女の子だらけの職場で俺が働くのはまちがっている   作:通りすがりの魔術師

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ほたるちゃん顔は戸塚に似てね?(疑惑)
てか文字数多いなぁ...これ2話に切った方がよくね?
これから6000文字超えたら区切ろうかにゃ...
スクフェス無料11連で推しのSR以上出ないんだけどキレていい?(予約投稿日時点で)
あと天竺イベはキツいからやめちくり。はよCCCコラボ復刻かApocryphaコラボ(多分GW)はよ。


次回予告どおり紅葉とほたる回。でも、メインはほたるにしてます。
かわいいよね、早めのほたるん。


意外と星川ほたるは歩み寄ってくる。

 

もうすぐ春かと思ってたらまだクリスマスも終わっていない。紅葉が散ってから日は浅く、時の流れとはここまで短かったかと感じさせられる。

クリスマスまであと何ヶ月かを考える過程でふと、あることに気付く。冬はリア充向けのイベントが多すぎることに。

 

 

ハロウィンにクリスマス、お正月にバレンタイン。締めにホワイトデーときたもんだ。

こんなにイベントばかり詰め込まれてはお父さんお母さんの財布が持たないし、ゲーム会社はそれ用に配布やら新作ストーリーを作らねばならない。

 

 

そもそも、これらの行事がリア充達のために作られたかといえばそうではない。

まずハロウィンは確か豊作を祈る行事で仮装大会とかお菓子くれないとイタズラしちゃうぞなんかはメインではないはずなのだ。それでも最近では渋谷や新宿の街がコスプレしたパーリーピーポーで溢れかえるのが現実である。

 

 

次に言わずと知れたクリスマス。玩具業界の策略によって計画されたのではないかと疑いたくなるこのイベントも結果的には子供を夢を与えつつ後々粉砕して子供の成長を促してるあたり良いことなのかもしれない。それにクリスマスがなければサンタクロースはいなかったし、サンタクロースがいなければイヴ・サンタクロースも生まれてなかっただろう。

 

 

正月に関しては新年を大切な人と迎えたいだとかがあるのかもしれないが、それが来年にはいなくなっていたらショックなのではないだろうか。どうして自ら自分の傷口を抉りに行くのか理解しかねる。隣にいる人間が明日もそこにいるとは限らないという名言を知らないのだろうか。

 

 

んでもってバレンタインな。世の中の男子を一喜一憂させるイベントであるがクラスでぼっちやヲタクよりの人間には忌まわしいことこの上ないイベントである。わざわざ女の店員さんのところでチョコを精算し「やった女の人からチョコもらった!」と負けるよりも悲しきことをする男子学生はどれだけいるのだろうか。まぁ、俺は問題ない。妹がいるからな。

 

 

ホワイトデーに至ってはバレンタインにチョコがもらえないと何も無い日と相違ないので非リア男子にとっては最も必要ない日であろう。まぁ、この日はギリギリ春に入りそうだが、3月なので誤差の範囲。つまり冬だ。俺が冬のイベントといえば冬なのだ。

いつからそんな決定権を持ったのかはさておき、未だに冬の寒さには慣れない。というか、一生慣れない気がする。

 

 

人は寒暖差に対応するために衣服を纏うことを選んだが故に裸に興奮を覚えるという性癖を会得した。普段見慣れないものだから物珍しく色欲が募ってしまうのだろう。

よって今の季節は春と夏の薄着に備える季節と言える。違うか、違うな。

 

 

「あ、八幡くん」

 

 

外をほつき歩いて枯れた広葉樹を眺めているとあまり見かけない知り合いに遭遇した。その知り合いは俺の顔を見るとニコリと微笑み、俺は誰だったかなと思い出すために名を呟く。

 

 

「星川...」

 

 

「うん、久しぶり八幡くん」

 

 

それを挨拶と解釈したのか手を振って少しばかり急ぎ足で近づいてくる。確かに随分と久しぶりな気がする。最後に会ったのはいつだったか...覚えてないな。まぁ、星川との繋がりは涼風だし。つまるところ、星川から見た俺は涼風の同僚で俺から見た星川は涼風の友達。繋がりが近いようで遠い。故に会う機会は滅多にない。

 

 

「いつ以来かな」

 

 

「あーさぁ」

 

 

多分正月以来なんじゃないだろうか。知らないけど。お互いに連絡先も交換してないし、社会人と大学生とじゃほんとに接点が少ないからな。

大学生...?思い当たってちらほら周りに同じ方向に足を向ける俺と同い年くらいの人たちを見かけて確信した。

 

 

「大学この辺りなのか?」

 

 

「うん。そこの美大」

 

 

確認のために一応聞いておくと当たりだったようだ。しかし、星川は「言ってなかったかな」と首を捻る。それをスルーして離脱を試みるが星川はあまり気にしておらず「そうだ」と手を合わせる。

 

 

「今日暇かな?もしよかったら私の描いた絵見て行ってよ」

 

 

「星川の?」

 

 

「そうそう」

 

 

興味はあるが、休みの日を潰してまで見たいとは思わない。が、何か用があるわけでもない。外に出たはいいがコンビニで立ち読みしてからは適当にぶらついてただけだし。

 

 

「まぁ、少しくらいなら」

 

 

「よし、じゃ行こっか」

 

 

言われて星川の後から続くように歩いているとぴたっと星川の足が止まったので俺も歩くのをやめた。すると、星川はとてとてとこちらに歩いて横に立つ。

 

 

「行くよ」

 

 

「あぁ」

 

 

そして、また歩き出す。それに俺はまた追うようにして歩き始めると星川はまた立ち止まると今度はため息をついた。

 

 

「なるほど。あおっちの言ってたことがわかった気がするよ」

 

 

何言ってたのか知らんけど碌でもないことには違いないな。ふるふると顔を振って2度俺の横に立つと唐突に手を絡めてきた。それにおどろいて仰け反るも星川は離さず手を握ってくる。

 

 

「うん、八幡くんにはこれくらい強引の方がいいかな。よし、今度こそいくよ」

 

 

何か呟くと星川は俺の手を引き3度歩き出す。共に横並びで歩いていると周りから奇異な視線に晒され星川に小声で話しかける。

 

 

「おい、いいのか?」

 

 

「何が?」

 

 

「いや、周りめちゃくちゃこっち見てるぞ」

 

 

「あー、別にいいかな。慣れてるし」

 

 

 

慣れてる?え、慣れてんの?まさか他にも男の人と手を繋いで大学に通ってるのか。とてもそんな風には見えないが。

 

 

「絵のコンクールで賞とか取ると色んな人に見られるから慣れちゃった」

 

 

あぁそっちね。でもこれは色々と違うと思うんですがね。ジト目を向けても星川はそのことに気付いていないのかずんどこ歩いて大学へと進む。

その途中で星川のポケットから振動音が聞こえ手が離れると思いきや、星川は空いた右手でスマホを取り出すと画面を見つめるとキョトンと瞬きを繰り返す。

 

 

「どうした」

 

 

「なんか私を探してる子がいるらしくて」

 

 

星川を?顔を見合わせて首を傾げてもどういうことかよく分からない。とりあえず星川を探している子が大学まで来てるらしいので気持ち早歩きでそこに向かう。

 

 

「てか、お前探してるのって男なの女なの?」

 

 

「女の子って書いてたけど、どうして?」

 

 

「いや別に」

 

 

もし男で悪質なストーカーだったり、星川に好意を抱いてる男子だとしたら俺と手を繋いでるこの状況を見たら発狂するんじゃないかと危惧しただけだ。そしたら最悪俺か星川が被害を被ることになるしな。

女だからといって安心はできない。一応、注意深く目を凝らしながら大学の門を潜ると星川のキャンパスメイトらしき子が「あっちだよ」と指を指す。その方向に目を向けるととても見知った顔がいた。

 

 

「あ、星川ほたる...さん...!?」

 

 

そうやって驚愕にも似た悲鳴のような声を上げたのは俺の後輩にあたる望月紅葉だった。なんでここにいるのお前。

 

 

「私になにか御用ですか...?」

 

 

おずおずと尋ねる星川に横で俺は居心地悪く肩がこったから首を巡らせて望月の視線から逃れようと頑張っていた。尋ねられた望月はというと「あ、えっと...あの」とテンパりつつもどうにか頭を下げる。

 

 

「望月紅葉といいます。涼風青葉さんとそちらの比企谷八幡さんの後輩で春からイーグルジャンプに入社予定です」

 

 

言われた星川はこちらを向くと「そうなの?」と視線で聞いてきたので「まぁな」と頷く。丁寧に社員証も出してきた望月に俺は関心しつつも、望月の視線があるところに注がれていた。

 

 

「てか、大学ついたんだしそろそろ離してくれよ」

 

 

「あ、ごめん」

 

 

やっとこさ離れた手に、俺は安堵する。良かった。知り合いに見られてるとどうにも落ち着かなくてあと数秒遅かったら手汗が脱水症状になるレベルでドバドバ出てるとこだった。

 

 

「えっと、あの、星川さんと比企谷さんって…」

 

 

「あ?ただの知り合いだよ」

 

 

「え?友達じゃないの?」

 

 

望月の質問に普通にそのまま返すと星川が不満げな目になる。いや、友達ってほど遊んだり会話もしてないし。そもそも曖昧な意味づけの言葉だからそれ。まぁ、俺と星川がお互いにお互いのことを友達と思えるようになれば友達と言ってもいいだろうが少なくても俺はまだそういう気分じゃない。

 

 

「で、どうしたんだ望月は」

 

 

「あ、はい!すごく上手いって聞きました。星川さんの作品を見せて頂けませんか!」

 

 

「......」

 

 

熱心に話す望月に気圧されたように黙った星川だが、すぐにニコリと笑うと「いいよ」と明るい返事を返す。それに望月もパァっと笑顔を見せる。持っていた紙を丸めてカバンにしまい込むと望月と星川は足を進める。

そして、俺はというと星川に手を握られて羞恥心を煽られるのが嫌なのでその隣に続くのだった。

 

 

 

###

 

 

 

美大の中というのはどこもかしこも彫刻やら巨像が置いてあるわけでもなく、閑散としたところもあれば俺の思った通りのイメージの場所もある。男が珍しいのか俺は通り過ぎる女子大生達にチラチラと不審者を見るような目で見られるが慣れていることなのであまり気にしていない。ほんとに。気にしてないから。

 

 

ガララと微妙に立て付けの悪い引き戸を開けると部屋には様々なキャンパスが置かれていたがそのどれもに生命が吹き込まれているような、そのように形容できる絵がゴロゴロとその部屋の中には存在した。

 

 

「あおっちに言えばもっと簡単に会えたのに」

 

 

「青葉さんがいるとペースを持っていかれたので」

 

 

2人は部屋に入るなりそのような会話をする。俺はというと目の前に広がる多種多様な絵に息を呑むばかりだ。

 

 

「いつもここで描いてるんだ」

 

 

「へぇ」

 

 

ということはこれらのほとんどが星川1人で描いた絵ということだろうか。もしそうならば恐ろしい。こいつが卒業したらどの業界に進むのかさておき、いずれ巨匠とか言われる未来が見える。その頃俺はというとどこかで野垂れ死にしてるかもな。あるいは星川とか八神さんみたいなやべー人の下につくか。働きたくねぇな…。

 

 

「それ、丁度今描いてて」

 

 

星川が言ったその絵の前に立った望月は無言ではあったが、目を輝かせていた。青空の下の花畑で笑顔を咲かせる女の子。その姿は最近発売したゲームに出てくるキャラにとても似ているように思えた。

 

 

「あの!他にも見せてもらってもいいですか!」

 

 

「うん、どうぞ」

 

 

またも望月の勢いに押されて引き気味の星川。望月は手当り次第に机の上にあるスケッチブックや紙の束を手に取りパラパラと捲る。俺は俺で油絵や不透明水彩、透明水彩で描かれた美しい風景画や色鉛筆だけ使った模写や人物画を見て「へー」とかそんな誰でも言えそうな感想を漏らしていた。

 

 

「これ...アニメ!?」

 

 

「うん、ちょっと気になって」

 

 

ほぇーアニメ描いてんのか。驚く望月の横から覗いてみると紙の束をパラパラと1枚1枚捲るとキャラクターが動いている。こいつ何でもやるんだな。

 

 

「ここにあるもの全部星川さんの作品ですか?」

 

 

「そうだよ」

 

 

絶句。まさかのここにあるもの全てとは思わず唖然としてしまった。

 

 

「お前絵描くの好きなんだな」

 

 

「うん...それくらいしか取り柄がないし」

 

 

頬を居心地悪そうにかく星川に俺はそんなに自分を卑下せんでもと思うが、聞いた話では運動はダメらしいし学力も普通くらいと桜が言っていたことから本当に絵にしか情熱を注がなかったのだろう。それにこれだけの量の絵を描くというのは才能や努力だけではできまい。大方、こいつはお絵描き大好きフリスキー人間ということか。

 

 

「星川さん!!」

 

 

「はい!」

 

 

「私の作品も見てもらえますか?星川さんみたいな天才からしたら...下手に見えるかもですけど」

 

 

望月がカバンからスケッチブックを出すやいなや星川はムッとした顔でそれを断る。

 

 

「なら見ない」

 

 

「!?」

 

 

「自分の作品を下手だなんて言ったらいけないよ。作品が可哀想だよ」

 

 

「...ご、ごめんなさい」

 

 

萎縮して謝る望月。いや、星川の絵みた後だと大抵のやつは自信を失くすと思うんだが。けど、さっきのはてっきり『天才』ってワードに引っかかったんだと思ったがそうでもないらしい。星川は笑うと望月からスケッチブックを受け取ろうと手を伸ばす。

 

 

「よろしい!じゃあ見せてみて」

 

 

「どうぞ...」

 

 

おずおずと渡して、それを開いて見る星川。

自分の作品を見られていて望月は冷や汗を浮かべながら落ち着かない様子だ。気持ちはわからなくもない。俺も他人に自分の作品やら作文を読まれてる時はいたたまれない気分になったものだ。

 

 

「少しここでお互いの顔を見ながら鉛筆で描きあいっこしてみようか」

 

 

「え!?」

 

 

スケッチブックから顔を上げると急にそんなことを言う星川におどろいて目を見開く望月。その提案をマイナスに受け取ったのかリラックスしてデッサンの用意を始める星川に対して望月の顔は強ばっている。

 

 

「な、なにかダメなところがありましたか?」

 

 

「ううん、とてもうまかったよ」

 

 

不安げな望月に対してにこやかな応対をするとパイプ椅子を開いて望月に座るように促す。そして俺の方を見るともう一脚椅子を開く。

 

 

「ほら、比企谷くんも」

 

 

「いや俺は」

 

 

「いいから」

 

 

ずいっと有無も待たず近づかれて椅子に座らされ鉛筆を渡される。

 

 

「あ、望月さんも左利きなんだ。私と一緒!」

 

 

「はぁ」

 

 

1人テンションの高い星川と違ってローテンションの望月は困惑気味に返事を返す。さっきと立ち位置が逆転してるな。それで誰が誰を描くのか聞こうとすると星川が笑顔で口を開く。

 

 

「...望月さんってさ、おっぱい大きいよね」

 

 

「な!?」

 

 

何言ってんだあいつ。聞かなかったことにして目を逸らすがプルプルと赤面した望月の目が怖い。見なくても見られてるのがすごくわかる。

 

 

「やっぱり肩とかこるの?」

 

 

「...こりますよ。なので毎日腕立て伏せをするようにしてます」

 

 

「へぇ〜!何回くらい?」

 

 

「100回です」

 

 

「そんなに!?私は10回もできないよ...」

 

 

「それは非力すぎなのでは…」

 

 

腕を折り曲げて力こぶを作ろうとするもか細い腕にしか見えない星川の腕を見て望月は困ったような顔をするとそれに星川はトリミングするように手を構える。

 

 

「あ、その表情頂き!」

 

 

「...それが目的で雑談してたんですか?」

 

 

「えへへ、だって望月さんのことがわからないと描けないでしょ?」

 

 

分からなくてもかけると思うんだけどなー。と、誰を描けばいいのか分からずぼーっとしてると星川がそれに気付き振り向く。

 

 

「八幡くんも望月さんにも私のいい表情を描いて欲しいな」

 

 

「え、俺お前描けばいいの?」

 

 

「え」

 

 

俺の問いかけに反応したのは先程まで何か考えているような表情をしていた望月で、口をぽかんと開けて俺と星川の交互に見やる。

 

 

「うーん、時計回りに描く方がいいかな」

 

 

それだと結局星川は望月、俺は星川を描いて望月は俺を描くことになる。

 

 

「やっぱり俺はいいわ。絵は見たし、そろそろ」

 

 

「じゃ八幡くんは望月さんと私を描けばいいんじゃないかな?」

 

 

んー?おかしいぞー?俺だけ作業量が増えてませんかね。望月も「まぁそれなら」と納得してて俺の意見が通りそうにもない。仕方なく席について輪郭線を引いて2人を観察する。人間観察は昔から得意だが、いい表情を描くのはあんまりしないし難しいんだよな。小町と戸塚なら何も見なくても描けそうなんだが。...やはり、俺だけ2人描くのはおかしくないですかね。そんな疑問はよそに望月は意を決したような顔で星川に話をふりかける。

 

 

「青葉さんとはいつからお友達なんですか?」

 

 

「高3の春からだよ」

 

 

「じゃあ...1年くらいしか一緒にいなかったんですね」

 

 

「そうなの。そんな感じもしないけど。でもあの高3の1年間は本当に楽しかったな...」

 

 

とてもいい思い出なのだろう。その時のことを思い浮かべているのか星川は懐かしそうに穏やかな笑みを浮かべる。それを見て望月はニヤリと口角を上げる。

 

 

「その表情頂きました」

 

 

「え!?今のはダメ!!」

 

 

「なんでですか?」

 

 

「恥ずかしいから」

 

 

「でもいい表情でしたよ」

 

 

あははと笑いながら2人は手を動かして頂いたという表情を描き進めていく。その間に挟まれた俺は、そんな微笑ましい会話を交わす2人の顔を見ながら慣れない手つきで画用紙の中に息を吹き込む。

 

 

「出来た!八幡くんは?」

 

 

「2人も描いたから顔だけな」

 

 

「よし、じゃあ見せ合いっこしよう」

 

 

せーのという掛け声と共に全員の絵を並べる。そこに俺の顔が無いというのは悲しむべきか喜ぶべきか。いてもビジュアル的に残念にするのは明白なのでなくて良かったな。うん。

 

 

「八幡くんって結構上手なんだね」

 

 

「ははは、ありがとよ」

 

 

お世辞でも嬉しいぜ。2人の横に置かれると粗さが目立つから早いとこ処分したいんだけど。

 

 

「ほんとに上手。でも、八幡くんにはレラジェとかクレイジーマットみたいな荒っぽい絵の方が似合ってるかな」

 

 

その言葉に俺は思わず尋ねる。

 

 

「なんだ俺が描いたやつ知ってるのか」

 

 

「うん。あおっちから聞いたの。すごくかっこよくて丁寧なんだけど...」

 

 

 

けど?俺が目線で問うと星川は言うのに迷ってるのか苦笑する。そこにぐいっと動く人影が星川の手を握る。

 

 

「わかります!レラジェすごくかっこいいですよね!それでいて優しくて頼もしくて!」

 

 

レラジェと聞いて興奮する望月の勢いに破顔するとまた引きつった顔を浮かべる。また始まったかと俺は頭を抑えると望月に落ち着くように取りなす。

 

 

 

「......あの...また来ていいですか?お邪魔じゃなければ…」

 

 

 

引き剥がした望月は1度頭を下げると熱の入った目で星川を見つめる。見つめられた本人は少しだけ沈黙するとすぐに嬉しそうに笑った。

 

 

 

「もちろん!」

 

 

 

その眩しい笑顔の後ろに、俺が1年ほど前に随分と描いたキャラクターと似たようなのが散らばるようにしてあったのを見て目を細める。

星川ほたるは天才じゃない。あったとしても絵を描く天才じゃない。絵が大好きで、色んな絵を描いて、描き続けて。そうして辿り着いたのが今のこの場所にある作品達なのだろう。

もし仮に。星川が持っていた天賦の才能に名をつけるなら『無限に絵を描き続ける才能』名付けてunlimited picture works...。

 

 

「あ、そうだ。八幡くん」

 

 

「どうした藪からスティックに」

 

 

急に声掛けんなよびっくりしてキョドっちゃうだろとさっき見ていた場所から目を離すと星川は窓の外を見やった。何か言おうと一瞬、口を開いたがまた閉じると薄く微笑んでこちらを見る。

 

 

「...今日はありがとね」

 

 

「あぁ。こっちもいい暇つぶしになった」

 

 

何を言おうとしたのかはわからない。でも、言わないのなら聞く必要は無い。聞いたところで何か変わる訳では無い。だから、無難に素っ気なく返すと「それは良かった」とにこやかに微笑む。

何故か俺にはその笑顔が憂い帯びていたが「もうそろそろ帰りましょう」と手を引いてくる望月にそれどころではなくなり、俺は星川に背を向けてその場を去った。




てことでほたるん紅葉回でした
八幡とほたるちゃんのフラグ建てるのにちょうどいい回でしたね
これでほたるちゃんヒロインにできるぞ!
地味に八幡と手を繋いでる紅葉ちゃんすごい。


あ、活動報告で書いたアレは番外編のボツネタだぞ!
いわゆるエイプリルフール用に用意してたけど書ききれなかったやつ
to be continuedって書いたけど特に続きはないぞ(迫真)
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