女の子だらけの職場で俺が働くのはまちがっている   作:通りすがりの魔術師

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すまない……ゆん先輩とはじめさんとのデート回は無くなったのだ……すまない……あくまで予定だったのだ……すまない……最新刊を読んだら早く進めたくなったのだ……すまない……


ヲタクの秘匿は難しい

 

人々は正義の味方というのをいつまで信じていたのだろうか。俺は今でも信じている。きっと、世界のどこかに必ずいるだろうと。そうでも思わないと過去の俺が報われない気がするから。

 

 

そもそも、正義の味方とはどういう存在なのだろうか。一般的には、悪人をやっつける清く正しい心を持つ者が該当するだろう。しかし、世界にはそんな人間は数少ない。大体の人間が我欲を持ち、それの邪魔になるものは消し、使えそうなのは使うとかそんなのだろう。

 

 

だから、正義の味方なんてのはいない。

そう結論付けるのが妥当だろう。だって、この世界には奇跡も魔法もありゃしないんだから。

それでも、俺は信じ続けるのだろう。いつか、俺に『本物』を与えてくれる正義の味方を。

 

 

「皆応援ありがとう!」

 

 

『はーい、インセクトファイブと握手したいお友達はこちらに並んでね~!』

 

 

昆虫をモチーフとした戦隊ヒーロー【インセクトファイブ】のショーは録音されたインセクトレッドの声とマイクを通して話すお姉さんの声によって幕を閉じた。

 

 

買い物ついでに立ち寄ってみたが、やはりこの手のショーは人気があるのはいつも変わらない。

最初は悪が優勢でも、観客の力で正義の味方は強くなり悪を倒す。

子供の頃は無邪気にその存在に憧れたが、今はどうだろう。

 

 

「見てはじめおねぇーちゃん!あそこに怪人が」

 

 

「ちょ、あれは違うよ!」

 

 

そう、目が腐りすぎて敵役と間違われてしまう始末だ。別に慣れてるからいいんだけど。あ、このセリフもう何回目だろう。言いすぎて分かんなくなるな。

 

もう栄光の7人ライダーとかになら倒されてもいいんだけどな。多分、お前に負けるなら悔いはないさとか言って爆発する自信あるよ。

 

 

「ごめんなさい!私の知り合いの子が…」

 

 

目頭が熱くなるのを感じて抑えていると、どうやら先ほどの子供の姉が謝りに来たらしい。気にしなくていいのに。そう思ってそちらを向くとお互いに固まる。

 

 

「あ、はじめさん」

 

 

「……なんだ八幡かー!あーよかった。知らない人じゃなくて」

 

 

いや、知り合いだからっていいわけじゃないだろ。ホッと胸を撫で下ろすはじめさん。今回はその大きな胸に免じて良しとしよう。

 

 

「八幡もインセクトファイブ好きなの?」

 

 

「いえ、買い物ついでに」

 

 

俺がそう言うとはじめさんは今度は肩を落とす。ごめんなさいね、俺が好きなヒーローはバイクを違法改造するマスクマンと弓兵のくせに近接戦闘が得意な赤い外套の人くらいなんですよ。

 

 

「てか、握手しなくていいですか?」

 

 

さっきから、ゆん先輩の姉弟らしい2人がずっとステージ上を見つめている。

 

 

「なんや、はじめ握手、行かんの……って、なんで八幡ここにおるんや?」

 

 

ゆん姉弟がいるということは必然的にゆん先輩もいると思っていたが、案の定だった。買い物ついでと話すとそんなことだろうと思ったと納得された。

 

 

「じゃ、私たちは…」

 

 

「あれ…シノ!?わ~やっぱりシノだ!」

 

 

そう言ってはじめさんがステージに向かおうとした時、後ろから謎の女性が現れた。どうやら、はじめさんの高校時代の知り合いらしく、久方ぶりに再会したらしい。

 

 

「シノも東京に来てたんだね奇遇~。あれ?…その男の人ってシノの彼氏?」

 

 

「ちっ、ちがわい!か、会社の後輩だよ!」

 

 

「だよね~びっくりした~シノそういうの疎かったし、あはは」

 

 

笑いあってる2人だが俺たち完全に空気だ。なんなら、俺は彼氏と間違われて気まずいまである。

 

 

「八幡、悪いねんけど、この子ら握手連れてってくれへん?はじめはあれやし、うちはちょっとお花摘みにいってくるわ」

 

 

そんなご丁寧な言い方しなくてもトイレに行くと言えばいいものを……まぁ、淑女らしさって大事ですもんね!まぁ、その申し出は渡りに船だ。俺もこの場から離れられて凄く助かる。

 

 

「じゃ、行くか」

 

 

今日会ったばかりでしかも、怪人扱いされてしまったが子供たちは気にせず俺についてくる。事案になるんじゃないかと不安だったがそんなことも無く、インセクトファイブとの握手は笑顔で終わった。

 

 

戻ってくると先ほどの女性の姿はなく、ゆん先輩もお手洗いから帰ってきていた。ただ座っている場所が変わっており、2人で何やら話していたので気を使って子供たちの相手をしておいた。

 

 

「なぁ、怪人のおにぃちゃん」

 

 

んー、俺は怪人じゃないんだけどな。改造も洗脳もされてない、どこにでもいる社会人なんだけどな。しかし、妹以外の子供におにぃちゃんと呼ばれるのはなんだかいいぞコレ。

 

 

「おにぃちゃんはおねぇちゃんの彼氏なん?」

 

 

またその話か。違うよーと首を振ると「なーんだ」と言ってお相撲さんの着ぐるみのとこに走っていった。多分、俺よりあっちの方に興味がわいたのだろう。おかげでこちらはフリーになったわけだが。

さて、子供の相手はあのお相撲さんの中の人がなんとかしてくれるだろうし、俺はどうしようか。一応、2人に言っておいた方がいいと思って近づいていく。

 

 

「あの~」

 

 

「「!?」」

 

 

声をかけたら凄く驚かれた。そりゃそうか、子供から見たら怪人に見えるんだから。

 

 

「俺、そろそろ帰るんで。あの2人はあそこで相撲と遊んでるで」

 

 

「……見たん?」「……見たの?」

 

 

「はい?」

 

 

何をだろうか。幽霊でもいたのだろうか。振り向いてもそんなことは無く、子供たちの和気あいあいとした姿のみ。それで前を向けば、ただ睨みつけてくる先輩2人しかいない。あらやだ怖い。

 

 

「何も見てませんよ。なんですか、今風のキラキラした女子高生とかガリ勉姿の女子高生でもいたんですか?」

 

 

「「やっぱりじゃないか!」」

 

 

適当に言っただけなのにホントにそんなのがいたらしい。怒った顔をした2人は同時にスマホの俺の前に見せつける。

そこに映っていたのは、今のショートヘアではなく長い髪をお団子にまとめたはじめさん。ゆん先輩の方には、勉三さんリスペクトなのか知らないが丸メガネを付けた女子高生の姿が。多分、ゆん先輩だろう。

 

 

「え、嘘やろ……?」

 

 

「「ふざけんな!」」

 

 

あまりの衝撃的すぎるビフォーアフターに思わず関西弁が出てしまった。それに2人が掴みかかってくる。暴力反対!

 

 

話を聞けば、昔と今は違うんだよ、イメチェンしたんだよ。という話をしていたらしく、それでお互いの高校時代の写真を見せたんだそうだ。

 

 

「で、それを俺が見たと勘違いしたわけですか」

 

 

「ほんまに見てへんねんな?」

 

 

「いや、さっき見ましたが」

 

 

見た感想としては、劇的ビフォーアフターに出せるんじゃないかと思うくらいの変化だ。

 

 

「……八幡はどうなの?高校の時と変わったところとかないの?」

 

 

「はぁ、髪の長さくらいですかね」

 

 

目は相変わらずだし、身長は少し伸びた気がするが髪の長さくらいしか変わってないように思える。まぁ、トラウマの数は年々増えてるんですけどね!

 

 

「ええなぁ2人は。うちは元々ガリ勉やったからな。ゲームも1人でしてたわ。東京来てからそれをキッカケにいろいろイメチェンするようになって…」

 

 

「そっか、それでゆんの服装っていつも気合が入ってたんだ。慣れてないから」

 

 

俺、ガリ勉じゃなかったのに友達いなかったから1人でゲームしてたなー。そう思ってたら、はじめさんが地雷原に飛び込んだ音がした。

 

 

「こっちは真剣に悩んでんねんアホー!!」

 

 

「なんで俺!?」

 

 

ゆん先輩のあまり早くない右ストレートが俺を襲う!だけど、平塚先生からブリットシリーズを受けてきた俺からすれば止まって見えるぜ。

 

 

「確かにわからへんわ!でもこれでも私なりに勉強して選んどるねん!かわいいって言われたいねん!アホアホ!」

 

 

「ちょ落ち着きなよ!」

 

 

ナゼェナグルンデス!?と言うくらいにポカポカとゆん先輩は殴ってくる。全然何ともないけど。ターゲットは止めに割り込んだはじめさんへと切り替わる。

 

 

「待って、別にそれは恥ずかしいことじゃないよ!苦手を克服しようとするのはすごい事だし、ゆんの服、私好きだよ?」

 

 

「……」

 

 

あら~百合の花が咲いてきた気が。それでは空気を読んで俺は失礼しよう。ここから先は罪なき者のみ通るがいい。ガーデンオブアヴァロン!

 

 

「だってキャラが立つのはいいことだし」

 

 

「ゆん先輩ってかわいいゴスロリな服好きですよね」

 

 

「爆ぜろ!」

 

 

「いて!」「イィッ↑タイ↓メガァァァ↑」

 

 

なんでさ……なんで俺だけ霧吹きによる目潰しなの?てか、なんで霧吹き持ってきてるの?それ中身大丈夫なやつ……?

このままじゃ目が腐るどころか飛び出ちゃうよぉ……。

 

 

「なんだか、友達に遠慮してる私達って案外似た者同士なのかもね」

 

 

「……かもな」

 

 

人が目の痛みに悶えてる間に2人はまたいい雰囲気になってた。やっぱり男が土足で会話に入るのが良くなかったんだね。わかるとも。

 

 

「ゆんは今の自分に自信もって大丈夫だよ。だから私も自信もってアッキーに自分の趣味を告白する!」

 

 

「は?ちょ、それは…やめたほうが」

 

 

「いや私はやるよ!メール送信!」

 

 

「えぇ…」

 

 

よかった。霧吹きの中身、これ水だ。舐めたら分かった。思い込みでレモン水だとか思ってたがそんなこと無かった。

 

 

「あ、返信返ってきた!」

 

 

「なんてなんて?」

 

 

急かすゆん先輩にはじめさんは顔を一気に紅潮させていく。それを見て俺は一言。

 

 

「多分、知ってたって返信来たんじゃないですか」

 

 

「うわあああ!!!私の長年の苦労はなんだったんだーー!!」

 

 

「黙っててくれたなんてアッキーさんええ人やん…」

 

 

その通りである。ほんと、ヲタクなのを隠すのは苦労するが、バレるのはほんの一瞬だから気をつけた方がいいと思う。ソースは俺。ほんと息子の引き出しを勝手に開けるんじゃねぇよ……!!

 

 






一言


『おまえらひふみ先輩好きスギィ!!!!!!!将棋のひふみんで我慢しろ!!!!!』


(気が向いたら書きます)




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