女の子だらけの職場で俺が働くのはまちがっている 作:通りすがりの魔術師
八神さんENDと本編ENDの合成だったりするけど思ったよりもマッチングしてるはず。
個別ENDは多分ちゃんと書く……はず?
(今のところ八神さん、ゆんさん、ツバメちゃんのプロットしかできてない)
急いで書いた(正確には書き直し)ので誤字脱字が多いと思います。お手数ですが報告お願いします。あと、設定とか矛盾ガバガバかもしれないので、その際は感想と共に御報告下さい。
途中、八神さん視点入ってます。
では、夢のように片付けよう。
社会はやっぱり単純でいつも欠かせなかった人がいなくなっても、ソレが当たり前のように心の中で埋め合わせをする。例え、無二の親友が転校しようがまた会えるからと笑顔で見送る。本当にまた会えるとも限らないのに。
しかし、八神さんは桜の話を聞いてフランスに行くことを決心したのだろう。頑張っていれば離れていても寂しくない。そんなのは戯言だ。今まで一緒にいるのが当たり前だった人が離れていったら寂しいに決まっている。
雪ノ下と由比ヶ浜に俺が就職するから千葉を離れるということを伝えた時、2人の反応はそれぞれ違っていた。だが、2人ともとても応援してくれる様子ではなかった。俺は東京、戸塚は埼玉と同じ県にすらいられない事をお互いに残念に思った。材木座は…どうしてかわからないが酷く落ち込んでいたがすぐに立ち直っていた。他にも一色や葉山達との別れも、たった2年ほどの付き合いだったのに離れるのは寂しく感じた。
なのに、今は何も感じない。もういないということが日常になったからだ。あの時に戻りたいと思わない。むしろ、消し去ってやりたいくらいだ。けど、あの場がなければこうして俺がここにいることも無かっただろう。
「結局、何が言いたいんだろうな」
八神さんの見送りに行くわけでもないのに、遠山さんから以前貰った服を着て家を出て、来る途中に自販機で買ったブラックコーヒーを飲みながら、エレベーターが次の階へと進むのをただ待っているだけ。何も変わらない自分と、周りが変わってくことに順応していく自分。今の気持ちに答えを出せないまま、時は残酷にも流れていく。
いつものブースにつくと、やっぱり来るのが早かったのかあまりの静けさに誰も来ていないと思っていたが自分の席に向かうと涼風のパソコンがついていることに気づく。トイレにでも行ってるのかと思って俺もパソコンの電源を入れる。
「あ、おはよう」
「お、おう…」
トイレに行ってると思っていた涼風は八神さんのブースから葉月さんのペットであるもずくを抱き抱えて席に座る。はぁ、とため息を吐くと涼風は喋り始める。
「八神さんと初めて会った時さ、下着丸出しだったよね」
「あぁ、よく覚えてる」
確か綺麗な肌の太腿に白いパンツだったはずだ。あんな印象的な出会いを忘れるような男の子はいないだろう。
「ブラックが飲めないのに見栄張ってからかわれたりしたよね」
「いや、それはお前だけだ」
俺は紅茶にしたはずだから、そんなことは無い……はずだ。記憶が正しければ、俺は紅茶を頼んでたはずだ。八神コウちゃんだけにな……。
「それでさ……」
そこで会話は途切れて、隣からは鼻をすする音が聞こえる。多分、俺もさっきの話をして涼風がいなかったのなら少しくらいは涙のひとつも出たのかもしれない。が、涼風が居なければさっきの話もすることはなかったのだ。つまり、その仮定は意味を成さない。
「おはようございます」
「おはよう」
普段もこのくらいの時間に来るのか、望月は特に変わらない様子で挨拶をする。それに涼風は涙も拭かずに鼻声で返す。涙を浮かべる涼風の顔に驚いた望月の顔を見て逆に自分が泣いてることに気づいたのか、目元を拭うともずくを下に下ろす。
「あ、ごめんね。昔のことを思い出してつい。ダメだね。先週のお別れ会でしっかりお別れしたのに、こんなんで」
誤魔化すように笑顔を浮かべて御託を並べる涼風は「さぁ!お仕事お仕事!」と未だに取り繕った笑顔のまま歩き出す。
「紅葉…ちゃん?」
それを望月紅葉は許しはしなかった。涼風の手を掴んで彼女は少し怒ったような表情で言葉を口にする。
「私は…私は3ヶ月間しか八神さんとお仕事ができなかったので八神さんが行ってしまうと言った時もただ驚きしかなくて…青葉さんは…ズルいです」
何がズルいのか、それを聞く間も与えぬように望月は続ける。
「だから青葉さんにはしっかりお別れの挨拶を八神さんにして欲しいです!」
「え、それは先週言ったよ。ありがとうございましたって」
「嘘です。その顔はまだ心残りがある顔です。会いに行きましょう。今から空港へ!」
「え?今からって会社は?」
「いいじゃないですか、1日くらいズル休みしたって」
焦る涼風に少し子供っぼく勝気な言葉を放って、望月は涼風を引っ張っていく。だが、ズル休みに抵抗があるのか涼風は頑張ってその場にいようとするのだが、望月がそうはさせない。
「……仕方ねぇから、ひふみ先輩とかには俺が言っとく。だから、お前らはとっとと行ってこい」
適当にあしらうように手を振ると「で、でも」と涼風は未だに行く決心がつかないのか自駄々を捏ねるが、俺はため息を吐くと少し強めに言う。
「お前、八神さんに本当に言いたい事言わないと仕事に集中出来ねぇだろ。集中力の欠けたやつに仕事場に居られても困るからさっさと行け」
流石にここまで言えば、考えを改めたのか「よし!」と鞄を手に持ち望月と共にエレベーターへと乗り込んでいく。俺はその後ろ姿を見送った後に1通のメールを打ち込んだ。
『涼風と望月が八神さんに一言物申しに会社脱走わず』
と、それを送信した後に一息ついてまだ誰もいないのをいいことにマッ缶を八神さんの机だった場所で飲んでいると1通のメールが入ってるのに気づく。
From 八神さん
本文 どうせ、言わないと来ないだろうから言う。見送りこい。
急いで、支度を始めた。
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『涼風と望月が八神さんに一言物申しに会社脱走わず』
めずらしく八幡からメールが来たと思ったら社内メールを使った一斉送信のメールだった。わずってことは、八幡は止めなかったんだろうな。
「わ~ホントに来た」
近くで聞き覚えがある声がしたと思ったら、青葉が紅葉の手を引いてこっちにやって来た。
「お疲れ様です」
お疲れ様って…特に疲れてないんだけどな。荷造りはりんに手伝ってもらったし。それにしても。
「なんだ仲いいじゃん」
「いや!これは…」
2人が仲良く手を繋いでいたから、からかうように言うと照れたのか紅葉がバッと勢いよく手を離す。紅葉が青葉を連れてきたんだって?と聞くと、恥ずかしそうに口を開く。
「はい…えっと…あの…あ!ごはんとか大変かと思いますけど頑張ってください!」
「へ、ごはん?」
そりゃ、フランスだからナイフとかフォークばっかで箸は使わないだろうけど、パンは手で食べられるだろうし。
「さっき大変だねって話してて」
「わざわざそんなことを言いに来たの?」
補足するように言う青葉。しかし、紅葉はただの付き添いらしく、青葉の後ろに隠れて背中を押す。
「えっと…私も勢いできてしまったというか、なんというか、ははは…」
「青葉ちゃん、コウちゃんになにか言い忘れたことがあったんじゃないの?」
誤魔化すように言う青葉にりんが優しく問いかける。すると、青葉は俯いてしまう。そんな悲しそうな顔しないでくれよ。いや、そうさせてるのは自分か。
「ごめんな。自分勝手な上司で」
最初はやめる気だった。ここをやめてフランスで1から学びなおそうと思った。そしたら、それを大和さんに引き止められた。やめなくても大和さんの妹さんの会社に行けば、研修扱いにしてやめなくて済むと。その方が私にも会社の利益にもなるからと。
でも、それをあの時まで誰にも伝えなかった。伝えれなかった。勇気が出なかった。それでも、離れていても頑張っていれば寂しくないってねねちゃんが教えてくれた。
「……そうですよ、ホントに自分勝手な上司だと思います。八神さんは会社の看板なんですよ、自覚あるんですか?」
けど、やっぱり寂しいな。
「それにいつも、テキトーだし、にぶいし、それでいてナイーブだし、振り回されるこっちの身にもなってください。八神さんはバカヤローですよ!」
なんで、最後にこんなボロクソに言われなきゃいけないだろう。私が悪いんだろうけど。どう返せばいいかと悩んでたら、涙も拭かずに青葉は開き直ったように笑う。
「…なーんて、ほんとは行って欲しくないんですよ?八神さんはいつまでも私の目標なんです。だから、絶対帰ってきてくださいね?」
無理して挑戦的な表情を浮かべる青葉に私は抱きついた。
「バーカ、当たり前だろ」
帰って来るに決まってる。イーグルジャンプは私にとっては家も同然のみんなは家族と同じくらい大切だから。
「それにもし、帰ってきた時にへたれてたら承知しないからな。これでも期待してるんだぞ。だから、青葉のこと離れていてもずっと見ているから」
「はい、見ててください。私も八神さんのこと見てますから……!」
それが不可能だと知っていても、同じ空の下にいれば必ずまた出会える。今の世の中、ネットでお互いの近況は調べあえるし、メールも電話も届くんだから。
「あ!いたー!!」
はじめが大声でそう言うとこちらに駆けてくる。相変わらず元気なやつだなぁ。はじめの後ろにはゆんやひふみんの姿を見える。……が、あいつだけはいなかった。
「結局いつものメンバーみんなきたの?」
平静を装って聞くと、ゆんが答える。
「青葉ちゃんとももちゃんが空港に行ってるって聞いてつい……でも…」
本来はその場にいるであろう後輩のことを思ったのかゆんが目線を逸らす。ひふみんが留守番をしてくれてるのだから仕方ないと言ってくれる。まぁ、この前にお別れは済ませてるんだし来るわけないか。……メールしたけど気づいていないのかもしれない。……だったらしょうがないか。
はじめにフランスのゲームが出たら教えてと頼まれ、ゆんにはフランスだから服装には気をつけろと言われ、旅行に行くわけじゃないのにひふみんには観光の穴場を教えてとせがまれ、うみこには海外だから食べ物に気をつけろと注意された。紅葉から聞いたっつーの。みんなから激励の言葉を貰っていると、そろそろ飛行機の時間が近付いてきた。
「それじゃあ、行ってきます」
『いってらっしゃい!』
元気よく言うと、笑顔で手を振ってくれる。私の乗る飛行機を見送るために上に行ったみんなの後ろ姿を見送ると、私もトランクを転がす。
「ちょっと、ちょっと待っ……うっ、はぁ、はぁ……」
突然のことに振り返ると、そこには本当に来て欲しい後輩がいた。今頃、言い忘れでもしたのかと、息を弾ませるそいつに私は苦笑を浮かべる。
「なに、今頃来たの?」
冷たく言い放つと、膝に手をついて息を整える八幡はゆっくりと顔を上げる。その顔はいつも通りの目が腐っていて、ボサボサな髪で私の好きな男の顔だった。
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呼び出されて俺史上最速で空港に向かった。自転車では間に合わないと察した俺はタクシーを拾って運転手さんに「全速前進だ!」みたいな感じで急かすように空港まで走らせた。代償は大きかったが、仕方ない。あのメールを見て来なかったとなれば、次会った時にどんな嫌がらせをされるか分からないからな。
それは建前で、俺も日本から離れる八神さんを見送りたいという気持ちがあったのだろう。だから、見送る口実ができたから俺はこうしてここに来たのだろう。
「は、八幡!?」
「どないしたんそない汗かいて…」
空港について走っていると前から見知った顔の集団を見つける。俺に気づいたはじめさんとゆん先輩が声を上げる。
「ど、どうしたんですが、比企谷さん」
「や、八神さんに呼び出されて、そ、それにさっき気づいて……」
「って、ハッチー大丈夫!?息上がりすぎ!」
驚くうみこさんと桜に手を挙げて大丈夫だとジェスチャーするが、全く大丈夫ではない。仕方ないだろ全く走ってなかったんだから!毎日のように自転車漕いでるから多少は大丈夫だと思ったがそんなことは無かったぜ。
「先輩大丈夫ですか、水飲みますか?」
「もも、それ口つけたやつでしょ!」
「え、そういうの気にするかな…」
「いや、いい。ありがとな望月」
望月の親切心は受け取っておこう。それに間接キスは俺はめちゃくちゃ気にするから鳴海ナイス。もし、飲んだ後にそれ言われたら余計に息が乱れるとこだった。
「え、えっと、ホントに大丈夫?」
「マジで大丈夫です」
ひふみ先輩にそんな心配されたら大丈夫になるしかない。むしろ、ならなかったら失礼の極みである。
「で、八神さんもう行ったか?」
「どうかしら……まだ少し時間はあるけれど」
遠山さんが時計を見てそう呟く。仕方ない、今から全速疾走。疾風迅雷、ナルガクルガの如くだな。任せろ、そういうのは多分得意だ。
「早く行きなよ。言いたい事あるんでしょ?」
涼風が後ろで手を組んで微笑む。この笑顔は嘘ではなく、自分の言いたいことを伝えたあとの本当の笑顔だろう。
「特にねぇけど、行ってくる」
そう言ってまた走り出す。後ろからなんじゃそりゃー!とか聞こえてくるけど気にしないドラゲナイ。
やっとの思いで八神さんの姿を確認すると俺は精一杯、腹に力を込めて声を出す。
「ちょっと、ちょっと待っ……うっ、はぁ、はぁ……」
「なに、今頃来たの?もう飛行機出るから早くしてくれない?」
自分が呼び出しといてなんだその反応は……と悪態づきたくなったが、メールされた時間からだいぶ経ってるからこう言われるのも無理もないか。息を整える俺に「何か言うことでもあるの?」と声をかけてくる八神さんに俺は顔を上げて答える。
「まぁ、特に言うこととかないんすけど…」
「は?」
何いってんのこいつ。という顔をしたと思ったら、ジト目でじゃあ何しに来たのとか聞いてくるもんだから、俺はスマホを取り出してメールの画面を開いて見せつける。
「いや、八神さんがメールで来いって言うから会いに来たんじゃないですか」
メールしたことを忘れていたのか、ぎょっと目を見開いて口をパクパクさせる八神さんは面白いが、飛行機の時間に間に合わなくなるのもあれなので、最後に言いたいことだけ言おう。
「ま、まぁ、その頑張ってください。そ、その遠山さんみたいないい人?とか見つかるといいですね」
現地に行ったら遠山さんみたいに世話してくれる人は居ないわけで、八神さんの性格だとすぐに堕落な生活になりそうだからそういう人を早めに見つけることを推奨した。
「じゃ、俺はこれで……なんでそんな怒った顔してるんですか……」
「AD命令だ。目を閉じろ」
「えっ、なんで」
「いいから」
何か悪いことを言ったのか、イラついた顔で有無も言わさずに押し切られ、嫌々恐縮しながらも従う。何されるんだろ、最後にお別れのビンタとか笑えないんですけど。
「目開けるなよ」
「は、はぁ」
何故かわからないけど、結構距離が近いよ!ビンタしたらいい感じに頬の痛覚を刺激できるくらいの距離!いつ来ても大丈夫なように深呼吸してごくりと息を飲んで覚悟を決める。
すると、俺の肩に手が置かれて
そっと唇に温かく柔らかいのが重なる。
「……!?、ちょ!や、八神しゃん!?」
チュッ、とアニメとかドラマのラブシーンで耳にする音が聞こえたと思うと俺は動揺やら何をされたかを理解した恥ずかしさで大きく仰け反る。俺の姿が滑稽で面白かったのか八神さんは大きく笑うと、背中を向けながら顔だけこちらを見ると、大声で言い放つ。
「私の初めてなんだから、大切にしろよな!じゃ、行ってくるであります!」
そんなこと言われましても……キスの大切な仕方って……。あまりに唐突で衝撃的なことに俺は呆然と立ち尽くしてしまう。
このままここにいるのも迷惑かと思って、近くの椅子に座るとガラス越しに見える飛行場の飛行機を見つめる。どれが八神さんのやつかわかんねぇな。下手したらこっから見えないかもしれないな。スマホが揺れたので、開いてみると上で飛行機の離陸が見れると涼風からメッセージが着てたので「俺はいい」と返信するとカチッと電源を落とす。
涼風と望月が憧れた先輩は、ゆん先輩やひふみ先輩を支えたキャラ班のリーダーは、うみこさんと打ち解けていたり、桜や鳴海とも親しげにしていて、遠山さんに好意を向けられていたその人はーーーー。
俺にとてつもなく、忘れられないような想い出を残して飛び立っていった。
最後まで八神さん視点の予定でしたが最後は八幡に。
ここまで後輩やひふみ先輩がリードしてましたが一気に八神さんが巻き返しましたね。まぁ、これから出るかは分からないのですが…番外編では出ますよ?料理編も夢のように片付かねぇかな…
おまけ(最後まで八神さん視点バージョン)
「なに、今頃来たの?もう飛行機出るから早くしてくれない?」
少し冷たく言い放つと、膝に手をついて息を整えていた八幡はゆっくりと顔を上げる。
「いや、特に言うこととかないんすけど…」
「は?」
何いってんのこいつ……。じゃあ何しに来たの……。そう聞くと、八幡に呆れ顔で返された。
「いや、八神さんがメールで来いって言うから会いに来たんじゃないですか」
……!!!?
あー……そういえば、りんの目を盗んでトイレでそんなメールしたな…。いやでも、まさか今頃来るなんて思わなかったし、ていうかなんで今日はそんなにオシャレなの!?聞こうにも聞けず、時間もなければ私の想いも伝えることができない。
「ま、まぁ、その頑張ってください。そ、その遠山さんみたいないい人?とか見つかるといいですね」
ぶっきらぼうなその言葉に何故かカチンときた。いい人?つまり彼氏?それ昨日、母親にも言われた。せっかく、海外に行くんだからいい男の人でも見つけて来いって……! 人の気持ちも知らないで……!
「じゃ、俺はこれで……って、なんでそんな怒った顔してるんですか……」
何にも分かってないのか。なんだよ、なんだよ。八幡の方が私よりテキトーだし、にぶいし、ナイーブじゃん!もう、私は怒ったぞ。クリリンを殺された時の悟空くらい怒った。
「AD命令だ。目を閉じろ」
「えっ、なんで」
「いいから」
有無も言わさずに押し切ると、嫌々恐縮しながらも従う八幡に近づく。やっぱり並んで立ってみると背高いな…。
「目開けるなよ」
「は、はぁ」
何をされるのかとビビる八幡に、私はごくりと息を飲んで覚悟を決める。
つま先を伸ばして
バランスを崩さないように
八幡の肩に手を置いて
私はーーーー。
そっと唇を重ねた。
「……!?、ちょ!や、八神しゃん!?」
チュッ、とアニメとかドラマのラブシーンで耳にする音が聞こえたと思うと八幡が動揺やら羞恥で顔を赤くして大きく仰け反る。その姿が滑稽で、こんな私からのキスでもそんな顔をするだと思うと、なんだか嬉しくなって。私はいつものようにいたずらな笑みを浮かべて言ってやった。
「私の初めてなんだから、大切にしろよな!じゃ、行ってくるであります!」
これで私の気持ちが伝わらないのなら、八幡は相当のバカだ。でも、悪い虫はつかないだろうからいいかな。伝わってないのなら、次会った時に言葉にしよう。
そう心に決めて、しばらく帰ってこれないであろう生まれ故郷に私は一つの大きな想い出を残して、大空に飛び立った。
ー了ー
これからに関して
作者忙しくなるから番外編の更新しか出来ないぞ
多分今月はもうないです
再開は10月の中期終えたあたりですね。多分。では、またお会いしましょう。see you again.....