来たら怪我も治してくれるって」

 

「そうか。うむ、ますますいい女だ。俺はお前に出会うために島を出たんだろう」

 

「……なにそれ、口説いてるつもり? お生憎様だけど、あなた自身に興味があるのは認めるけど、男には興味ないわ」

 

「うむ、それもまたよし!」

 

「なんかよく分かんない奴ね、あんた」

 

リンリンは大きくため息をついた。

変な奴の相手は慣れている。

気にせず流すことが肝要なのだ。

 

暫しの沈黙を経て、大男が口を開く。

 

「そうだ、聞きたいことがあったんだ。お前の母ちゃんはどんな奴だ?」

 

「マザー? とてもいい人よ。聖人ってのはああいう人のことを言うんでしょうね」

 

「愛してるんだな」

 

「ええ、恩人よ。血の繋がりはないけど本当の母のように慕っていたわ」

 

「血の……そうか。だが、慕って()()ということは、今はもういないのか?」

 

「あー、うん……出会ってすぐのあんたに言うことでもないかもしれないけど……」

 

「なんだ?」

 

「殺しちゃったの」

 

「なに?」

 

「正確には、食べちゃった、かな。事故みたいなもので、私の意思じゃなかったけど……ま、言い訳よね」

 

リンリンはその事を知った時の出来事を思い出した。

 

かつての自分は、マザーや子供たちが急に自分だけを残していなくなってしまったのだと思っていた。

だけれども、食い患いを克服した頃のとある日にシュトロイゼンに告げられた言葉は、それまで想像すらしたことのないものだった。

 

その事実を知った妹様はしばらく私の前から姿を消して、お姉さまは呆然としてしまった私を抱き締めてくれた。

エドはふんと鼻を鳴らすだけでなにも言わず、ロジャーはポンポンと私の頭を撫でて、レイリーは色々な言葉で慰めてくれた。

 

私がマザーへ抱いていた愛情や、私を置いて消えたことへの悲しみや困惑は、全て私自身への失望と怒りに変わった。

 

あの頃の私は何の分別もついていなかった。

それは、私のことを早々に放り出した両親の存在を勘案しても、どうしようもないレベルで。

熊と狼を仲良くさせようと一緒の檻に入れ、狼を殺した熊を叱るために()()()り。

手長族の子の関節が一つ多いからちぎってあげようとしたり。

魚人族の子のヒレもそうだ。

 

そして私は、相手が目の前で泣きわめいて許しを乞うているというのに、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なんて、思っていたのだ。

私には多分、人として大事なものが欠けていた。

 

私の悪行を全て赦したマザーを責めはすまい。

あの頃の私は、叱られたくらいではきっとなにも変わらなかった。

 

だからこそ、私に大切なことをたくさんたくさん教えてくれて、私を人間にしてくれた美鈴お姉さまのことが大好きで、心の底から感謝しているのだ。

 

 

私はマザーを、他の子達を、食べた。

 

その事を理解したとき、私は生まれて初めて吐いた。

胃の内容物を全て吐き出し、酸っぱい胃液を吐ききり、苦い胆汁すら吐き出した。

 

お姉さまが背中をさすってくれたけど、そんなことはなんの癒しにもならず、ただただ吐き気が消えなかった。

頭のなかがぐるぐると渦を巻き、お腹のなかはそれ以上に荒れ狂っていた。

 

気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪いキモチワルイ。

気分が悪い、それ以上にどうしようもない自分自身が気持ち悪かった。

 

私はそれから数週間もの間、何も食べることができなかった。

皮肉なことに私は体についた大量の脂肪のためか、それだけの期間を絶食して過ごしても死ぬことはなかった。

 

マザーや皆が私の一部になり私を生かしている。

そう思うだけで吐き気は収まらなかった。

お姉さまが毎日声をかけてくれたけれど、私には何も響かなかった。

 

そんな私を救ってくれたのは妹様だった。

妹様は私の首筋に牙を立て、血を吸った。

私はその瞬間、生まれて初めて味わう快楽――それもこの世のものとも思えないほどに強烈な――によって、一瞬にして腰を抜かした。

そして呆然とした私に、妹様は人を喰らう妖怪の話をしてくれた。

人肉食、その価値観を。

 

妹様は私に、妖怪になりたいか、と尋ねた。

人肉を喰らうことを是とする妖怪になれば、その心も落ち着き、苦しむこともなくなると。

首を縦に振れば、もう一度血を吸い、魔に転じさせる、と。

 

私はそれから三日三晩悩み、エドに、ロジャーに、レイリーに、そしてお姉さまに相談し――答えを出した。

 

人喰いは禁忌だ。

その禁忌を為した私は、人としてその咎を背負わなければ、マザー達への贖罪にはならないと、そう思った。

私はマザーが大好きだったから。

私を愛してくれたマザー、私を赦してくれたマザー。

一緒に遊んでくれた子供たちも、大好きだった。

 

私はそうして、夢を持った。

 

国を作ろう。

マザーがそうしたように、救われない子供を救い、皆が楽しく笑って食卓を囲める国を。

 

いまはまだ、私にそんな力はないから。

もっとずっと、色々なものを掌からこぼさずに掬えるように、大きくなってからの未来の話だけど。

 

その日、久しぶりに食べたお姉さまの食事は、短い私の人生の中でも最高に美味しくて。

ついつい食べ過ぎて、エドに呆れられ、ロジャーにからかわれ、レイリーにお小言を受けた。

お姉さまは頭を撫でてくれて、妹様は笑っていた。

 

いつかこんな食卓を。

そう思えるだけの、優しい家族の団欒がそこにはあった。

 

 

そんなことを話して、リンリンはふと我に返った。

 

「あー、ごめん、私初対面の相手に何言ってるんだろ。別に隠してる訳じゃないけど、こんなにペラペラ喋ったのは初めてだわ」

 

人を食った。

そんな話を聞けば、普通は気味悪がる。

だから普段は言いふらしたりはしないし、船の皆も吹聴したりはしない。

なのにこんなに喋ってしまったのは、自分でもびっくりするような、謎の行動だった。

 

「ごめんなさい、ちょっと外に出て――」

 

そう言って、ベッドから立ち上がろうとしたリンリンの腕を、大男がガシリと掴んだ。

 

「待て」

 

その声があまりにも真剣だったから、リンリンは思わず動きを止めた。

 

「俺の話を聞け。聞いてくれ」

 

そして大男は語りだした。

彼の生まれてから今までの半生と、人生の目的を。

 

 

 

 

俺の最初の記憶は、寝床に横になってるときの記憶だ。

母ちゃんが心配そうな顔で俺の顔を覗き込んでいた。

 

俺がいたのは島だった。

小さな島だ。

ちょっと走ればぐるりと一周できちまう小さな島に、俺と母ちゃんは二人で住んでいた。

 

母ちゃんが言うには、俺は小さな龍だったそうだ。

母ちゃんはそんな俺を拾って育ててくれた。

それがある日、俺は変な果実を食って、人になった。

そして、それまでの記憶をなくした。

 

だから俺が知っているのは人になったあと、寝床で目を覚ましてからのことだけだ。

 

母ちゃんは変な人だった。

いや、俺は母ちゃんしか知らなかったから当時は普通だと思ってたが、島を出てから随分変な人だったと知った。

 

まず母ちゃんは若かった。

見た目は二十にもなってないような女だ。

そしてとにかく美人だった。

俺は島を出て色んな女を見たが、母ちゃんに勝てる女はいまだに見たことがねえ。

それでいて、何でもめちゃくちゃ年をとってるらしい。

 

ああ、そうさ、母ちゃんは人間じゃねえ。

妖怪だと言っていた。

さっきお前から聞いた話じゃお前も妖怪は知ってるんだな。

 

そのせいか母ちゃんはとんでもなく強かったよ。

拳骨を落とされた日にゃ頭が割れた。

岩に叩きつけても傷一つ負わない俺の石頭がだぜ。

まいっちまうよな。

 

母ちゃんは力加減が下手で、俺はよく死にかけてた。

ただ、俺は俺で頑丈だったし回復力がとんでもなかったからなかなか死ななかった。

母ちゃんも頑丈ですごい回復力だから、血は繋がってなくてもそんなところが親子っぽくて、俺は嬉しかった。

 

そんな母ちゃんは一つ、癖があった。

自傷癖だ。

 

なにかあればすぐに自分の手首を切るんだ。

なんでそんなことをするのか聞いたことがあるが、その痛みと流れる血を見て冷静になれるらしい。

あと、自分が生きているって実感できるらしい。

 

そのうちに俺も試した。

確かに母ちゃんの言う通りだった。

 

俺はすぐに頭に血が上るから、血を抜くとスッキリする。

痛みを感じて、俺はまだ化け物にはなっていないと思える。

自分は生きている、ってのが実感できて気持ちいいんだ。

 

だがそのうちに俺は不思議に思った。

 

俺は死ねる。

母ちゃんに殴られて殴られて殴られて、そのうちに死ねる。

だが母ちゃんは?

俺が本気で殴っても軽くあしらわれる。

喧嘩じゃ勝てた試しがねえ。

 

痛みを感じて生を実感するたび、死について考えた。

 

俺は聞いてみた。

母ちゃんは死ねるのかと。

 

母ちゃんは死ねないと言った。

寿命はなく、自死も出来ない弱い自分では死ねないと。

 

水に入ればそのうちに死ぬ。

だが、呼吸ができない苦しみを一体幾日感じれば死ねるのかはわからない。

火で炙られるのだってそうだ。

普通の刃物じゃそもそも皮膚を徹らねえ。

 

あ?

手首を切ってた刃物か?

黒い小刀だ。

母ちゃんはカッターナイフって言ってたっけな。

あれだけは刃物の中でも別物だ。

岩だってバターみたいに切っちまうんだからな。

でもまあそれで滅多刺しにしても死なねえよ。

それほどに母ちゃんの生命力は強え。

 

俺はそのうちに、思った。

どうやったらこの人を殺せるんだろうかと。

 

生きることは死ぬことだ。

死のない生は生じゃねえ。

そんなもん生きてるとはいえねえ。

痛みは、傷は、流血は、死へと近づく全てが生を感じさせる。

 

なら死のねえ母ちゃんは生きているのか?

 

だから俺は殺すことにした。

殺すことで生き返らせるんだ。

 

母ちゃんはいつも暗い目をしてた。

人と関わるのが嫌になって、島に引きこもって、一日中惰性で覗き見をしてる。

俺は母ちゃんを元気にしたいんだ。

 

そうして俺は島を出た。

母ちゃんを殺せる自分になるためにな。

 

 

「……おかしいやつだとは思ってたけど、それ以上ね。狂ってるわ、あんた」

 

「うむ、俺もそう思う。島を出て知ったが、俺は随分と異端な考え方をしているようだ」

 

「それが分かっててやめようとは思わないの?」

 

「思わん。他人と違っていることなどどうでもいい。それが俺だ。俺が俺であることに他人の意思はいらん」

 

「立派なんだかそうじゃないんだか分かんないわね……」

 

呆れたように呟くリンリンであったが、内心は複雑だった。

それはかつての自分が持っていたもので、今の自分が捨ててしまったものだ。

傍若無人、唯我独尊、誉められたものではないが……少し、そう、少しだけ羨ましいと思ってしまった。

 

常識を知り流された自分と、確固たる己を持っている大男。

それは頑迷さであるとともに、強さでもある。

自分の歩んできた道が間違いとは思わない。

だから、ほんの少しだけ。

自分にはないものを持っていることに。

 

「だから俺は強くなるために世界を回っている。が……お前に出会ってしまった」

 

そんな風に考え事をしていたリンリンは大男の言葉に意識を引き戻された。

 

「シャーロット。俺と結婚してくれ」

 

「……は?」

 

「お前の話を聞いて、やはりお前しかいないと思った。俺とお前は似ている。似ていて、違う。だからこそ俺はお前でなくてはならない。お前が欲しい」

 

「何言ってんのあんた。本気で言ってるの?」

 

「本気だ。心の底から惚れ込んだ。お前と子を為したい」

 

「……あのね、色々言いたいことはあるけど、私の姿を見てもう一度言える? 私まだ12歳よ?」

 

「それがいい。いや、そうでなくてはならん」

 

「なに、あんたマザコンなだけじゃなくてロリコンなの?」

 

「ロリ……? よくわからんが、俺はお前ぐらいの容姿の女にしか勃たん。母ちゃんの見た目はお前よりいくらか年上くらいの女だったからな。それ以上の女はババアにしか見えん」

 

「うわあ……」

 

「む、もちろん母ちゃんがババアと言っているのではないぞ。母ちゃんは母ちゃんだからな」

 

「あっそ……」

 

「ちなみに年で言えば俺とお前はそう変わらんだろう。龍でいた期間がどれくらいかは知らんが、俺は人になってまだ十年も経っていない」

 

「えー……」

 

それでは幼くして三メートル近い巨体だった自分とお似合いじゃないか、と思ってしまい、リンリンは首をブルブルと振った。

いやいや、あり得ない。

こんな筋肉モリモリマッチョマンの変態は無理。

 

「ごめん、ちょっと無理」

 

「俺もそううまく行くとは思っていない。なにせ俺はまだお前に名乗ってすらいないのだからな」

 

その言葉を聞き、リンリンはきょとんとして大男の顔を見た。

 

「あー、そういえば、そうね。なんかとんでもない出会いの上に、そのあとも色々あったから……」

 

ごほん、と一つ咳払いをしてリンリンはベッドの脇から立ち上がり、男に向き直る。

背の低いリンリンと、ベッドの上で横になり上半身を起こした男の目線は、奇しくも同じ高さであった。

 

 

「それじゃ改めて。私はシャーロット・リンリン。スカーレット海賊団の一員よ」

 

「俺はカイドウ。姓はない。この名も母ちゃんの名前からもらったものだからな」

 

 

 

これが出会い。

 

 

死にたがり(キルミー)”の異名で呼ばれる大男カイドウと、“大食い(クレイジーイーター)”と恐れられる美少女海賊シャーロット・リンリンの、長い長い付き合いの――最初の一幕である。

 

 

 

そうしてこのあと、フランと美鈴が駆け付け――すわ美鈴の隠し子かとひと悶着があったりしつつ――紆余曲折を経て、愛に生きる男カイドウは、スカーレット海賊団の一員となる。

 

 

 

 

大男、カイドウ。

その身、龍にして、ヒトヒトの実“モデル鬼”の能力者。

その事実を知る者はけして多くはないが、代わりに広く知られる異名こそ――地上最強の生物。

 

一方で、不名誉な異名も持つのがこの男。

その自殺志願者のような振るまいから、誰が呼んだか死にたがり(キルミー)のカイドウ。

 

だがしかし、あまりの強さに殺せる者なし。

 

殺せるならば殺してみせよ。

それが汝の、最強の証明。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




生命帰還
原作ではルッチとクマドリが使用。
詳細や原理は不明なものの、習得に難がある分凄く使い勝手が良さそうな力。
髪の毛を動かしたり体の大きさを変えたりできる。

小さくなったリンリン
原作でのみんな同じ目線で食卓を囲むという夢を早々に叶えた。
実際、周りを大きくするより自分が小さくなる方が可能性高そう。
リトルマム。

男嫌いのリンリン
原作ではすごい数の夫と子供がいましたが、当然あの数を作者が扱いきれるはずもなく……リンリンには百合地獄に墜ちてもらう!(無慈悲)
プリンとかカタクリとか大好きな人には申し訳ない。

ミンチよりひでぇや
元ネタはガンダム。
正しくはミンチよりひでぇ「よ」だが何故か「や」の方が浸透している。

マザコンと化したカイドウ
尾田先生ごめんなさい。
母ちゃんについてはリストカッターは●てを参考にどうぞ。
はたたん、ひどい扱いしてごめんね。

ロリコンと化したカイドウ
尾田先生(ry
お姉さまに親愛を妹様に快楽を教え込まれた百合地獄堕ちリンリン VS 世界最強の生物のマジカルチ●ポ ファイッ!
……作者、あなた疲れてるのよ。

筋肉モリモリマッチョマンの変態
コマンドーは肉体以上に言葉が強すぎる。

カイドウ
バラ科の木。
花言葉は「温和」「妖艶」「美人の眠り」

地上最強の生物
原作では陸海空含めて最強と言われているが、語感が悪いので勇次郎さんの異名をお借りする。
空と海はまた違う人らが君臨する予定。


本誌読んでないどころか90巻もまだ買えていないのに、最新91巻にも載ってない(はず)の情報を出していくスタイル。
もうプロットはガバガバ。
感想欄で知っちゃった以上無視するのもアレなので無理矢理辻褄合わせにいきましたが、イムとかもう無理なので触れません(予定)。
誰だよイムって。
そもそも話読んでないからよくわかっていないんだ。

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