女の子だらけの職場で俺が働くのはまちがっている   作:通りすがりの魔術師

90 / 111
いつも前書きと後書きくだらないと言われるので書きません。


新企画とは当たって砕けることである。

独り言が止まらないからよ、誰か話そうぜ。

そう思ったのが1分前で、あー地球が亡くならねぇかなと思っているのが今である。そう現在進行形。ing系というやつだ。

大体のリア充は「〜なーう!」とか言ってるからingを使う奴はリア充。とか思っていたが、最近のリア充は「〜わーず!」と過去形も使い出したのでもうわけがわからないよ。

俺の予測ではこれからは完了形が流行る。でも「〜はーぶ!」って意味わかんねぇな。hadならまだわかりやすいけど結局過去完了で過去になっちまうしな。

 

 

あと未来形も流行るだろう。「〜うぃる〜」みたいな。ライブうぃるとか使えそうなんじゃね?俺ライブ行かないから使わないけど。

ちなみにWillは助動詞だからこの後に来るのは原形だ。一般常識だから覚えておいた方がいい。覚えてなかったらバカにされるから気をつけろ。

 

 

 

とまぁ、数年前まで習っていた英語をリア充と絡めて考えたところで本題に入ろう。涼風が風邪から立ち直り普段の雰囲気が戻ってきたキャラクター班のブースでは、涼風のお見舞いの品として持ってきた果物の消費作業中である。

りんご、みかん、メロン、バナナ、パイナップル...季節感ゼロの果物がある気がするがそこは気にしてはいけない。めったに休まない涼風が休んだことで皆が心配して果物を持ち寄った結果、涼風の机の上がフルーツ一色に染めあがっていた。

大体はひふみ先輩が持ってきたのだが、メロンはどこから出てきたのだろうか。北海道かな?それとも...コホン。

 

 

望月からは牛乳、俺からはマッ缶を進呈しておいた。誰とも被らなくて何よりである。

 

 

 

さてさて、涼風が戻ってきたキャラクター班は今日も今日とてヘルプ作業。あそこをこーしてあーしてdoして?みたいな作業だ。葉月さんが次の企画を決めない限り俺たちメインの仕事がやってくることは無い。つまり、葉月さん次第では今すぐにでも俺たちは地獄へと踏み込むことになる。だから、俺としてはこのまま仕事なんてしたくないのだが…。

 

 

 

「もはや新企画なんて通す気がないのでは。と思われます」

 

 

指を立て深刻そうな顔で口を開いたはじめさんに俺は「はぁ」と素っ気ない返事を返す。

PECOが出来てから新企画を作っては書類にまとめて持って行っているはじめさんだが未だにOKは貰えず頭を抱える毎日のようだ。

ひとまず突き返された企画書を見ると両腕がコントローラーの両スティックに対応しててロボットを操縦できる楽しさを追求したゲームらしいのだが、イーグルジャンプにはロボットもののノウハウがないらしくかなり難しいということでバツだったらしい。

それを聞いたゆんさんは頷いてすっぱりと切り出す。

 

 

「ロボットは確かに、無理やろ。無理やわ。無理ですわ」

 

 

 

「3回も無理無理言うな!!」

 

 

 

無駄無駄!オラオラ!ドラララ!とかよりはマシだと思う。言葉と一緒に拳が飛んでくるからな。何なら前者は2人は時が止まってるかのような速度で拳うってくるし止めてくる。

ここは格ゲーがいいんじゃないかと思ったが、ゲーセンでいくらでも出来るしなぁと考えると自分で即却下した。何か目新しいものがないと採用はされないだろう。

 

 

 

「他にはどんな企画書を出したんですか?」

 

 

 

「あ、見る?たくさんあるよ!」

 

 

 

涼風がそう問うとはじめさんは嬉嬉としてどっさりと今まで葉月さんに却下されてきた企画書の束を取り出す。

 

 

 

「巨人になって怪獣を倒せ。

防衛軍になって怪獣を倒せ。

ダンスダンス応援団!

5人協力バトルアクション。

超サッカー。

ハードボイルドシューティング...」

 

 

 

「どれもはじめらしい企画やな」

 

 

 

確かにはじめさんらしい企画だが、どれもこれも似たようなのでヒット作というのが存在するものばかりだ。ハードボイルドシューティングに関してはよく分からないのだが、巨人になって怪獣を倒すというのはウルトラマンだし、防衛軍になるのはEDFというのがある。

ダンスダンス応援団!はオリジナリティがあるが渋すぎるな。なんで全員学ランで男しかいねぇんだよ。誰が買うんだよこのゲーム。どこ狙い?音ゲーマーでも手を出すの躊躇うぞこれ。

5人協力バトルアクションはありきたりだ。大体のアクションゲームのミニゲームとかにあったりするし、友達がいないと楽しくなそうだから却下。

超サッカーは...うん、バーニングキャッチかな。

 

 

俺がペラペラ捲りながらダメ出ししてクソ雑魚ブロッコリー先輩がフェンスオブガイアしたり頼り無い手を使ってるのを想像してたら涼風は気に入ったものがあったのか笑顔ではじめさんに話しかける。

 

 

 

「この応援団ってダンスゲームですよね。楽しそう」

 

 

 

「ほんとに?ありがとう!」

 

 

 

涼風の言葉に喜びを浮かべるはじめさんだがすぐに落胆したような表情へと変わった。

 

 

 

「でも...渋すぎるって...渋くないのだと既にあるし...それと比べて新しい要素もないし...」

 

 

「難しいですね...」

 

 

どうして渋い以外の要素が浮かばないのだろうか。サンバとかよさこいとか世界のダンスができるゲームみたいなコンセプトのは無いはずだからやってみりゃいいのに。無理って言われても作ってみてゴリ押しすればいけ...いや、ダメだな。ゴリ押しして企画が通るならはじめさんのこれらが全部ゲーム化してお休みがお仕事になるくらい多忙になってしまう。

 

 

「でも...案外どれもやってみれば面白い...かも」

 

 

 

「そう言ってもらえるだけで私は嬉しいです...」

 

 

ひふみ先輩の励ましに心の底から頑張って出したような声を出すはじめさん。

まぁ一生懸命やってるのに自分の企画が通らないなんてよくある話だろう。

聞いた話では、プロのデザイナーは108個の企画を考えて実際に形にしてプレゼンして通ったのが2個だけとか、そういう話を聞いたのでまだ2桁ほどしか作ってないはじめさんのものはまだまだということなのだろうか。

 

 

 

ふーむ、と唸っていると隣でもっもっと俺が白い部分を取ったみかんを咀嚼している望月と目が合った。

いらなかったから気にしてなかったけど許可なく食べるのやめようね。いや、涼風のだから涼風に確認とってたしいいんだけど。

 

 

「なら、しっさいにくくってみへれば いいんしゃ らいれふか?」

 

 

 

『え?』

 

 

 

望月の不可解な日本語に全員が疑問符を上げる中で俺は望月に「口の中のものを全部食べてから言いなさい」と言うと、望月はゴクリとみかんを飲み込む。

 

 

「ちゃんと噛めよ...」

 

 

俺のそんな呟きはこのあと、望月の発言を理解したはじめさんによってかき消されるのであった。

 

 

 

###

 

 

 

「てことで、はじめさんの企画を形にできないかと思ってな」

 

 

「なるほど」

 

 

望月の「実際に作ってみたらいいんじゃないですか?」発言により、早速はじめさんはプログラムに長ける鳴海のところを訪れた。何故か俺はゆんさんの命令で同伴させられた。はじめさんのブレーキ役になって欲しいとの事だ。

 

 

「さっき皆の意見も取り入れて練り直したばかりなんだけど良くなると思うんだ!」

 

 

興奮気味に力説するはじめさんは若干引き気味の鳴海に気付かず話を続ける。

 

 

「5VS5のドッヂボールでスポーツというより、とにかくバトルっぽく仕上げて格闘ゲームの爽快感を出してさ、それに...」

 

 

「いや、これ」

 

 

 

「ん?」

 

 

説明してヒートアップして資料を放り出してジェスチャーで表した始めたはじめさんに鳴海が企画書を拾い上げて呟くとはじめさんは挙動を止めて首を曲げる。そして、鳴海はペラペラとめくってからはじめさんを見つめる。

 

 

「結構面白いんじゃないですか?」

 

 

 

「でしょーーーー!!」

 

 

「はじめさん、声」

 

 

褒められてテンションアゲアゲなはじめさんに静かにするようにと制するとごめんごめんと手を合わせる。

 

 

「...まぁこういうゲームなんだが、鳴海の言う通りそこそこ面白いと思う。だけど、この企画書だけじゃ葉月さんが首を縦に振るとは思えない。だから実際に作ってみてほしいんだ」

 

 

黙って聞く鳴海は「なるほど」と頷く。

一応、こいつもはじめさんが今まで企画が突き返されているのは望月経由で聞いてるかその目で目の当たりしたことがあるだろうから状況の飲み込みは早いだろう。

 

 

 

「だけど、これは仕事じゃない。給料の発生しないノーリターンのはじめさんの自己満足だ」

 

 

言ってはじめさんの方をチラリと見る。少しキツい言い方になってしまったがその事は自覚してるのかはじめさんは何も口を挟まない。

 

 

「それでこんなこと勝手にしたら会社から何か言われるかもしれん。入社前の鳴海には危ないことだ。だから、もし良ければ…ってことで」

 

 

 

「か、考えてみてくれないかな!」

 

 

 

頭を下げるはじめさんに鳴海はしばしの沈黙を経て口を開いた。

 

 

 

「いいっすよ」

 

 

あっさりと了承してくれた鳴海に呆気に取られて声が出ない鳴海は笑いかける。

 

 

「むしろPECOの時にいろいろあったのにそれでも頼ってくれて嬉しいです。作りましょう。面白いゲームを!」

 

 

「うん!」

 

 

では、早速と鳴海はプログラミングの作業に入る。仕事大丈夫?またバグ出ない?と心配してたら「そうだ」と鳴海が振り返る。

 

 

「やりますけど報酬はいただきますね」

 

 

「う、うん!わ、私に払える範囲なら!」

 

 

冷や汗を流すはじめさんに鳴海は「違いますよー」と笑顔を浮かべると俺にいたずらめいたスマイルを向けてきた。

 

 

「比企谷先輩に、ですよ」

 

 

「えぇ...なんで俺」

 

 

同伴しただけで企画には全く携わってないんですけど…いや、必殺技の考案とかはしたけどさ。男の子的視点を加えたけど、体は女なのに思考回路が男の子のはじめさんならいずれ辿り着いたと思うんだよね。

 

 

「それで何がお望みだ?あ、痛いのと金銭類はなしな。今月はちょっとな」

 

 

「...給料からまだ1週間しか経ってないんですけど」

 

 

ジト目を向けられて顔を逸らす。いや、マッ缶がいつもより安くて会社用と家用に買ったりとかパソコン新調したら生活がね...。普通にしてたら大丈夫だけど予定外の出費には対応出来ん。

 

 

「大丈夫ですよ、大したことじゃないので」

 

 

あぁ、そう?なら、いいかな?と俺は軽く適当に返事を返してはじめさんと共にブースへと戻る。

 

 

「なるちゃん受けてくれた!自主勉ってことにするって!」

 

 

「おぉ!」

 

 

はじめさんの吉報にゆんさんが感嘆の声を上げる。が、すぐに首を傾げた。

 

 

「...で、私らは何をすればええの?」

 

 

「手伝ってくれるの!?」

 

 

ゆんさんの申し出にマジですか!?と驚いたはじめさんは頬をかきながら口を開く。

 

 

「じゃあまずは簡単なキャラと背景の仮モデルを...でも一番必要なのは面白くなるまでひたすらテストプレイしてほしくて...いいでしょうか?」

 

 

「なにかしこまってんねん。まかしとき!」

 

 

「がんばります!」

 

 

「みんな...!」

 

 

とんと胸に拳を当てるゆん姐さんとぞい!と拳を握る涼風の頼もしさに嬉しみが深そうな声で喜ぶはじめさん。

 

 

「でもなんだか悪いことしてるみたいでちょっとドキドキしますね」

 

 

「まぁ下っ端のお遊びや」

 

 

涼風が気まずそうに遠山のデスクを見やる。そこには誰もおらず、今日も今日とて売り込みや会議に出ているのだろう。それにゆんさんは涼風の方を見て苦笑いを浮かべた。

しかし、ゆんさんの発言で涼風は「あ」と漏らす。

 

 

「ということはひふみ先輩まで関わるとまずいのでは...」

 

 

 

「!?」

 

 

「まぁ責任者だしこういうのは止める側だからな」

 

 

「!!??」

 

 

「た、確かになんで止めんかったんやって責任取らされんのは...」

 

 

 

「う...うぅぅ〜〜〜〜〜...」

 

 

 

下っ端3人の責任者への視線が刺さり、それにひふみ先輩は耐え切れず本人からすれば唸り声のようなものだろうがただ可愛いだけです。さて、我らが責任者の滝本ひふみの出した答えは…

 

 

「だ、大丈夫!今のヘルプの仕事を...おくれないようにしてくれれば、そ、それで...!」

 

 

 

「む、無理しないでくださいね!」

 

 

最低限のことさえしてれば文句は言われないってことですね!さすがひふみ先輩!分かってる!

けど、既にこの企画練ってる間に俺の仕事が遅れ始めてるんですが。と早めに仕事に戻ろうとしたらはじめさんが拳を突き上げた。

 

 

「よし!円陣組もう!」

 

 

「そうですね!」

 

 

「う、うん...!」

 

 

「でも、ここじゃ狭ない?」

 

 

意外にノリ気な皆様は体育会系か何かかな?

と首をかしげたくなるなこの状況は。まぁ確かにここじゃ狭いな。この人数が円陣を組めるくらいの広さとなると。

 

 

「屋上か」

 

 

「それだ!」

 

 

思わず呟いた一言にはじめさんは指を鳴らして賛成すると屋上への階段へと走っていく。

その姿を見送りながら望月に鳴海も呼んでくるように指示すると俺は席につく。俺は今回は傍観者でいよう…と思ってたら横で胸の前に手を重ねたひふみ先輩がいた。

 

 

「は、八幡......い、いかないの?」

 

 

「いきます」

 

 

さぁ、早く行こう。時間は有限。細工は流々仕上げを御覧じろ。このくらいの遅れどうにかなるさと勇猛に階段を上がる。

扉を開くと俺とひふみ先輩以外は揃っており、円陣を組もうとしていた。

俺とひふみ先輩はそれぞれ間に入るとはじめさんが息を吸って吐いて声を出す。

 

 

「それじゃあ残業もさせちゃうと思うけど...よろしくお願いします!後で好きなおもちゃあげるから!」

 

 

「いらんわ!ただし出世払い」

 

 

「ははは」

 

 

俺は興味あったがゆんさんがあっさり切り捨てるとはじめさんは乾いた笑いを浮かべた。

 

 

「見せてやりましょう私達の実力を!」

 

 

「うん」

 

 

「ほどほどにね...」

 

 

 

鳴海が意気揚々と口を開くと望月が首肯し、ひふみ先輩がリーダーとしてやんわりと忠告する。

そして、各々の顔を見合わせ全員が手を重ねる。あんまりこういうのが得意じゃない俺は渋っていたが涼風に手を取られ無理矢理重ねさせられる。

 

 

「せーの!」

 

 

 

『おー!』

 

 

 

はじめさんの掛け声で全員が手を挙げて気合いを入れる。目指せ打倒葉月さん!羽ばたけチームはじめ!ということで、俺たちのオリジナルゲーム制作が始まった。




いかがでしたか?
日が空いてすみません!許してください!
でも書くとお気に入り減るし、書いてない間の方がお気に入り伸びてるから書かない方がいい説が微レ存...?
まぁ!他人の評価なんて気にしちゃダメですよね。最近『原点回帰』という目標を掲げて自分の原点に戻ってるところです
ムシキング、ドラゴンボールZ、ダンボール戦機、イナズマイレブン(円堂守編)、ジョジョの奇妙な冒険など...自分が憧れたり夢中になったものに改めて触れてみると感慨深かったり、面白かったりしますよ。
それで小説を書き始めたきっかけは『書きたいから書く』だったので原点に戻って評価は『なるべく』気にしないようにします。
流石に真っ青とか-100とかされたら心折れますけど。
そうならないようにがんばります!


あ!後書き書かないって言ったのにめちゃくちゃ書いてるナリ!そうだ!大声で文字をかき消すナリ!(略)汚い。


ではでは

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。