女の子だらけの職場で俺が働くのはまちがっている 作:通りすがりの魔術師
友人の勧めでみた「NEW GAME!」となかなか最新巻のでない「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」とのクロスオーバーでございます。
感想、評価などお待ちしております。
初出勤初出社は心躍るものである。
『春』
それは出会いと別れの季節だという。
理由はおそらく、卒業式、入学式があるからだろう。
卒業式で今までの友達と別れ、入学式で新たな出会いが待っている。
そんなのはほんの限られた人間だけだ。そう思っていた。
由比ヶ浜結衣、雪ノ下雪乃。
容姿も性格も全く違う2人の女性と俺は出会った。
偶然同じ高校になり、偶然あの事故があった。今ならそこから俺達の関係は始まっていたと言える。
その事故から1年経って俺達は奉仕部という部活で互いの存在を認識した。
そして、そこで俺は本物を見た。
まるで木から落ちそうな枯葉のように潰れてしまいそうなものだが、少し手を伸ばせば手が届きそうな関係が。
自分が本当に欲しいと願ったものを。
例えあれが本物であってもなくても、あの日々は決して無駄とは思わない。
誰かのために考え行動した時を。
思考を理解し感情を理解せずに導き出した答えも。
後悔と挫折を繰り返して生まれた思考も。
本物を手に入れようと惨めな自分を出したことも。
今では無駄ではないと思う。
でも、失敗したと思う事はある。
何故、大卒ではなく高卒で就職したのかと。
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春です。
高校を卒業して今日からゲーム会社で働くことになっています比企谷八幡です。
桜が咲いています。それで風が吹けば桜は地に落ちていく。
普通の人なら新学期頑張りますとかなるのかもしれない。
いや、ないな。少なくても俺はなかった。ただ、嫌で嫌で仕方がなかった。
身だしなみをチェックして家を出る。
新社会人だし、オフィスでの仕事ということでスーツを着ているのだが、愛しの妹からは似合わないと言われてしまった。
ま、まぁ、俺もそう思ってるからいいんだけどさ。……でも、あんなに言うことはないと思うんだ。
気持ちを切り替え、高校卒業と共に買い換えたこの八幡スペシャル(自転車)に乗って今日から働くことになっている会社に向かう。
だが、すれ違う学生達が眩しいッ!なんであいつらあんなにキラキラしてるの!?そんなウキウキしてると突然犬が道路に飛び出して入学ぼっちが確定しちゃうぞ!
何度もキラキラした学生や新社会人を見てもう俺のライフが危ない。
とか言いつつ俺もかなりウキウキしている。
しかし、こんな気持ちでいるとまたろくでもないことがありそうだ。
足の骨折の次は全身骨折かな……。
とか、心配していたがどうってことなかったぜ!
入社説明会の時に使った会社の駐輪場に自転車をとめて、社内に入ろうと足を進める。そして、俺は立ち止まった。
「よし!……涼風青葉です。よろしくお願いします。涼風……って本当に入っていいのかな」
薄く紫がかった髪をツインテールに束ねた学生服を着た女子中学生くらいの子供が会社の入り口でオロオロしてた。
どうする?まぁ、普通に声かければいいか。
そう思って1歩歩き出したがすぐに足を止める。
これは事案なんじゃないのか?
出社初日に女子中学生に声をかける目の腐った高卒社会人。
うん、間違いなく事案だ。ここはなるべくスルーだ。
声をかけないでね、かけないでねと心で念じたのだが、それが不幸にもフラグになってしまった。
「あ、あの!」
俺に気付いたのかその女子は俺に声をかけていた。
めちゃくちゃ目が合ってしまっているが、ここは聞こえなかったフリをしてやり過ごそう。
「こら!」
「ひゃっ!」
「ひゃい!?」
そう思ってると、なぜか怒られてしまった。
振り向けば少し赤っぽい髪色をしたショートボブの女性が立っていた。諌めるような表情をしていたがすぐにふふっと柔和な表情になる。
「な〜んてふふ、ここは会社だから子供は入っちゃだめよ」
あ、どうやら後ろの中学生に言ってるらしい。安心して俺は会社に入ろうとすると、腕を掴まれてしまう。
「あと、君もよ。ここは眼科じゃないわよ」
おぅふ
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「あら、2人とも新入社員さんだったのね。ごめんなさい私ったら」
「わ、わたしこそごめんなさい!」
どうやら犯罪未遂犯であることがわかってもらえてよかった。
てか、そこの中学生も俺と同じ新入社員かよ。あれかな大卒かな?
だったら、ものすごくロリ……いや、なんでもないです。
「えっと、比企谷八幡です」
「す、涼風青葉といいます。入社するって聞いてますか……?」
「比企谷君に……涼風…あ、聞いてます。2人とも一緒のチームだわ」
「ほんと!?」
マジかよ。って事は俺の上司か。
「私はADの遠山りんです。よろしくね」
AD…って言っても確かアートディレクターだっけか?
主にビジュアルの指示とか出すんじゃなかったけ?よくわからんけど。
「あ、あのADって大変ですよね! テレビでよく見ますけど雑用ばかりで大変なイメージだし」
ソーナノカー。
しかし、この中学生改め涼風ってやつグイグイいくな。
というか、こいつの言ってるADって。
「涼風の言ってるのってアシスタントディレクターなんじゃ……」
「比企谷君の言うとおり、私のADはアートディレクターよ。だからすべてのグラフィックの管理が仕事なの」
俺と遠山先輩が言うと涼風はポカーンと真顔になった後、弱々しい声で「申し訳ありませんでした…」と社内のエレベーター前で土下座するのだった。
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「ここがオフィスよ。皆時間ギリギリにくるからまだ誰もいないけど」
涼風の土下座が終わり、エレベーターってオフィスルームに入った俺はまず、周りを見渡す。たくさんのカラーボックスがあり、中には様々なファイルやグラフィック制作に関する本などが陳列されている。
次にデスク。それぞれ個性豊かなものがあり、その中にただパソコンだけが置かれたデスクが2つあった。
「右が涼風さんの席、左が比企谷君の席。そうだ、なにか飲む?」
お、その提案はありがたい。朝飯食って、会社に入ってから水分を摂ってないからな。でも、こんなところにマッカンなんてあるはずがない。まぁここは紅茶かな。
「じゃ、お言葉に甘えて俺は紅茶で」
「それじゃあ私はオレンジ……ブラックコーヒーで」
なんだその飲み物。え、オレンジを入れたブラックコーヒーなの?
いや、普通にブラックコーヒーか?あれか子供っぽいって言われたからちょいと大人っぽいところを見せようとしてるのか?
……あんまりブラックにこだわるなよ弱く見えるぞ。
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「はぁ、優しそうな人で良かった〜……ね、比企谷君」
「あ、あぁ、そうだな」
何コイツ……いきなり喋りかけるなよ。童貞なんだからいきなり喋りかけられたら声が上擦っちゃうんだから。
「これで今日から働くんだ……!」
ちょっと、それだけかよ。他にないの?これからよろしくね的なの。
あ、こんなにはないですよね。知ってました。
さて、これが俺専用のパソコンとペンタブレットか。
なんか専用色に塗りたいな。てか、キーボードなんだな。珍しい。
「う〜ん、つかれたぁ、もうやだぁ」
なんだこの声は…女性っぽいが…恐る恐る声のする方を見れば……白くて綺麗な生足が……って
「「ぎゃー!」」
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あ…ありのまま今起こった事を話すぜ!おれは『女性の生足を見たと思ったら、パンツと寝巻きらしきものをきた女性がデスクの下で寝ていた』
何言ってるんだろ俺は。
「あら、おきてたの?」
「りん〜この2人誰〜?」
飲み物を持ってきてくれた遠山さんが声をかけるという事はこの人も先輩なのだろうか。なんというかありがとうございます。
「今日から入社した涼風さんと比企谷君よ。あ、これ私のだけど飲む?」
未だにパンツ姿の先輩は遠山さんの差し出すブラックコーヒーを「サンキュー」と受け取り、「へ〜どこの班に…」と言いながら啜ると
「ゲホゲホ!これ砂糖入ってないじゃん!」
「あ!逆だったわ!ごめんなさい!」
どうやら、この人はブラックが苦手なようだ。
ちなみに涼風も無理だった。
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パンツ先輩と涼風がブラックが飲めないことがわかり、遠山さんが残りのブラックを飲んでいるとパンツ先輩が尋ねてきた。
「年はいくつなの?」
「18っす」
「18です!」
まさかの同い年かよ。いや、年上には見えなかったけどさ。
「へぇ!高卒できたの!?珍しい! でも、2人とも高校生には見えないな。はっはっはっ」
あれかな、俺はちょっと上に見えるのかな?
大人の男感があるのかな?
あ、今のは俺にしてはなかなかポジティブなんじゃないかな?
「あ、あなたこそおいくつなんですか!」
あ、おいバカ。女性に年齢の話はしちゃいけないんだぞ!
したら、鉄拳制裁と傷がついたとか言って変な部活に入れられるからな。
そんな昔を思い出していたら、涼風の質問に対してパンツ先輩は腕を組んでドヤ顔で言った。
「いくつに見える?」
意外にノリノリというかこの人、結構サバサバしてるんだな。
涼風は話を逸らすためか、「フェアリーズストーリー」のポスターに目を向ける。
「あ、知ってるんだ。私が初めて携わったゲームなんだ〜」
「え!?小学生の頃にすっごいハマったんですよ!それでこの会社を知って……」
「まさかみそ……」
俺が最後の一文字を言う前にズボンを履いた先輩は大声で言う。
「そんなにいってないわい! 」
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「25だよ、私も高卒で入ったの」
ジト目で不満げに言う先輩に俺と涼風は「あああああのごめんなさい」とオドオドするが遠山先輩は「気にしなくていい」とふふと笑う。しかし、その笑いに卑屈な意味はなく、「私はいくつに見えるかな?」と質問をぶつけてくる。
先ほどのこともあったので俺達は慎重に数字を選び、お互いに23歳くらいという答えを出したが
「同い年だよ!」
とパンツ先輩に結局怒られてしまった。
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「で、でも感動です!子供の頃に好きだったゲームを作ってた人が目の前にいるなんて! 私、あのゲームでキャラクターデザイナーになりたいって思ったんです!」
すごいな涼風は夢に向かって努力してきたのか。
努力は自分を裏切らないとはよく言ったものだ。なんか昔に努力を肯定しつつ否定することも言った気もするが、まぁいいか。
「あら、ならここにいる八神コウがそのキャラデザだったのよ」
パンツ先輩が八神…コウ……さんだと?
パンツ姿で社内で寝てたこの先輩があの2ちゃんで神に近いキャラクターデザイナーと謳われた……?
「「八神先生だったんですか!?」」
「こいつら急に態度変わったな」
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「ちなみに今日から八神が涼風さんの上司だから2人とも仲良くね」
「が、がんばりまシュッ!」
涼風が噛んだことにより笑いが生まれ、こうして俺のゲーム会社での初日が始まったのだ。
「あの、俺の上司は?」
「まだ来てないかな。まぁ、挨拶する時には来るから」
遠山先輩でも八神さんでもないということはわかりました。
そして、未だに同性の人がいない……。いや、出社来てないだけだよね?
もし、仮に女性しかいなかったら俺は大丈夫なのだろうか……。