問題児たちと血を受け継ぐ者が異世界に来るそうですよ?   作:ほにゃー

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第2話 出会うは未来の友だそうですよ?

一応この世界、というか未来で俺は死んでいるらしいから、俺は“ノーネーム”の敷地内を離れ、“箱庭”を歩く。

 

歩いてみて驚いたのは、かなり荒れていた。

 

店は壊れ、壊れた店の軒下や、道の脇で浮浪者が寝転んでたり座り込んでいたりする。

 

一体、“箱庭”で何があったんだ?

 

それより死んだ俺がここで出歩いているのを俺を知ってるやつが見たらパニックになりかねない。

 

変装しないとな。

 

「なぁ、アンタ」

 

「……あん?」

 

軒下で比較的服装が綺麗な男性に話しかける。

 

「物は相談なんだが、アンタのその服くれないか?もちろんタダでとは言わない。そっちの言い値で買う」

 

「はん!このご時世じゃ、金に意味なんかねぇよ」

 

「なら、何となら交換してくれる?」

 

「そうさな………食い物だ」

 

「食料ねぇ…………」

 

俺はギフトカードを取り出し、中から水と干し肉、パンを取り出す。

 

「これでどうだ?」

 

「…………まぁ、いいだろ」

 

そう言って男もギフトカードを取り出し、中から新品の服を出した。

 

「見ず知らずの俺に食い物を恵んてくれた礼だ。やる」

 

「サンキューな」

 

来ていたコートを脱ぎ、貰った服を着る。

 

服は黒い袴で、羽織も貰った。

 

そして、俺は羽織に着いてる旗印を見て驚いた。

 

それは双女神の紋章だった。

 

「これって“サウザンドアイズ”の!?あんた“サウザンドアイズ”の人間か?」

 

「ん?ああ、“サウザンドアイズ”ね…………随分とまぁ、懐かしいコミュニティだな」

 

「懐かしい?」

 

男は俺から貰った干し肉をパンと齧り、水を飲むと再び口を開いた。

 

「あのゲームが始まって、“サウザンドアイズ”は即座にゲームクリアへと乗り出した。だが、負けちまった。白夜叉様もゲームへと参加したが、白夜叉さままでも敗北した」

 

白夜叉が…………負けた?

 

「あの事件ってなんだ?」

 

「あん?忘れたのか。終焉の魔王のゲームだよ」

 

「終焉の魔王?」

 

「終焉の魔王まで知らないとはな。終焉の魔王は、かつてこの“箱庭”を崩壊の危機まで追い込んだ災厄にして最悪の魔王だ。どんな手練れのプレイヤーも修羅神仏すらも凌駕する存在。それが蘇ったんだよ」

 

「…………ゲームの内容は?」

 

「これだ」

 

男が出した黒い“契約書類”を手に取り内容を読む。

 

 

 

 

 

 

 

ギフトゲーム名:終焉の訪れ

 

プレイヤー:“箱庭”に存在する全ての種族

 

ゲームマスター:シュウエン ノ マオウ

 

クリア条件:終焉を討伐する者が訪れる時

 

敗北条件:終焉が全てを飲み込むとき

 

ゲーム詳細

*ゲームは挑戦型

*参加人数・殺害方法は問わず

*ゲームに負けたコミュニティは名を失う

 

 

 

 

「終焉を討伐する者?」

 

「要するに、ゲームマスターを殺せってことさ。話を戻すぞ。それでゲームに負けた“サウザンドアイズ”は名前を奪われた。旗印は今だに残っているが名乗る名前がないんじゃ、“ノーネーム”と一緒だ。それで、自然と“サウザンドアイズ”は崩壊、そして、解散さ」

 

それっきり男は口を開かず、黙々と食料を食い始めた。

 

俺は再び“箱庭”を歩き、情報を集め始めた。

 

ネズさんに会おうにも、俺は死んでるし会うこともできない。

 

その前に、俺の姿だな。

 

服装は変えたが、顔は俺のまんまだ。

 

取り敢えず、顔の方はついでに貰った仮面で隠しておくか。

 

仮面を着け、再び歩き出そうとすると頭上から何かが飛んでくるのを感じた。

 

咄嗟に飛び退き、躱すと俺がいた場所に槍や矢、剣が突き刺さっていた。

 

「良い反応するじゃねぇか」

 

そう言って、荒れた店の中から獣人が現れた。

 

一人だけじゃない。

 

路地裏や俺の背後からも現れ、その数は50人ぐらいはいる。

 

「その羽織、あの“サウザンドアイズ”のものだろ。なら、食料や金目のものたっぷり持ってるはずだ。大人しく渡せば、命だけは助けてやるぞ」

 

テンプレなセリフだな。

 

「悪いが、お前たちにくれてやる食料も金目のものもない。他をあたれ」

 

「そんな嘘、引っ掛かるかよ。いや、この際それはどうでもいい。取りあえず、ストレスの捌け口にでもなってもらおうか」

 

獣人が指を鳴らすと、周りの獣人が次々と武器を構える。

 

仕方がない。

 

相手をするか。

 

ギフトカードから白牙槍を取り出そうとすると、背後から強烈な音と、悲鳴が聞こえた。

 

「な、なんだ!?どうしたんだ!」

 

「おいおい、このご時世にカツアゲかよ。くだらねぇな。やるなら、もうちょっと面白くしろよ。例えば、こんな風にな」

 

そう言って現れた男は、獣人の頭を鷲掴みし、手にはその獣人のものと思われる財布があった。

 

「き、貴様は!?」

 

「最近巷を騒がしているあの“ノーネーム”の!?」

 

「正解だぜ!こらぁ!」

 

男は頭を鷲掴みにした獣人を投げ飛ばし、獣人の群れにぶつける。

 

「間違いない!この馬鹿力、そして、このぶっ飛び加減…………逆廻十六夜だ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

え………えええええええええええええええええええええええええええええ!!?

 

あ、あれが十六夜!?

 

俺が知ってる十六夜は、学ランで金髪に悪者のような笑みを浮かべる奴だ。

 

だけど、この十六夜は黒髪で、学ランじゃなく俺が着てるような黒いコートを身に纏ってる。

 

どう見ても不良なんかじゃない。

 

どう見ても好青年にしか見えない。

 

言動は十六夜だけど。

 

十六夜は襲い掛かってくる獣人を蹴っては殴り、掴んでは叩き付けている。

 

恐ろしい、五十人は居たと思われる獣人がもう半数ぐらいの人数になった。

 

「くそ、死ね!」

 

すると獣人の一人が、飛び道具らしきギフトを使い十六夜を狙う。

 

俺は咄嗟に、その獣人に飛びかかろうとすると

 

『地面にひれ伏しなさい!』

 

何処からか鋭い声が聞こえ、獣人はその場にひれ伏した。

 

そして、赤いドレスに日傘をさした女性が何処からか舞い降りて地面に降り立った。

 

「あ、あの赤いドレスに、日傘は!?」

 

「ま、まさか…………」

 

その女性にも見覚えはある。

 

成長して、少し見違えたが。

 

間違いない。

 

あの凛とした態度に、赤いドレス。

 

そして、あの黒い髪。

 

あれは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「間違いない!逆廻飛鳥だ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………はあああああああああああああああああああああああああ!!?

 




現在、活動報告にてアンケート実施中。

問題児に関するものではありませんが、もしよければアンケートに参加してください。

では、次回もお楽しみに。
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