女の子だらけの職場で俺が働くのはまちがっている 作:通りすがりの魔術師
新入社員(仮)が入ってきてから早くも数時間。涼風は名前を間違われ、ライバル視される中、俺に関しては嫌われたとまではいかなくても苦手意識を持たれてしまった。オーマイダーティー!なんて醜態!もう誤魔化せないのが痛いところである。
今までの経験則から後輩にこき使われたり、弱みを握られたりすることがあったから、そんな負の連鎖を断ち切るために少しでも優しくて頼りになる先輩を演じようとしていたのだが望月に対してはもう無理そうです。
まぁ、嫌われたって構わない。誹謗中傷なんて怖くない。俺のやり方を貫くのみ。どうしてそんなやり方しかできないんだとか言われても気にしない。おそらく、最低限の会話はしてくれるだろうし。それならそれで仕方ない。俺は悪くない、社会が悪い。よし!
だが、折角できた後輩なのだ。せめて鳴海にはいい先輩として見られたいという欲があったのだが、それも数分で断ち切られてしまった。
「アイドルの歌う言葉の文字が立体になって敵に当たると浄化されるんです。そんな音ゲーを作ってました」
「音ゲー!?アクションでは!?」
鳴海が作成したというゲームを望月がやるのを見ているが、こんな俺よりもすごかった。ゲームは鳴海が作り、アイドルや敵などのキャラクターは全て望月が作ったらしい。その出来栄えに『お前達に負けるなら悔いはないさ』と言いたくなる。
しかし、恐ろしいな。専門学生ってこんなの作れるのかよ。それは見ていた桜も同じことを思ったらしく、うみこさんに尋ねる。
「専門学生って皆こんなの作れるの!?」
「いえ、優秀ですよ。これは」
「へへへ、どうもっす」
桜の実力はうみこさんがほぼリアルタイムで把握していたので、望月と鳴海の方をとなったのだが、このアクション型リズムゲームを見る限り、おそらく入社時の俺と涼風を遥かに上回る実力であろう。
「3Dモデルもこれくらい出来るんなら青葉達の時は基礎勉強からしてもらったけど、最初から実践で試そうかな」
八神さんにそう言われて、わかりやすくドヤ顔を決める望月だがその間に敵にやられていた。それを桜に指摘されるも特に気にしている様子はなかった。
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実力把握タイムが終わり、それぞれ仕事に戻ったのだが俺は八神さんから託された全てのモデリングの作業を終わらせて手持ち無沙汰になっていた。おそらく、残りの仕事は経験値を積まねばならない望月に回るだろうし、涼風のデザイン作業が進むまで俺のところには回ってこないだろう。
どうしよう…暇だなぁ暇だなぁ、サボっちゃおうかなぁ。
「もも…ちゃん!これ…お仕事の発注書」
キャラリーダーとしてひふみ先輩が仕事を望月に渡すその姿、死ぬほど感動したぜ。なのに、望月は淡々と「ありがとうございます」と言って受け取る。そこは「ひゃっほ〜い!!ありがとうごじゃいますぅ~!!」と歓喜の様を表現するべきだと思うな。いや、そんなことしたらひふみ先輩絶対ビビるからやめた方がいいけど。
「わからないところとか…ある?」
「いえ特には」
「…そう」
わからないところとかあるか?って聞かれてどう答えるのが正解なのかといつも思う。あっても手元にマニュアルがあれば「これ聞かなくてもやってれば分かるんじゃね?」とかなったりするし、なかったらなかったで「何か聞いた方がいいのか」となってしまったりする。1番困るのは「質問ある?」を繰り返し何度も聞かれたりした時だ。何も聞かなかったら後で何かあると「あの時聞けって言ったよね?」と威圧的に怒られてしまうからだ。正直言うと言わなかったお前が悪いとしか言いようがない。ちなみにこれは俺がバイトしてる時にあった実話である。
「それじゃあ…ばいばい」
「…ばいばい」
なんだあのぎごちない挨拶。ペッパーくんなら元気に返してくれるのに。あれ一家に一台の時代来ると思うよ。それで卵わる機能とかあれば最強。でも、卵は手で割れるんだけどね。
「あ」
「……?」
「この差分デザイン、青葉さんが描いたんですか?」
「うん…そうだよ!可愛いでしょ!」
うーん、涼風のデザインは可愛いというよりサイコパスというか、どこかに闇でも抱えてるんじゃないかと思えるのが多い気がするんだよなぁ。クマを食うクマってどうなのよ。同族嫌悪にしても酷すぎるだろ。
「やっぱり上手い…」
ひふみ先輩から貰った発注書を見て悔しそうに呟く望月。それがひふみ先輩には聞こえなかったのか急に機嫌を悪くした望月に「え?あれ?わわわ!」と慌てていた。大丈夫だろうか。
「SAN値チェックいってきまーす」
特に精神は死んでないのだが、とりあえずこの場から離脱しようと椅子から立ち上がる。キャラ班の方は俺ごときいなくてもどうとでもなるだろう。むしろ、俺がいない方がいいまである。
にしても、やけにプログラマー班が静かに感じる。聞こえるのはキーボードを叩く音くらいで、あの2人のことだからもう少し騒がしいと思うのだが。うみこさんに釘でも刺されたのかと、チラッと覗きに行くとさっきまで仲良さげにしてた2人がツーンとした顔でパソコンと向かい合っていた。
「桜、なんかあったのか」
「へ…?あ…えっと…」
あまりの静けさに話しかけるとビクッと桜が慌てて反応するがいつもと違った意味で落ち着きがない。不審に思いなにかあったのかと首を傾げていると鳴海が笑顔で振り返る。
「ねねっち少し手間取ってるみたいで」
「あ、なるほど」
分からないことがあればうみこさんに聞くといい。プログラムに関しては桜にわからないところは俺にわかるはずがないからな。だが、口で納得はしてみたものの少し引っかかるところがある。キーボードを叩く音がよく聞こえるくらいに静かだったわけだから別に手は止まってなかったしな。
「そういえば、比企谷先輩はどうしてここに?」
「え、暇だから」
「暇って……ほかの皆さん仕事してますよね…」
「ふっ、俺をそこら辺の凡俗同じにするな。俺はやる時はやるし、サボる時はサボる男だ」
カッコつけようとしたらとんだクズ発言をしてしまった気がする。俺の悪い癖だな。でも、やる時はやるっていうのは最近のアニメの主人公ではありがちな設定だと思うんだよね。
「で、鳴海は何してんだ」
「うみこさんに簡単なミニゲームを作るように言われたのでそれを作ってます」
そう言って仕様書を見せてくる鳴海。企画担当ははじめさんのようだ。だるまさんがころんだを面白くしてみた……というやつらしい。その名を【タイムアタックだるまさんがころんだ】
「そうか、頑張れよ」
「はい!」
パッと見いい子なんだが、どこか初めて会った時の一色と同じ匂いがするな。雰囲気の話な、香水とかそういう匂いじゃない。なんだか猫被ってそうな感じがする。目上の人にはよく見られたいみたいな。観察眼に優れてる俺でもこれだけの会話では確証はないので話を切り上げて、いつもとは違う様子のやつに話しかけた。
「桜は?」
「迷路状の板の上を玉を転がして進むボードゲーム」
珍しく簡略的な説明だな。もっと、こう「ラビリンスボードの上をボールをローリングしてゴーするボードゲームだよ!!」とかルー語で言ってくると思ったんだが。なんかテンション低いな。やっぱりなんかあったか。
「……おや、比企谷さんサボりですか」
「あ、うみこさん。サボりじゃないです。SAN値チェックです」
鳴海にさっきと言ってることが違う……という目をされたが、見なかったことにしよう。
「そうですか。サボりですか」
「はい、そうです」
素直に認めたら許されると思うんだ!でも、怒らないから言ってごらん?って言われて正直に言ったらキレるのやめてくれない?逆ギレプンプン丸になるから。
一応、保身のためというか事実なのだが、手元に仕事が無いことを伝えるとため息を吐かれた。
「それなら、八神さんか滝本さんに言えばいいでしょう」
「いや、あの2人は言わなくても勝手に持ってきてくれますし」
主に八神さんが。多分、俺が席に戻ったら机の上にドサッと置いてある。
「あ、桜がなんか聞きたいことがあるとかで」
「そうなのですか?どの辺りがわからないですか?」
「……!……」
聞かれた桜はじっと下を俯くと何か考え込むような顔になるが、唐突に「へへへへ」と気持ち悪い笑みを浮かべる。
「大丈夫です!自分で考えます!!」
急に元気になった。多分、なんか変なことでも考えたんだろう。ここで頑張ればうみこさんが褒めてくれるんじゃないかとか。
「なるっち!」
「?」
「私、絶対スーパープログラマーになるんだから覚悟しててよね!!にひひ~」
あれだな桜は静かでも気持ち悪いし、元気でも気持ち悪いな。悪い意味ではないけど。それはこの場にいる全員が思ったのか、うみこさんは?を浮かべ、鳴海はジト目になっていた。つまりのところ、キャラ班もプログラマー班もこれから大変そうだ。
「おーい、八幡仕事溜めておいたぞー」
うん、案の定八神さんが暇な俺のために仕事をたくさん持ってきてくれたらしい。俺もこれから大変そうだ。
多分来週のアニメ見たらわかると思うんですけど、原作読んでない人に補足すると
初めは仲良かった2人。
なんでプログラマーになったの?という話に。
それでねねはコネで入社したようなものだとツバメに思われる。
そこからギスギスした感じに。
ざっくり言うとこんなんです。
もうTwitterとかで言われてたからいいと思うけど、紅葉ちゃん胸デカイな。……後輩の方が大きいという胸囲の格差社会。僕は小さい方が好きなのでツバメちゃん派かな。