女の子だらけの職場で俺が働くのはまちがっている 作:通りすがりの魔術師
新作全くかいてない
非常に気持ちのいい朝だ。
この比企谷八幡が風にも負けず雨にも負けず、ましてや布団の誘惑などに負けるはずがない。高校時代もそうだっただろう?いや、バリバリ、布団の誘惑に負けて遅刻してたな。遅刻しすぎて先生に待ち伏せされてるレベル。しかし、おかげで黒のレースを見れたこともあった。つまり、遅起きは一文の損と一文の得ということだろうか。
さて、今日が休みと思って昨日夜更かししてたわけだが……。
就職するに当たって俺は実家を離れている。家賃は安く比較的綺麗なアパートを借りており、会社まで自転車で15分程度。なので、寝坊してもさして問題はない。というか、寝坊しても大丈夫なんじゃない?だって、寝坊しても出社時間に会社にいればいいんでしょ?
携帯の時計を見れば今は8分45分だ。朝飯を抜いて、自転車で信号を完全無視してめちゃくちゃ飛ばせばギリギリつく。
流石に入社して半年も経ってないのに遅刻するわけにはいかない。
遅刻してやる気がないとか思われたら終わりだ。というか、怒られたくないし絶対遠山先輩の説教怖いし。
ということで……見せてやるぜ!俺のトップギア…!!
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自転車をフルスピードで漕ぎながら、遅刻の言い訳とか考えていた。
しかし、さほど遅れもせず18秒も余裕を持って出社することが出来た。ブースにははじめ先輩しかいないのでちょっと前からいたみたいな感じを出しておく。
入り口手前で涼風とか飯島先輩、ひふみ先輩がなんか拾っていたがまぁ、俺には関係の無い話だ。誰かよりも自分優先なのが人間の深層心理である。
「あれ~今日はずいぶんと寂しいな」
デスクにつき、パソコンの電源をいれていると八神さんがコーヒーを片手にこちらへやってくる。
「比企谷、何か知らない?」
「いや、何にも…」
俺もさっき来たばかりですし、下にいましたよとか言ったら遅刻ギリギリだったのがバレちゃうからね。しかし、俺のことは苗字呼びの呼び捨てなのか。久しぶりだな。呼び捨てにされたの。
「…うーん、3人も遅刻なんて気が緩んでるのかな…ちょっと厳格な態度で接すべきかな」
八神さんの説教はできれば遠慮したい。だって、涼風のキャラも通すの全然OKでなかったらしいし。おそらく、仕事とか約束とかには厳しいタイプの人だな。
俺も時間や約束事にはうるさいぞ。寝坊に関しては仕方ない。眠かったし、あれはオフトゥンが悪い。俺は悪くない。
「できるんですか?」
「できるよ!失敬な!!」
はじめ先輩がからかうように言うと、八神さんは怪訝そうな顔をして言った。
多分、できるんだとは思うがそういうのは遠山さんの方がなれていそうだな。ほら、あの人八神さんが誰かと仲良くしてると目怖いし。
パソコンが立ち上がり、パスコードを入力しているとブースに遅刻組が現れる。
「「「おはようございます」」」
飯島先輩とひふみ先輩は汗とかかいてないけど、涼風は鼻が赤く汗が額から下へと流れている。なんかエロいな。
「おいおい、遅刻だってのにずいぶんのんびりしてるね。自覚はあるの?」
そうだぞ、俺なんか寝坊したから信号全部無視って来たんだぞ?
あ、こっちの方がダメか。
「ご、ごめんなさい…」
「特に青葉!まだ入社1ヶ月も経ってないのに学生気分じゃ困るよ!」
「はい……!」
その言動からいくと1ヶ月経てば「別にいいんじゃね?」とかなっちゃうんですが。まぁ、休日前で気が緩んでしまうのはよくあることだ。ソースは俺。
涼風が萎縮して可哀想だし何があったのか色々気になるから助け舟くらいは出してやろう。
「八神さん、とりあえず遅刻理由聞いた方がいいんじゃないんですか?」
「……ん?」
飯島先輩に目配せすると意図を理解してくれたらしく飯島先輩が口を開く。
「会社の前で青葉ちゃんが転んでしもて鞄の中身を拾うてたら遅くなってしもたんです」
「……え?ちょっとこけたって大丈夫なの?」
聞かれた涼風は涙目だった顔から一転し「へ?」と素っ頓狂な声を上げる。
「それで鼻が赤かったのか…そ、それならそうと早く言ってよ!勘違い…しちゃったんじゃん…」
鼻が赤くても事情がわからんとどうにも判別できないし仕方ないと思う。ほら、なんかぶつけたとか風邪とか色々あるだろうし。
「青葉はいつも頑張ってるし学生気分だとは思ってないよ。一応上司だし……とはいえひどいこと言って…ごめん」
確かに言いたくなくても言わなきゃならないことはある。
言わなきゃわかってくれないし、言ってもわかってもくれないかもしれない。しかし、言わなくては言葉にしなくては伝わらないことはある。それに八神さんは俺たちの中で上に立つ存在だ。遅刻してきたという事実だけを見ればそう強く言ってしまうのは当然だろう。だからこそ、間違っていたら誠意を持って謝るべきなのだ。それができる八神さんは人間が出来ている。というよりは理想の上司に近いのかもしれない。
「今日のところは遅刻じゃないことにしといてあげるけど3人とも遅刻届は出すように!」
そう言って自分のデスクに帰っていた八神さんだが遠山さんに「慣れないことして失敗した…」と可愛い声を漏らしていた。
ちなみにひふみ先輩が遅刻してきたのは朝ごはんが美味しかったかららしい。だよね、朝ごはん美味しいよね!
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3人の遅刻理由のおかげでブースの雰囲気は悪くなく、仕事もまあまあ順調といえる。しかし、キーボードと音とペンタブがタブレットを叩いたり滑ったりする音しかしない空間というのは未だに慣れない。
人間、新しい環境に放り込まれると慣れるのに2週間はかかると言うがそんなすぐに慣れるわけがないし、そもそも人間関係の形成が苦手な俺なら尚更かもしれない。
「皆さん休日って何してるんですか?」
どうやら、働いてるのは俺だけらしく他の人達はティーブレイクなうのようだ。おかしいな。結構期限迫ってきてるはずなのに。高校時代に締め切りという言葉に苦しめられていた俺はいかに最後に楽するかを考えて結果、結局さっさと終わらせてしまえばいいという結論に至ったのだ。いや、今までもそう思ってたけどなかなかできるもんじゃないよな。
「内緒や」
「え 即答?」
飯島先輩のことだから、おそらく服屋とかショッピングにでも行ってそうだが。それくらい言っても良さそうだがな。
「なにか言えない理由でも~?」
「内緒なもんは内緒なの!」
はじめ先輩って人煽ったりからかったりするの好きなのだろう。Sっ気があるというか、本人にそのつもりがなさそうなあたりS。なので、はじめ先輩のパソコンもS。
「はじめさんは?」
「わたしは…いや、私も内緒にしとく」
あんたはどうせ特撮鑑賞とかフィギュアショップめぐりだろ。
そう心の中で突っ込んでいると天使の声が聞こえる。
「比企谷くんは…?」
「…読書とか家で寝てるか…ですかね」
「そっか…」
俺の休日を気にしてくれるということはひふみ先輩もしかして……!?
とか、そんな有りもしない妄想をしていたが、長年の経験から言ってあれは俺を気遣ってくれての質問だろう。そのお礼というか、ひふみ先輩はどうなのかと聞いてみる。
「ひふみ先輩は休日何をされてるんですか?」
聞くとひふみ先輩はたじろぎ、恥ずかしそうに顔を赤らめる。
「……動物の可愛い動画観たりしてる…かな」
それを見てるひふみ先輩を見たいと思ったのは俺だけですか。
人それぞれの休日の過ごし方があるわけだが、ひふみ先輩がそれをしてるのを知るとなんかいいよな。そういえば、休みの日に猫の動画を漁ってるやつがいたような…。
……あ、雪ノ下か。
元気にしてるだろうか。あいつ、結構無理するとこあるからな。
海外の大学に行ったという話を聞いたがいじめにはあっていないだろうか。
って俺は保護者かよ。
というか、あいつなら大丈夫か。サバンナでも強く生きていけそうだし。
結論、ひふみ先輩は可愛い