女の子だらけの職場で俺が働くのはまちがっている   作:通りすがりの魔術師

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FGOフェス行きたかった……転売ヤーさえいなければ……忌々しい奴め……という思い(やつあたり)を込めて前半書きました。八幡が口を開くのは最後のシーンくらいです(1人で大声出したりしてるんだけどね)


掴め夢のチケット

 

桜の花も散り散りになり始めた今の季節というのは子供向けアニメーション映画の公開オンパレードである。

映画というのは素晴らしいもので、春なら新しい友達ができるので映画の話で友情を深めるもよし、家族と観て楽しむということができる。

最近は昔は小さかった友達が時を経て大きなお友達になったこともあり、往年シリーズとして続いてる作品は昔のキャラが出てくるなどして、あらゆる世代に楽しめるように工夫がなされている。

 

 

それはフェアリーズストーリーも同じらしく、つい先日アプリで全作のキャラが集結するという夢のようなゲームとなって登場した。ちなみに俺は仕事やら、アニメの消化のためそんなことしてる暇ないです。

そもそも、スマホは多機能型暇つぶし目覚まし時計としか思ってないので、ゲームは全く入れていない。外でフレンズをゲットしてgoするアプリが流行ったが俺は流行に乗るのが嫌いなので入れたりしていない。だって、俺自転車通勤だし休日は外でないからね。

 

 

そんなわけで俺のスマホには余計なアプリなど何も……と思った矢先に俺の多機能型暇つぶし目覚まし時計が自転車漕いでる時のはじめさんの胸みたく揺れる。いや、そんな揺れたとこ見たことないんだけど。

 

 

 

あと10分で仕事始めなきゃいけないという時に誰だよ。どうせ材木座か密林あたりだと思ってホームボタンを押すと、あるメッセージが浮かび上がってきた。

 

 

『ムーンレンジャーファイナルライブ一般チケット販売開始まであと10分』

 

 

 

 

###

 

 

 

説明しよう。ムーンレンジャーとは小さな女の子向けに始まった魔法少女アニメである。よくある普通の女の子が不思議なステッキを手にしたところから物語は始まる。

魔法少女の王道でありながらも、作画、演出、主題歌、劇中歌の評価が恐ろしく高く、その出来の良さから大きなお友達からも支持を受けた超人気作である。そのため、主役を務める声優さんや主題歌を歌うLIZEさんらのトークイベントやライブも行われるのだが毎度大盛況となっている。

 

 

そして、次のイベントが初代ムーンレンジャーの登場が最後となるのである。2年半前から続いていたそのライブのラスト。となれば、ファンとしては行くしかない。放送当時は周りがアレであまり行く暇が取れなかったが、最後くらいは行っておきたい。

 

 

DVDの特典の先行予約抽選は2回とも外れたから、俺は一般にかけるしかないのだ。当たれ当たれ当たれ!!転売ヤーに当たるくらいなら俺が当ててやる。

 

 

ということで、俺は仕事が始まる前にお腹が痛いと言って男子トイレにひきこもり中である。ていうか、男は俺と4、5人くらいしかいないはずなのに男子トイレ結構広いよね。そんなことはどうでもいい。

さぁ、サイトにアクセスできた。あとはメールアドレスとかの個人情報を入力するのみ。今日に備えてケータイ会社からポケファイ借りてよかった。備えあればなんとやらだ。

 

 

ここのサイトの当選発表は先着順であるため、いかに早く打ち込むかが勝負の鍵である。だから、左上のアンテナの隣のやつがぐるぐる回ってるのが本当に心臓に悪い。

 

 

『登録が完了しました。あなたの席はー列の……』

 

 

「よっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

あ、やべ、ここ会社だった。大丈夫だよな?聞こえてないよね?マジかよ、最高だぜ。なんか今年の運全部使った気分だわ。多分、明日あたりに遠山さんから自害しろとか言われそうで怖いが仕切り直しすれば問題ない。いや、無理なのか?

 

 

とりあえず、これでトイレから出れる。いやーいろんな意味でスッキリした。ケツ拭いて出よ。

 

 

 

手から水を落としてトイレから出る。いい気分だ。歌でも1曲歌いたいようないい気分だ。だが、俺が歌うべきではない。ここはぐっと我慢だ。

自席に戻ると涼風とゆん先輩はテキパキ仕事をしていたが、何故か2席空いていた。

 

 

「あれ?涼風、ひふみ先輩とはじめさんは?」

 

 

「え?あ、比企谷君がトイレ行ったあとに2人もどっかいっちゃって」

 

 

あっ…(察し)うん、2人もあれですかね。……当たってるといいですね。

 

 

それがフラグになったのか普通にお花を積みに行ったゆん先輩と共にしょんぼりした顔で戻ってきたはじめさん。座ったその後ろ姿からは酷く哀愁が漂っている。それに続くようにひふみ先輩も帰ってきたのだが、悲しいというより申し訳なさそうな表情だ。

 

 

仕事開始からいなかった俺と2人はペナルティというか、当たり前のことで皆が昼休みに入っても手を動かさねばならない。しかし、ひふみ先輩が恐る恐るはじめさんのほうを振り向くのが椅子の音から窺えた。

 

 

「はじめちゃん…?」

 

 

「? なんですかひふみ先輩」

 

 

反応したはじめさんは体ごとひふみ先輩に向ける。すると、ひふみ先輩は申し訳なさそうに胸の前で手をギュッと握る。

 

 

「さっきの話…聞いてたんだけど…」

 

「……!」

 

 

さっきの話?俺には分からなかったがはじめさんはそれだけで思い当たることがあったらしい。

 

 

「ごめんなさい!でも、どうしても我慢出来なくて!!」

 

 

「い、いや、そうじゃ…なくて!」

 

 

両手を合わせて必死に謝るはじめさんに困惑気味のひふみ先輩。どうやら、会話が噛み合っていないらしい。

 

「実は私も…同じことしてて…ソロ席だけど……取れたんだ。チケット」

 

 

やっぱりひふみ先輩とはじめさんも俺と同じことをしていたらしい。いや、ムーンレンジャーのチケットとは限らんが。はじめさんはムーンレンジャーで確定でいいだろう。その話にはじめさんの背後には

 

いいないいないいないいな

 

という文字がスタンドのように現れて見える。

錯覚だろうか…え?錯覚?おそらく、誰よりもムーンレンジャーを好きと思っているのに当たらなかったショックからだろうか。

 

 

「そ、それでね、私よりムーンレンジャー好きそうだし…チケット…譲って…あげよう…か?」

 

 

ほしいほしいほしいほしいほしい

 

 

「!?」

 

目を擦るとその文字は見えなくなっており、ホントはめちゃくちゃ欲しいんだけどいやいやいや!みたいな顔をするはじめさんの姿があった。

 

 

「い、いやダメです!ひふみ先輩が当てたんですから、ひふみ先輩が行くべきです!!」

 

 

気持ちはありがたいがチケットを当てたのはひふみ先輩であり、それはムーンレンジャーを応援する気持ちと同じだから私の分も応援してきてくれ、はじめさんのメッセージを受け取ったひふみ先輩は半分申し訳なさそうに頷いた。

 

 

てか、やっぱりムーンレンジャーの話じゃないか!

 

 

###

 

 

 

数日経って、ライブ当日。

どうやら、はじめさんは昼の部の子供同伴の方にゆん先輩の兄妹の保護者として参加するらしい。その話を聞いた時は感動したものだ。あの会社にだが無意味だとかいうKYはいないので本当によかった。

 

 

そして、俺はと言うと夜の部のサイリウムを振っていい方に参加である。一般だから席は後ろの方だと思っていたが真ん中辺りで非常に助かった。

有給取ることを遠山さんに言った時は「青葉ちゃんとひふみちゃんも休み取ったんだけど、その日何かあるの?」と尋ねられたが気にしない気にしない。

とりあえず、開始までまだまだあるからサイリウムの確認とかしとかないと……

 

 

「よし…やったるで……!」

 

 

なんか隣の人めちゃくちゃやる気だな…そう思って顔を上げると目が合った。

 

 

「!!?は、は、はち……」

 

 

どうやら、俺の運ステータスはEXらしい。だって、隣がひふみ先輩だよ?これはもう自害ではなく爆ぜるしかないな。

 

 

「こんにちは、ひふみ先輩来てたん」

 

 

「わー八幡だ!」

 

 

「ひふみ先輩もいる!」

 

 

俺の言葉を遮るようにひふみ先輩の横からひょいと顔を出した桜と涼風。こいつら俺とひふみ先輩がいるとこにいつも湧いてくるな?なんなの、お邪魔虫なの?キンチョール効く?

 

 

「2人とも偶然ですね!もしかして……」

 

 

「ち、ちがくて!こ、これは…たまたまで……」

 

 

そんな顔を赤くして手をじたばたさせても説得力ないぞ…。むしろ、怪しまれるのがオチだ。

偶然、隣の席になったことを言うと桜はすごいねー!と言っていたが涼風は目を細めて半信半疑といった感じだ。

 

 

「青葉ちゃん…ほんとに、たまたまなの…」

 

「まぁ、ひふみ先輩がそう言うなら信じますけど……」

 

 

俺だと信じないってどういう事だよ。表出ろや。俺だけライブ楽しむから。

 

 

「……ってごめんなさいプライベートの邪魔しちゃって…」

 

 

「そ、そんなことないけど…」

 

 

「おう、気にすんな」

 

 

「比企谷くんには言ってないよ」

 

 

「なんでそんな暗黒の笑顔なの…雪ノ下かよ

……」

 

 

「え、ゆっきーってこんな顔するの?あとでLINEしてみよ!」

 

 

「やめてください桜さん……」

 

 

ホントにそんなことされたらメールボックスがパンパンになるから。ノンケでもそんなの無理だから…。懇願して頼む俺にひふみ先輩は苦笑いを浮かべる。

 

 

「ははは……あ、青葉ちゃん……ライト1本使う?」

 

 

「いいんですか?……ありがとうございます!」

 

 

「せっかくだし、みんなで楽しもうーー!」

 

 

まぁ……こうやって誰かと騒ぐのもいいか。俺は静かに手に持つ棒に光を灯した。





なんか昨日今日とランキングいりしていて「えぇ...(困惑)」となりました。マジで感謝
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