現在進行形で
何故…それは目の前にいる
「ハーッハッハッハッハッハッ!リアスゥゥゥゥゥゥゥ!結局、君がどれだけ足掻こうとも、俺のモノになる以外の道は残されていないんだよぉぉぉぉぉ!」
背中に二対の黄金の翼を広げるホスト風の格好をした金髪の男ーーーライザー・フェニックスは哄笑を上げながら、そう叫んだ。
リアスは唇を噛み締めることはしようとも、その口からは反論の言葉が出てくることはなかった。言い得て妙だったからだ。
自分がこの状況を形作ってしまったのだ。
仲間を失ってしまったのはすべては自分の不始末だ。
相手の思考を読み取れずに、まんまと相手の策へと嵌ってしまった自分の失態だ。
ならば、どうすればいいのか…と、彼女は常人よりもその出来のいい頭で考える。
そして、思い至る。
「……そうね。どうしようと私には貴方のモノになるしか選択肢はないのよね」
「そうだぁぁぁぁぁ!やっと理解したか!そして、決心がついたか!俺のモノになる決心が!」
「ええ。貴方のモノになるわ」
刺し違えてでもライザーを倒す…それが彼女の出した結論だった。
だからこそ、彼女はライザーが決定的な隙を作るまで油断させるために彼の望んでいるであろう言葉を続ける。
「貴方のハーレムの一員になるわ」
そう言うと、リアスはライザーへと一歩近づく。落ち着き払った足取りで、だ。
本当のところ、リアスは今すぐにでもライザーの元に走り出してしまいたかった。
が、それでは駄目だとリアスは頭を振る。
何故なら、リアスの思惑がライザーに気付かれてしまえば彼女は彼の宿す不死鳥の業火によって身を焼かれてしまうからだ。
それだけではない。彼女に騙されたということ知り、激怒したライザーが彼女と共に戦っていた仲間の命すらも燃え散らしかねないだろう。
だから、絶対にライザーには勘付かれてはならない。
その絶対的な条件を改めて確認した瞬間、リアスの指先が小刻みに震え出す。
自分の行動の成否が仲間の命を握っているからだ。彼女は命のやり取りなど生まれてこの方、経験したことがないというのに。
それに彼女には己の身を賭ける覚悟はいつでも決められたとしても、このフィールドから去ってしまった仲間の命については全く意識すらしていなかった。
つまり、彼女には自分の身を賭ける覚悟はあっても、
リアスの行動の一つ一つが鈍くなり、そのせいでライザーの表情は少しずつ険しくなっていく。
「リアスゥゥゥゥゥゥ!それ以上、こっちに来るな!何か企んでいるのは分かっている!」
ライザーの指摘にリアスは内心で舌打ちしながらも満面の笑みで答える。
「私は別に何も企んでいないわ。ただ、私の所有者である貴方の手元へと行こうとしているだけよ」
「隠しても無駄だ!君のその目がすべてを物語っている!この俺を!この俺、ライザー・フェニックスを相打ち覚悟で倒そうとしていると!」
しまった…リアスは己を殴りたい気持ちに駆られながらもライザーに向かって走り出す。ライザーが手のひらに炎を生み出しているが、それをあえて意識の外へと置くと、己の全身を包み込んだ少し赤みがかった黒い魔力でリアスはライザーの炎を全て消し飛ばした。
ライザーがそれを見て空中へ避難しようとしたが、リアスがそうはさせなかった。ライザーの腕を掴み、抱きつき、赤黒い魔力を滾らせてライザーの全身へと蛇のように絡みついていく。
ライザーは逃げようと必死にもがくが、どこからそんな力が湧いてくるのかリアスの拘束からは逃れられない。
そうしている間にもタイムリミットは差し迫っていた。
「くっ、リアス離せぇぇぇぇぇぇぇ!君は正気か!?このままの勢いで魔力を噴き出し続ければ、君も火傷程度じゃ済まないぞ!」
「ええ、分かっているわ!このままだと私もただじゃ済まないってことは!でも、私は自由が欲しいの!もうカゴの中の鳥は嫌なの!親同士が決めた結婚ではなく、好きな人と結ばれたいの!そのためには、貴方に勝たなくちゃならない!今まで勝ち続けてきた貴方に!負け知らずの貴方に!だったら、私は私の全てを賭けて貴方に勝つ!どんなことをしても絶対に勝つ!何があっても勝つ!それだけの話よぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
次の瞬間、彼女を覆っていた魔力はライザーの全身すらも呑み込み、天まで轟く大爆発を引き起こした。