女の子だらけの職場で俺が働くのはまちがっている   作:通りすがりの魔術師

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お久しぶりです。書く時間はあったんですが気力がなくて放置してました。とりあえず本編見てください。その後でこれからの話をしたいと思います。


意外なところで桜ねねは苦労している。

季節は巡り巡ってエブリデイ。そんなに巡ってないけど俺が多方面への連絡係を任されて数日が経過した。名前の知らなかった人は名前を覚える程には至ってないがとりあえず外見的特徴を覚え、最悪首から下げている社員証を見て判断してる。これが一番楽でいいのだが、どうしても視線を顔から胸にスライドしなければならないため、相手に勘づかれたら一瞬でセクハラで訴えられてしまう。理由はもちろんお分かりですねとか言われても社員証見ただけだから無罪なのだが、きっと裁判を起こされて裁判所にも問答無用出来てもらって慰謝料の用意もさせられるんだろう。そうなったら無敗横わけ小僧にでも助けてもらおう。

 

 

 

「「「「かんぱ〜い!!!」」」」

 

 

カチンと合わさるグラスの音と共に3人の女性が機嫌よく音頭を口にする。一方、その場に居合わせグラスを突き出すも声は出してない俺ともう1人は無言である。

 

 

「もう、ももっちもハッチーも盛り上がろうよ!」

 

 

今回の飲み会もとい【成人おめでとうの会】を企画した桜は俺と望月が乗り気でないのが不満らしく唇を尖らせた。そもそも来る気無かったのに来いよ来いよとうるさかったから仕方なく来たのだ。来ただけでもありがたいと思って欲しい。

 

 

「にしても苦いな」

 

 

「ですね」

 

 

親父も母ちゃんもがぶがぶ飲んでるからもっと美味いもんだと思っていたのだが現実はそうではないらしい。望月も初めて飲むお酒に対する感想はいいものではなく、すぐにグラスを置くと口直しにと唐揚げに手をつけた。

 

 

「お酒ってもっと美味しいんだと思ってたけどあんまりだね」

 

 

「まぁ、お酒ってビール以外にもありますし」

 

 

その他の評価も似たようなものだが涼風は半分ほど飲み終えており、鳴海は飲む前からビールが苦手だと分かっていたから最初から別のにしてるおかげが減りは早い。一方、桜はというと既に飲み干して「次は何にしよーかな」とメニューを見ては目を輝かせている。

これは男の立場ねぇなとちびちびとビールを減らしていく。

 

 

「そういえば、八幡くん最近色々と大変って聞いたけどどうなの?」

 

 

「あぁ、ホント大変」

 

 

そんな矮小な俺に優しく尋ねてきた星川に俺は過去の辛く険しい思い出を語るように口を開いた。聞いてくれるか俺の愚痴話。その凄い愚痴を聞かせたい。

 

 

「まずエフェクト班とかプログラム班の場所がバラバラだろ?社内の内線とかないから直接行かなきゃいけねぇし、それがめんどくさい」

 

 

「電話すればいいじゃん」

 

 

「俺に他人の電話番号を聞くスキルはない」

 

 

それに電話して休みとかだったら申し訳ないから見に行くのがめんどくさいけれど一番手っ取り早いのだ。しかし行く度に「またアイツかよ」「今度はなんだ」みたいな目を向けられないか不安になるくらいには女性耐性がない。

 

 

「あと、皆女の人。しかも全員歳上。あーもう無理。なんで男いねぇんだよ…」

 

 

「それは私に言われてもね…」

 

 

ここはきらら時空なのかってくらい男がいない。ごちうさでもタカヒロさんとかリゼパパがいるのにどうしてこの会社にはいないのだろうか。上司はだらしない金髪パンイチ女よりもダンディで物腰柔らかな人が良かったんだが。いや、嘘です。眼福なのは前者。

 

 

「はは……大変なんですね」

 

 

「けど、ハッチー上手くやってるってうみこさんが言ってたよ」

 

 

「それはうみこさんとは今の立場になる前から関わりがあったからな」

 

 

苦笑する鳴海と励ますような桜の言葉が辛い。けど、言った通りうみこさんとは親しい方だと思うし、あの人の性格も知ってるから連絡は手短に終わる。少し雑談も挟めるから心苦しい気持ちにはならない。それに時折心配して菓子折りとか薬莢とかくれる。薬莢は食えないし飲めない。

 

 

「てか、キャラデザの仕事はどうしてるの?」

 

 

「それは一応やってる」

 

 

量はまだ序盤だし合間合間にやらずとも簡単に片付けられる。適当にやるとゆん先輩にリテイクくらうだろうから今まで通りのクオリティでやってはいる。けれど、それがいつまで続くかという話だ。制作末期に入れば新規に修正画、その他諸々。さらには他との連絡もしなければならない。あ、俺このままいくと過労死ルートでは? という懸念もあるが、俺にはあのスケジュール管理の鬼である遠山さんがついている。多分大丈夫だろう。おそらく、きっと。

 

 

「夢が専業主夫だった男とは思えないね」

 

 

桜が感慨深そうに言う。お前は俺の母ちゃんか。

 

 

「……そうなんですか?」

 

 

「え? …あぁ、高校の時はな」

 

 

先程から話さずゆっくりとビールを飲み唐揚げやら焼き鳥やらを喰らっていた望月に聞かれ頷く。あの頃は若かった。そんな淡く無謀な幻想もありましたよ。けれども、少年はいつだって荒野を往くものだから仕方ない。

 

 

「…むぅ、私がもう少し歳上なら養えたのに」

 

 

頬を膨らませて儚げにため息をついた望月に俺は鳩が豆鉄砲を食らったように固まった。それはその呟きを聞いていた鳴海と桜も同じ。そして───────。

 

 

「八幡がまた女の子誑かしてる…」

 

 

面倒なやつのスイッチが入った。

 

 

###

 

 

説明しよう!涼風青葉はお子様なので、アルコールを1%以上摂取すると一瞬で酔って支離滅裂で俺に対して辛辣になるのである!

辛辣なのは酒を飲まなくても変わらないんですけどね。

 

 

「別に誑かしてはないだろ」

 

 

「誑かしてるよ!」

 

 

ダン!と机を叩くと涼風は俺を睨みつけてくる。こうなると誰にも手がつけられないんだよなぁ。鳴海が一応空気を察してくれてお冷を頼んでくれてるが、果たして効果があるかどうか。

 

 

「望月のアレはもし自分にお金があればお手伝いさん感覚で雇えるのにみたいなだろ」

 

 

決して俺を自分の夫して迎えたいからとかではないだろ。だよな? と望月の方に向いてみると彼女は俯いた。

 

 

「…レラジェとなら結婚してもいいかなとは思います」

 

 

「ほらぁ!」

 

 

「俺はレラジェじゃねぇ!」

 

 

アレかな、望月さんは酔うと現実と理想の狭間に閉じ込められるのかな。ちょっと先輩そういうのは痛いと思うな。うん。

 

 

「もも大丈夫飲みすぎてない?……ってまだ2杯目か」

 

 

「しかもこれアルコール低いやつだよ」

 

 

ビール1本で酔いが完全に回っている望月だが意識も言語もしっかりしている。おかしいのは思考のようで「レラジェと一緒に暮らせる……ふふ…」とどこか闇堕ちしている。まぁあれは保護者である鳴海に任せれば問題ないか。

 

 

「もも目が据わってるよ!大丈夫!?」

 

 

「大丈夫大丈夫…」

 

 

問題なんか何も無いよとは言えないな、これ。鳴海と桜は顔は赤くなってるが酔ってる様子はないが、涼風と望月はボーッとしており星川に関しては飲みながら微笑んでるから素面なのか酔ってるのかわからない。

 

 

「やっぱり歳上連れてくるべきだったんじゃないか?」

 

 

それこそうみこさんとか、あとはひふみ先輩とか? ひふみ先輩がいたら誘われなくても来るから一石二鳥だと思うんだが。

 

 

「そんなことしたらまた八幡がデレデレするじゃん!」

 

 

「失礼な」

 

 

デレデレはしてない。ただ対応が甘々なだけだ。むしろ、ひふみ先輩に対して不遜な態度を取って泣かせてしまうと捕まらないにしても退社は免れられないだろうからな。

 

 

「私だってもう子供じゃないんだから…えいっ!」

 

 

「あぁ!?あおっちそれ私の!?」

 

 

酒を飲んだくらいで大人になれると思ってるやつは大人になれない子供だぞ。あと、異性との行為に及んだらもう大人とか、俺だったら風俗にでも行かない限り永遠に子供のままじゃないか。

 

 

「まぁお酒って大人の飲み物ですからみんなそう思っちゃうんですよね」

 

 

「そういう奴が多いから未成年飲酒が横行するんだよな」

 

 

宅飲みだの一気飲みだのやりたきゃ法律的に認められてから他人の迷惑にならないように好きにやればいい。けれど、昨日何杯飲んだとか経験人数を誇らしげに自慢してくるやつは俺から言わせたら子供なんだよ。

ビールはやめて鳴海の頼んだ日本酒を注いでると目の前の2人が騒がしくなるそして顔を上げてみると。

 

 

「私は20歳だからいいの〜!!」

 

 

「ひゃあああああ!?」

 

 

何故か涼風が桜の頬に熱い口付けをしており、いつの間にやら2人はゆるゆり空間に引き込まれてたらしい。それに便乗して星川も桜に抱きつく。

 

 

「私も大人だよ〜〜!」

 

 

「ほたるんまで!」

 

 

あぁ、これがアヴァロンか。内面の知らない他人ならどれほど素晴らしかったことか。3人とも外見はそれなりに可愛いんだが中身がなぁ。やっぱり人間、知らなくてもいい事の方が多いよね。

 

 

「お水、お水沢山飲んでください。多少は良くなりますから」

 

 

「あ、ありがとう」

 

 

ベロベロに酔っ払った2人に水を手渡した鳴海に桜は「慣れてるね…」と感心するような声を出す。そりゃ実家が旅館でその後継として育てられたらそうなるだろう。

 

 

「けど、それ日本酒じゃねぇの?」

 

 

「へっ……? あっ!?」

 

 

気づけば既に遅く、涼風も星川ももう飲んでおり幸せそうな笑顔を浮かべている。

 

 

「はぁ〜このお酒も美味しい。水みたい!」

 

 

「…それ日本酒だぞ」

 

 

「あ、八幡も同じの飲んでる…えへへ…」

 

 

なんだコイツ。酔いが一周まわって上機嫌になってる。まぁいいか。俺は助かるし、桜は介錯で頑張ってるし。けれど、俺は頑張らない。

 

 

「お酒と水を間違えるなんて私…旅館の娘失格だ…」

 

 

「いや、別にそこまで落ち込まなくても…」

 

 

「ここだってお母さんがご贔屓の蔵元さんに聞いて紹介してくれたお店だし…プログラムだってまだまだ…ふえ〜〜ん!やっぱり私は何にもできないダメな子なんだ〜〜!!!」

 

 

「よ、酔ってるの!?失敗もあの時くらいだし優秀でしょなるっちは!」

 

 

なるほど、鳴海は酔うと泣き上戸になるのか。こち亀の纏の兄ちゃんがそんなキャラだった気がするなぁとしみじみ思い出してると桜が視線でヘルプを求めてくる。鳴海が潰れたとなるとここで平静なのは俺だけだし、それは尤もなんだが。

 

 

「ほらお水飲んでお水」

 

 

「うん、ありがとう」

 

 

「だからそれはお酒!!」

 

 

別に俺がいなくても桜が全部やってくれるし俺は何もしなくてもいい気がする。けど、それだと桜がやけ酒したら俺が困るな。先に潰れておくかそれとも手伝うか。

 

 

「八幡さんも幻滅しましたよね…」

 

 

「あ?」

 

 

「ミスばっかで意地っ張りで胸もなくて…こんな取り柄のない私なんて…」

 

 

幻滅も何も鳴海にはなんの幻想も抱いてなかったんだが。というのは、言うとより面倒くさそうなので引っ込めた。

 

 

「大丈夫だよ。なるには料理があるじゃん」

 

 

「けど、けどぉ……それも無くなったら……う〜〜〜!」

 

 

もう桜でも止められないくらいになってしまった鳴海は望月に勧められた酒を飲むと「お米が違うだけでこんなに違うんだ…」と悟りを開き始めた。

桜に全てを託して帰ろうかしらと悩んでいると「あ」と声を上げた星川がこちらを向いた。

 

 

「そういえばさ、八幡くんは誰が好きなの?」

 

 

成人おめでとう会はさらなる局面へと突入した。





次回を修羅場にしたのは原作NEW GAME!の終わるタイミングが分からず、このままいくとちゃんとした終わりのないまま作品を投稿する日々になるな…と思ったのでここらでケリをつけようかなと思いました。長くなるとマンネリ化しますし、僕も書くのが面倒になってくるので……ということで、今年までには完結させようかなと。
個別ルートを用意するという話でしたが、ちょっと難しそうなので最低1人で絞ろうかなと。ハーレムはやっぱり書くのが億劫なので、ないです。とりあえず着地点が見つかって書く時間が出来次第書いていきます。ではでは。
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