半分嘘です
寝ながら考えました
吸血鬼、レミリア・スカーレットは目の前の男を観察する。
(顔はそこそこ、年は咲夜よりかは上か。男にしては長い髪がうっとおしく見えるがそれより気になるのはその体つきね。)
男はただの村人と断ずるにはその体には筋肉が多く、かといって戦士と断ずるには細身に見えた。
そんな男がなぜ自分の目の前にいるのか。
自分を殺しに来た?否、その割には男の眼に敵意や殺意の類は見えない。
血液を提供に来た?否、その割には男の眼に自棄な人間特有の色は見えない。
しかし男の眼には短命な者だけが持てる狂気の色があった。
ではこの男は何をしに紅魔館の主人たる私の部屋に来たのか。
それは…
「うちで働きたいと言ったわね」
押し掛けだった。
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レミリア・スカーレットは、男に紅魔館で働くことをあっさりと許可した。
というのも男日照りが続いて最近(百年単位)出会う男は食料か単に好みではないかのどちらかであり、この男は中々良さそうだと思ったからに他ならない。
別に自分の親友より長い付き合いの門番が珍しく具申してきた、と思ったら男を連れてきたのでムカついてちょっと悪戯してやろうかと思ったことは関係ない。
無いったらない。
男が、三食寝床付き
無いったらないってば。
最近咲夜に働かせすぎかなぁだとか咲夜の仕事量が減るかなぁだとかの打算があった訳ではない。
無いって言ってんだろいい加減にしとけよ。
「仕事内容とこれから住む部屋は咲夜に聞きなさい。組手は仕事を一通り覚えてから、空いた時間があったら好きなだけ門番とすればいいわ。でも役立たずはおゆはんにして食べちゃうからそのつもりでね」
そう言って咲夜を呼び、案内させる。
自室に一人。まだ温かい紅茶を口に運びながら思考を巡らす。
(さて、どうやってあの男を
館は赤いくせに脳内はピンク色である。
(寝ている時に襲う……趣味じゃないわね)
(お風呂に入ってる時に襲う……イマイチね)
(吸血して快楽に溺れさせて……ふむ、保留)
この吸血鬼、仮にも従者に対してだいぶフリーダムである。
そしてこの時レミリアに名案が浮かぶ。
(あえてアイツに襲われるというのもいいわね!)
ちょっと自由すぎやしませんかね。
紅魔館で働く男、早くも貞操の危機か。
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男が紅魔館で働きだして、早くも二年が過ぎた。
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紅魔館の中のある一部屋。そこにある意味珍しい組み合わせの二人がいた。
門番の紅 美鈴と主のレミリア・スカーレットである。
紅魔館に人間のメイドや魔法使いが来る前ならばほぼ毎日のように顔を突き合わせお茶をしていた二人だが最近は二人きりになることはすっかりなくなっていた。
「こうして貴女の紅茶を飲むのも本当に久しぶりね」
パーフェクトメイドは今は紅魔館で働く男と一緒に人里へ買い物に
「ええ、そうですねえ」
動かない大図書館は百合頭と白黒と色ボケ小悪魔を連れて異世界へと旅立っていき暫くは帰ってこないだろう。
「ところで」
前置き一つ。
「あの男はどうかしら」
紅魔館で男といえば一人しか指さない。
「…彼は素晴らしい逸材です」
「ふぅん」
「才能だけでいえば白黒以上、博麗の巫女以下です」
「しかしあと五年もすればお嬢様の首にその爪を突き立てることが出来るでしょう」
「……」
レミリアは声に出さないがとても驚いた。まさか霊夢以外に自身を害し得る人間がいるとは思わなかったからだ。
「そして十年もしないうちに幻想郷において最強になることは間違いないかと」
「…ッ!へぇ、大きく出たじゃない」
当然だ、人の身でありながら最強になるなどまず不可能だ。才能の塊である霊夢でさえ最強にはまだ遠い。
「彼の才能と努力をもってすれば不可能ではありません」
しかし、と続ける。
「その時まで彼が生きていれば。の話です」
「……」
無言で続きを促す。
美鈴は語る。自分の命を惜しまない求道者の鍛錬を。
レミリアは聞く。永き命を持つ者には真似できない命の輝きを。
紅茶が無くなった。
おかわりを淹れますね。お願いするわ。
「弾幕ごっこはどうかしら」
「…勝負にならないと思いますよ」
彼は近づいて殴ることしか出来ませんから。
「…?」
それで何故先ほど最強になれると言えたのか。
「…彼は霊力があっても弾幕が一切撃てません」
だから"近づいて"殴る事を極めた。
相手が空を飛んでたならば空気を踏んで空を跳び
弾幕の雨を張ったなら躱しながら高速で近寄り
弾幕の壁を張ったなら城壁のように堅牢な体でぶち破り
ただただ殴る事だけに特化した腕をぶち当てる
「ですから弾幕"ごっこ"では彼は落とせません」
完全に規格外ね。
「…なるほど」
確かにこれでは勝負にならない。本気で全力の霊夢とはまた違う理不尽さがある。
しかもこれからさらに強くなっていくのだ。
人間だからとか、余命が短くなっていくだとか関係なく妖怪の賢者が出張ってきそうだ。
だがもうアレは自分の物だ。誰にも手は出させない。
……しかし、
「彼とはどうなのかしら?」
「?どう、とは?」
決まっている
「もうシたの?」
「……は?」
美鈴、停止。しかしすぐに再起動。
「は?え?あ?えっと、その、ええ!?えっとですね、あの、それは、いや、違くてですね!」
面白いくらいに混乱している。ここまで混乱した所を見たのは妹が急に同性愛に目覚めて服を脱ぎながら美鈴を押し倒している所を目撃した時以来だろうか。あれは爆笑した。
「それで、シたの?シてないの?」
「そ、それはそのー、えーっとですね、あの」
「はっきりといいなさい」
「そのー、したといえばしたようなしてないといえばしてないようなー。あ、あはは」
まるではっきりとしない。
「詳しく話しなさい。命令よ」
顔を引きつらせる美鈴。いいぞもっとやれ。
「シたのは何時かしら?」
「その、あのー、こ、今年の春です」今にも消え入りそうな声だ。
「それで?状況は?」
「えぅーっと、ゆ、雪がとけきったので、久々に全力で組手をして、そのーぅぅ」
「……」
無言の圧力
「えぅ、えっと、その日はいいお天気でもあって、その、ぅぅ……」
「それで?」
ちょっとレミリアさん怖いっすよ。
「疲れもあってか彼がそのまますやすや眠ってしまったんですよ」
「それで闘争後の昂りもあって寝込みを襲った。と」
「ち、違いま!せん。け、ど」もはや顔が紅魔館の壁より紅い。
「ふーん、そうなの。まさか彼も寝てる間に襲われるとは思ってなかったでしょうね」
なんか何度も寝込みを襲おうと考えてた吸血鬼がほざいてますね。
「いや!ほっぺにしただけですから!ノーカンですから!」
「……は?」
ほっぺにした。とは?
「えっ」
「えっ」
えっ
「キスしたら妊娠するんじゃないんですか?」
「えっ」
えっ
「えっ」
「なにそれこわい」
レミリアは、自分より年上の従者に性教育するか考え、妹が同性愛に走ったのも性教育が失敗したからかと思い悩み、実質美鈴に育てられた可愛いメイドの性知識を思い頭を抱え、まさか彼も性知識ゼロじゃなかろうなと本気で心配するのであった。
なお親友はどうせエロ悪魔の犠牲になってただろうからとくに気にも留めなかった。
くぅ疲
つんつん掻きながら考えました
色々な小説読みながらかいてましたから多分ここコレっぽいんですけどおおん?ってのあるかもしれません
ゆるして