問題児たちと血を受け継ぐ者が異世界に来るそうですよ?   作:ほにゃー

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第3話 コミュニティのリーダーとあのお方に出会うそうですよ?

「ジン坊ちゃ―ン!新しい方を連れてきましたよ―!」

 

黒ウサギが元気一杯に手を振りながら一人の少年に近づく。

 

見た感じまだ子供。

 

ダボダボのローブに跳ねた髪の毛が特徴的だ。

 

「お帰り、黒ウサギ。そちらの3人が?」

 

「はい、こちらの御四人様が――」

 

ジンの言葉に固まる黒ウサギ。

 

そして、ゆっくりと俺たちの方を振り返る。

 

「……え、あれ?もう一人いませんでしたっけ?ちょっと目つきが悪くて、全身から“俺問題児!”ってオーラを放っている殿方が」

 

「ああ、十六夜君のこと?彼なら『ちょっと世界の果てを見てくるぜ!』と言って駆け出して行ったわ」

 

飛鳥の言葉に黒ウサギがウサ耳を逆立てる。

 

「な、なんで止めてくれなかったんですか!」

 

「『止めてくれるなよ』と言われたからだ」

 

「なら、どうして黒ウサギに教えてくれなかったのですか!?」

 

「『黒ウサギには言うなよ』と言われたから」

 

「嘘です!絶対嘘です!実は面倒くさかっただけでしょう御三人さん!」

 

「「「うん」」」

 

打ち合わせをしたかのような息の合い具合がいい。

 

黒ウサギは前のめりに倒れる。

 

ジンはというと顔面蒼白になって叫ぶ。

 

「大変です!世界の果てにはギフトゲームのために野放しになっている幻獣が!」

 

「幻獣?」

 

「なんだ?ペガサスとかユニコーンとかバジリスクでもいるのか?」

 

「は、はい。世界の果てには強力なギフトを持った幻獣がいます。出くわしたら最後、人間じゃ太刀打ちできません!てか、バジリスクなんてそこまでの幻獣はいませんよ!」

 

なんだ、バジリスクはいないんだ。

 

「あら、なら彼はもうゲームオーバー?」

 

「ゲーム参加前にゲームオーバー?……斬新?」

 

「さらばだ、十六夜。お前のことは忘れない」

 

「さらっと不吉なこと言わないでください!」

 

ジンに怒られるが、どうしようもないしな~。

 

「…ジン坊ちゃん。申し訳ありませんが、御三人様のご案内をお願いしてもよろしいでしょうか?」

 

ゆらりと立ち上がる黒ウサギ。

 

心なしか怒ってる感じだ。

 

「わかった。黒ウサギはどうする?」

 

「問題児様を捕まえに参ります。ついでに――――“箱庭の貴族”と謳われるこの黒ウサギを馬鹿にしたこと、骨の髄まで後悔させてやります!」

 

その瞬間、黒ウサギの青い髪が桜色に変わった。

 

感情が高ぶると髪の色変わるんだな。

 

やっぱり、面白い。

 

髪を緋色に染めた黒ウサギは空中高く飛び上がった。

 

「一刻程で戻ります!皆さんはゆっくり箱庭ライフを御堪能ございませ」

 

門柱に飛び乗り、そこから全力の跳躍で俺たちの視界から消えた。

 

「箱庭のウサギは随分速く飛べるのね」

 

「ウサギ達は箱庭の創始者の眷属ですから、力もありますし、様々なギフトに特殊な特権も持ち合わせた貴種です。彼女なら余程の幻獣に出くわさないかぎり大丈夫なはずです」

 

へぇ~、黒ウサギって意外と凄い奴なんだな。

 

ちょっと興味が出てきたわ。

 

「取りあえず、十六夜君のことは彼女に任せて、箱庭に入りましょう。貴方がエスコートしてくださるの?」

 

「は、はい。コミュニティのリーダーをしているジン=ラッセルです。齢十一になったばかりの若輩ものですがよろしくお願いします。御三人のお名前は?」

 

「久遠飛鳥よ」

 

「…春日部耀」

 

「月三波・クルーエ・修也だ。よろしくな、ジン」

 

飛鳥と耀はジンに一礼し、俺はジンに握手を求めた。

 

「それじゃあ、箱庭に入りましょう。まずは、軽い食事でもしながら話聞かせくれると嬉しいわ」

 

飛鳥はジンの手を取り笑顔で箱庭の外門をくぐった。

 

「ほぉ~、これが箱庭か」

 

箱庭の中に入りまずは驚いた。

 

天幕で覆われていたのに中は太陽の光が指している。

 

『ニャ、ニャー!ニャーニャニャニャーニニャー!(お、お嬢!外から天幕の中に入ったはずなのに、お天道様が見えとるで!)』

 

「……本当だ。外から見たときは箱庭の内側は見えなかったのに」

 

確かに、外からは天幕で中は見えなかったのに

 

箱庭からは天幕が見えなく代わりに太陽は見えてる。

 

マジックミラー見たいな感じか?

 

「箱庭を覆う天幕は内側に入ると不可視になるんです。この箱庭には太陽の光が受けられない種族もいますし」

 

「あら、それは気になる話ね。この都市には吸血鬼でもいるのかしら?」

 

「はい、いますよ」

 

「……そう」

 

少しおどけただけのつもりが、本当に吸血鬼がいて驚いてやがる。

 

吸血鬼か……いるんだ。

 

“六本傷”の旗を掲げるカフェテラスに入り、そこで軽食を取ることになった。

 

「いらっしゃいませー。ご注文はお決まりでしょうか?」

 

店の奥から猫耳を生やした少女が注文を取りに来た。

 

猫耳……獣人っていうのか?

 

「えーと、紅茶を二つと緑茶を一つ、コーヒーを一つ。あと軽食にコレとコレと『ニャー!(ネコマンマを!)』」

 

「飛鳥、後、ネコマンマな」

 

「え?修也君食べるの?」

 

「俺じゃなくて三毛猫だよ」

 

耀の猫を指さして言う。

 

「ちょ、修也君!貴方猫の言葉が分かるの?」

 

「修也、三毛猫の言葉、分かるの?」

 

飛鳥と耀が驚く。

 

てか、耀、目を輝かせ過ぎた。

 

そんなに嬉しいのか?

 

「まぁ、大抵の動物と会話はできるぞ。アンタも分かるんだろ?」

 

猫耳店員に聞くと

 

「そりゃ、猫族ですからね。分かりますよ。それにしても、お歳の割に綺麗な毛並みの旦那さんですね。ここは、少しサービスさせてもらいますよ。」

 

『ニャー、ニャニャニャニャー、ニャニャ、ニャー(ねーちゃんも可愛い猫耳に鉤尻尾やな。

今度機会あったら甘噛みしにいくわ)』

 

「やだもー、お客さんったらお上手なんだから♪」

 

猫耳店員は鉤尻尾を揺らしながら店内に戻る。

 

耀は嬉しそうに笑って三毛猫を撫でた。

 

「箱庭ってすごい。私以外に三毛猫の言葉が分かる人いたよ」

 

『ニャー二ニャー(よかったなお嬢)』

 

「ちょっと待って、春日部さんも猫と会話できるの?」

 

動揺した飛鳥に耀は頷く。

 

「もしかして、修也君は春日部さんが猫と話せることに気づいてたの?」

 

「あぁ、さっきから三毛猫と話してるみたいだし、会話も成立してたからもしかしたらって思ってた」

 

「なら、言ってくれればいいのに……」

 

「も、もしかして、お二人は猫以外にも意思疎通は可能なんですか?」

 

ジンが興味深く質問してくる。

 

「うん。生きているなら誰とでも話はできる」

 

「流石に幻獣は分からないがな」

 

「そう、素敵ね。なら、あそこに飛び交う野鳥とも会話が?」

 

「うん、出来……る?ええと、鳥で会話したことがあるのは雀や鷺、不如帰ぐらいだけど

ペンギンがいけたからきっとだいじょ「ペンギン!?」…う、うん、水族館で知り合った。他にもイルカとも友達」

 

ペンギンとも会話できるのか。

 

ペンギンか。

 

試したこと無いな。

 

いつか試してみたいものだな。

 

「全ての種と会話可能なら心強いギフトです。箱庭において幻獣との会話は大きな壁ですし」

 

「そうなんだ」

 

「一部の猫族や黒ウサギのような神仏の眷属として言語中枢を与えられていれば意思疎通は可能ですけど、幻獣達はそれそのものが独立した種の一つです。同一種か相応のギフトがなければ意思疎通は難しいと言うのが一般です。箱庭の創始者の眷属に当たる黒ウサギでも全ての種とコミュニケーションをとることはできないはずですし」

 

へぇ~、意外だな。

 

箱庭なんだから色んな種族と会話できる奴はいると思ったんだが

 

「そう・・・春日部さんと修也君は素敵なギフトを持ってるのね。羨ましいわ」

 

飛鳥に笑いかけられ、困ったように頭を掻く耀。

 

対照的に、憂鬱そうな声と表情で飛鳥は呟く。

 

会って数時間だが、飛鳥の表情は飛鳥らしくな。

 

どこかそう思えた。

 

「久遠さんは…」

 

「飛鳥でいいわ」

 

「う、うん。飛鳥はどんな力を持っているの?」

 

耀の質問に更に顔を曇らせる。

 

自分の力が嫌いなのか?

 

「私の力は酷いものよ。だって」

 

飛鳥が自分の力の話をしようとすると、余計な奴が会話に入ってきた。

 

「おやぁ? 誰かと思えば東区画の最底辺コミュニティ“名無しの権兵衛”のリーダー、ジン君じゃ

ないですか。今日はオモリ役の黒ウサギは一緒じゃないんですか?」

 

ジンを呼ぶ声。

 

見ると、二メートルは超える巨体にピチピチのタキシードを着た変な男がいた。

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