女の子だらけの職場で俺が働くのはまちがっている 作:通りすがりの魔術師
どーも、通りすがりの魔術師です。可愛い子好きですが好きですか?
やはり人は自然には勝てないので自分の身は自分で守らねばいけないことを身にしみて感じましたね。
休まずに書けばあと6話ですね。番外編も書かないとなんですけど生憎リアルが忙しいので
FG〇イベ、40枚のプリントとテキスト1冊
なんだよこれ...休ませる気ないだろ...!!!(憤怒)
あ、憤怒って英訳するとRAGEらしいですね...うん...?
勝ち取りたい!(ほんへどうぞ)
どうにも一人部屋というのは狭くも広くも感じるものであり、俺の心象を不安定にさせる。寝返っても誰にもぶつからないが調子に乗ると壁に当たるし、話しかけても誰も答えてくれない。
そもそも、男一人というのがおかしいのだ。確かイーグルジャンプの社長は男だったはずなのだ。そう、はずなのだ。
公式ホームページや面接で見たことはあるのだが口調がちょっとアレだった。その直球な言い方をすればおねェというやつだ。
それが関係あるのかは知らないが、イーグルジャンプには女性が多い。昔、自分が可愛いと思った二次元美少女やかっこいい勇者やダークヒーロー、ライバルキャラは全ておっさんが描いているというのが定説だったが、現代社会においてそれは切り崩されている。
今や才能があろうとなかろうと、実力と運さえあれば誰でもクリエイターになれるご時世だ。最近だと高校生竜王の元に幼女達が集まる作品とネトゲの嫁が現実世界でも嫁になるという作品のアニメのキャラデザと作画監督は女の人がやってたって話だ。
昔だとバリってる人とかガワラ立ちの人が...ってそれはロボットか。しかも今もだし。
話を戻そう。昨今女性が美少女やイケメン、俺TUEEEEを作る世の中になってきている今こそ、男女手を取り合ってもっとより良い作品を作っていくべきなのだ。
ということでうちにあと一人くらい男性社員雇ってくれねぇかな。部屋の隅っこで膝を抱えて悲観に暮れていると襖がゆっくりと開けられる。
「比企谷先輩、お食事の用意が出来ましたので...って何やってるんですか」
営業スマイルで入ってきた鳴海だったが、俺の様子を見るなりげんなりとした表情で顔をひきつらせている。気持ちは分からんでもないけど、もう少し抑えような。
「なにちょっと現代社会に対するアンチテーゼを綴ってたんだ。気にすんな」
「はぁ...何言ってるか分からないから気にしませんけど...お食事出来ましたので1階にお越しください。他の皆さんはもう向かいましたので」
まぁ自分でも何言ってるか分かってないからその対応でいいや。飛行機とバスで疲れたし。鳴海の後に続いて階段を降りて食堂に向かうと既に馴染みの面々は席についており、食事を始めていた。俺は空いてる席、ここから1番遠く恐らく下っ端向けに用意されてたであろう位置の席につく。すると、隣に座っている涼風が喋りかけてきた。
「遅かったね八幡」
「そりゃお前と部屋も階も違うからな」
「一緒がよかったの?」
「そうは言ってねぇよ」
それはそれでいいような気もするが俺の心と身が持たないし社外的にアウトだ。理性と自意識の化け物の俺がそんなところに放り込まれたら押し入れの中にずっと入り込んでる自信がある。
「でも、1人やと寂しいよな?別に遊びに来るくらいやったらええで?」
「そうそう。UNOしようよ。それかTRPG」
珍しく優しい言葉をかけてくれるゆん先輩にかなり魅力的な提案をしてくれるはじめさん。TRPGか、内容によるがやってみたいな。できればオークとか出ないヤツでお願いしたい。空気が変なことになっちゃうからね!
「寂しいって...ハッチーいつもぼっちだし寂しくないんじゃないの?」
ハッチーだけにボッチーってか。はいはいうまいうまい。桜の悪意のない鋭利な言葉が俺を傷つけたがもうそれくらい慣れたわとカニの殻を外しながら乾いた笑いを浮かべた。
「ね、ねねちゃん...は、八幡...だ、大丈夫...?」
「ははっ...大丈夫ですよ、ひふみ先輩」
「で、でも......」
目が笑ってないよと言いたそうな眼で狼狽えるひふみ先輩だったが、俺が遠い目をし始めるともう何も言うまいと黙々と箸を動かす。それでいいんですよ。こんなのに構ってたら美味しい飯も不味くなっちゃいますから。うわ、俺いない方がよかったんじゃねぇの?
「...美味い」
ズズと啜った味噌汁がこの疲れてきった心身に染み渡る。ほっこりと息を吐くと涼風に「じじくさ...」と小声で悪口を言われて気分が落ちたのはナイショだよ。まだ20歳だから。されどもう20歳。
「そうだ。ハッチーは明日どうするの?」
唐突に桜にそう問われて口をもぐもぐさせながら考える。特に決めてないけど、この流れだと何か誘われるパターンだな。多分、スキーか市場の方まで出て遊ぶとかだろ?お土産は最終日に買うだろうし。
「何も考えてないが、そういうお前は?」
「もっちーの牧場見に行こうかなって」
望月の牧場でなんだかちょっとアレなゲームなタイトルみたいですね。そんなことないか。でも、あってパッケージが良かったら手に取って戻して手に取ってを繰り返してしまいそうだ。
いかんいかんと後輩に対する煩悩を振り払ってゆん先輩たちはどうするのかと尋ねるとはじめさんと顔を見合わせた。
「うちらはスキーやな」
「うん。今年はいつもと違うし」
ほんと仲いいなあんたら。他はとうみこさんに目を向ける。
「私もスキーですね」
「私もだよ、うみこくん」
「...滑れるんですか?」
「失礼だな!ふっ、いいだろう見せてやろう私の華麗なハットトリックを!」
葉月さんそれスキーだと出来ないと思うんですが...いや、スキージャンプならあるいは?そう首を傾げていると正面のひふみ先輩が俺に尋ねてくる。
「八幡は......どうするの?」
どうしよう。どっちでもいい。
なんなら1人でぶらぶらしたい。でも、そしたらスキー場も牧場にも足が行き届いたら気まずいよな。気まずい空気チャラヘッチャラな俺だが、昨年のクリスマスの二の舞にはなりたくない。ここは無難に「明日になってから決めます」と返しておいた。
食事を終えて一旦部屋に戻り着替えを取ってから風呂場へと足を進める。ここの温泉の効能は何かなーと鼻息を混じりに歩いて青の暖簾を潜る。見渡す限りこの時間帯は俺しかおらず、なんならこの旅館には鳴海の父親を除けば男は俺しかいない説がある。もうこれで確証に至った気もするが気にしないでおこう。
「ふぃ〜〜」
あ〜生き返るわ〜とだらりと湯の中に身体を沈める。これこそ温泉だよな。周りの目を気にせずにゆったりと出来るというところを考えると男一人でよかった気もする。昨年は誰かいたような気がするがそれは夢のまた夢だったのだろう。
それに涼風たちの入浴時間とズレた時間に入ることであちらの会話を聞かずに済むしな。もし、女の子的なキャッキャウフフな話をされたら落ち着かずにいそいそと出ていく自信が俺にはある。
とりあえずこの至福の時をテンションアゲアゲで過ごすとしよう。思い返せば風呂というものにはあまりいい思い出がない気がする。中学の修学旅行では1人だけソッコーで出たし、高校では戸塚との入浴を楽しめなかったし。でも、今年は!今年こそは!
俺のこの身が真っ赤に火照る!入浴しろと轟叫ぶ!ばぁぁぁくねつつつ!!
と、その時、ひゅーと凍てつくというよりは涼しげな優しい風が吹いた。
「はぁ...涼風が...気持ちい...」
あ?
「そしてあったかい〜〜〜」
まさか
「北海道さいこ〜〜〜」
...わざわざ女子と入る時間を大幅にずらしたのに涼風はまた入ってるらしい。しかも、かなり調子に乗ってる。酒でも飲んだのか?
でもあやふやだが1月生まれなはずだ。つまりお酒はまだだよな?食事中に飲んでる様子もなかったし、それにあいつが一口でも飲めばどったんばったん大騒ぎだ。
お酒の力は怖いからな。人気アイドルが女子高生に手を出してしまうほどの代物だ。親父も言っていた。酒は飲んでも飲まれるなと。
俺は気をつけようといそいそと身を清めて風呂場をあとにした。
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「来てしまった...紅葉ちゃんの牧場」
「ヤッホーーーひろーい!」
「......」
翌日。結局、生の牛が見たいという欲が勝った俺は涼風、桜、ひふみ先輩と共に望月の親の経営する牧場へとやってきた。若干緊張気味の涼風にハイテンションな桜、おどおどとその2人を見守るひふみ先輩。方や俺は。
「思ってたのなんか違う」
あれじゃねぇの?ロータリーパーラー?とかいうのがあるんじゃねぇの?それか馬。あと、牛の出産とか見れると思ってたんだけど。やっぱりフィクションとリアルは違うということだろうか。少し残念である。これに関しては期待した俺が悪いな。
「はじめさんもゆんさんも来ればよかったのに...」
「まぁ...しかたないよ...」
昨日の会話通り、はじめさんとゆん先輩はスキー場に行った。その他もおそらくそちらだろう。鳴海は旅館の手伝いがあるのでどちらにも来てないが。あと、遠山さんは何も聞いてないな。何してんだろと考えてると雪をギュッギュッと踏む音が聞こえてそちらを振り向くと。
「お待たせしました」
「お、おう」
4人が見た先にいたのは望月と轡で口を縛られた牛(大)、牛(小)、そして子犬。なんだそのメンツと困惑してると望月はえへんと胸を張る。
「絞る用と触る用とおまけです」
「動物園だね...」
「いや、違うだろ」
妙なリアクションを取る涼風に思わずツッコミを入れる。
動物園に牛と犬はいない。はずだ。
おそらく。
「あの、さっきはすみませんでした。母が」
「あぁ...」
ぺこりと申し訳なさそうに頭を下げる望月に俺は顔をひきつりつつも気にするなと手を振る。何があったかというと、望月の母親に旅館まで車で迎えに来てもらい乗せてもらってここに来たのだ。その際に望月の母親の隣に座った俺はとても話しかけられた。
連れてきてもらってることもあって無愛想にできず、無理に愛想笑いを浮かべていたことが望月にはわかっていたのだろう。
「まぁあれくらい生きてりゃ何度かあるだろうし、気にしなくていいぞ」
「で、でも、あんなこと言われて...」
望月のあんなことというのは『君みたいないい子がうちの娘の先輩でよかったわ!もう婿に欲しいくらいよ!』のことだろうか。社交辞令というか北海道ジョークだと思ってそこまで気に留めてないのだが。
「俺は構わねぇよ。それよりその牛、乳出るのか?」
「え、あ、はい...」
「あ!私先にやりたい!」
話を変えて本来の目的の牛に目を向けさせる。俺もこの話が続くとメンタルヘルスケアが必要になるので早めに逸らした。望月が雌牛の轡を持ち、涼風はしゃがみこんで牛の乳を握る。
「びゅー!びゅー!」
搾られて白い液体がバケツの中へとこぼれ落ちその度に牛が「も〜」と甲高い声を上げる。その周りを子犬がワンワン!と元気そうに駆け回っていた。
「えい!えい!どうだ!この!」
「上手いですね」
やってる涼風は楽しそうに牛の乳をえいやえいやと強く絞る。その顔は巨乳に何か恨みでもあるのかという感じで怖かったが、本人にその気があるのかわからないので何も言うまい。一段落したのか涼風は汗を拭いこちらを振り向く。
「ひふみ先輩もどうですか?」
「えぇ!?」
聞かれて驚愕の声をだしたひふみ先輩はあたふたと嫌そうに目をそらす。
「さ、先にねねちゃんから......」
「こ、こらー!やめろー!」
助け舟を求めて桜を見たが子牛と子犬に遊ばれててダメそうだった。となると、次は俺なわけだが。
「は、八幡...」
「......」
なんか女子たちの前で乳を搾るのは俺にはハードルが高いので遠慮しておいた。ほら、なんか恥ずかしいじゃない?分かってくれると嬉しいがこの場には男は俺しかいないので悲しいものである。
うるうるとした目に耐えながら目を合わせないようにしてると、望月と涼風に促されてやむなしにひふみ先輩はしゃがみこんで恐る恐る手を伸ばす。
「ほ...本当に大丈夫...?」
「はい、そのまま握ってください」
目を閉じてえいっ!と軽く力を入れるとぴゅと僅かにだがミルクが零れる。
「もっと思いっきり!」
「がんばです。ひふみ先輩!」
喝を入れる望月にエールを送る涼風。それを受けてぴゅぴゅと目を閉じて優しく乳を搾るひふみ先輩。後ろを見れば桜が子牛に跨っていた。なんだかカオスだなと思いながら、俺は柵の向こうにある牛舎をじっと眺めていた。
「これさっき搾ったののホットミルクです」
「わぁー」
しばらくして、一旦牛舎に戻った望月はお盆に5つのマグカップを乗せてまたこちらにやって来た。ほくほくと上がる湯気、可愛らしいマグカップを受け取るとゆっくりと口をつける。
「あったかい〜〜」
「あぁ、美味いし温かい」
牛乳は搾りたてが美味いというが本当に美味しい。何もしないで飲む牛乳最高。顔を上げると空は茜色に染まっており、真正面の水平線の先には夕日が猛々しく燃えるようにそこにいた。
「紅葉ちゃんはこの景色を見ながら育ったんだねぇ...」
「なるともよくここに座って景色を眺めてました」
しみじみという涼風に望月は首肯した。5人で同じ風景を見つめながらボーッと佇む。たまに吹く木枯らしが温かいミルクの味を高めてくれてる気がした。ミルクを啜る音が聞こえる中、静寂を破るかのように俺は口を開いた。
「望月は牧場継がなくていいのか?」
「はい。兄が継いでくれます。だから自由に育てられて...それでなるが心配で」
「紅葉ちゃんからはなんて言ってるの?」
「私は...内心は一緒に就職したいです。だけどなるのお母さんがなるを凄く大事にしているのも知っているので...ケンカもして欲しくないです。でも素直に...私の気持ちをいったほうがいいんでしょうか?」
問われて少し答えに戸惑った。素直に言っていいこともあれば、悪いこともある。口は災いの元。本心を伝えても相手の受け取り方次第ではその言葉の意味は大きくネジ曲がる。それならば伝えない方がいいのではないか。だが、それはもっと愚かで何の解決も生まない行為だ。
「言ってもいいんじゃねぇの?それで鳴海も答えが見つかるかもしれねぇし」
原点は望月と同じ夢を追いかけたい。だったら、望月が鳴海と同じ夢を見たいと望んだなら鳴海も決心が固まるかもしれない。
「うん。言いたいことがあるなら言うべきだって背中を押してくれたのは紅葉ちゃんだし。私、あの言葉で凄く勇気づけられたし言った方がいいんじゃないかな?」
かつてそう発破をかけられた涼風は優しく微笑みながらそう言った。あの日、あの人にどのように気持ちを伝えたのかはさておき、あの時の晴れ晴れとした顔を見るに何か自分で納得出来るものを伝えられたのだろう。
「そうだよ!私もあおっちと進路が分かれる時に言いたいこと言ったし、言っておかないと後悔するよ!」
後悔する...か。それはよくわかる。
あの時、俺が素直に気持ちを言葉に出来ていたのなら。時々、そう考える時がある。だが、思い返しても償いたいと思っても時は巻き戻らない。人生はビデオテープやディスクのように早送りも巻き戻しもできない。なら、せいぜいそうしなくていいように足掻くのが1番ではないだろうか。
「まぁ、そのセリフ。口拭いてから言って欲しかったな」
「ほんとだよ!口のまわりに牛乳つけながら真面目なこと言わないでよ」
言われて気づいたのか「え!?うそ!!」
と腰掛けていた柵から飛び降りると口元を拭う。
「今のやり直しー!」
「ふふふ」
「むりだってー」
駄々をこねる桜を見て笑うひふみ先輩と涼風の横で既に牛乳の入っていないコップを見つめながら望月は顔を顰める。それに俺は独り言のような声で呟いた。
「言うも言わないも自分次第。言わなくて後悔するよりは言ってから後悔した方がいい。言ったらわかるなんて言うのは傲慢なんだ。言った本人の自己満足。話せば必ず理解し合えるわけじゃない」
言いながら全員の視線がこちらに向けられていることに気づく。だんだんと夕日が水平線の向こう側へと沈んでいく。何を言うべきか。過去に語った淡い俺の欲しかったものを告げるべきでないのは分かっている。でも、確かに望月と鳴海が欲しがっているものは過去の俺と一致している気がした。無言で言葉の続きを促されて俺は言葉を放った。
「言うだけ無駄なのに。分かったりしないのに。
そんなことない、きっと分かり合える。それが遠い未来の話でも。口に出さなくてもいい。言葉じゃなくてもいい。
ただ、誰かが自分を知っていてほしい。知って安心してほしい。もしそれをお前らが互いに思えているのなら...どんな想いも懸命に伝えようと思えば伝わるもんさ…」
多分な、と最後に付け加えて残りのミルクを飲み干したタイミングで望月ママがクラクションを鳴らしながら車でやって来た。柵から立ち上がり白い息を吐いて、4人を見ると各々同じような顔をしながら俺を見ていた。それにむず痒くなり足早に助手席に扉を開いて席についた。その時、望月ママに「何かあったの?」とニヤニヤしながら聞かれたが特に取り留めることもなく「牛乳が美味しかったって話ですよ」と軽く笑って答えた。
時事ネタ1個ぶっ込んでみた。
モーさんのモーション変更来たけど今(前)のままでも好きなんですけど...
まぁええわ。
来週も見てくれよな!