女の子だらけの職場で俺が働くのはまちがっている 作:通りすがりの魔術師
多分八月終わったら更新ペース落ちるからヨロシクゥ!!
前回のあらすじ。やっぱり新入社員は女の子でしたっ!個性豊かな2人だがもう1人は涼風の名前を間違っちゃって……これからどうなるんだろうな。他人事だなって?他人事だからな。
「え〜!インターン中は学校に行かなくていいの!?」
「うちの専門学校はこうしてインターンで働くことも単位になるので」
昼休みに新入社員と仲を深めようということでカフェに訪れたキャラ班+はじめさん+うみこさんと桜と鳴海御一行。俺はいつも通り屋上で孤独なグルメを堪能しようとしていたのだが、八神さんと涼風のコンビプレーの前に敗れ去ってしまった。こうして女性達が並ぶ中にちょこんと置かれてる俺の肩身は狭いどころかもうないんじゃないかと思いたくなる。
聞いた話では、望月と鳴海は俺と涼風、桜と同い歳らしく今は専門学校のインターンでイーグルジャンプに来てるのだそうだ。あ、この情報は全部隣のプログラマー組の話を盗み聞きして得たものである。
プログラマー組はもう打ち解けたのか「タメ口でいいよ〜」とか話していたりするのだが、それに比べてこちらは殺伐としている。
「も、望月さんはよく呼ばれるあだ名とかあるんですか?」
ナイスだ涼風。さすがこの中ではコミュ力EXある女。
「え?なるからはいつも"もも"って呼ばれてます」
望月 紅葉だから苗字と名前の頭文字をくっつけて「もも」か。てっきり髪の色から来てるのだと思ったがそうではないらしい。
「じゃあももちゃんやな」
「私達も下の名前とか気軽に呼んでくれていいよ」
あ、ももといえばやっぱりハーレム計画とか推進したりするのだろうか。それだと俺が完全にリトさん枠なのだが、うんないな。
「えっと…じゃあ…」
そう言って、見えないように手元で何やら小さなメモを見る望月。
「ゆんさん。はじめさん。青葉さん。ひふみリーダーで」
「り、リーダー!?」
「間違ってへんけど初めて聞きましたね」
今まで誰も呼ばなかったからわすれそうになっていたが八神さんに代わってキャラクター班のリーダーはひふみ先輩なのだ。つまり、これは間違った呼び方ではない。ゆん先輩も苦笑いしながら肯定していた。
で、地味に俺が抜けてるのはバグですか?
「あと、比企谷さん」
「え?あ、おう」
とか思ってたらちゃんと呼ばれた。でも、俺だけ苗字なのね。珍しく「ヒキタニ」とか間違ってないから別に全然いいんだけど。
「ずっと気になってたんですけど、ひふみ先輩って八神さんや遠山さんのこと下の名前でちゃん付けで呼びますよね?数年後輩なのに…」
確かに八神さんと遠山さんは同期だがひふみ先輩は違うはずなのだ。てっきり、親しげに下の名前で呼びあっているからそうだと誤解する連中が多いが同期ではない。確か八神さんは高卒でここに入って8年目とか言ってたから年齢が割り出せるが、遠山さんって高卒なのか専門校卒なのかで年齢変わるよなぁ…。でも、同い歳って言ってたな……じゃ、高卒……?考えるのはやめよう。
「ああ…昔私の会話の練習の相手になってもらってたから…私が無理矢理やり…ね」
八神さんが言うと、ひふみ先輩は頷く。
「うん…そのまま流れで…」
なるほど、八神さんがコミュ障を治そうと砕けた接し方をしてるうちに下の名前呼びになったわけか。
「じゃあ遠山さんは?」
「コウちゃんって呼んでたら、ある日りんちゃんが自分もちゃん付けで呼べって…」
少しビクビクしながらひふみ先輩が答える。それに八神さんは首を傾げるが、俺とゆん先輩はある予測を立てる。
「多分、自分だけさん付けとか嫌だったんじゃ」
「せやろな。それも八神さんやし」
「え?どういうこと??」
「複雑な心理ですね」
相変わらず八神さんは遠山さんの気持ちに気づいておらずちんぷんかんぷんといった様子だ。どこのラブコメの主人公だよ。
「あれ?そういえば、今日遠山さん見ませんでしたけど、お休みですか?」
「葉月さんたちとPECOのキャストオーディションに行っててスタジオじゃないかな」
聞いたら八神さんが答えてくれたやっさしー!おそらく、今頃噂話をされてくしゃみでもしている頃であろう。あと、最近遠山さんからの視線が怖くて直視できません。どうすればいいでしょうか。よし、あとで知恵袋に聞こ。
「お待たせしました〜」
遠山さんの話になりかけて、望月が分からないだろうと八神さんが気を遣うと待ちかねた料理がやってくる。こういうオシャンティなカフェの定番といえばパスタであり、スパゲッティである。あれらの違いはよく知らないが麺の太さがどうとかだった気がする。ちなみに俺は麺類は最近食べ飽きてるのでミラノ風ドリアに近いドリアである。こっちの方が高い。だからと言って美味いとは限らない。
「大盛り…結構食べるんですね」
「はい」
「ええな〜それでもももちゃんはスタイルよくて。私食べるとすぐ表に出てしまうから」
望月のパスタの量に驚く涼風に羨ましがるゆん先輩。そうは言うが太ってないじゃん。とか言うとなぜか怒るので言わないことにしてる。……誕生日にでも倒れるだけで腹筋が割れるというアレをプレゼントしてやろうかしら。
「さっき砂糖入りの紅茶がダメそうな顔してたけど甘いものが苦手なの?」
「はい…それでも砂糖はまだ大丈夫ですけど…あんことか羊羹とか…あれくらい甘すぎるともうダメです」
ということはマッ缶飲めないじゃん。可哀想。これ数時間前にも思った気がする。それが表情に出てしまったのか俺を見ながらはじめさんがニヤっと笑う。
「ありゃりゃ、甘いもの苦手じゃ八幡のオススメ飲めないね」
「オススメ?」
なんですかそれ?と俺を見る望月。
「MAXコーヒーっていうコーヒーがあるんだよ。八幡のやつそれが大好きでさ。まぁ、私も好きなんだけど」
「ほんま、休日に千葉に行って1ケース買いに行くくらい好きなんやで。うちはたまにくらいが丁度ええかなぁ」
「そうそう。これがないとやっていけない……みたいな! あ、私は毎朝飲んでるよ!八幡のだけど」
「私はあんまり飲まないかな。あれ甘すぎますよね、ひふみ先輩?」
「え…う、うん…確かに……そうだね。で、でも……美味しい……よ」
口々にMAXコーヒーに対する評価を口にするが、望月は飲んだことがないのでやはり分からないらしい。
「……そんなに甘いんですか?」
「まぁな。ほら、人生は苦いからコーヒーくらいは……な」
カッコつけて言ってみたが「はぁ」と反応はイマイチだし、周りは呆れた顔をしていた。
「まぁ、八幡の言ってることは6割くらいわからなくていいから大丈夫ですよ」
「そうそう、世の中知らなくていいこともある。だから、気にしなくていい。ほんと」
「そう言うなら悲しそうな顔すんなよ…」
別に甘いのが無理でマッ缶飲めない後輩に対して哀れみを抱いてるのではなく、残業してる望月に「これ(マッ缶)」と言って一緒に飲む口実を作れなくて残念に思ってるだけ。決して悲しいわけではない……悲しくなんかないんだからねッ!!
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「は〜食べた食べた。ごちそうさまです〜!」
店から出てお腹を擦りながら満足気な声音で言うはじめさん。うん、確かに満足度でいえば腹が膨れたから味はどうでもいいや。腹がすいたらまた会おう。
「3人ともまだ入社ってわけじゃないから、ランチの歓迎会くらいしか会社からお金でなくて悪いね」
「いえいえ、とんでもないです。美味しかったです。ご馳走様です!」
「ごちそうさまです!」
正社員とインターンとアルバイトとじゃ待遇が違うのか。そりゃそうか。正社員は金さえ払えば使い古すまで使えるし。ちゃんと最初にいい餌を与えて逃げないようにしてるんだな。
「もも!奢ってもらったんだからご馳走様ですって言わないと」
鳴海がボソッと耳打ちするように望月に囁くと頭を下げる。
「……あ!ごめんなさい。ご馳走様です」
「はい、どういたしまして。まぁ、私のお金でもないけど」
気にしなくていいと手を振った八神さんは前を向いて会社への帰路へと進む。それに続くように俺達も歩みを進める。
第一印象からすれば俺の望月のイメージは少し協調性の足りない羊だった。羊は群れで行動するのだが、1匹が進路を変えると他の羊もそれの後を追う。
それに例えるならば、望月は群れに付いていくが納得はしていない羊だろう。みんなが行くから行くのであって自分の意思ではない。みんなといないから不安ということはなく、必要ならば群れを離れることを辞さないだろう。
しかし、今この時、今日知り合った人の名前を覚えようとしている。それを見て改めて評価するなら真面目なんだけど少しドジってしまう系女子といったところか。どこのラブコメのヒロインだよ。
「飯島ゆんさん。篠田はじめさん。滝本ひふみさん。阿波根うみこさん。桜ねねさん。……涼風青葉さん。……比企谷……は、は?」
「八幡だ」
「えっ!?あ、す、すみません」
「いや、謝ることじゃない」
珍しい名前だとは思うが他にも名前を覚える人間がいるのだ。だから、1人くらいメモを忘れてしまっても仕方ないだろう。あと、なんで俺だけ苗字だったのかも理解出来て良かった。望月はメモに手早く俺の名前を書くと顔を上げる。
「あ、あの比企谷さん」
「ん?」
「失礼かもしれませんが、レラジェに似てるって言われません?」
似てるも何も、外見のモデルが俺だからなあれ。八神さんに指示されて作ったのが自分だよ。恥ずかしいとは思わないが…その、なんだ、面と向かって言われると死にたくなる。しかも、そんなに目をキラキラさせながら言われるとより一層だ。
「……そんなことは無いが」
「そ、そうですか。とても似てると思うんですが…喋り方とか雰囲気とか特に目とか……」
喋り方に関してはそういう仕様になったのだから仕方ないが、目に関してはちゃんと光を入れたのだ。しかし、ゆん先輩やはじめさんに「ハイライトない方がいいよ」ということでわざわざあの目にしたのだ。というか、なんでそんなにモジモジしてるの?もしかしてトイレにでも行きたいのか?
「あ、あの、私、フェアリーズストーリー3に出てきたレラジェってキャラが大好きで。特に中盤の敵だったのにソフィアを助けるシーンとか大好きで」
あーそんなシーンもありましたね。やって布団の上で6回転がって「あーー!!死にたい!死にたいよぉ!!」とかやってたからね。多分、自分がモデルと知らなかったらカッコよく思えたんだろうな俺も。
「他にも、1回クリアしてからできるエクストラモードで使えるレラジェの技とかセリフの言い回しがかっこよくて!」
その辺はライターさんや葉月さん辺りが考えたことだろうから俺はノータッチだ。……まぁ、必殺技は俺が考えたけどね?
それより、なんか急に喋るようになったなこの子。あれか、自分の好きなものでならめちゃくちゃ語れるというやつか。
「他にも好きなところとかあるんですけど、あの、つまり、その……」
わかるわかる。俺も好きなキャラとか作品のことになると喋りが止まらなくなるからな。まぁ、喋る相手がいなかったからそんなことは1度もなかったんだが。
「レラジェが大好きなんです!」
「……そうか」
……意外に自分の作ったキャラのことを良く言われるのは全然嫌いじゃない。エゴサとかしたことないから言われるのは初めてだし。でも、俺のことは好きじゃないと言われてる気もするが当たり前のことなので良しとしよう。
「あ、レラジェ作ったのてハッチーなんだよね?」
「あぁ、そうだよ」
「……え?」
レラジェというワードに反応して鳴海と話していた桜が振り向いてそう尋ねてきたのですかさず返答する。どうせ涼風にでも聞いていたのだろう。今更、聞かなくてもいいだろうに……。
「って、あれ?」
気付けば望月は俺から離れて後ろでじっと俺を睨んでいた。どうしたんだ、と声をかける前に察しのいい俺は分かってしまった。レラジェを作ったのが俺だからそれに幻滅してる……説が濃厚だろう。八神さんかひふみ先輩が作ったのだと思ったキャラがまさかの俺でショックを受けている。そんなところだろう。そうじゃなきゃあんなに顔を真っ赤にして怒ったような目を向けてくるはずが無い。
「はぁ…」
ため息を吐くと幸せが逃げるというが、元から幸せでないのなら吐いたところで変わりはないだろうと思う。それに運気も気分も最悪なのならこれ以上下がりようがないだろう。だから、思う存分今のうちに運気を逃がしていこう。いい事があれば悪いことがあるように、悪いことがあればいい事が起こるのだろう。実際、そんなこと無くても人間気の持ちようでなんとかなるものだ。とにかく、今は後輩に嫌われたという事実を受け止めるべくとぼとぼと会社への帰路を歩いていこう。
その後。
八幡(嫌われたな……はぁ)←とんだ勘違い
紅葉(あの人がレラジェを……!!)←八幡の背中を恍惚とした顔で見る
ツバメ(ん?レラジェってももが大好きなキャラだったような…。思い出してみたら……比企谷さんにそっくりだよね…?)←何かを察する
ねね(あれ……なんか余計なこと言ったかな?)←今更
紅葉の「レラジェが大好きなんです!」を聞いた他
コウ(へぇ、よかったじゃん八幡。自分のキャラ好きって言ってもらって)
はじめ(確かにレラジェ登場シーンとかモーションかっこよかったもんね。私がつけたんだけど)
ゆん(そういえば、レラジェと八幡って声似とるよなぁ。声優さんの名前誰やっけ……)
ひふみ(……そうだ。今度のコミケでレラジェのコスプレしてもらおう)
青葉(ソフィアちゃん作ったの私だって言いたい……!!)
みんな意外にお気楽だった。
【あとがき】
レラジェのCVですが、シエロ・拓也、というハーフの人らしいです(適当)
セリフに関しては
「逃げるだけ損だ。大人しく荷物を置いていけ」登場時
「疾風よ、吹き荒れろ」剣攻撃時
「死にたくなきゃ避けるんだな」弓攻撃時
「土に還るといい。降り注ぐは我が災厄の加護を持つ矢だ」必殺技時
「あぁ……悪くない……最期だ」死亡時
さぁて、お次はツバメちゃんとフラグ建てなきゃ(白目)
番外編、路線変更するかも(詳しくは活動報告)