女の子だらけの職場で俺が働くのはまちがっている   作:通りすがりの魔術師

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バイト編は俺ガイルキャラは誰も出さないつもりでしたが、まぁ出せそうな人がいたので出しました。詳しくはあとがきで。


比企谷八幡に夏休みなんてなかった

 

7月に入り始め、地中で過ごしていたセミたちが子孫を残そうと大合唱を始めていた。まだ7月になってそんなに時も経っていないが、ゲリラ豪雨やらのせいでジメジメとした暑さが続いている。

 

もうこの時期だと大学生諸君はテストが終わって夏休みに入ってる頃だろう。なぜ学生に夏季長期休暇が存在するのかといえば、暑いから熱中症にならないためだとか、程度にいい息抜きやガス抜きになるからなのだろう。高校までは基本的に夏休みは31日まであるのだが、一部の地域では24日までだったりするらしいのでほんとにドンマイケルである。

 

しかし、社会人となったこの俺には夏休みなんぞ無く絶賛仕事中である。社内は空調が効いていて涼しくても、来るまでは暑すぎてアスファルトに陽炎が立ち上がっているくらいである。

 

夏休みなのに休めないのはなにかおかしいと言ったことがあるが、今なら夏なのに夏休みがないのはおかしいと言える。

まぁ、夏休みは通常休暇と有給休暇を上手く組み合わせれば実現できるのだが、俺は休んだところですることもないし、なんなら小町とご飯食べたり、うみこさんとサバゲーしかしてないまである。

 

それに今は新作ゲームのデバッグ作業やらグラフィック修正などで忙しい時期なのだ。そのため、今休むと確実に白い目で見られる。高価なお土産とか買ってこないと刺されるレベル。

とりあえず、今年の俺には夏休みなんてない。ないったらない。だから、小町ちゃん、お兄ちゃんに大阪連れてってとねだるのはやめなさい。

 

休憩中に妹から送られてきた妹からのメールを怒涛の長文で返す。そういえば、高校生のこの時間は授業中のはずなんだが。勉強しろよ。まぁ、俺は基本的に寝てたからどっちもどっちなのだが。

兄妹揃ってダメダメなんじゃないかと思案していると、俺の後ろで立ち止まったうみこさんに話しかけられる。

 

「比企谷さんメールですか、珍しいですね」

 

「え、あぁ。2つ下の高校生の妹ですよ。なんか夏休みに大阪連れてけって言うもんで」

 

「そうなんですか…比企谷さんの妹…」

 

どういう想像をしているのかわからんが、顔を顰めてるあたり俺の腐った目を持った憎たらしそうな女の子でも想像しているのだろうか。

 

「まぁ、とりあえず忙しいから無理と返しておきました」

 

言うと、うみこさんは首肯する。

 

「そうですね、開発終盤ですし…」

 

そうそう、開発終盤だから俺も敵キャラを増やさなきゃいけないんですよ。あと細かい修正を八神さんに出されたからそれもやんなきゃだし…あー!忙しいなぁ!!!

俺が遠い世界にいきそうになっているとうみこさんが「ですが」と少し朗らかに言う。

 

「夏休みはありますよ。ゲームが完成してからですが。まぁ、その頃には高校生の夏休みは終わってると思いますが…」

 

おかしいな、さっきのいい笑顔はどこにいったんだろう。最後の方は声と一緒に表情も落ちていってたぞ…。しかし、まぁ、夏休みが貰えるのか…うん、どうせ打ち上げやらするんだろうな。

うみこさんはなにやら予定でもあるのか、腕時計を見る。

 

「では、これからアルバイトの研修があるので」

 

「あ、お疲れ様です」

 

アルバイトか…上手いことこなしてたら歳上にいびられてバックれた思い出しかないな。まぁ、うちではそういうことはないが…うみこさんだからなぁ。怖いとかいう理由で誰かしら逃げ出しそうで怖い。

 

しかし、その程度で逃げ出すのならいらないか。給料あげる価値無し、働く意味なし。それに人を見た目や第一印象で判断する人間ほど信用できない人間はいない。だから、俺を見てオバケとかゾンビって言うのやめてよね。

 

 

###

 

 

飯も食べ終えて自分のデスクに戻る。やはり、食堂で食べる温かい飯は美味い。危うくマスオさんみたいに「びゃあ゛ぁ゛゛ぁうまひぃ゛ぃぃ゛ぃ゛」とか言ってノリのいいやつに「そうかそうか」と言われるレベル。

 

さて、仕事するか。どうでもいいが、小学生くらいはまだ仕事する大人はカッコイイとか思ってたけど、いつの間にか働く大人はダサいと思ったのはいつだっけか。それを親父に言ったら『バカ野郎、働く大人がカッコイイんじゃねぇ、自分は何もしないで人に働かせる大人をギャフンと言わせる大人がカッコイイんだよ』と返されて何故か納得してしまった。多分日曜劇場のせいだな。やられてなくてもやり返すってやつだっけかな…。

 

「あおっぢだずげで~~!!!」

 

……なにやら、八神さんの方のブースが騒がしいな。どうやら、空調の風がよくないものを運びこんで来たらしいな。気になって、伸びをするフリしてチラリと見てみると、アルバイトの子がうみこさんに腕を掴まれていた。……もしかして、パワハラ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんなわけないでしょう」

 

「ですよね」

 

どうやら、事情を聞くと涼風の友達…桜ねねというらしい。まぁ、そいつが涼風を探してフロアをチョロチョロしていたのをうみこさんに発見されたらしい。

 

しかし、涼風と同じでめちゃくちゃ童顔だな。中学生といわれても信じちゃうレベル。

 

「そういえば、ねねっち、大学の友達は?」

 

『ねねっち』って……なんかなぞかけとかしそうだな。『貧乳』とかけまして『ぼっち』と解く、その心はどちらも『揉めない』でしょう。

 

「あ、うん、いるよ!」

 

嬉嬉として言う、涼風の友達はデバッグ作業中のその友達を連れてくる。しかし、その友達というのにはやけに見覚えがあった。明るい紫色の髪の毛をポニーテールにまとめ、泣きボクロがあり、少し気だるげそうな表情したその女には見覚えがあった。

 

「沙希っち、早く早く」

 

「もう…引っ張らないでよ…」

 

桜に服の袖を引っ張られて…えっーと、名前なんだっけ。胸が出てて泣きボクロがあって…川越?

沙希っち、ってことは下の名前は沙希か。……んん?

首を傾げているとどうやら、川なんとか沙希さん、略して川沙希と目が合う。あ?

 

「あ、川崎か」

 

思い出して思わず声に出すとあちらも俺に気づいたのかあわあわと顔を引き攣らせている

 

「な、なんであんたがいんの!?」

 

その状況を見た涼風と涼風の友達(長いからもう桜でいいや)が俺と川崎の顔を交互に見る。

 

「比企谷くんの知り合い?」

「あれ、沙希っちの知り合いなの?」

 

ふむ、2人の発言から「お前知り合いいたの?」みたいなニュアンスが含まれてる気がするのは気のせいだろうか。

 

「あぁ、高校の時の同級生だ」

 

先に答えたのは俺で桜に「そうなの?」と尋ねられた川崎はコクリと頷く。にしても、変な巡り合わせだな。なんでこいつがこんなところに……ってバイトか。

 

「ところでうみこさん」

 

「……なんでしょうか」

 

あれ、なんか機嫌悪くないですか?気のせいですか?まぁ、気のせいですよね。便所掃除の精とかいるからそれくらいいる。

 

じゃなくて。

 

「デバッグのバイトって時給どれくらい出るんですか?」

 

「えっ、まぁ、そうですね……円くらいでしょうか」

 

なるほど、ゲームはできてお金が貰える。しかも、時給はなかなか良いと来た。これなら、川崎が食いつくのもわかる。が、川崎がなにやら俺に不満があるらしい。

 

「別に時給がいいからとかじゃなくて……私、好きだから……」

 

おかしいな、この場の気温がかなり下がった気がするんだけど。さっきまで話していたはじめ先輩やらひふみ先輩の声も聞こえなくなったし、どういうことなの?そんな顔を赤らめて何を言い出すんだしたんだこいつは。あとなんで、桜はなにやら「え、もしかして」と俺に好奇の目を向け始めてるんだ。

 

「えっと……何が?」

 

涼風が引き攣った笑顔でそう尋ねると川崎は恥ずかしそうに身をよじる。

 

 

 

「……フェアリーズストーリー」

 

 

 

なぜだろうか、心がなんだかポカポカするのだが。でも、涼風やうみこさんはなんで安心したような顔をしているんだろうか。まぁ、いいか。

 

「では、お話もすんだところでそろそろ戻ってください」

 

「はーい」

 

桜と川崎は自分達のブースに戻っていき、俺達もそれぞれ椅子に座る。どうやら、デバッグ作業のブースはプログラムチームのすぐ近くらしい。なるほど、これならうみこさんが巡回しやすいね!

 

それにしても、意外なところで意外なやつと再会したな。高校卒業してから連絡全くとってなかったからというのもあるし、というか連絡先知らねぇしな。あのゴミ……弟のは知ってるけど。

 

やはり、人生とは奇想天外。いつどこで誰とどんな出会いがあるかわからんようにこんな再会の仕方もあるのだろう。ここがファンタジー世界ならどちらかが闇堕ちしてるパターンが王道だよな。とか、そんな変なことを考えてしまう。

 

机の上に置いてあるカレンダーをパラパラと捲ると書き覚えのない字である日にちに赤丸がされている。

 

『ゲーム完成予定日!!』

 

グラフィッカーは俺以外全員女子だから誰が書いたかわからんから、こういうのは特定しづらいな…とりあえず俺の字ではないことはわかる。

 

まぁ、この日までを目標に頑張ればいいか。人間何かしらの目標があれば意外にも頑張れるものである。それが最愛の自分や妹のためならなおさらである。

 

 

 

比企谷八幡がんばります!

 

 





まさかの川……川?
川なんとか沙希さんこと川崎さんがアルバイト枠で参戦です。
消去法でここにバイトに来そうな人は材木座か川崎しかいなかったので川崎にしました。

雪乃は!?ガハマさんは!?という人もいるでしょう。

八幡は2人に「大学には行かない」としか言っていないとしたら、どこの会社に就職したかは伝えない。まぁ、八幡なら内定をもらったことくらいは伝えそうですが。
だから、2人は来ないと考えました。(それに雪乃は今のところ設定上海外の大学にいるので)

ガハマさんはゲームはするけどポピュラーなものしかしないといっていましたし、それにおそらくみんなで遊べるタイプのものしかしないと思い、フェアリーズストーリーって(多分)完璧1人用なので興味はあってもしないかなーと思って除去。

一色と小町はまだ高校生。

葉山も考えましたが、ここで出すわけにはいかないので除去

折本という選択肢もありましたが彼女なら飲食店あたりが妥当でしょう。なので除去


ということで消去法で川崎ということです。



材木座は面接で落ちる。はっきりわかんだね
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